運動器疾患に対する最小侵襲手術
脊椎手術 除圧術 腰部脊柱管狭窄症に対する黄色靱帯浮上術
山崎 隆志
1
,
村上 元昭
1武蔵野赤十字病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
MRI
,
脊柱管狭窄
,
腰仙部
,
黄色靱帯
,
外科的減圧
,
最小侵襲手術
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Lumbosacral Region
,
Radiography
,
Spinal Stenosis
,
Ligamentum Flavum
,
Decompression, Surgical
,
Minimally Invasive Surgical Procedures
pp.97-102
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2011225824
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腰部脊柱管狭窄症に対する黄色靱帯浮上術の手技を紹介し、同手術55例(男36例・女19例・平均71.2歳)の成績を報告した。経過観察期間12~42ヵ月で、日整会腰痛治療成績判定基準は術前平均16.0点が22.3点に、Oswestry disability index(ODI)は39.7%が18.0%に、visual analogue scaleは腰痛で3.6が1.7に、下肢痛で5.0から1.9に、下肢のしびれで6.3が3.1にいずれも有意に改善した。満足度は満足43例、やや満足11例、不満1例であった。またヘルニア合併例、安静時下肢痛や下肢伸展挙上テスト陽性例では黄色靱帯浮上後に黄色靱帯を切除し、椎間板や神経根の除圧を確認したが、部分的に浮上したこれらの症例と全除圧椎間で浮上した症例を加えた220例における硬膜損傷の頻度を調べたところ、損傷発生は1例のみであった。全除圧部位で黄色靱帯を温存し、6ヵ月以上経過後にMRIを撮像した31例47椎間では、44椎間で硬膜外脂肪を確認できた。症例提示は84歳男。両下肢痛としびれによる間歇跛行に対し、X線でL4/L5に軽度のすべり、MRIで椎間板の膨隆を認めた。神経根は確認せず、L4/L5の除圧を本術式で行った。術後2年のMRIで除圧は良好、JOAスコアは19点が26点、ODIは46%が18%に改善した。
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