総合診療 29巻11号 (2019年11月)

特集 臨床写真図鑑 レアな疾患編—見逃したくない疾患のコモンな所見

忽那 賢志
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近年、“臨床写真ブーム”が到来しています。

え、そんなブーム聞いたことがない?

いえいえ、そんなことはありません!

領域別 疾患INDEX
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▼感染症

侵襲性アスペルギルス感染症☞p.1331

ジカウイルス感染症☞p.1317

単純ヘルペス脳炎☞p.1359

メトロニダゾール脳症☞p.1351

播種性淋菌感染症☞p.1339

今月の「めざせ! 総合診療専門医!」問題
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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

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臨床写真、撮ってますか?

 昔と違って現代に生きる医療者は、写真や動画の撮影がより身近になっています。かつては、カメラやビデオカメラを購入し、写真は現像も必要でした。ところが今は、いずれもスマートフォンなど携帯電話で撮影可能になり、コンパクトデジタルカメラにも動画撮影機能がついています。当時は、ベッドサイドで「これは!」と思う所見を見つけても、一度医局にカメラを取りに戻っていましたが、今ではその場ですかさず撮影することも可能です。時に臨床写真を撮影できるタイミングは「一期一会」ですので、こういった簡便さ・迅速さが当たり前な現代は、“臨床写真家”にとって大変ありがたい時代です。

レアな疾患のコモンな所見集

間近にみるとわかる皮疹 忽那 賢志
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CASE

患者:50歳台、男性。生来健康。

主訴:皮疹

現病歴:受診前日から、倦怠感と目が赤いのを自覚していたが、発熱はなく様子をみていた。今朝から、顔面・体幹に皮疹が出現し、全身に広がってきたため、午後になって受診した。皮疹は、瘙痒感を伴うという。呼吸器症状・消化器症状・泌尿器症状などはない。

既往歴:特記事項なし

海外渡航歴:夏季休暇として受診8〜2日前まで、タイのバンコク・プーケット島に渡航していた。現地では、防蚊対策はしておらず、何度か蚊に刺されたことを覚えている。

予防接種歴:2回の麻疹および風疹ワクチンを接種済み。

身体所見:体温36.8℃、血圧133/91mmHg、脈拍数78回/分、SpO2 99%(室内気)。

体幹・四肢に広がる紅斑を認める(図1)。両側眼球結膜に充血あり(図2)。

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CASE

患者:1歳2カ月、男児。生来健康。

主訴:けいれん

現病歴:受診当日、発熱とともに全身強直間代性のけいれんが出現し、救急車で搬送され来院。けいれんは1分間で自然頓座し、意識も回復傾向だが、「なんとなくボーッとした状態が続く」ため入院。

家族歴:神経疾患・けいれんの既往なし

既往歴:特記事項なし

生活歴:1歳から保育園通園、周囲に流行疾患なし

予防接種歴:定期接種を順調に進めている

身体所見(救急搬送時):体温39.4℃、血圧110/91mmHg、脈拍数140回/分、SpO2 99%(室内気)

入院後経過:バイタルサインは安定、座位になったり食事をしたりできるが、母親からみて“なんとなくいつもと違う”状態であるため、入院を継続し経過観察。意識状態は改善傾向にみえた。入院3日目に、左手のピクツキから始まる強直間代発作が出現、頭部MRI検査を行った(図1)。

下腿が黒いんです! 橋本 恵太郎
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CASE

患者:85歳、女性

主訴:下腿が黒い

現病歴:受診2カ月前、左尿管結石に伴う閉塞性腎盂腎炎(図1)のため当院に入院し、尿管ステントを留置した。血液・尿培養からESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生大腸菌を検出し、メロペネムにて加療した。退院後に待機的結石除去を予定し、腎盂腎炎再発予防のため、感受性に基づきミノサイクリン200mg/日を内服する方針となった。その後、体外衝撃波結石破砕術を施行されたが除去困難であった。2カ月ほど同薬の内服が続くなか、受診数週前より両下腿が「黒くなってきた」。

既往歴:高血圧

身体所見:左下腿前面にびまん性に青黒色の局面あり(図2)。

突然の胸痛と嚥下障害 二川 真子
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CASE

患者:70歳台、女性

現病歴:突然の強い胸痛、進行する嚥下障害と嘔吐が出現したため受診した。消化器疾患の既往はない。

既往歴:脂質異常症、骨粗鬆症、過活動膀胱

内服薬:ロスバスタチン5mg/日、アレンドロン酸35mg/週、ソリフェナシン5mg/日

身体所見:体温36.9℃、血圧106/72mmHg、脈拍数81回/分、SpO2 95%(室内気)。胸部;心雑音なし、肺野清。腹部;平坦、腸蠕動音正常、軟、圧痛なし。

検査所見:血液(血算、生化学、凝固)・心電図・胸部X線に異常なし。胸部CT(図1・2)。

手早く診断! 清水 秀文
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CASE

患者:70歳台、女性

主訴:咳嗽、呼吸困難

現病歴:受診4カ月前から、咳嗽がみられていた。2週間前に近医を受診したところ「間質性肺炎」を疑われ、当科受診の予定であった。その後、呼吸困難も出現したため、当科を受診した。

既往歴:特記事項なし

身体所見:体温36.8℃、血圧136/88mmHg、脈拍数100回/分、SpO2 92%(鼻カニュラ 酸素2L投与下)、意識清明。頸静脈怒張を認めず。胸部聴診では、両肺に吸気終末のfine cracklesを聴取、心雑音なし。下腿浮腫なし。

血液所見:WBC 5,850/μL、LDH 420IU/L、CK 122U/mL、CRP 5.5mg/dL、フェリチン1,250ng/mL、KL-6 857U/mL

胸部CT所見:一部に浸潤影を混じたすりガラス影が、両肺にびまん性に広がっている(図1)。

追加身体所見:改めて手を観察すると、手指の爪囲紅斑および示指・中指の側面に角化性紅斑を認めた(図2)。

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CASE

患者:40歳台、男性

主訴:安静時の左頸部の圧迫感

現病歴:X年9月頃から、明け方に頸部の重たさを自覚するようになった。翌年1月から、徐々に症状が頻回となったため、内服薬(ニコランジル、硝酸イソソルビド、ベニジピン、プラバスタチン)を投与された。その後さらに症状が増悪したため、同年4月に某病院で冠動脈造影が行われた。冠動脈の有意な狭窄は認められなかったが、カテーテル先端の刺激により右冠動脈近位部(AHA分類#1)に99%の狭窄を認めたため「冠攣縮性狭心症」を疑われた。その後も気温の低下などで症状を頻回に自覚し、硝酸薬追加後に症状が増悪したため、精査・加療目的で当科に紹介された。

既往歴:特記事項なし

家族歴:母;糖尿病、伯父;糖尿病、肥満症、脂質異常症、虚血性心疾患(冠動脈バイパス手術後)、祖母(母方);狭心症(図1)

嗜好歴:喫煙20本/日×25年

身体所見:体温36.4℃、血圧102/69mmHg、脈拍数75回/分、SpO2 99%(室内気)。

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CASE

患者:38歳、男性

主訴:発熱、左大腿部痛

現病歴:受診3日前から、発熱と左大腿部痛を自覚した。当初は体動時に増悪するも、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)で疼痛はやや改善し仕事はできていた。しかし、徐々に増悪し歩行も困難となったため、救急車を要請した。

身体所見:脈拍数112回/分、血圧111/59mmHg、呼吸数24回/分、体温39.1℃、SpO2 98%(室内気)。左大腿部の疼痛が強く、はっきりしないが同側の足指に擦過傷あり。

血液所見:WBC 18,300/μL(Neut 83.7%)とCRP 11.3mg/dLの上昇あり。肝・腎機能障害やCK上昇は認めなかった。

経過:「蜂窩織炎」としてスルバクタム・アンピシリン3g6時間おきで治療開始し入院としたが、入院2日目に左大腿部の発赤が出現した(図1)。同日、下肢MRIを施行した(図2)。

“背景”からも考える 有馬 丈洋
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CASE

患者:36歳、女性

主訴:茶褐色の喀痰

現病歴:19カ月前に、発熱・皮疹・咽頭痛・筋肉痛・関節痛で「成人Still病」を発症し入院。ステロイドパルス療法を施行し、以後プレドニゾロン1mg/kg+メトトレキサート15mg/週を開始した。13カ月前、ステロイド減量中に再燃したため、ステロイドパルス療法を2回施行し、トシリズマブを投与、プレドニゾロンとメトトレキサートの投与量を元に戻した。3カ月前、ステロイド減量中に再燃し、ステロイドパルス療法を5回施行し、トシリズマブ投与に加えて、大量免疫グロブリン投与を行った。

 3日前から、茶褐色の喀痰を認めた。2日前に血液検査を施行され、WBC 17,600/μLと上昇を認めたが、CRPは陰性だった。喀痰培養が提出され、下記の結果から感染症科にコンサルトされた。

身体所見:体温36.8℃、血圧122/76mmHg、脈拍数100回/分、SpO2 98%(室内気)。身体診察上は異常を認めなかった。

検査所見:胸部X線;右上葉に陰影を認めた(図1)。喀痰グラム染色;グラム陰性に見える節状の物体を認めた(図2)。

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CASE

患者:60歳台、男性

主訴:右手がうまく動かせなくなってきた。

現病歴:X年1月、右手の指がつる、うまく動かせないといった症状に気づいた。特にパソコンのマウスが動かしにくく、寒さでかじかんでいるからだと思っていた。

 X+1年1月、A整形外科を受診し、頸椎MRI撮影したところ、軽度の「ヘルニア」で手術適応はないとされ、手のしびれに対してプレガバリンが処方されたが、あまり効果はなかった。Bクリニックより紹介されて、当院脳神経内科受診となる。

 よく話を聞くと、体動時の息苦しさと著明な体重減少(ほぼ1年で24kg、82→58kg)を認めた。

既往歴:17歳;右自然気胸。55歳;大腸ポリープ(良性)、内視鏡的に切除。

嗜好歴:喫煙;20本/日×44年。飲酒;機会飲酒。

身体所見:図1のように、右手の母指球筋および小指球筋に萎縮を認め、よく見ると左手も母指球筋および小指球筋が明らかに萎縮していた。また、左右上肢の前腕や肘関節よりの上腕などに、線維束性収縮が出現していた(動画1)。

まだ診断がつかない皮疹 副島 裕太郎
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CASE

患者:40歳台、女性。著患の指摘なし。

現病歴:3カ月前から、38℃前後の発熱と両膝関節の腫脹・疼痛がみられた。前医で「不明熱」として種々の検査が施行されたが診断がつかず、当院紹介となった。当院で撮影したPET-CTで両腋窩・腹腔内リンパ節腫脹とFDG(フルオロデオキシグルコース)集積があり、腋窩リンパ節生検を施行したが、悪性リンパ腫を示唆する所見はみられなかった。その後、39℃台の発熱および発熱時のみ目立つ瘙痒感に乏しい顔面・四肢の紅斑が出現したため、精査加療目的で当院入院となった。海外渡航歴や植物・動物との接触歴なし。

身体所見:呼吸数20回/分、脈拍数91回/分、血圧103/77mmHg、体温38.4℃、SpO2 98%(室内気)。結膜充血なし。両後頸部・顎下・腋窩リンパ節腫脹あり・圧痛なし。肝脾を触知する。両膝関節腫脹・圧痛あり。四肢・体幹に淡い紅斑あり(図1)。

検査所見:血液;WBC 9,100/μL(Neut 82.0%、Eos 1.5%、Lym 11.0%)、Hb 9.6g/dL、Plt 20×104/μL、ESR 63mm/時、AST 31U/L、ALT 8U/L、LDH 500U/L、フェリチン7,248ng/mL、sIL-2R 2,371U/mL、ANA・RF陰性、血液培養2セット陰性、EBV・CMV既感染パターン、HIV抗体陰性。

CT;多発リンパ節腫脹(頸部・腋窩・傍大動脈・骨盤内)と脾腫あり。

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CASE

患者:70歳台、女性

主訴:反復性鼻出血、息切れ、黒色便

現病歴:60歳頃から鼻出血を認めるようになり、耳鼻咽喉科で加療を受けたが、その後も続いていた。1カ月ほど前から、ほとんど毎日鼻出血を認めるようになり、息切れ・ふらつき・心窩部違和感が強くなってきたため救急外来を受診した。

既往歴:甲状腺機能低下症

家族歴:姉が反復性鼻出血で加療歴あり

身体所見:脈拍数72回/分・整、血圧110/56mmHg。結膜;高度の貧血。皮膚;舌(図1)・顔面・手指(図2)に毛細血管拡張斑。胸部;心音・呼吸音に異常なし。腹部;平坦、軟。

血液所見:WBC 2,000/μL、RBC 225×104/μL、Hb 3.8g/dL、Plt 23.3×104/μL、LDH 212IU/L

若者の両手両足の関節炎 柳澤 如樹
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CASE

患者:20歳、男性。生来健康。

主訴:関節痛、発熱、咽頭痛

現病歴:受診2日前から、発熱と咽頭痛が出現した。前日から両手の関節痛が、当日には両足の関節痛が認められた。疼痛が強く、歩行困難となったため、受診した。

既往歴:特記事項なし

アレルギー歴:特記事項なし

海外渡航歴:症状が出現する前日まで、フィリピンに友人と4日間滞在していた。屋外での観光が中心であったが、蚊や虫に刺された記憶はない。滞在中、コマーシャル・セックスワーカーとの性交渉が複数回あった。渡航に際して、ワクチンは接種していない。

身体所見:体温39.0℃、血圧121/77mmHg、脈拍数85回/分、SpO2 99%(室内気)。

咽頭発赤軽度、左前頸部に圧痛を伴うリンパ節腫脹あり。胸腹部・陰部に異常所見なし。両手の手指小関節・手関節(図1)および右足甲部・左足全体(図2)に、発赤・腫脹を認める。

血液所見:WBC 9,300/μL(Neut 83%)、Plt 11.3×104/μL、AST 18IU/L、ALT 11IU/L、ALP 174IU/L、BUN 10mg/dL、Cre 0.6mg/dL、CRP 7.2mg/dL

この皮疹は…臭う、臭うぞ! 中河 秀憲
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CASE

患者:1歳、男児

現病歴:約2週間前から両頬に小紅斑・丘疹が出現し、徐々に拡大してきた。近医皮膚科を受診し、非特異的な湿疹としてステロイド含有軟膏を処方されたが改善せず、丘疹が拡大し湿潤局面を呈してきたため、再度近医皮膚科を受診し抗菌薬軟膏を処方されたが改善せず、当院の定期外来を受診した。なお、経過中に発熱はなく、全身状態は良好だった。

既往歴(周産期歴):妊娠経過異常なし。近医産院でApgar score 1点/1点(1分/5分)の重症新生児仮死として出生し、当院NICUへ新生児搬送された。低体温療法を施行したが、出血傾向(肺出血)のため完遂できなかった。低酸素性虚血性脳症(多囊胞性脳軟化症)として寝たきりの状態。嚥下障害・胃食道逆流症があり、胃ろう造設・噴門形成術後である。難治性てんかんがあり、複数の抗てんかん薬でコントロール中。

身体所見:発熱なく、バイタルサインや全身状態は安定している。診察中に明らかなけいれんはない。両頬に複数の2〜4cm大の円形または不正形の隆起し湿潤した腫瘤があり、周囲に紅暈を伴っている(図1)。体幹・四肢など、その他の部位に皮疹はない。

左室駆出率の保たれた心不全 芥子 文香
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CASE

患者:80歳台、男性。

主訴:呼吸困難

現病歴:2週間前から徐々に進行する呼吸困難で受診した。胸部X線で胸水を認め、「急性心不全」の診断で入院した。

既往歴:12年前に、大動脈弁狭窄症(AS)のため外科的大動脈弁置換術(AVR)を施行された。

身体所見:体温36.5℃、血圧128/66mmHg、脈拍数68回/分、SpO2 94%(室内気)。心雑音なし。呼吸音両側下背野で低下。下腿浮腫軽度。

検査所見:心電図;低電位あり(図1)。心エコー;局所壁運動異常や人工弁不全はなく、左室全周性肥大あり(図2)。

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CASE

患者:30歳台、男性

主訴:皮疹

現病歴:来院2時間前に、自宅で長芋・キャベツ・紅ショウガ・シーフードミックスを使って、自身でお好み焼きをつくって食べた。食べた30分後から、咳嗽と全身に瘙痒感を伴う皮疹が出現してきたため、救急外来を受診した。口腔内にも瘙痒感を認める。やや呼吸苦あり。嘔気・腹痛・下痢なし。

既往歴:花粉症

アレルギー歴:ハマチ・カレイ・ヒラメで蕁麻疹になった。小麦粉アレルギーはなし。

身体所見:やや頻呼吸だが、他のバイタルサインは安定している。口腔内に特記すべき異常なし。口唇浮腫を認める。両肺野にややwheezeを聴取する。粘膜疹なし。全身に癒合性の膨疹を認める。代表的な右前腕の癒合性膨疹を図1に示す。

追加所見:お好み焼き粉を持参していたため、鏡検すると図2の所見を得た。追加問診をすると、4カ月前に購入し、常温で台所のシンク下で保存していたお好み焼き粉が余っていたため、使用したとのこと。

両肺野のバタフライシャドウ? 大藤 貴
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CASE

患者:60歳台、女性

主訴:発熱

現病歴:1週間前から、昼夜がわからなくなることがあり、身に覚えのない擦り傷が四肢にみられた。体温を計測したところ、38℃の発熱がみられ、救急外来を受診した。

既往歴:糖尿病、関節リウマチ

内服薬:プレドニゾロン、メトトレキサート、葉酸、ゾルピデム、ミノドロン酸、アログリプチン、ミグリトール

身体所見:GCS(Glasgow Coma Scale)E4V5M6、体温38.4℃、心拍数105回/分、血圧114/

81mmHg、呼吸数24回/分、SpO2 93%(5L酸素マスク下)。肺野に明らかな肺雑音を聴取せず。

血液所見:WBC 10,800/μL(Neut 92%)、CRP 19.95mg/dL、LDH 407IU/L、BNP 50.7pg/mL

画像所見:胸部X線(図1)で、両側肺野のすりガラス影を認める。胸部CT(図2)。

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CASE

患者:70歳、女性

来院理由:高血圧症に対する診療継続希望

現病歴:30歳台から、高血圧症のため他院で降圧治療を受けていた。転居に伴い治療継続を希望して受診した。自覚症状はない。

既往歴:10歳台から、体にできものが増えてきた。数は増えているが痛みはなく、体質だと思いそのままにしていた。

内服薬:アムロジピン5mg/日、オルメサルタン20mg/日

家族歴:41歳の息子も10歳台から体にできものができ、徐々に数が増えてきている。

身体所見:血圧142/90mmHg、脈拍数72回/分・整、呼吸数12回/分。心音・呼吸音に異常なし。

顔面・体幹・腋窩・四肢に、5〜20mm大の柔らかい腫瘤と10mm以下の色素斑を多数認める(図1)。患者とともに感冒で同日受診していた息子の背部にも同様の腫瘤を多数認め、背部と側胸部には20〜40mm大の色素斑を認める(図2)。

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CASE

患者:39歳、男性。

主訴:歩行困難、ふらつき、言語不明瞭

現病歴:コントロール不良の2型糖尿病で、両下腿慢性骨髄炎および糖尿病性足壊疽に対して、ピペラシリン・タゾバクタム静注による入院加療を行い、浸出液の培養からPseudomonas aeruginosaとBacteroides fragilisが検出されたため、シプロフロキサシン200mg 1日2回およびメトロニダゾール500mg 1日3回内服に切り替え、外来フォローしていた。

 抗菌薬開始70日後の受診当日朝から、歩行困難・ふらつきが現れ言語不明瞭となり、心配した家族により救急外来を受診した。呼吸器症状・消化器症状・泌尿器症状などはない。

既往歴:2型糖尿病(直近のHbA1c 13.8%)、慢性腎障害(CKD G3a)。肝疾患の指摘はない。

生活歴:飲酒なし、喫煙なし

身体所見:JCS(Japan Coma Scale)Ⅰ-3、体温36.2℃、血圧128/73mmHg、脈拍数82回/分、SpO2 98%(室内気)。指-鼻-指試験・踵-膝試験・回内-回外試験は、いずれも拙劣。

頭部MRI所見:FLAIR画像で、両側対称性に小脳歯状核に高信号域を認めた(図1)。

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CASE

患者:60歳台、女性

主訴:全身倦怠感

現病歴:全身倦怠感を主訴に近医を受診し、小球性貧血を指摘された。その際に、上部消化管内視鏡検査で胃体上部大弯前壁側に粘膜下腫瘍を認め、精査・加療目的で当科に紹介された。「GIST(消化管間質腫瘍)」が疑われ、術前精査の腹部超音波検査で肝臓に高輝度腫瘤を指摘され精査を行った。

既往歴:36歳;アテローム切除術、60歳;飛蚊症

生活歴:飲酒なし、喫煙なし

家族歴:父・兄とも高血圧

身体所見:身長155cm、体重43.3kg、BMI 18kg/m2。意識清明、血圧137/89mmHg、脈拍数105回/分。眼瞼結膜;蒼白、眼球結膜;黄染なし。腹部;平坦・軟、自発痛・圧痛なし、肝脾触知せず。下腿浮腫なし。

血液所見:生化学;正常。血算;WBC 3,510/μL、Hb 9.4g/dL、Plt 42.4×104/μL。肝炎ウイルスマーカー;陰性、腫瘍マーカー;正常。

画像所見:腹部CT(図1)、腹部エコー(図2)

両肺の多発粒状影 井手 聡
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CASE

患者:24歳、女性

主訴:咳嗽

現病歴:受診2カ月前から、咳嗽が出現した。また、食欲不振もあり、体重が10kg減少した。近医を受診し、胸部X線および胸部CTで異常陰影を指摘されたため紹介受診した。血痰はなし。明らかな感冒者・結核罹患者との曝露歴なし。

既往歴・海外渡航歴・アレルギー歴:特記事項なし

職業:風俗店勤務

血液所見:TP 7.3g/dL、Alb 2.7g/dL、AST 29IU/L、ALT 11IU/L、BUN 6.3mg/dL、Cre 0.34mg/dL、CRP 4.78mg/dL、Na 133mmol/L、K 4.0mmol/L、FBS 125mg/dL、HbA1c 5.4%。RPR定性(-)、TP抗体(-)、HBsAg(-)、HCVAb(-)、HIV1/2抗体(-)、sIL-2R 19,60U/mL。WBC 6,000/μL、Hb 9.5g/dL、Plt 45.2×104/μL。クリプトコッカス抗原 陰性。

画像所見:胸部X線(図1)、胸部CT(図2)

臍の診察してますか? 井藤 英之
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CASE

患者:60歳台、男性

主訴:嘔気・嘔吐

現病歴:数カ月前より倦怠感あったが、様子をみていた。受診当日、嘔気・嘔吐が出現したため来院した。頭痛や、その他消化器症状はない。外傷歴はない。

既往歴:C型慢性肝炎

身体所見:体温36.7℃、血圧107/60mmHg、脈拍数92回/分、呼吸数18回/分。

臍部に皮下出血を認める(図1)。

検査所見:血液;アミラーゼ・リパーゼ上昇なし。

腹部単純CT;膵尾部もしくは胃後壁に腫瘤性病変(図2)

島が白く光ってる…? 花井 翔悟
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CASE

患者:80歳台、男性

主訴:発熱、ふらつき

現病歴:受診4日前に嘔吐、2日前にふらつきが出現。近医でMRIを撮影し、右側頭葉内側面に虚血性変化を疑われていた。受診日に奇異な言動があり、39℃の発熱も認めたため、当院受診となった。

既往歴:関節リウマチで、メトトレキサートとトシリズマブを使用中。

身体所見:体温39.0℃、血圧160/80mmHg、脈拍数94回/分、SpO2 97%(室内気)。明らかな熱源を示唆する所見なし、神経学的異常所見なし。

検査所見:血算;異常なし、血液生化学;肝胆道系酵素 異常なし、腎機能 異常なし、Na 124mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 91mEq/L、浸透圧253mOsm/kgH2O、甲状腺機能 異常なし、副腎機能、異常なし、免疫血清学;CRP 0.01mg/dL。尿生化学;Na 128mEq/L、K 34mEq/L。

経過:血液検査で「低ナトリウム血症」を認め、精査加療目的で入院となった。3%塩化ナトリウム液で補正を行った。飲水過多の病歴はなく、意識障害を伴う発熱があったため、「中枢性塩喪失症候群」とその原因としての「髄膜炎」を疑い、血液培養採取のうえ抗菌薬を開始し、髄液検査を行った。髄液所見;22cmH2O、蛋白185mg/dL、糖64mg/dL(血糖102mg/dL)、細胞数81/μL、単核球69/μL、多核球12/μL。各種検査を提出、抗微生物薬治療を追加。2日後、造影MRIを撮影した(図1)。

関節近傍の巨大な石灰化 横地 律子
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CASE

患者:72歳、女性

主訴:右大腿部腫脹

現病歴:54歳時に右大腿部腫脹が出現し、同部位の切開・ドレナージ、石灰化を伴う筋肉の除去を行った。58歳時に「Sjögren症候群」と診断された。前医が遠方のため、当院に紹介となった。

既往歴:虫垂炎(21歳)、胸椎Th12圧迫骨折(71歳)

家族歴:特記事項なし

身体所見:身長168cm、体重69kg。バイタルサインに異常なし。左母指腹側に硬い隆起あり。左母指・小指および右中指先端に、白色隆起の集簇あり。右大腿外側に硬い隆起あり、圧痛なし。

検査所見:抗SS-A抗体22,400U/mL、抗SS-B抗体26.5U/mL。その他、血算・腎機能・電解質を含め異常なし。

単純X線:手指腹側・先端に石灰化を認める(図1)。右大腿骨頸部に巨大な石灰化を認め、左右大腿骨骨幹部周囲にも石灰化を認める(図2)。

眼科検査所見;Schirmer試験 右0mm/左0mm、フルオレセイン試験 右0/左1、ローズベンガル試験 右0/左0

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CASE

患者:60歳、男性。生来健康。

主訴:全身が黄色い

現病歴:1カ月前から同僚に全身が黄色いことを指摘されて受診した。本人は特に自覚症状はない。体重減少なし。嘔気・嘔吐なし。

既往歴・内服歴:特記事項なし

生活歴:飲酒なし、喫煙なし。渡航歴なし。ペットなし。単身赴任中。

sick contact:なし

身体所見:体温36.4℃、血圧128/70mmHg、脈拍数68回/分・整、呼吸数16回/分、SpO2 98%(室内気)。眼球結膜に黄染なし(図1)、手掌に黄染あり(図2)。心肺に特記所見なし。

血液所見:血算・生化学(電解質、腎機能、肝機能、炎症反応)に明らかな異常なし。

小児の関節痛と皮疹 松井 俊大
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CASE

患者:9歳、女児。生来健康。

主訴:皮疹

現病歴:受診3日前から、両股関節痛を自覚し、その後も疼痛が持続し体動も困難になったため、夜間に救急要請し来院した。股関節エコーでは、軽度の関節液の貯留あり。対症療法で経過観察の方針となり、イブプロフェン内服で疼痛は改善した。その後、股関節痛は改善したが、足関節や肩関節の疼痛を訴えるようになり、受診8日後頃から軽度の瘙痒を伴う皮疹が出現した。呼吸器症状・消化器症状・泌尿器症状などはない。

既往歴:特記事項なし

海外渡航歴:なし

予防接種歴:定期接種はすべて接種済

身体所見:体温36.8℃、その他バイタルサインに明らかな異常なし。心雑音なし。体幹と四肢に、ドーナツ状の紅斑を認めた(図1)。

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 レアな疾患の診断は非常に難しい。なぜなら、レアだからである。これまでに診たことがない疾患は、医師の中にその疾患のイメージがないため、鑑別診断として疾患を想起することができず、診断につなげることができない。

 その解決策の1つとして、疾患のイメージを共有することがあげられる。レアな疾患の症例が、どういった病歴で受診し、どのような身体所見があり、どのような検査所見を呈するのか。そのイメージを、科内あるいは研修医の同期たちと共有することで、共有された医師は次から、初めて診る疾患でも鑑別診断にあげ、診断につなげることができるかもしれない。各地域で開催されている症例カンファレンスの醍醐味の1つも、このレアな疾患の情報共有にある。

What's your diagnosis?[203]

EOMにEOS? 吉田 常恭 , 酒見 英太
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病歴

主訴:複視、呼吸困難

現病歴:タクシー運転手をしている69歳男性。来院8日前にふらつきがあり、かかりつけ医を受診。心電図で左軸偏位・右脚ブロック、心エコーで前壁の壁運動低下と、血液検査でCK 1,208IU/Lを指摘されたが、胸痛、冷や汗、動悸、呼吸困難はなく、バイタルサインにも異常がなかったとのことで、本人の希望もあり後日精査予定で帰宅となった。来院7日前には頭痛・眼痛や霧視は伴わずに複視を自覚したが、自制内ゆえ受診はしなかった。来院1日前にかかりつけ医を再診したところ、CKが6,275IU/Lまで上昇していたため、精査加療目的に当院循環器内科に紹介入院となった。冠動脈造影等による精査後の入院4日目に吸気時の両側前頸部痛と息苦しさが出現したため、原因精査目的で総合内科紹介となった。先行する上気道炎・胃腸炎症状、悪寒・発熱・盗汗、食思不振・体重減少、咽頭痛・嚥下困難、咳・痰、腹痛・便通変化、腰背部痛、頻尿・排尿困難、関節痛・筋肉痛、皮疹、顔面感覚障害、回転性めまい・耳症状、味覚障害、構音障害・嚥下障害、四肢筋力低下・感覚障害、Raynaud症状はない。

曝露歴:病人・動物との接触、生もの摂取、半年以内の旅行、数年以内の性交渉いずれもなし。MSM(men who have sex with men)ではない。

既往歴:虫垂切除、憩室炎にて上行結腸切除、高尿酸血症、脂質異常症、腰部脊柱管狭窄症

アレルギー歴:なし

薬剤歴:酪酸菌、アロプリノール、エゼチミブ、半夏瀉心湯、エソメプラゾール(新規開始の薬剤なし)

嗜好歴:たばこ:40本×30年の後20年前に禁煙、アルコール:ビール1,000mL×週2回

みるトレ Special・35

カンジダ、と思ったけれども… 笠原 敬
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患者:80歳台、女性

現病歴:悪性リンパ腫の化学療法中に、発熱と腕や足に発赤と腫脹が出現し、徐々に全身状態・意識状態が増悪。左膝の外側には皮膚剝離もみられる(図1)。

「総合診療」達人伝|7つのコアコンピテンシーとその向こう側・2

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はじめに

 「EBMの伝道師」。名郷直樹先生のことを著書等でご存知の方も多いと思う。名郷先生は自治医大生時代に、EBM(一口メモ1)の古典的名著であるサケットの『Clinical Epidemiology』1)に衝撃を受け、EBMが臨床や教育の中でわれわれにとって身近な概念になるまで広く活動されてきた。現在は東京の郊外で診療所を運営されている。「EBMくらい知ってますよ。科学的根拠に基づいた医療でしょ?」。もしかしてそんなふうに思ってはいないだろうか? 師にお会いされた方はわかると思うが、この達人、一筋縄ではいかないのである。とてもひねくれている……いや、「ひねくれているのは一体誰なのか?(もしや私なのでは?)」と考えさせられてしまうのである。

 本稿では連載第2回目として、「一般的な健康問題に対する診療能力」をテーマに、名郷先生の臨床風景とインタビューを通じて、日常病診療のコツと奥深さについてレポートしたいと思う。

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・35

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CASE

患者:66歳、女性。

主訴:複視、ふらつき。

現病歴:来院当日、キッチンにて立位で作業中に、突然ものが二重に見え、ふらついて歩行しづらいため近医を受診した。外眼筋麻痺と診断され、原因精査および加療目的に当院救急外来を紹介受診した。

既往歴:高血圧。

内服歴:カンデサルタン8mg/日、カルベジロール10mg/日。

生活歴:ADL自立。飲酒:チューハイ1L/日、喫煙:タバコ10本/日×30年。

バイタルサイン:体温36.2℃、血圧150/79mmHg、脈拍数58回/分、呼吸数18回/分、SpO2 94%(室内気)。

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!|胸腹痛をきたす“壁”を克服しよう・8

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Case

患者:生来健康な32歳、男性。主訴は胸痛。

現病歴:3日前、運転中に左胸痛に気づいた。疼痛には波があり、不定期に出現する数分間の疼痛で、極期には動けなくなるほど痛むが、痛くない時は“違和感”にまで改善する。疼痛は深吸気で増悪する。熱感なし。気道症状・消化管症状なし。

患者の11歳の子ども(夏休み中)は5日前から発熱・腹痛・下痢があり、また7歳の子どもは3日前から頭痛・発熱・嘔吐があって「ウイルス性髄膜炎疑い」と言われており、妻と一緒に看病していた。

バイタルサイン:血圧128/70mmHg、脈拍数80回/分、体温37.6℃、呼吸数20回/分、SpO2 96%(室内気)。

胸腹部に特記すべき異常所見なし。

胸部単純X線写真、心電図、心臓超音波検査に異常を認めない。

総合診療専門医セルフトレーニング問題・23

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セッティング

とある大都市にある、グループ診療の家庭医クリニック。近隣に大学病院、公立の総合病院、各専門科のクリニックが揃っており、精査や専門的治療を必要とする場合は適宜連携できる。

三銃士共導法・11

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 人間が生きるうえで最も重要な要素は何でしょう?「衣食住」とはよく言いますが、これは身体的な健康を保つために必要なことです。生きることそのものに価値があるのはその通りですが、豊かな彩りを持って前向きな人生を歩むために大事な要素の1つに、「モチベーション」があります。

 今回は、三銃士がいかにモチベーションを高く維持し、活動しているかの“秘訣”についてお伝えします。

指導医はスマホ!?|誰でも使えるIT-based Medicine講座・11

「Dropbox」を活用しよう!! 森川 暢
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 時は20XX年、IGSコーポレーションでは、研修医ロボットを開発した! その名も、成長するAI搭載型ロボット「森川くん2号」。

 森川くん2号と一緒に、ITを活用して自分をヴァージョンアップしよう!!

55歳からの家庭医療 Season 2|明日から地域で働く技術とエビデンス・27

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小外科処置をどこまでやるか

 切創を縫合したり、骨折部位の固定のためにシーネを曲げて当てたりといった処置を、家庭医療の外来診療の内容として組み込むかどうかは、診療の場のコンテクストによるでしょう。

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TO THE EDITOR

 本誌2019年5月号掲載論文「37 眼球上転発作」1)(以下、森永論文)につき、疑問を感じたので、以下に詳述する。眼球上転発作(oculogyric crisis)は筆者が研修医であった30年ほど前に、しばしば従来型抗精神病薬(特に高力価の薬剤)の副作用として観察された。その後は、非定型抗精神病薬の普及も相まって、臨床現場で見られることは少なくなった。眼球上転発作を起こした患者は軽く顔を上方に向け、「(また)目が上がった」などといい、治療を求めてくる。治療としては、抗パーキンソン剤である乳酸ビペリデン注射液(アキネトン®)を使い、速やかに症状は消退した。これは抗精神病薬の副作用として稀でなく、しかも「患者が下を見ようとしても見ることができない」という、かなり印象的な症状なので、当時の精神科では、この症状の出現に留意し、若年患者には、なるべく高力価の従来型抗精神病薬を処方しないよう、心がけていた。

 さて、森永論文だが、眼球上転発作の原因薬剤として、ベンゾジアゼピンを挙げている。しかしながら、英文(PubMed®)、和文(医学中央雑誌)で、眼球上転発作の原因薬剤としてベンゾジアゼピンを挙げている論文を見つけることはできなかった。むしろ、眼球上転発作の治療薬として、ベンゾジアゼピン系薬剤のクロナゼパム(clonazepam)の有効性を述べる論文2)があるほどである。森永論文の5つの参考文献のいずれに眼球上転発作の原因薬剤としてベンゾジアゼピンが挙げられているのか詳らかではないが、少なくとも、眼球上転発作の原因薬剤をまとめた表を持つ、森永論文の参考文献53)には、眼球上転発作の原因薬剤としてベンゾジアゼピンは挙げられていない。向精神薬の神経眼科学的合併症については未知の部分も多いが、眼球上転発作の原因薬剤としてのベンゾジアゼピンは、医学界のコンセンサスがあるのだろうか。あるいは薬事行政的に副作用報告として確認されたものなのであろうか。広くご意見を賜りたく、一筆啓上した次第である。

#総合診療

#今月の特集関連本

#今月の特集関連本

#今月の連載関連本

#医学書院の新刊

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 “ありそうでなかった”画期的な視点の、「基礎」と「臨床」をつないでくれる有意義な書籍と思います。編者4名のうちクリニカルフェローが2名(カナダおよび米国)というチーム編成が、北米大陸の教育層の厚さを物語り、また『New England Journal of Medicine(NEJM)』の「Clinical Problem-Solving」でおなじみのJoseph Loscalzo先生(Harvard/Brighamチーム)も参画して書かれた臨床解剖の本です。原書のサブタイトルは「An Integrated Approach to Psysical Examination and Medical Imaging」ですが、邦題もその本質を見事に翻訳された「解剖×画像所見×身体診察」となっています。

 本書は、核となるChapter 1「臨床での統合的アプローチ」、そしてそれに続くChapter 2は部位別の各論からなります。各論は、基礎医学というよりはむしろより臨床的な事項がメインになっており、そこに画像所見と解剖図譜がバランスよく配置されていて、臨床画像には慣れない低学年の学生でも、画像の読み方について解剖を基礎としてスムーズに学ぶことができる構成になっています。各章は、症例を基にしながら、「初期評価」「器官系の概要」「症例集」という三部構成になっていて、スムーズに基礎→臨床の学習に入っていくことができます。

#参加者募集

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目次

『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2018年1月  『総合診療』編集委員会

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総合診療
29巻11号 (2019年11月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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