特集 パーキンソン病大全—あなたのギモンに答えます!
【診断編】
❷パーキンソン病の運動症状とは
中西 悦郎
1,2
1京都大学 大学院医学研究科 脳病態生理学講座 臨床神経学
2京都大学医学部附属病院 脳神経内科
キーワード:
無動・運動緩慢
,
振戦
,
運動症状
,
パーキンソニズム
Keyword:
無動・運動緩慢
,
振戦
,
運動症状
,
パーキンソニズム
pp.874-878
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350080874
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パーキンソン病はα-シヌクレインを主な構成成分とした細胞内封入体であるレヴィ小体の出現を特徴する神経変性疾患である。運動症状に加えてさまざまな非運動症状を呈する疾患で、運動症状は、主に中脳黒質に存在するドパミン神経が変性・脱落することで生じた、随意運動を制御する大脳基底核(錐体外路)の機能障害が原因とされている。その症状は、振戦、筋強剛、運動緩慢・無動、姿勢反射障害など多彩である。「パーキンソニズム」という用語は、語源としてはパーキンソン病+ism(のような状態)を意味し、“パーキンソン病のような状態”を指す語である。しかしながら実際には、「かぜ」「感冒」のような総称としてのパーキンソン症候群の意だけでなく、「かぜ症状」「感冒症状」のような症状名として“パーキンソン症候群でみられる運動症状”を意味して用いられることもある。本稿では「パーキンソニズム」は“パーキンソン症候群を意味する語”として用い、「症状」に関しては症状と明記することとする。

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