特集 パーキンソン病大全—あなたのギモンに答えます!
【診断編】
❶パーキンソン病の基本概念
波田野 琢
1
1順天堂大学大学院医学研究科 神経学
キーワード:
ジェイムズ・パーキンソン
,
α-シヌクレイン
,
レヴィ小体
Keyword:
ジェイムズ・パーキンソン
,
α-シヌクレイン
,
レヴィ小体
pp.868-872
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350080868
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◦パーキンソン病の発見と治療の進歩
紀元前1000年代の古代インドの伝統医学であるアーユルヴェーダの中でパーキンソン病と思われるものが振戦疾患として紹介されており、これがパーキンソン病の最古の記載である。そこには手足の振戦、動作困難、睡眠障害、認知機能障害、瞬きの低下などがみられると記載されている。さらに、レボドパ(L-3,L-4 dihydroxyphenylalanine)を含有していることが知られているムクナ豆が治療として使われていた。その他、古代中国の医学書、古代ギリシャ時代の医師であるガレノス、レオナルド・ダ・ヴィンチなどが、振戦や動作緩慢、筋強剛などの記載を残している。
しかしながら、ジェイムズ・パーキンソンは「振戦麻痺」のエッセイの中で、非常に詳細にわたって患者の症状を記載しており、彼の名前を病名として冠することに異論を唱える者はいない。このエッセイの中では動くといったんは止まるが、また震え出すこと(静止時振戦)、突進歩行になること、前傾姿勢、睡眠障害、流涎、便秘、痛み、疲労、精神症状、認知症など、運動症状および非運動症状について細かく記載し考察している1)。

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