#総合診療
#書評:《ジェネラリストBOOKS》いのちの終わりにどうかかわるか
前野 哲博
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1筑波大学附属病院総合診療科
pp.1304
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201718
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人は誰でも死から逃れることはできず、医療者は“いのちの終わり”に向き合う機会は多い。ところが、医療者になるためのトレーニングでは、病気をとりのぞいて回復をめざす治療法については詳しく学ぶものの、「エンドオブライフ・ケア」について体系的なトレーニングを受ける機会はきわめて乏しい。そのため、往々にして医療者は、患者がいのちの終わりに向かう事実をタブー視したり、自らの業務範囲外と見なしたりしがちである。そのうえ、エンドオブライフ・ケアに正面から向き合おうにも、医療者の個人的な経験や見識に任されている部分が大きいので、具体的にいつから、どのように対応すべきなのかとまどうことも多い。
本書『いのちの終わりにどうかかわるか』は、まさにこのテーマに正面から取り組んだ本である。本書は、いのちの終わりが近づいた時の時系列に沿って構成されており、冒頭の総論に引き続いて、評価、予後予測、治療とケアのゴールの話し合いについて取り上げられている。臨死期の対応については、「1週間」「48時間」「臨終時」のそれぞれのフェーズに合わせて詳しく述べられており、さらに患者が亡くなったあとの喪失と悲嘆への対応と続き、最終章では、アドバンス・ケア・プランニングとベスト・インタレスト論がまとめられている。このように、エンドオブライフ・ケアのすべてのフェーズが網羅されているので、本書1冊で包括的にエンドオブライフ・ケアについて学ぶことができる構成となっている。
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