皮膚科の臨床 59巻5号 (2017年5月)

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24歳男。四肢の紫斑を主訴とした。IgA腎症治療目的の扁桃摘出術後7日目より前腕および下腿に浸潤を触れる数mm大の紫斑が多発した。病理組織学的には好中球破砕性血管炎の所見を認め、蛍光抗体法で血管壁にIgAが沈着していたため、アナフィラクトイド紫斑と診断した。当初より予定していたIgA腎症に対するステロイドパルス療法により皮疹は急速に退色し、それに伴い腎機能の悪化は認めず尿所見は改善傾向であった。

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55歳男。四肢の紫斑を主訴とした。クローン病のため2年前よりインフリキシマブ投与を開始した。また2ヵ月前に炎症性腸疾患関連脊椎関節炎と診断されメトトレキサート(MTX)4mg/週で内服を開始したが、3週間後6mg/週に増量した直後に発熱と倦怠感、四肢の紫斑が出現した。経過観察にて紫斑は消退したが、1週間後にMTX内服した翌日、両前腕・下腿に2~3mmの紫斑が出現した。皮膚生検の蛍光抗体直接法で真皮浅層血管壁にIgA、IgA1、C3、C1qが沈着し、IgA血管炎と診断した。MTX中止後は軽度の紫斑の再燃を繰り返したが、中止から2ヵ月で完全に消退した。

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54歳男。急性膵炎治療中に出現した下肢の触知性紫斑を主訴とした。病理組織学的に白血球破砕性血管炎を認め、蛍光抗体直接法は陰性であった。腹部造影CTでは膵臓のびまん性腫大と直腸周囲の脂肪組織濃度上昇を認め、ガリウムシンチグラフィでは全身に多発する炎症性病変を認めた。膵臓の超音波内視鏡下穿刺吸引生検でIgG4陽性の形質細胞浸潤を認め、血清IgG4も高値であったことから、IgG4関連疾患とそれに伴って出現した皮膚白血球破砕性血管炎と診断した。プレドニゾロン(PSL)40mg/日投与により膵炎を含めた炎症所見と紫斑は改善した。PSLを7.5mg/日まで漸減したところ自己免疫性膵炎の再燃を認めたため、20mg/日に増量し外来で漸減中である。

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81歳男。間歇熱、両下肢の皮疹を主訴とした。両下肢に指頭大までの皮下に結節を触れる紅斑と分枝状皮斑があり、病理組織学的に真皮脂肪組織境界部の小動脈にフィブリノイド変性を伴う壊死性血管炎を認めた。間質性肺炎を合併し、抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)高値であったことから、顕微鏡的多発血管炎と診断した。入院後、発熱が続いたが、14日目よりプレドニゾロン30mg/日とアザチオプリン100mg/日にて加療し、症状改善とともにMPO-ANCA値も低下した。初診から10ヵ月経過してプレドニゾロンは9mg/日まで漸減し、症状の再燃は認めない。

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73歳女。両下腿の皮疹を主訴とした。両下腿から両足底に圧痛を伴う結節、貨幣大までの紅斑、紫斑が散在し、皮膚生検では壊死性血管炎所見を認めた。抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)陽性、糸球体腎炎の合併より、顕微鏡的多発血管炎と診断した。両側下垂足が出現し感覚優位型の多発性単神経炎の診断でステロイドセミパルス療法と免疫グロブリン大量静注療法を施行したが、ステロイド漸減中に左下垂手が出現し、再度ステロイドセミパルス療法と免疫グロブリン大量静注療法を施行し、左下垂手は改善した。治療開始から約3ヵ月後にプレドニゾロン14mg/日内服で退院したが左下垂足は残存し、短下肢装具などで対応している。

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77歳男。8日前から発熱、下腿点状紫斑、下肢脱力、複視が出現した。気管支喘息、慢性副鼻腔炎の既往あり。紫斑の病理組織学的所見は真皮上層の好酸球浸潤を伴う白血球破砕性血管炎であった。四肢感覚・運動神経の末梢神経伝達速度検査で軸索変性所見、眼球運動検査で左眼上転障害を認めた。3週間で4.4kgの体重減少、血小板数増多、関節痛があり、リウマトイド因子陽性だが、末梢血中好酸球数や血清IgEは正常で、抗好中球細胞質抗体陰性であり、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と診断した。プレドニゾロン(PSL)25mg/日内服で複視を含め紫斑・神経症状は速やかに改善した。その後PSLを20mg/日まで漸減し、症状の再燃なく経過している。

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50歳女。四肢の紅斑・水疱・血疱・紫斑、下肢痛を主訴とした。気管支喘息が先行し3ヵ月前よりロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト)を内服中であった。病理組織学的に好酸球浸潤を伴う白血球破砕性血管炎を認め、採血検査で好酸球増多と抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA)陽性を認め、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と診断した。プレドニゾロン(PSL)40mg/日内服開始後、紅斑・紫斑は速やかに軽快したが、水疱・血疱は潰瘍を形成し瘢痕化するまで約6週間を要した。MPO-ANCA値は約2ヵ月で陰性化し、PSLを20mg/日まで漸減した。モンテルカスト内服開始後に好酸球増多が顕著となったことから、同薬内服がその発症の一因となった可能性が考えられた。

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48歳女。10年前より夏季に両下腿に有痛性皮膚潰瘍が多発し、近医にて7年前からlivedo reticularis with summer ulcerationの診断で治療を受けていたが難治であった。透過光測定法による血小板凝集能検査では中等度亢進、血小板機能検査ではβ-トロンボグロブリンと血小板第4因子が著明に増加していた。熱沈降性蛋白の検索では加温により沈殿する新規異常蛋白を血漿中に認めた。クロピドグレル硫酸塩を用いた治療を2年間行い、2年とも夏季に症状の再燃は認めなかった。翌年はクロピドグレル硫酸塩を投与せずとも症状の再燃を認めず、血小板機能は改善し、熱沈降性異常蛋白も検出されなくなった。

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71歳女。下腿皮膚潰瘍を主訴とした。下腿の網状皮斑・潰瘍の再発・寛解を約9年間繰り返し、紹介受診時は両下肢に4cm大までの黒色痂皮を付着する不整形の大小皮膚潰瘍が多発し、足底には紫紅色斑を認めた。病理組織学的には壊死性血管炎の所見であり、Elastica van Gieson染色で障害された血管は動脈であったため、皮膚動脈炎と診断した。プロスタグランジンE1静注、プレドニゾロン20mg/日内服、ワルファリンカリウム2.0mg/日内服により潰瘍辺縁より上皮化を認め、疼痛の訴えも軽減し入院第38日で退院した。

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64歳女。両下腿紅斑を主訴とした。半年前より微熱が続き、初診時は両下腿に小豆大から拇指頭大の硬結を伴う滲出性紅斑が多発していた。皮疹の生検で皮下脂肪組織の血管壁および周囲に類上皮細胞肉芽腫を認め、血管内皮のフィブリノイド変性、血管内腔の狭小化も伴っていた。血管外にも類上皮細胞肉芽腫を認め、サルコイド血管炎と診断した。眼科的な異常所見は認めなかったが、胸部CTで両肺野に小粒状影、心電図で完全右脚ブロックを認め、治療は呼吸器内科と検討中である。

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30歳女。左側腹部皮下腫瘤を主訴とした。腫瘤は1年前から自覚し、鶏卵大の隆起のなかに小豆大の小結節を2個触知した。超音波検査では長径13mmと8mm大の嚢胞性病変を認め、辺縁は高信号、中心部は低~等信号であり、音響陰影を認めた。石灰化上皮腫を疑い、診断と治療をかねて摘出術を施行した。病理組織学的には辺縁部に静脈壁と思われる構造があり、内部に器質化・硝子化した血栓と石灰化を認め、静脈結石と診断した。

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症 例 50 歳,男性,会社員主 訴 左下腿の有痛性潰瘍既往歴 淡明細胞型腎細胞癌pT3bN1M1,両側多発肺転移に対してスニチニブが導入され,2 年半にわたりstable disease の状態を維持していた。毛囊炎の皮膚障害を生じ,ミノサイクリン塩酸塩を長期投与されていた。現病歴 左下腿に疼痛を伴う爪甲大の皮膚潰瘍が出現し,アルプロスタジルアルファデクス軟膏を外用していたが,1 カ月余りで急速に拡大して黒色壊死をきたしたため当科を初診した。この間,スニチニブは2 週投与1 週休薬のスケジュールで使用されており,患者は投与期間中に潰瘍が増悪することを自覚していた。

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私の専門は皮膚細菌感染症なのだが,最近は皮膚細菌感染症を専門とする医師が少なくなっているように感じる。皮膚細菌感染症は,日常診療でよく見かける疾患であるが,最近の学会報告や論文は非常に少なくなっている。特に伝染性膿痂疹(トビヒ)やせつ・せつ腫症(オデキ)などは開業医や一般病院の皮膚科外来でよく見かける病気であり,症例数も多いのであるが,大学や基幹病院などからの報告が少ない。また報告を見ても原因菌の培養同定や薬剤の感受性検査を詳しく検討したものは少なく,ただ単に抗生剤で治療したなどの記載のみで,使用した抗生剤の詳しい記載のないようなものさえある。

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症例1は17歳女で、右手環指中節骨部位を初発とする両手全指に多発した疣贅を主訴とした。液体窒素凍結療法、10%サリチル酸ワセリン・マキサカルシトール軟膏外用およびヨクイニン内服で改善が得られず、炭酸ガスレーザーによる焼灼後も再燃した。右環指中節骨部位の疣贅に対し、角質除去後Vbeam照射を行った結果、3週間後には照射部位の平坦化が得られ、照射を行っていない末節骨部位の疣贅も改善を認めた。引き続き他部位の照射を行い7週間後には他指の非照射部位も含めて治癒した。Vbeam照射時の疼痛は、照射前のリドカインテープ貼付およびVbeamに付属する表皮冷却システムを併用することで軽減された。症例2は42歳女で、右中指・環指末節骨部位に多発した疣贅を主訴とした。症例1と同様、液体窒素凍結療法では治癒が得られず、右中指末節骨部位2ヶ所と環指末節骨部位1ヶ所にVbeam照射を行い、5週間後には一部に痕を残して概ね治癒が得られた。

Dr. 斎田の皮膚科診療講座

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24歳女。1ヵ月前からストレスに伴う食思不振と嘔気のため体重が10kg以上減少し、2週間前より顔面・頸部・前胸部・背部にそう痒を伴う左右対称の浸潤性紅斑が出現し、一部背部は褐色網状を呈した。病理組織学的には表皮の海綿状態と基底細胞層の液状変性を認め、表皮内には好中球が浸潤し真皮上層には核塵も認めた。血液・尿ともにケトン体高値であり、急激な体重減少によるケトン体上昇に伴う色素性痒疹と診断した。入院管理のもと食事療法のみで約2週間後にはケトン体が陰性化し体重も5kg増量し、紅斑は色素沈着を残して消退した。

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17歳女。微熱、食欲不振、倦怠感および総ビリルビン高値を主訴とした。黄疸の精査のためイオヘキソールを用いて造影CTを施行した際、右上腕の穿刺部周囲が膨張した。約120mlの造影剤が注入された時点で中止し、直後に撮影したCTで上腕二頭筋区画に造影剤の貯留を認めた。局所麻酔下に筋膜まで切開し、上腕中枢側から用手的に圧迫して造影剤を排出してドレーンを留置し、連日ドレーン部より生理食塩水で洗浄を行った。3日後の単純X線画像で造影剤の残留は認めず、ドレーンを抜去した。運動・感覚神経障害、組織障害を残すことなく軽快した。

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76歳女。8年前から高血圧に対しアムロジピンベシル酸塩内服を開始し、4年前からオルメサルタンメドキソミル内服を追加した。5ヵ月前より顔面のそう痒が出現して皮疹が四肢に拡大し、初診時は角化性紅斑が体幹・四肢に散在していた。病理組織学的所見では表皮には錯覚化があり表皮突起の延長を伴って肥厚し、角層下にはMunroの微小潰瘍があり、真皮表皮境界部では液状変性を認めた。貼付試験では72時間後判定でアムロジピンベシル酸塩貼付部位に紅斑を認めたが、オルメサルタンメドキソミルと白色ワセリンは陰性であり、アムロジピンベシル酸塩による乾癬型薬疹と診断した。内服薬をエナラプリルマレイン酸塩に変更し、カルシポトリオール/ベタメタゾンンジプロピオン酸エステル外用にて改善傾向を認めている。

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5歳男児。頭部の脱毛を主訴とした。紅斑を伴う脱毛斑を認め、一部びらん・痂皮を伴っていた。培養・真菌検査で有意な所見は得られず、抗菌薬も無効であったことからerosive pustular dermatosis of the scalpと診断した。6ヵ月にわたるステロイド外用でも脱毛が進行したため、漢方薬の治頭瘡一方2.5g内服を追加した。3ヵ月後には治癒し、外用・内服を中止したが、再燃することなく経過している。

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50歳男。左下腿の有痛性潰瘍を主訴とした。淡明細胞型腎細胞癌pT3bN1M1にて根治的左腎摘出術施行後、両側多発肺転移に対しインターフェロンα療法を施行された。転移巣増大のため、スニチニブを導入され、2年半にわたりstable diseaseの状態を維持していた。潰瘍は手掌大で辺縁は暗紅色・中央部は黒色壊死をきたし、スニチニブ投与期間中に増悪していた。病理組織学的に角層下膿疱と真皮上層の密な好中球浸潤を認め、血管炎の所見は認めず、壊疽性膿皮症と診断した。スニチニブ中止により上皮化傾向に転じ、トラフェルミンスプレーとアルプロスタジルアルファデクス軟膏を併用し、14ヵ月後に瘢痕治癒した。期間中、原疾患治療のためにアキシチニブとエベロリムスを順次導入したが潰瘍の増悪は認めなかった。

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70歳女。頸部の痒みのある小結節を主訴とした。頸部や腋窩に数mm大までの軟らかい白色丘疹が多発集簇していた。病理組織学的所見で真皮乳頭層の弾力線維の変性や減少を認めたが、カルシウム沈着は認めず、網膜や心・血管系に合併症も認めなかった。Pseudoxanthoma Elasticum-like Papillary Dermal Elastolysisと診断した。そう痒に対しジフェンヒドラミンラウリル硫酸塩軟膏の外用を行っているが皮疹に著変は認めていない。

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29歳女。外陰部潰瘍を主訴とした。約1年前より外陰部左側の隆起を自覚し、半年前より同部が潰瘍化した。初診時、左小陰唇外側に26×6mm大の潰瘍を認め、病理組織学的所見で表皮から真皮中層まで異型性の強い腫瘍細胞が増生していた。潰瘍中央部組織よりDNAを抽出しPCR法でヒト乳頭腫ウイルス(HPV)を検索した結果HPV16型が検出され、Bowen病から進展したHPV16関連有棘細胞癌と診断した。p16免疫染色で腫瘍の側方断端が明瞭に区別されたため、全身麻酔下に潰瘍辺縁より10mm離して浅筋膜上で全摘術を施行した。術後同部での再発は認めていない。

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88歳男。陰嚢部の皮膚腫瘤を主訴とした。1年前に右陰嚢に自覚症状を伴わない結節性病変が出現し、増大傾向のため受診した。初診時、右陰嚢に70×45mm大で紅色広基有茎性の腫瘤を認め、表面はびらんを呈し易出血性であった。画像検査では鼠径リンパ節・他臓器転移所見は認めなかった。生検で有棘細胞癌・汗孔癌の鑑別が困難であったため、肉眼的腫瘍辺縁より1cm離して肉様膜を一部含めて切除した。病理組織検査では、poroid cell類似細胞の増殖、小型腺腔構造、特殊染色でCEA陽性を認めたことから汗孔癌と診断した。術後2ヵ月まで再発は認めなかったが、その後は老衰により通院不可能となり経過は不明である。

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症例1は88歳女で、臍部の疼痛・出血を主訴とした。2週間前より腫瘤を自覚し、初診時臍部に1cm大の痂皮を付した紫紅色の結節を認め、皮膚生検で腺癌と診断された。腫瘍マーカーの上昇を認め、腹部造影CTにて膵癌の転移によるSister Mary Joseph's nodule(SMJN)と診断し、年齢を考慮し緩和医療を行った。症例2は64歳女で、1ヵ月前より全身倦怠感・食欲不振を自覚し、臍部に2.5cm大の一部表面が潰瘍化した紅色腫瘤を認め、皮膚生検で腺癌と診断された。腫瘍マーカーは上昇を認め、下部消化管内視鏡検査でS状結腸癌の転移によるSMJNと診断し、手術適応はなかったため緩和医療を行った。

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5歳女児。左中指爪の変形、脱落を主訴とした。初診時、左中指の爪中央部の脱落および爪床基部に7×4mm大の軽度隆起した常色の角化性小結節を認め、MRIにてT2 STIR画像で高信号を呈した。全摘し、病理組織学的所見で真皮に境界不明瞭な粘液腫状の間質と紡錘形ないし星芒状の線維芽細胞様細胞の増生、肥満細胞の浸潤を認めた。免疫組織学的に腫瘍細胞はCD34、vimentinに陽性で、腫瘍間質にはalcian blue染色でムチンの沈着を確認し、Superficial Acral Fibromyxomaと診断した。術後3ヵ月経過して変形は残るものの爪甲は延長し、腫瘍の再発も認めない。

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78歳女。右腋窩結節を主訴とした。10日前に結節を自覚し、初診時に20×10mm大で弾性硬の紅色結節を認めた。病理組織学所見にて真皮内に異型リンパ球様腫瘍細胞が稠密に浸潤していた。採血にて血清抗human T-cell lymphotropic virus type 1抗体陽性を認め、腋窩結節を全摘した。悪性リンパ腫総合解析検査にてCD3、CD4、CD25、CCケモカイン受容体4陽性であり、他臓器病変を認めなかったため、皮膚型成人T細胞白血病/リンパ腫と診断した。生検1週間後より体幹に小豆大までの紅色結節が複数出現し、2週間後より腋窩結節は腫大したが、新生した結節は1ヵ月半で自然縮小傾向となり、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏外用にて既存病変も消退した。生検後9ヵ月の時点で米粒大前後の結節が月に1個出没するものの、経過は良好である。

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症例1は73歳男で、8ヵ月前に左足底の結節を自覚し自然消退したが、5ヵ月前より左下腿に結節が再燃し増数した。症例2は87歳女で、2ヵ月前より右膝蓋内側に腫瘤を認め急速に増数・増大した。両例とも病理組織学的所見では真皮浅層から脂肪組織までびまん性細胞浸潤で、表皮直下にgrenz zoneを認め、腫瘍細胞は表皮向性を示さず、リンパ濾胞様構造も認めなかった。全身検索の結果、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、下肢型と診断し、R-THP-COP療法により臨床的に結節の軽快を認めた。症例1は化学療法終了1ヵ月半後、左鼠径部に新規のリンパ節腫脹が出現してR-ACES療法と放射線療法を施行し寛解した。症例2は化学療法終了1ヵ月後に心筋梗塞で死亡した。

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65歳女。右肩のそう痒を伴う紅斑・硬結を主訴とした。6cm大の皮下硬結を伴う紅斑を認め、紅斑上に1cm大までの潰瘍が多発していた。病理組織学的所見はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫であり、5年前よりメトトレキサート(MTX)投与中であることからMTX関連リンパ増殖性疾患と考えられた。In situ hybridizationでは腫瘍細胞に一致し、Epstein-Barr virus-encoded small RNAs陽性であった。MTX内服中止により皮疹は縮小傾向を示したが4週間経過して寛解には至らず、R-CHOP療法を8コース施行し寛解した。その後3年6ヵ月再発を認めていない。

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78歳男。上背部正中に黒色扁平隆起性腫瘍を認め、原発巣切除と両腋窩リンパ節郭清を行い、pT4aN3M0 Stage IIIcと診断した。10ヵ月後に皮膚転移が多発し、ニボルマブの投与により皮膚転移は平坦化したが、11回投与後、体幹・四肢に角化性紅斑が出現した。病理組織学的所見では錯覚化・過角化を認め、顆粒層消失を伴う不規則な表皮肥厚があり、角層下には微小膿瘍を形成していた。ニボルマブによる乾癬様皮疹と診断した。ジフルコルトロン吉草酸エステルの外用を開始し、ニボルマブを中止してbest supportive careを行った。最終投薬日より2ヵ月後には手掌の鱗屑が著明となり、爪の点状陥凹や粗そう化も認めたため、エトレチナート内服を追加し改善した。皮膚転移の大きさと数に変化はなかったが、最終投薬日より5ヵ月後に施行したPET-CTで、新たに左腋窩と肺門部への多発リンパ節転移と肺転移を認めた。

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60歳男。右乳頭部の色素斑を主訴とした。約1年前より出現して徐々に乳輪側へ拡大し、ダーモスコピーではblue-whitish veilを認めた。皮膚生検により病理組織学的に表皮基底層に異型メラノサイトを認め、免疫染色ではHMB4、S-100陽性であり、ギムザ染色で陽性部位が明瞭に区別された。悪性黒色腫の診断で色素斑より2cm外側で拡大切除、全層植皮術を施行した。病理組織学的に断端は水平・深部方向ともに陰性であり、免疫染色ではHMB45、melan-A陽性でT2aN0MO臨床病期IBと診断した。術後2年経過して転移・再発なく経過観察中である。

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59歳女。1ヵ月前からの頭部のむくみを主訴とした。頭皮と毛髪に異常はなく、頭頂部を中心に皮下にフカフカとした肥厚を認め、全体に柔らかく押力で圧痕を残さなかった。超音波所見では皮下脂肪組織が14mm程度に肥厚し、MRI上も皮下脂肪組織部分が最大で17mm程度の厚さを呈していた。病理組織学的所見では皮下脂肪組織の増生と肥厚があり、毛嚢減少やムチンの沈着は認めず、Lipedematous Scalpの診断で定期的に経過観察する方針とした。自験例では、数十年来毎日7時間の結髪の習慣があり、頭皮を引っ張るという物理的要因が原因と考えられた。

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50歳代男。出稼ぎのためフィリピンより来日した月末より左上肢の腫脹および疼痛、しびれ感が出現した。左手背はグローブ状に腫脹し左膝周囲や他の部位に左右非対称に紅斑を認め、左環指および小指と左膝の感覚低下を認めた。病理組織学的所見では真皮に泡沫化した組織球が浸潤し、肉芽腫を形成し、Ziehl-Neelsen染色およびFite染色では抗酸菌陽性であった。皮膚スメア検査は抗酸菌陽性であり、PCRにてらい菌に特異的なDNA増幅を検出し、1型らい反応を伴ったBL型ハンセン病と診断した。患者本人が携帯電話を所持せずに居住地を茨城県・三重県・北海道と転々としたことから治療の継続が危ぶまれたが、ハンセン病研究センターの協力を得ることで患者の現状把握・転居先での病院の斡旋が可能となり、多剤併用治療薬を合計26ヵ月分内服して治療終了することができた。

憧鉄雑感

第62回 皮膚科医と化粧 安部 正敏
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皮膚科医を生業にしていると,時に化粧品についての質問を受ける。無論,優秀な皮膚科医であれば,皮膚のことなら何でもござれ!で適切に対応ができようが,筆者のようなヤブ医者は鉄道のことならいざ知らず,化粧品のことなどそこらのオヤジに毛が生えた程度の知識しか持ち合わさぬ。そもそも,化粧など本当に大変な作業であり,男に生まれた僥倖を日々噛み締めている。しかし,知らぬ存ぜぬでは到底済まないので,筆者なんぞでも相手にしてくださる製薬企業や化粧品会社に情報提供を願っている。

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66歳男。尋常性乾癬に対してモメタゾンフランカルボン酸エステル軟膏・カルシポトリオール軟膏外用、narrow-band UVB照射により加療中、右下腿の結節が徐々に増大傾向を示した。結節は右下腿伸側に認め小豆大の淡紅色の広基有茎性であり、ダーモスコピーでは乳頭腫状の構造を示し乳頭部にはglomerular vesselsを認めた。病理組織学的には表皮突起は棍棒状に延長し不全角化を認め、真皮乳頭部の血管が増生・拡張し、多数の泡沫細胞を認め、疣状黄色腫と診断した。

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18歳女。3、4年前から出現した左小指DIP関節両側の小結節を主訴とした。関節両側面にそれぞれ3mm大の常色、弾性やや硬な小結節を認め、下床との可動性は良好であった。MRI検査ではT2脂肪抑制画像でDIP関節付近のほぼ全周性に境界不明瞭な高信号を認め、造影後のT1脂肪抑制画像で異常濃染も認めた。超音波検査では病変部に淡い低信号域があり、病変内に血流像は認めなかった。病理組織学的所見では真皮中層から深層にかけて血管腔、エクリン汗腺、神経、膠原線維が増生し、Eccrine Angiomatous Hamartomaと診断した。病変に連続性が疑われ根治術は困難と考えられ、自覚症状も認めなかったため経過観察する方針とした。

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47歳男。両耳介・耳垂・耳後部の多発性丘疹を主訴とした。丘疹は数年前より出現し、2mm大で常色〜白色調であり、ほとんどが孤立しているが一部融合傾向があり、左耳垂後面がもっとも密であった。ダーモスコピー所見では周囲がやや褐色調で囲まれた不均一な白色斑を認め、病理組織学的所見では毛包を囲むように膠原線維の増加を認めた。毛包周囲線維腫と診断し、治療は行わなかった。

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80歳女。前頭部の黒色結節を主訴とした。2〜3年前から出現し、初診時は10×8mm大の淡紅色結節の表面に大小の面皰様黒色結節を数個有していた。ダーモスコピー所見では全体的にwhitish blue network、whitish pink networkを示し、その中にblue-white veilを伴う境界明瞭なhomogeneous black pigmentationを示す部分を2〜3個認めた。病理組織学的に大小の腫瘍巣が真皮に巣状に形成され、表皮と一部連続していた。腫瘍巣は類円形の核を有する均一なporoid cellからなり異型は認めなかったが、ダーモスコピー所見から基底細胞癌を否定できず全摘した。全摘の病理組織学所見はエクリン汗孔腫の診断であった。

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著作財産権譲渡同意書

正誤表

次号予告

編集後記

目次

基本情報

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皮膚科の臨床
59巻5号 (2017年5月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0018-1404 金原出版

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