特集 オンコ・ジェネラリスト—「がん」に強い総合診療医をめざして
【がん診療の進歩Q&A】
「分子標的薬」と「免疫チェックポイント阻害薬」の功罪—これまでの化学療法とどう違うのか?
加藤 晃史
1
1神奈川県立がんセンター 呼吸器内科
キーワード:
がん薬物療法
,
免疫関連副作用
,
irAE
,
薬剤性間質性肺炎
Keyword:
がん薬物療法
,
免疫関連副作用
,
irAE
,
薬剤性間質性肺炎
pp.1261-1264
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201703
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新しいがん薬物療法の時代到来
◦治療成績の劇的改善
がん薬物療法の開発は、無機化合物である細胞傷害性抗がん薬(cytotoxic chemotherapy)から始まった。しかし、細胞特異性が低く、正常細胞への影響から、骨髄抑制に伴う易感染性や脱毛、悪心などが避けられなかった。
1990年代から「がん生物学」、特に細胞増殖に関わる分子メカニズムの解明を背景として、種々の「分子標的薬(molecular targeted therapy)」(p.1219)が開発された。続いて、2010年代になり「がん免疫学」の発展により、ヒト免疫機構からがん細胞が逃避する機構が解明され、逃避メカニズムを抑制する「免疫チェックポイント阻害薬(immune check point inhibitor)」が開発され、劇的に治療成績が改善している。なかでも、従来の細胞傷害性抗がん薬では治療効果の乏しかった「慢性骨髄性白血病」「悪性黒色腫」「肝細胞がん」「肺がん」などは格段に改善している。
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