総合診療 28巻9号 (2018年9月)

特集 オンコ・ジェネラリスト—「がん」に強い総合診療医をめざして

東 光久
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日本人の2人に1人が「がん」にかかると言われる時代、しかも、治らずとも長生きできるようになってきた。

おのずと、がんを抱えながら生きていく患者に、「総合診療医」が関わる機会も増えている。

がん医療の専門機関だけで、彼らを支えていくことは、量的にも質的にも難しい。

そこで、この機に「オンコ・ジェネラリスト」という言葉をつくってみた(p.1188)。

がん診療において、「総合診療」の出番は決して少なくない。

総合診療医に、がん診療において、これまで以上に力を発揮してほしい。

オンコ・ジェネラリストという言葉には、「がん患者の総合診療」を行う担い手として、ジェネラリストへの期待を込めた。

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今なぜ「オンコ・ジェネラリスト」か

 内科系指導医と専攻医について話していると、どの領域の指導医も自身の領域の専攻医が少ないことを嘆くか、数はいるがまだまだ需要を満たすには至らないと言う。総合診療医・総合内科医も同様である。

 しかし、本当にそうだろうか? あるいは、本当にそれでいいのだろうか? はたまた、特定の専攻医(だけ)を増員し続けることは実現可能なのか? 筆者の答えは、いずれも「Definitely, No!!」である。

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なぜ今ジェネラリストの出番か

 日本人のがん罹患数は、2016年に100万人を超えたと報告された。74歳までにがんに罹患する確率は54%であり、まさに2人に1人はがんになる時代となったのである。罹患数の増加とともに、がん死亡数も伸び続けている。がんは、もはやコモンディジーズであり、国民病である。

【診断する!初期治療を行う!】

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Case

患者:86歳、男性。

現病歴:10カ月前までは普通に食事や飲酒ができていたが、その頃から徐々に食思不振により食事量が減っていた。ここ1カ月ほど、歩行時にふらつくことが多くなり、食欲もさらに低下したため来院。体重は半年で9kg減少。嘔気・嘔吐なし、下痢なし、腹痛なし、黒色便なし。咳嗽・喀痰なし、発熱なし、寝汗なし。

既往歴:6年前に、胃潰瘍にてピロリ菌を除菌した。毎年健診を受けており、1年前にも上部消化管内視鏡検査、便潜血検査、胸部X線検査を行い、すべて異常を指摘されなかった。

家族歴:兄が胃がん、弟が膵がん。

生活歴:元ガソリンスタンド取締役。30〜35歳まで15本/日の喫煙。日本酒1合/日。

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病歴が大事

Case1-1

患者:57歳、女性。

主訴:倦怠感。

現病歴:最近、いろいろなことで疲れが溜まったせいか、眠りが浅い。そのせいか、日中元気がなく少しぼーっとしたり、眠気を感じる。食欲も落ちた。大きな病院でも診てもらっているが、違う病気だし次の外来まで時間があるため、今日は一般内科外来を受診することにした。

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やっぱり病歴が大事

Case1-1

患者:69歳、男性。

主訴:腰が痛い。

現病歴:最近、夜寝ている時に、腰が痛くてよく寝返りをうつ。妻は「最近やせて筋肉が減ったからではないか」と言っている。長時間座っているのがつらいので、なんとかしてほしい。

【診断する!初期治療を行う!】 【診断コラム】

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Case

患者:Aさん、65歳、男性。生来健康。

現病歴:退職を機に、人間ドックを受診。CEAが7.0ng/mL(基準値≦5.0ng/mL)で要精査と判定。精査目的で前医紹介受診。CTや内視鏡など諸検査にて、明らかな腫瘍性病変を指摘されず。納得できず、セカンドオピニオン目的で当科紹介。

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Q1 「原発不明がん」って何?

 原発不明がんは、「転移性悪性腫瘍であることが組織学的に証明されている腫瘍のうち、治療前の評価期間中に原発巣を同定できないもの」と定義されています1)。一般の患者さんの認知度も低い疾患ですが、がんと診断されたなかの約1〜5%は原発不明がんであると言われています。

 発見される際のプレゼンテーションはさまざまです。たとえば「リンパ節腫大」「腹水貯留」「胸部異常陰影」などで発見されることもあります。原発巣が見つからないため、主に担当する診療科が決まらずに“たらい回し”が起こり、治療がなかなか始まらないなど、患者さんが困っていることも少なくありません。

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Q1 「難治がん」の診断をどう伝えればいい?

 改めて言うまでもないが、医学は科学であり、“エビデンス”に基づいた正確な診断・適切な治療を行うことが必要である。しかし、がんの診断などの「悪い知らせ(bad news)」を伝える際には、正確さだけではなく、患者を1人の人間として思いやりながら説明するという、“アート”の部分も大切である(p.1189)。患者の気持ちに配慮した伝え方は、医師‐患者間の信頼関係の構築にもつながり、患者の精神的ケアに大きく関わってくる。このアートの部分を、どう磨き上げていけばよいのだろうか? その1つの方法として、コミュニケーションスキル「SHARE」を紹介したい。

 コミュニケーションに関する患者の意向には文化差があり1)、「日本人」に適した方法として開発されたのがSHAREである。がん患者やがん治療専門医を対象に調査し、悪い知らせを伝えられる際に望むコミュニケーションとしてあげられた4つの因子(表1)の頭文字をとってSHAREと呼んでいる2)。SHAREを用いたコミュニケーション技術研修会が各地で開催されており、トレーニングの有効性は、がん治療医を対象としたランダム化比較試験にて、患者の抑うつ低減などにも有用であることが示されている3)

【治療に関わる!連携する!】

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がん患者の治療目標

 どんな診療でも、「治療目標」が存在する。がん診療においては、特に重要である。治療目標を決めるうえで重要な要素は、がん種と病期、年齢や全身状態(performance statusなど)、併存疾患(肺気腫、慢性腎臓病、糖尿病など)とともに、患者の価値観・人生観である。

 がんという病は、患者の人生の一部であって、決してすべてではない。つまり、がんのために人生を生きるのではなく、がんという病を抱えながら患者自身の選んだ思う道を生きていくのである。治療は、その方向性に沿った形で位置づけられるべきである。したがって、患者が自身の価値観・人生観に基づいた道を歩むためには、時として抗がん治療を必要としない場合があっても、あながち否定されるべきではないように思う。

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 本稿をお読みのみなさんが「がん治療医」との連携を図る場合、どのような立場で関わっておられるのであろうか。ご自身の専門性を生かした「併診医」という立場、開業医の方なら「かかりつけ医」「在宅医」という立場だろうか。しかし、「緩和ケアチーム」の一員として関わっておられる方々も多いのではないだろうか。

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Case

人生の最終段階において「施設療養」を希望している症例

患者:78歳、女性。3年前から有料老人ホーム入所中。肝内胆管がんに対する化学療法を継続してきたが、本人の意思により終了して施設に戻っていた。長女が、施設近隣に在住。夫は5年前に他界。

現病歴:数日前から経口摂取しなくなったとのことで、再入院となった。本人は衰弱しており、声かけに開眼するが発語はない。悪心・嘔吐・腹痛などの消化器症状はなく、過度に負担をかけない範囲で精査したが、進行がんによる「悪液質症候群」と考えられた。施設の担当者(介護福祉士)は「食べられないのであれば、経管栄養を開始するのがよい」と考えている。一方、子どもたちは「自然経過に任せるのがよい」と考えている。

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Case

患者:69歳、女性。高齢の夫と2人暮らし。ほぼベッド上で寝たきり。

既往歴:5年前に盲腸がんの手術歴あり。盲腸がんの脳転移巣に対して放射線治療歴あり。

現病歴:けいれん重積発作にて、がん治療後も外来通院中だったA病院に緊急入院。嚥下障害があり、右上肢のポートから高カロリー輸液、抗てんかん薬であるレベチラセタム(イーケプラ®)の点滴にて加療。本人・家族は「家に帰りたい」と思っている。

 入院後24日目に退院前カンファレンスが開催され、A病院主治医から「自宅にてイーケプラ®点滴投与が可能かどうか」の問い合わせがあり、「訪問調剤」「訪問看護」を利用することで施行可能な旨を伝えた。入院後40日目に2回目の退院前カンファレンスが開催され、入院後52日目に退院した。

 退院前に嚥下機能は少し回復しており、経口摂取とイーケプラ®錠の内服が可能な状態で在宅療養を開始した。退院後38日目には嚥下困難となり、イーケプラ®点滴投与に切り替えた。けいれん発作を起こすことなく徐々に衰弱が進行し、退院後95日目に自宅にて看取りとなった。

【治療に関わる!連携する!】 【治療コラム】

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 筆者が血液専門医ということもあり、白河総合診療アカデミーでは、当科で診断した「悪性リンパ腫」は、原則として当科でそのまま診療し、R-CHOP(リツキシマブ、シクロフォスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)療法を含めた抗がん治療を行っている(表1)。

 私見であるが、「総合診療医」が悪性リンパ腫の治療を行うことは可能であり、総合診療医にとっても「R-CHOP療法」を中心とした抗がん薬の効果と有害事象マネジメントの貴重な経験となる。本稿では、総合診療医が悪性リンパ腫の化学療法を行うためのエッセンスを解説する。

【緩和“治療”は任せて!】

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「早期からの緩和ケア」の時代へ

 治癒不能な進行がんの診断に伴い、患者・家族は身体的また心理・社会的に大きな影響を受ける。そのような時、抗がん治療と並行して緩和ケアを行うことで、症状緩和や生活の質(QOL)の向上に役立つことがある。

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Case

患者:29歳、女性。

生活歴:夫・4人の子どもと6人暮らし。

現病歴:左腸腰筋転移を伴う子宮頸がん(臨床病期:ⅣB)と診断され、がん化学療法を継続している。腸腰筋への転移が原因の左大腿部の痛みが出現し、左下肢の進展が困難となった。婦人科の入院主治医は、WHO(世界保健機関)方式の三段階除痛ラダーにしたがって疼痛緩和を行っていた。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に加え、オキシコドンを導入し、副作用に留意しながら徐々に増量していた。

 子どもが幼いこともあり、できるだけ自宅で過ごしたいという希望から、外来化学療法を行いながら自宅で症状緩和を行うこととなった。訪問診療を行っているプライマリ・ケア医は、在宅での緩和ケアを開始した。

 その後、下肢の痛みは徐々に増強し、しびれも伴うようになった。オピオイドを増量しても症状は増強し、生活への影響も大きくなっていた。鎮痛補助薬としてプレガバリンを追加したが、それでも十分な鎮痛が得られなかった。地域の緩和ケアに関する勉強会や、独学で学んだ基本的な緩和ケアで十分な症状緩和ができず、プライマリ・ケア医は途方に暮れてしまった。

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Case

がん告知後に「うつ病」を発症したケース

患者:43歳、女性。乳がん。

生活歴:夫・長女・次女と4人暮らし。専業主婦。

現病歴:がん検診で異常を指摘され、近医を受診。乳がんが疑われ、当院を紹介受診。精査の結果、「乳がん」で手術が必要であるという告知を受けた。

 その直後から、今後の治療や予後への不安を感じ、不眠・食欲不振が出現。表情は暗く、「定期検診を受けていたのに……。もっとたくさん検査すればよかった。いつまで生きられるだろう……」と涙を流した。抗不安薬を処方し、支持的に傾聴したが、2週間経っても改善しなかった。「うつ病」と診断し、抗うつ薬を開始したあとは徐々に改善し、治療に対して前向きな発言が増えた。

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Case

患者:60歳代、女性。乳がん、左胸部皮膚浸潤・左胸膜播種。

現病歴:6年前に、右乳がんに対して右乳房切除+放射線照射を行った。3年前に、左肺転移・胸膜播種で再発。ホルモン療法を行ったが徐々に不応となり、化学療法も希望されず、3カ月前に緩和ケア外来へ紹介。

 その後、左乳房が全体的に腫脹し、周辺皮膚を含めて表面が硬い範囲が徐々に広がってきていることに気づいていたが、痛みなどはなく経過していた。数週間前より体動時の呼吸困難が出現し、徐々に悪化。呼吸困難のため、家事が難しくなってきている。

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Case

患者:72歳、男性。農協で経理の仕事をしていた。大腸がん・肺転移。

現病歴:半年前に、繰り返す下痢と便秘に対し精査し、進行大腸がんおよび肺転移を指摘された。手術適応なく外来通院していたが、徐々に経口摂取量低下、その後、急激な疼痛増悪あり、オキシコドン(オキシコンチン®)内服20mgから30mgに増量された。夜間に「もういいんだ、殺してくれ」「小さな子どもが歩き回っている」などと叫ぶようになり、リスペリドン(リスパダール®)0.5mg頓用が処方されたが、あまり奏功していない。日中もモゾモゾしていて意思疎通が難しく、外来通院も困難となった。「きちんとしていたお父さんが、まるで別人のようで見ていてつらい」とご家族が外来受診され、主治医と相談し在宅医療導入となった。

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Case

患者:78歳、男性。肺腺がん、多発肝転移・多発骨転移。高齢の妻と2人暮らし。

既往歴:慢性閉塞性肺疾患。

現病歴:1年前に検診異常あり、精査にて肺腺がんⅣ期の診断。化学療法を施行も、多発肝転移・多発骨転移および全身状態の悪化あり、抗がん治療が中止された。「最期は自宅で迎えたい」という本人の強い希望があり、2週間前に訪問診療が導入された。

 経口摂取量の低下と浮腫に加え、昨夜から安静時呼吸困難・せん妄が出現した。同居の妻から「遠方の長男が帰省したため、現在の病状とこのまま自宅で看ていけるのかについて、一緒に説明を聞きたい」と訪問診療の主治医に連絡があった。

【がん診療の進歩Q&A】

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Case

オシメルチニブにより粘膜障害を起こした一例

患者:84歳、男性。EGFR陽性・多発肺転移の非小細胞肺がん。

現病歴:ゲフィチニブによる治療を受けており、「爪囲炎」のため日常生活に支障も出ており、繰り返し減量・休薬を打診したが、たっての希望で継続していた。

 多発肺転移の増大を認めたため、気管支鏡による再生検を実施したところ、EGFR T790M遺伝子変異があったため、オシメルチニブ通常量80mg/日を開始した。開始後7日目から「角膜炎」「口内炎」「胃炎」の症状を呈していたが、減量の打診を恐れて来院せず、10日目に緊急受診・入院となった。2週間の休薬にて症状は改善し、40mg隔日投与から再開し、大きな有害事象もなく経過している。

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新しいがん薬物療法の時代到来

◦治療成績の劇的改善

 がん薬物療法の開発は、無機化合物である細胞傷害性抗がん薬(cytotoxic chemotherapy)から始まった。しかし、細胞特異性が低く、正常細胞への影響から、骨髄抑制に伴う易感染性や脱毛、悪心などが避けられなかった。

 1990年代から「がん生物学」、特に細胞増殖に関わる分子メカニズムの解明を背景として、種々の「分子標的薬(molecular targeted therapy)」(p.1219)が開発された。続いて、2010年代になり「がん免疫学」の発展により、ヒト免疫機構からがん細胞が逃避する機構が解明され、逃避メカニズムを抑制する「免疫チェックポイント阻害薬(immune check point inhibitor)」が開発され、劇的に治療成績が改善している。なかでも、従来の細胞傷害性抗がん薬では治療効果の乏しかった「慢性骨髄性白血病」「悪性黒色腫」「肝細胞がん」「肺がん」などは格段に改善している。

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Case

総合診療医の助言によってがん診断後の“びっくり離職”を思いとどまった一例

患者:53歳、女性。小規模会社の正社員として事務業務を担当。

既往歴:軽度高血圧で、総合診療医を受診している。

現病歴:市の検診で乳がんとわかり、がん治療医から術前化学療法を勧められた。本人の衝撃は大きく、「自分ががんになるなんて」「抗がん剤を使うなら、働けないから会社は辞めるしかない」と話す。総合診療医は、「治療中も働いている人は大勢いる。支持療法も進歩しているので、今は大きな決断をせず、化学療法をまず1クール受けて体調の変化をみてから考えたらどうか」と助言した。結果的に、副作用がさほど強くなかったので、在職のまま術前化学療法を完遂できた。

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

Editorial

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 本稿を執筆している8月初旬は、稀に見る猛暑の夏である。そして、テレビでは通算100回を迎えた夏の甲子園で、高校球児たちが必死で白球を追っている。気がつけば、私はいつの間にか彼らの親の世代となり、毎年わが子を見るような目で選手宣誓を聴いている。

「笑顔だけでは乗り越えることのできない哀しみがありました。しかし甲子園は、勇気・希望を与え、日本を平和にしてきた証しです」

Update'18

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 「ロコモティブシンドローム」(以下、ロコモ)は、2007年、日本整形外科学会が世界に先駆けて提唱した言葉と概念である。2013年から、その定義を「運動器の障害のため、移動機能の低下をきたした状態で、進行すると介護が必要となるリスクが高まるもの」としている。運動器にコモンディジーズが起こると、それらが連鎖・複合して、運動器の痛み・機能低下をきたし、またその機能低下が運動器疾患をさらに悪化させたりしつつ、移動機能低下に進展し、さらに悪化すると最後には介護状態に至る、というとらえ方がロコモである(図1)。

 2015年からロコモの判定は、2つの運動機能検査(図2・3)と1つの質問票からなる「ロコモ度テスト」で行うこととしており、ロコモの段階を「ロコモ度1」「ロコモ度2」とした臨床判断値を決め(表1)、次のように勧めている。

What's your diagnosis?[189]

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病歴

患者:60代、女性。

主訴:発熱、心窩部痛。

現病歴:X-13日からの38℃を超える発熱のため、X-9日に前医に入院し、腹部単純CTにて胆囊壁の肥厚があり、胆囊炎として抗菌薬メロペネム、タゾバクタム/ピペラシリン、レボフロキサシンなどによる治療を受けていたが、病状が徐々に悪化するため、X日(金曜日)午後に当院を紹介受診した。

 心窩部左側に圧痛がある点が非典型的ではあるが、胆石性胆囊炎を疑い外科にコンサルトしたところ、腹部造影CT検査にて胆囊結石と胆囊壁の軽度肥厚があり(図1)、胆石性胆囊炎の診断にて緊急手術(腹腔鏡下胆囊摘出術)となった。手術後も発熱が続いたが、手術部位感染は否定的で、入院6日目に当科に転科して、発熱の再評価を行うこととなった。

既往歴:高血圧、胆囊結石症、便秘症。

内服薬:アムロジピン、センノシド。

I LOVE Urinalysis|シンプルだけどディープな尿検査の世界・18

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Case

患者:生来健康な28歳、女性。

現病歴:2日前からの発熱、頭痛で診療所を受診。

●7歳と5歳の子どもが発熱・咽頭痛・下痢があり、「夏風邪」と言われている。

●経口摂取は可能で、全身状態は良好である。

●身体所見上は項部硬直を軽度認める以外に、特記すべき所見はない。

●髄膜炎を疑ったが、子どもの世話があるため、本人は病院への紹介は希望されていない。

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・21

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CASE

患者:76歳、男性。

主訴:呂律が回らない、うまく歩けない。

現病歴:入院2週間前から左下肢の軽いしびれを自覚した。6日前に両側前腕(左優位)にもしびれが出現し、翌日当院外来を受診。左下肢の軽度筋力低下と左尺骨神経領域に、叩打によるしびれの増強が認められた。腰椎X線では有意な異常所見なく、2日後に脊椎単純MRI検査が施行され、L4/5の椎間板変性や膨隆が認められ、腰部脊柱管狭窄症と診断された。症状が軽度のため、対症療法で帰宅となった。入院2日前の夕方、右口角から水がこぼれるようになり、味覚変化が出現、翌日には歩行がおぼつかなくなった。受診当日から右眼の閉眼ができなくなり、呂律難も出現したため、当院再受診。

既往歴:前立腺肥大症(近医通院中)。健康診断受診歴なし。

常用薬:シロドシン4mg、エビプロスタット® 配合錠DB 3錠。

家族歴:母が不整脈のためペースメーカー留置。脳卒中の家族歴なし。

嗜好歴・生活歴:喫煙中(30本/日×56年間)。以前は泡盛を毎日2杯、3年前から断酒。58歳まで農業に従事、その後タクシー運転手。

アレルギー:食事・薬剤ともになし。

review of systems:出現した症状は今回初めて自覚。1カ月前に咳嗽と喀痰があり、下痢はなかった。腰部違和感は以前より自覚。3年前に排尿困難と頻尿があったが、薬物療法で改善。その他、特記事項なし。

診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・18【最終回】

胸水を疑った時 亀田 徹
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はじめに

胸水評価について再確認!

 超音波を用いた胸水・血胸の評価は、多くの方が日常業務のなかで行っていると思います。今や救急診療に従事する臨床医の必須手技となっているfocused assessment with sonography for trauma(FAST)でも、血胸の評価はルーチンで行われます1)。Point-of-Care超音波が普及してきたので、画像による胸水の評価について再確認するのは良い機会だと思います。また、患者ケア向上や医療安全の観点から、超音波をガイドとして、胸腔穿刺、胸腔ドレナージを行う意義についても確認したいと思います。

ジェネラリスト漢方Basics|東西2つの視点でアプローチ・9

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 「ゆく河のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず」(鴨長明『方丈記』より)

 本連載で取り上げている「気・血・水」も、常にきちんと流れていれば身体は順調に働くが、その流れに停滞が起こると、身体にさまざまな不調がきたされると考えられている。

 今月は、気の流れに停滞を生じた「気うつ」という状態を取り上げる。

みるトレ Special・21

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患者:70歳代、男性。介護老人保健施設に入所中。

主訴:下痢。

現病歴:来院10日前から、腹痛と1日数回の下痢が出現してきた。嘱託医が「感染性腸炎」と診断、セフカペンピボキシルを処方されたが改善しなかった。5日前からはレボフロキサシンが投与されたが改善せず、下痢の回数は10回/日に増加した。また血液検査上、白血球が22,000/μLと著増していたことから、近医を受診し下部消化管内視鏡検査が施行され、図1の所見が認められたため当院感染症科に紹介となった。

既往歴:黄色ブドウ球菌による化膿性脊椎炎のため、2カ月前までセファゾリンおよびケフレックスを6週間内服。

身体所見:意識清明、血圧114/78mmHg、脈拍数109回/分、呼吸数21回/分、体温38.5℃。右下腹部を中心として、腹部全体に圧痛を認める。

血液検査:WBC 24,300/μL、Cr 1.62mg/dL。

国試にたずねよ・21

最近、増えてませんか? 山中 克郎
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 日本初の山岳リゾートである上高地(長野県松本市)は、毎年訪れたい場所だ。大自然の中の散策は、疲れた心を癒やしてくれる。初めて上高地を訪れた時は、日本にこんな綺麗な所があったのかと驚いた。

 大正4(1915)年に焼岳の噴火により梓川がせき止められてできた大正池はエメラルド色に輝き、雄大な穂高と立ち枯れた木々を湖面に映す風景は幻想的である。

こんなときオスラー|超訳『平静の心』・21

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 年齢を重ねた時、人生後半の生き方をどのように定めるかは、古今東西、重要なテーマである。論語に次のような言葉がある1)

『子曰わく、吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑はず。五十にして天命を知る。六十にして耳順ふ。七十にして心の欲する所に従いて矩を踰えず』

もやもや処方の処方箋・6

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今月の処方箋

A病院 脳外科

•アロシトール®(アロプリノール)100mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•エナラプリル(後発品)5mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•カルデナリン®(ドキサゾシン)OD錠2mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

A病院 泌尿器科

•タムスロシン(後発品)OD錠0.2mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•ベタニス®(ミラベグロン)50mg

 1回1錠 1日1回 夕食後

•ポラキス®(オキシブチニン)2mg

 1回1錠 1日1回 夕食後

歯科(後日判明)

•ロキソニン®(ロキソプロフェン)60mg

 歯痛時屯用

(サプリメントなし)

総合診療専門医(仮)セルフトレーニング問題・17

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セッティング

人口150万人のA市沿岸部に位置する260床の中規模ケアミックス病院で、急性期病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟を有している。入院病床をもつ診療科は、内科・外科・小児科・婦人科・整形外科。専門性の高い治療については、近隣の総合病院や大学病院に紹介している。

投稿 GM Clinical Pictures

なんとなく息苦しい 板金 広
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CASE

患者:78歳、女性。

既往歴:高血圧、脂質異常症、骨粗鬆症で内服加療中である。

現病歴:2日前に、近隣の住人と口論になり興奮した。昨日から、なんとなく胸苦しい感じがある。

検査所見:来院時の心電図を、図1に示す。胸部X線写真は以前と変化がなく、心臓超音波検査では心尖部の無収縮と心基部の過収縮がみられた。

#総合診療

#今月の特集関連本❶

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#今月の特集関連本

#医学書院の新刊

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 人は誰でも死から逃れることはできず、医療者は“いのちの終わり”に向き合う機会は多い。ところが、医療者になるためのトレーニングでは、病気をとりのぞいて回復をめざす治療法については詳しく学ぶものの、「エンドオブライフ・ケア」について体系的なトレーニングを受ける機会はきわめて乏しい。そのため、往々にして医療者は、患者がいのちの終わりに向かう事実をタブー視したり、自らの業務範囲外と見なしたりしがちである。そのうえ、エンドオブライフ・ケアに正面から向き合おうにも、医療者の個人的な経験や見識に任されている部分が大きいので、具体的にいつから、どのように対応すべきなのかとまどうことも多い。

 本書『いのちの終わりにどうかかわるか』は、まさにこのテーマに正面から取り組んだ本である。本書は、いのちの終わりが近づいた時の時系列に沿って構成されており、冒頭の総論に引き続いて、評価、予後予測、治療とケアのゴールの話し合いについて取り上げられている。臨死期の対応については、「1週間」「48時間」「臨終時」のそれぞれのフェーズに合わせて詳しく述べられており、さらに患者が亡くなったあとの喪失と悲嘆への対応と続き、最終章では、アドバンス・ケア・プランニングとベスト・インタレスト論がまとめられている。このように、エンドオブライフ・ケアのすべてのフェーズが網羅されているので、本書1冊で包括的にエンドオブライフ・ケアについて学ぶことができる構成となっている。

#参加者募集

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目次

『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

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基本情報

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総合診療
28巻9号 (2018年9月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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