MiniReport
Panton-Valentine Leukocidin陽性MRSAによるせつ腫症の1例
島村 智江
1
,
松谷 泰祐
,
飯沼 晋
,
齋藤 奈央
,
井川 哲子
,
菅野 恭子
,
本間 大
,
山本 明美
,
渡 智久
1旭川医科大学 皮膚科学講座
キーワード:
Vancomycin
,
せつ腫症
,
ブドウ球菌感染症
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
,
静脈内注入
,
Panton-Valentine Leukocidin
Keyword:
Furunculosis
,
Infusions, Intravenous
,
Staphylococcal Infections
,
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
,
Panton-Valentine Leukocidin
,
Vancomycin
pp.638-639
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280971
- 有料閲覧
- 文献概要
症例は54歳男性で、背部に径10mm大までの発赤のある皮下硬結を5ヶ所に認めた。明らかな波動は触れず、熱感と強い疼痛を伴っていた。中央の痂皮を除去すると小潰瘍を呈するも、排膿はみられなかった。せつ腫症と診断し、セフトリアキソンナトリウム点滴とミノサイクリン塩酸塩(MINO)内服を開始したが、翌日には発赤・疼痛が増強し、切開すると皮下から少量の排膿を認め、発熱38℃、WBC 14010/μl、CRP 20.02mg/dlと強い炎症反応を示した。創部から細菌培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出され、抗菌薬をバンコマイシン塩酸塩点滴に変更し、比較的速やかに症状は改善し11日目からMINO内服に変更、40日目にはCRPが陰性化した。易感染性を招く基礎疾患がないせつ腫症であったことからパントン-バレンタイン・ロイコシジン陽性(PVL)毒素の関与を疑い検査したところ、PVL-RPLA陽性で、PVL産生MRSAと判明した。また、6月の右下腿、9月の背部創から検出されたMRSAと薬剤感受性結果が一致しており、PCRで確認したところ同一株と考えられた。
Copyright © 2016, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.