特集 パーキンソン病大全—あなたのギモンに答えます!
【診断編】
❹[パーキンソン症候群]薬剤性パーキンソニズム
辻 浩史
1
1大阪公立大学大学院医学系研究科 脳神経内科学
キーワード:
薬剤性パーキンソニズム
,
パーキンソン病
,
ハロペリドール
,
非定型抗精神病薬
Keyword:
薬剤性パーキンソニズム
,
パーキンソン病
,
ハロペリドール
,
非定型抗精神病薬
pp.886-889
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350080886
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
◦病態と鑑別
薬剤性パーキンソニズムは、薬剤の副作用でパーキンソン病と類似の症状が出現した病態である。パーキンソン病では、中脳黒質のドパミン神経細胞が減少し、神経伝達物質であるドパミンの分泌が減ることにより、パーキンソン病症状が出現する。薬剤性パーキンソニズムでは、ドパミン受容体阻害作用のある薬剤に曝露されることで発症する。薬剤性パーキンソニズムは高齢者のパーキンソニズムの原因となりえ、鑑別疾患の中ではパーキンソン病に次いで2番目に多く、代表的な変性疾患であるパーキンソン病との鑑別が重要である1)。
厚生労働省が発行する『重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性パーキンソニズム』1)にパーキンソン病と薬剤性パーキンソニズムの臨床症状の違いがわかりやすく記載されている(表1)1)。しかし実臨床では、臨床症状だけで鑑別するのは困難である。既報告では薬剤性パーキンソニズムの約18〜54%が左右非対称の症状を呈することが示されている2)。また振戦は、安静時や動作時、さらに姿勢時振戦も混在することがある。「口をもぐもぐさせる」などの口舌ジスキネジアは、パーキンソン病の初期で認められることは稀であり、薬剤性パーキンソニズムでは初期から目立つことがあるが、高齢者では薬剤やパーキンソン病に関係なく、口舌ジスキネジアが出現することもある。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.