JIM 17巻8号 (2007年8月)

特集 疾患・治療概念の最近の変化

今月のQuestion & Keyword Index
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より早く,より的確に内容をとらえるために,QuestionとKeywordによるIndexをご利用ください.それぞれ各論文の要点を示す質問とキーワードで構成されています.

Question

Q1 現在の日本における医療のパラダイムシフトの要因としてあげられるものは何か? 642

Q2 プライマリ・ケア医の生涯教育の特徴は何ですか? 646

Q3 慢性腎臓病患者の診断で気をつける点は? 650

Q4 QuantiFERON(R)TB-2G検査によって診断できることは何か? 653

Q5 QuantiFERON(R)TB-2G検査がツベルクリン反応検査と比較して優れていることは何か? 653

Q6 小腸の検査法にはどのようなものがあるか? 656

Q7 ノロウイルス感染による胃腸炎は,カキを食べていない人でも発症するのか? 660

Q8 アルツハイマー病の危険因子には加齢,遺伝的背景以外にどのようなものがありますか? 664

Q9 高血圧治療で最も気をつけていることは何ですか? 666

Q10 スタチンの多面的作用(pleiotropic effect)とは何ですか? 669

Q11 アメリカリウマチ学会の関節リウマチ診断基準について述べよ. 672

Q12 多発性骨髄腫(骨髄腫)におけるサリドマイドの適応は? 675

Q13 サリドマイドはわが国でも使用できますか? 675

Q14 鼻炎と喘息を関連した疾患として考える呼び名は何か? 678

Q15 気管支喘息における鼻炎の合併率はどのくらいか? 678

Q16 ダニ感作とスギ感作はどちらが先行する患者が多いか? 678

Q17 経口薬で鼻炎と喘息に効果が期待される薬物の例をあげよ. 678

Q18 アドレナリン自己注射はどのような患者に処方でき,どのような効果があるのか? 680

Q19 t-PA静注療法はどのような脳梗塞が適応になるのですか? 683

Q20 アトピー性皮膚炎治療でタクロリムス軟膏を用いる際の注意点は? 686

Q21 吸入ステロイドの効果は気管支喘息とCOPDで同等であるか? 688

Q22 滲出型加齢黄斑変性の第一選択の治療法は? 692

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 現代医学は世界的に見ても,日本においても,大きな変革期を迎えつつある.その変革には,「医療システム」をめぐる3つの要因が考えられる.まず「対象」,すなわち人口や疾病の構造が大きく変換し,必要とされる医療が変わりつつあること.次いで,国民や患者の医療に対する「意識」も大きく変わりつつあり,その背景には医療の標準化が存在する.さらに,増大する需要に対して,伸び悩む「資源」の問題がある.その結果として,医療制度全体としてのみならず,個々の医療行為においても効率性が求められている.本論文では,大きく革わる3側面の諸課題をまとめて,今後の医療のあり方を模索してみたい.

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生涯教育のミッション

 生涯教育の目的は,プライマリ・ケア医とそのチームが提供している「医療」の質を向上させることで,患者や地域の健康に貢献することにある.これは,「業績」のためではないことに注意したい.業績を上げるための生涯学習は方法論が異なる.プライマリ・ケア医にとってキャッチアップすべき新しい知識や概念とは,専門領域のトピックスではなく自身の医療の質向上に必要なものといえよう.

医師のパフォーマンスを規定するもの

 医療の質を向上させるための要素のひとつは,医師の診療のパフォーマンスを向上させることである.医師のパフォーマンスの規定要因はさまざまあるが,基本的に以下の3つに規定されるといってよい.

 まず個々の医師のコンピテンスであり,これは医師のもつ知識,技術,態度,問題解決能力のことである.しかし,医師のコンピテンスの向上だけでは医療のパフォーマンスの向上につながらない.医師の所属するチームの力量,所属している施設運営の質,さらに医療制度などのシステムもパフォーマンスを規定する.そして医師の個人的資質としての性格,人間性,精神的健康などの要因がパフォーマンスに寄与している.生涯学習を考える際に,医学的な知識や技術にとどまらず,チームメンバーの成長,施設運営の改善,個人の人間的成長などもその視野に入れなければならないといえよう.

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◆ここ数年で変わった疾患名,新たに登場した疾患・概念の一部をご紹介します.

■(精神)分裂病→統合失調症

 医学用語として「スキゾフレニア」と提案されたものが日本においては1937年神経精神病学用語統一委員会によって,「(精神)分裂病」と定められた.2002年より変更された「統合失調症」は原語のschizophreniaを穏やかに翻訳し直したもの.

■痴呆→認知症

 「痴呆」という言葉が差別的という意見を踏まえ,厚生労働省老健局は2004年12月24日同日付で行政用語を変更した.関連する法律上の条文は,2005年の通常国会で介護保険法の改正により行われた.

One more JIM
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Q1 どうして尿蛋白/尿クレアチニン比は1日尿蛋白量を反映するのですか?

A1 24時間蓄尿から1日尿蛋白量を測定することは外来では煩雑である.蓄尿ではなく,外来随時尿から1日尿蛋白量を予測することができる.

   尿蛋白(g/日)=尿蛋白濃度(mg/dl)×尿量(dl/日)÷1,000…式1

   尿クレアチニン排泄量(g/日)=尿クレアチニン濃度(mg/dl)×尿量(dl/日)÷1,000…式2

 式1と式2の左辺どうし,右辺どうしをそれぞれ除せば,

   尿蛋白(g/日)/尿Cr排泄量(g/日)=尿蛋白濃度(mg/dl)/尿Cr濃度(mg/dl)

 尿Cr排泄量は筋肉量,年齢,性別によって異なるがおおよそ1g/日なので左辺の分母が1となり,

   尿蛋白(g/日)≒尿蛋白/尿Cr 比 

 で近似できることになる.

 外来随時尿の積分で表すのが正しいが,考え方を記す目的なので省略した.(小松康宏→p650)

【診断・検査】

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Case

患者:65歳女性.

既往歴:10年前に糖尿病,高血圧と診断され降圧薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)を内服中.

現病歴:健診で蛋白尿が陽性であることを指摘され,腎臓内科を受診するようにいわれていたが放置していた.知人から「スイカは腎臓に良い」と聞いたので,一昨日から毎日スイカを2個食べていた.本日朝から倦怠感と手足の脱力が出現したため救急外来を受診した.

 意識清明,全身状態比較的良好.血圧145/90mmHg,脈拍72/分.身体理学所見に大きな異常を認めないが,四肢の筋力が軽度低下.血液検査はTP 7.0g/dl, Alb 4.0g/dl, BUN 20mg/dl, Cr 1.5mg/dl, Na 140mEq/l, K 6.5mEq/l, Cl 105mEq/l, 血糖 120mg/dl.心電図は洞調律,T波の尖高を認めた.高カリウム血症と診断し,治療を開始した.

 65歳女性で血清Cr 1.5mg/dl(酵素法で測定)の推定GFRは約25ml/min/1.73m2である.血清Cr値からはそれほど腎機能が低下していると感じられないかもしれないが,高度に腎機能が低下している状態である.糖尿病患者では皮質集合管でのK分泌も障害されやすく,K負荷,ACE阻害薬,アンギオテンシン受容体拮抗薬などを使用した場合に高カリウム血症となることがあるので注意が必要である.この症例は,心血管疾患のハイリスク患者であると同時に将来透析を必要とする可能性が高い.K制限を指導したうえでACE阻害薬,ARBを含めた降圧療法を行い,慢性腎臓病に対する総合的な診療を継続する必要がある.

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何が新しいか

 ここ約百年もの間,結核菌感染を診断するための検査は,ツベルクリン反応検査しかなかった.QuantiFERON(R)TB-2Gによる結核菌感染診断検査(QuantiFERON(R)TB-2G検査)は,結核菌特異抗原であるESAT-6(J3)とCFP-10(J3)に対する細胞性免疫反応を利用して,ELISA法(J4)によって遊離したインターフェロンγ量を測定する全血を用いた検査である(図1).ツベルクリン反応検査(J5)とは違って,過去のBCG接種の影響を受けずに結核菌感染をin vitroに診断できる点が新しい.

 結核菌特異抗原であるESAT-6とCFP-10は,Mycobacterium tuberculosis,M. bovis,M. africanumにあり,また非結核性抗酸菌であるM. kansasii,M. marium,M. szulgai,M. flavescens,M. gastriおよびM. lepraeにもある.しかし,すべてのM. bovis BCGワクチン亜株,日本における非結核性抗酸菌症の中で最も多いM. avium,M. intracellulareには存在しない.

 QuantiFERON(R)TB-2G検査の判定基準については,文献を参照されたい3, 4)

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Case1

患者:70歳,女性.

現病歴:5年前より腰痛に対して近医より

処方されたNSAIDsを内服している.今年の健康診断にて,便潜血陽性,下腿浮腫,低球性低色素性貧血,低アルブミン血症を指摘.精査にて上部・下部内視鏡を施行するも異常所見なし.カプセル内視鏡を行い,小腸に多発するびらん・小潰瘍を認めた.NSAIDs内服中止により,貧血・低アルブミン血症は著明に改善した.

カプセル内視鏡(図1a,b)

 2000年にイスラエルのGIVEN Imaging社が開発1)したワイヤレスカプセル内視鏡は,長さ26mm,幅11mmの大きさのカプセル内部に白色LED,電池,送信器,画像データの送信アンテナ,小型CMOSセンサーを内蔵.被験者は薬を内服するようにカプセルを飲み込み,受信機と記録装置を体に装着したまま,日常生活に戻ることもできる.カプセルは1秒間に2回腸管内部を撮影しながら,蠕動運動とともに移動する.撮影画像は受信機から記録装置に送られ,約8時間記録される.記録装置に蓄えられた画像を専用ワークステーションで解析を行い,撮影を終えたカプセルは大腸を経て肛門から,自然に排泄される.

ノロウイルスの台頭 岡部 信彦
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病原体

 ノロウイルス(Norovirus)は,電子顕微鏡で観察される形態学的分類でSRSV(小型球形ウイルス),あるいはノーウォーク様ウイルス“Norwalk-like viruses”という属名で呼ばれてきたウイルスで,2002年ノロウイルスという名称に統一された(J1).プロトタイプは1968年に米国オハイオ州ノーウォークの小学校で発生した集団胃腸炎から検出され,その後免疫電子顕微鏡下でその形態が明らかになったノーウォークウイルス/68(NV/68)である.以来,形態学的にNV/68と区別できないが抗原的に異なる株は,発見された地名を冠して,スノーマウンテンウイルス,メキシコウイルス,音更因子,チバウイルスなどと命名されてきた.

 現在ノロウイルスはGenogroup I(GI)とGenogroup II(GII)の2つの遺伝子群に分類され,さらにそれぞれは14と17あるいはそれ以上の遺伝子型(genotype)に分類される.

認知症 宇高 不可思
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だれもが関わらずにはいられない認知症

 認知症(痴呆症)とは,一定水準にまで発達した知能が後天的疾患により障害され,生活に支障をきたすようになった状態である.原因疾患のうちで最も多いのはアルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)と脳血管性認知症の二者であり,レビー小体型認知症,前頭側頭型認知症などがそれに次ぐ.治療可能なものもあるが,大部分は緩徐進行性であり,周辺症状やADLの低下をきたすため,周辺症状の緩和,ADLを少しでも長く維持すること,介護負担の軽減が主な課題となる.

 その認知症がわが国で急増している.年齢別の有病率は,60歳代で約1%,70歳代で5%,80歳代で20%,85歳以上では30%以上もある.現在の患者数は約180万人,有病率は65歳以上の8~10%程度といわれるが,2020年頃には300万人を超えると予測されている.認知症は,もはやメタボリックシンドロームなどと同様に,あらゆる医療人が避けて通れない疾患となった.

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Case

ARBの投与により糖尿病性腎症の進展が抑制された1例

患者:54歳男性.

現病歴:20年前より糖尿病のため近医で加療していたが,徐々に浮腫が出現したため当科を受診した.受診時血清蛋白は5.8g/dl,血清アルブミンは1.3g/dlで,1日尿中蛋白排泄量は6.8gであった.また血圧は172/96mmHg,クレアチニンは2.1mg/dlであった.病歴より糖尿病性腎症に伴うネフローゼ症候群と診断した.Ca拮抗薬,利尿薬で浮腫が改善しないため,血清カリウム,クレアチニンの上昇に注意しながら,少量のARBを開始し,徐々に増量した.約2カ月の経過で1日尿蛋白は1g以下に低下した.また腎機能もその後8年間ほぼ変化なく経過している.

 高血圧治療における最大の目標は,高血圧に伴う臓器障害の進展を予防することである.このためには,現在降圧が最も大切であることが明らかになっているが,最近の研究でこの降圧効果に加えて,それぞれの降圧薬が有する降圧以外の臓器保護作用も注目されている.

 本稿では,Ca拮抗薬とレニン-アンジオテンシン系抑制薬の降圧以外の臓器保護作用について概説する.

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 スタチンはコレステロールの代謝経路にあるHMG-CoA reductaseという酵素を阻害し,強力な脂質低下作用を発揮する薬物である.LDLコレステロールを低下させることで,有意に心血管イベントの発生リスクを低下させることが虚血性心疾患の一次予防および二次予防試験において報告されてきた(4S,WOSCOPS,CARE,LIPID試験など).しかし,近年スタチンに脂質低下作用では説明しきれない効果があることが多数報告され,それらを総称して多面的作用(pleiotropic effect)と呼ばれている.本稿ではこのpleiotropic effectをいくつか紹介し,循環器疾患を中心に臨床的な効果との関連を述べる(図1).

DMARDsの早期開始 岡田 正人
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Case

急性対称性多関節炎にて紹介された関節リウマチ疑いの1例

患者:22歳の女性,保育士.

現病歴:3週間前から両側手指第2関節の腫れと圧痛,2週間前から右膝にも関節炎が出現したため近医受診.血液検査でリウマチ因子陽性であり,関節リウマチの診断となりステロイド薬を勧められた.ステロイド薬の副作用をインターネットで調べ,ムーンフェイスになるのではと不安になったため来院.1カ月ほど前に勤務先の幼稚園にてりんご病が流行していた.血液検査により,ヒトパルボウイルスB19 IgM抗体陽性であり,ウイルス性関節炎の可能性が高いと考え非ステロイド性抗炎症薬にて経過観察となった.関節炎は2週間でほぼ完治し,リウマチ因子もその後陰性化した.

 薬物療法の進歩により,関節リウマチによって日常生活に制限が必要になるような機能障害を起こすことは少なくなってきている.しかしながら,すでに発症から年月がたち関節破壊の進行した症例においては,機能障害は不可逆性であり現在の生物学的製剤(J1)を含む薬物療法においても,治療の現実的な目標は関節破壊の予防である.

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多発性骨髄腫治療の現状とサリドマイド療法登場の経緯

 多発性骨髄腫(以下,骨髄腫)は,診断時の平均年齢は60代と高齢者に多く,近年人口10万人当たりの年間発症率は2人を超えるようになり,増加傾向にある.造血器腫瘍の中では,悪性リンパ腫および白血病に次いで頻度が高い疾患である.1960年代にメルファランとプレドニゾロンの併用療法(MP療法)による病勢コントロールが行われるようになり,その後多剤併用療法が試されたがいずれも有効性について有意な差を認めず,高齢者に対しては未だにMP療法が骨髄腫の標準的治療法である.

 近年,65歳以下の比較的若年症例に対しては,自家造血幹細胞移植療法が標準的治療とされる.メルファランに造血幹細胞障害性があることより,同剤を用いず,ビンクリスチン+ドキソルビシン+デキサメタゾン(VAD療法)により寛解導入を行った後,自家末梢血より採取した幹細胞を移植する1).これにより,完全寛解導入率および生存期間が延長することがわかった.しかし骨髄腫と診断されたほぼ全症例は早晩再発をきたし最終的には致命的となる.したがって,新しい治療法の開発が望まれる.

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 疫学調査では,気管支喘息患者の80~90%にアレルギー性鼻炎の合併がみられるとされている1).また鼻炎患者の30~40%に気管支喘息の合併があるという.このように気管支喘息とアレルギー性鼻炎は相互に深い関連を有することが以前から知られていたが,最近の研究から,鼻炎症状のない気管支喘息患者の鼻粘膜に好酸球が認められること,逆に気管支喘息症状のないアレルギー性鼻炎患者の下気道に好酸球浸潤があることや気道過敏性の亢進が存在することが明らかになってきた.これらの情報をもとに,近年ではアレルギー性鼻炎を上気道アレルギー疾患,気管支喘息を下気道アレルギー疾患としてとらえるのでなく,気道全体をひとつのアレルギー疾患の標的臓器として考えるべきであるとしてone airway, one diseaseの概念が注目されてきた2)

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Case

エピペン(R)が著効した食物アレルギー患者

 症例は17歳のナッツアレルギー患者で,ヘーゼルナッツによるアナフィラキシーショックの既往があった.ヘーゼルナッツの抗原特異的IgE値は1.38Ua/mlで,以前のアナフィラキシー発症時には,ルート確保とステロイドの治療のみが行われ,血圧低下が遷延し,当科搬送後,アドレナリン筋肉注射を2回行い,ステロイド薬投与を施行され,数時間後にようやくショック症状が改善した.

 2005年8月,夕食時にサラダの中に入っていたクルミを誤食し,直後より咽頭絞扼感が出現したため本人がエピペン(R)を使用した.約10分後に咽頭絞扼感は消失し,エピペン(R)使用後の主治医への電話による報告時には咽頭搔痒感のみ残っていた.

 ヘーゼルナッツによるアナフィラキシーショック時の臨床経過とクルミの誤食時の経過を比較すると,症状早期からのエピペン(R)の使用によりショックへの進展を防ぐことができたと考えられる.

 アドレナリン自己注射薬(以下,エピペン(R))は,アナフィラキシーの補助治療薬である.米国ではすでに約20年前よりアドレナリン自己注射薬が発売されていた.わが国では2003年に蜂毒アナフィラキシーに対するアドレナリン自己注射薬(エピペン(R)0.3mg)の使用が認可され,2005年4月より食物,薬物によるアナフィラキシーへの適応が拡大された.またこれと同時にエピペン(R)0.15mgが発売され,小児から成人までの患者に処方可能となった.本稿では,アナフィラキシーの治療におけるエピペン(R)の位置付けについて解説する.

超急性期脳梗塞の治療 山脇 健盛
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Case

心房細動を有し突然右片麻痺が出現した1例

症例:61歳の女性.

主訴:右片麻痺.

既往歴:5年前より拡張型心筋症,心房細動にてアスピリン内服中.

現病歴:某年某月,18時10分頃,台所仕事中に突然右片麻痺と構音障害が出現,18時55分に救急車で来院.

主訴:血圧142/78 mmHg,脈拍66/分不整.神経学的には,軽度意識障害,軽度失語,構音障害,右上肢は完全麻痺,右下肢は膝立不能を認めた.NIHSS(National Institute of Health Stroke Scale, J2)15点.頭部CTでは異常なし.

 心原性脳塞栓症と考え,t-PA静注療法を発症後2時間20分後より開始した.投与中より右上下肢の挙上が可能となり,1時間後の投与終了時にはNIHSSは7点まで改善した.その後さらに改善し,1カ月後にはNIHSS 3点となり,歩行自立,日常会話に問題ない程度まで改善した.

 1995年米国National Institute of Neurological Disorders and Stroke(NINDS)による大規模臨床試験で,発症3時間以内の超急性期脳梗塞患者に対する経静脈的血栓溶解療法(J3)であるtissue plasminogen activator(t-PA)静注療法の有効性が証明され1),t-PAは米国では初めての脳梗塞急性期治療薬として翌年認可された.t-PAの急性期脳梗塞患者における二重盲検試験はそれ以前にわが国で行われ,有効性が示されたが,残念ながら特許の関係で開発が中止されたという経緯がある.1995年にNINDS試験が発表され,米国に続きカナダ,欧州,アジア諸国でt-PAは脳梗塞急性期治療薬として認可されたが,先進国では唯一日本で認可されていなかった.2002年にプラセボを対照としないt-PAのオープン試験(J-ACT)がわが国で行われ2),その結果NINDS試験のt-PA投与群と同等の成績が得られ,2005年10月にようやく認可されるに至った.

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アトピー性皮膚炎(AD)の鑑別診断

 セザリー症候群など皮膚T細胞リンパ腫は,紅皮症状態を呈し,重症ADと誤診される場合があります.難治のため,タクロリムス軟膏を用いたくなりますが,絶対に用いてはなりません.皮膚生検を実施し,リンパ腫に特有の病理組織像を示さないことを確認してから用いるべきで,あとで述べるようにタクロリムス軟膏は重症ではなく,中等症以下の皮疹に用いるべき外用薬といえます.

 また,魚鱗癬様の皮疹を呈するネザートン症候群なども注意を要します.皮膚のバリア機能異常が著しいため,タクロリムスの血中濃度が高くなる危険性があり,腎障害などの副作用を起こしやすいからです.

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 気管支喘息とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は閉塞性換気障害を共通の病態異常とする.しかし吸入ステロイドが気管支喘息のコントローラーとして治療の基幹薬物であるのに対して,COPDの安定期管理では,この薬物の位置づけは限定的なものである.

COPDの最新の定義

 GOLD(Global initiative for Obstructive Lung Disease)によるCOPD診療指針では,COPDは次のように定義されている1)

 “COPDは予防可能・治療可能な疾患であり,個々の患者の重症度には肺以外の症状も影響する.肺症状は,完全には可逆的ではない気流制限を特徴とする.この気流制限は通常進行性で,有害な粒子やガスに対する肺の異常な炎症反応と関連している.”

 気管支喘息が気道の炎症であるのに対し,COPDが肺の炎症,すなわち,気道と肺胞の炎症であると述べていることに注目してほしい.喘息では気道過敏性の亢進によって起きる急性の呼吸困難は可逆性が大きいが,COPDの特徴である労作性呼吸困難は固定して変動が少ないことが通例である.

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 加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)は,眼底の中心に位置する黄斑部に生じる,加齢変化を背景として発症する多段階的かつ多型的な症候群で,先進国における50歳代以上の失明原因の第1位であり,非常に重要な疾患と位置づけられている.わが国においても,生活様式の欧米化,人口の高齢化などを背景に近年その発症頻度が増加傾向にある.

 AMDは萎縮型および滲出型の2つの病型に大別される.萎縮型は,網膜色素上皮細胞や脈絡膜網細血管板の萎縮をきたすが,視力予後が比較的良好であるのに対し,滲出型は黄斑部の脈絡膜から網膜色素上皮下あるいは網膜下に新生血管が進展し,出血や滲出性変化を生じ,最終的には黄斑部に瘢痕組織を形成する.滲出型AMDでは視力予後不良な症例が数多く存在し,また両眼性の視力障害の症例も稀ではなく,臨床的に重要な疾患となっている.

Editorial

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 いったいどれくらいの速度で医学知識は更新されているのであろうか?ずいぶん前から私の抱いている疑問である.今となっては誰が言い出したのかわからないが,「医師は大学卒業時の知識の75%を40年間(臨床医として働く期間)で更新しなくてはならない」という文章を,米国の一般内科医がエッセイ風に書いているのを読んだことがある.しかし,その根拠はあるのだろうか?

 もう5年近く前になるが,Annals of Internal Medicineにフランスの研究者が発表した興味深い論文1)を読んだことがある.それによると,1945年から1999年の間に成人の肝硬変と肝炎に関する原著論文とメタ分析の論文をレビューしたところ,論文の結論474のうち285(60%)が2000年の時点でも正しいと考えられていて,91(19%)は時代遅れ,98(21%)が誤りとされていた.各研究論文の結論の“20年生存率”を計算すると,研究方法がメタ分析により導き出された結論は57%±10%,非ランダム化比較試験によるものは87%±2%,ランダム化比較試験によるものは85%±3%であり,方法論的に言って高いレベルのエビデンスが,低いレベルのエビデンスより生存期間が長いという結果は得られなかった.また,ランダム化比較試験によって導き出された結論の“50年生存率”を計算したところ,陰性結果を示した52の論文の結論(68%±13%)のほうが陽性結果を示した118の論文の結論(14%±4%)よりも生存率が高かった.

感染症が見える! グラム染色に基づく抗菌薬療法[8]

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患者:66歳の男性,ADLは自立.

主訴:ふらつきと全身倦怠感.

【現病歴】来院4日前から悪寒(chill)と全身倦怠感があり.体がふらつき,嘔吐するようになったため,救急センターを受診した.

【既往歴】糖尿病を1年前の検診で指摘されたが放置.喘息・アレルギーなし.内服薬;眠剤のみ.

【生活歴】喫煙;1日2箱を40年間.飲酒;泡盛2合を毎日.

【身体所見】身長152cm,体重48kg.バイタルサイン;血圧96/64mmHg,脈拍120/分,呼吸数26/分,体温36.9℃,SpO2 99%(O2 2l/分).全身状態;傾眠傾向.頭頸部;貧血・黄疸なし,口腔内乾燥著明.胸部;喘鳴(wheeze)なし,湿性ラ音(crackle)なし.心音;整,心雑音なし.腹部;腹満強い,腸雑音低下,軟,圧痛なし.背部;CVA(肋骨脊椎角)叩打痛はっきりせず.直腸診;前立腺の肥大・圧痛なし.

【検査所見】血液検査;WBC 9,300/μl,Hb 12g/dl,Hct 35%,Plt 85×104/μl,Na 112mEq/l,K 5.1mEq/l,Cl 75mEq/l,BUN 76mg/dl,Cr 2.1mg/dl,Glu 682mg/dl,HbA1C 14%,AST 16IU/l,ALT 13IU/l,CRP 20mg/dl,血中ケトン3+.動脈血ガス(室内気,呼吸数26/分);pH 7.25,CO2 20mmHg,O2 66mmHg,HCO3 8.8mEq/l,アニオンギャップ28mEq/l.胸部X線;浸潤影なし.心電図;洞性頻脈,ST変化なし.尿検査;糖4+,蛋白1+,潜血3+,アセトン2+.腹部エコー;右腎に囊胞あり,左腎は右腎に比べて腫大.腹部単純CT;大腸ガスが著明,右腎に囊胞あり,左腎周囲に脂肪織のけば立ちあり,前立腺肥大なし(図1).

尿グラム染色;多核白血球(PMN)1+,矢印の菌1~2+あり(図2).

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病歴

 生来健康な20代の男性.入院3日前の夜間から体調不良を自覚.翌日には頭痛が出現し,入院前日に発熱,悪寒を認め,当科外来を受診.受診時体温38.9℃,血圧110/60mmHg,脈拍88/分・整であった.身体所見上neck flexion test陽性で髄膜炎を疑い腰椎穿刺を施行,髄液は無色透明,蛋白43mg/dl,糖63mg/dl,細胞数12/mm3,好中球1/mm3,リンパ球11/mm3であり,ウイルス性感染症の診断で鎮痛薬を処方され帰宅となった.帰宅後も解熱せず,嘔気のために経口摂取・解熱鎮痛薬内服できず翌日救急外来を受診.頭痛,筋肉痛・関節痛,悪心嘔吐あり.咳,鼻汁,咽頭痛,腹痛・下痢なし.とくに既往歴はなく,喫煙,飲酒なし.工場勤務.

身体所見

 意識清明,体温39.0℃,血圧122/79mmHg,脈拍107/分・整.眼球結膜黄染なし,眼瞼結膜充血あり,眼球運動障害なし,対光反射迅速完全,眼振・複視なし.口腔粘膜やや乾燥,頸部リンパ節腫脹なし.心音清.呼吸音異常なし.腹部平坦,軟,圧痛なし,肝脾腫なし,腸蠕動音正.neck flexion test 陽性,jolt accentuation of headacheあり.その他,神経学的異常所見なし.

Correspondence

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 『JIM』2007年5月号(Vol.17 No.5)の「間違いだらけの死亡診断書」勝又義直論文に関して質問があります.

 「直接死因」と「原死因」をしっかり認識して,「直接死因」が肺炎でも「原死因」が外傷であれば,「死因の種類」を「外因死」とする,という記述は,私自身いろいろな先生方に質問をしてきた中で,最も意見の分かれる部分であった(多くの先生は間違えた理解をしている)ため,気持ちの整理がついたとともに,また新たな疑問を抱かざるを得ません.

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Case

患者:55歳,男性.

主訴:意識障害.

既往歴:特記すべきことなし.

生活歴:ヘビースモーカーで大酒家.

職業:保険会社勤務.

現病歴:前日からかなり飲酒していた.来院当日,昼間は元気だったが,留守にしていた家族が午後3時半頃帰宅するとベッド上でいびきをかいて寝ているのを発見した.呼びかけても応答がなかったため,救急車にて午後4時半頃当院へ搬送された.尿失禁,嘔吐あり.最近の外傷はなかったという.また,大量服薬を思わせるような薬の空きガラなども見つかっていない.検診は受けておらず,高血圧などがあったかどうかは不明.

来院時身体所見:右上肢の強直性間代性痙攣あり,左上下肢はまったく動かさず,右方への共同偏視あり.GCS E1V2M4,血圧90mmHg(上肢血圧は90~100mmHg[触診]前後で左右差なし,下肢血圧も100~110mmHg),心拍数74回/分,呼吸数24回/分,SpO2 99%(酸素マスク8l/分投与下),体温35.0℃(皮膚発汗あり).結膜に貧血・黄疸なし,頸部硬直なし,両側頸部で血管雑音聴取する,口腔内乾燥著明,呼吸音は清,心音は整・雑音なし,腹部は軟,腸蠕動音は亢進なし,腹部血管雑音なし.

神経学的所見(痙攣停止後):左の同名半盲あり,MMT;上肢右5/左1,下肢右5/左4,四肢の痛覚は詳細不明.深部腱反射;左側で亢進(左バビンスキー反射が陽性).瞳孔;右4.0mm,左3.0mm,両側の対光反射あり.明らかな脳神経の異常なし.

血液検査所見:全血算;WBC 17,300/μl,Hb 18.2g/dl,Hct 53.0%,Plt 27.7×104/μl.生化学;Na 142mEq/l,K 3.8mEq/l,Cl 107mEq/l,BUN 15mg/dl,Cre 1.1mg/dl,AST 19IU/l,ALT 19IU/l,LDH 284IU/l,血糖110mg/dl,CRP<0.10mg/dl.動脈血液ガス分析;pH 7.390,PaCO2 33.0mmHg,PaO2 156.0mmHg,HCO3- 19.6mEq/l,AG=15.

胸部単純X線(ポータブル臥位):図1.

心電図:図2.

 本例における患者が救急室へ到着した時,右上下肢を中心とする全身性の痙攣が持続していた.そこで初療医は,すぐにジアゼパムを緩徐に静注したところ,痙攣はすぐに停止した.痙攣終了後の診察において左片麻痺がみられ,急性の右脳梗塞やTodd麻痺などをまず考えたが,初療医は脳血管障害にしては来院時の収縮期血圧が90mmHgと低めであり,一般的な脳卒中とはバイタルサインが違うのではと考えた.初診医と一緒に診察していたシニア研修医は,原因不明の意識障害やバイタルサインと症状が乖離している脳卒中症状の場合には,必ず急性大動脈解離の可能性を忘れないようにと上級医からすり込まれていたため,初療室にて解離に伴う心囊液貯留を除外するために経胸壁心エコーを行った.

シネマ解題 映画は楽しい考える糧[2]

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自らの死後の準備を行う若い母親の物語

 本作品は,23歳になる二児の母親アンの物語です.ある日彼女は腹痛を主訴に病院を受診し,その日のうちに,胃および肝臓に転移した両側卵巣癌に罹患しており,予後2,3カ月と診断されます.彼女は自分が末期癌を抱えていることを誰にも打ち明けず,死ぬまでにすべき10項目をリストアップして,人生の最後を楽しむとともに自分の死後のための準備を始めます.その中には娘たちのために新しいママをみつける,思っていることを話す,夫以外の男と付きあってみる,刑務所にいる父親に会いに行く,などが含まれていました.

 作中では死に直面している女性のひとつの心の在り様が淡々と示され,鑑賞者はアンの最後の生活を目撃すると同時に彼女の心に去来する思いをナレーションで教えられます.フィクションですが,終末期診療を考えるヒントが多く含まれています.

私的小児科外来診療学入門[2]

[総論 その2]小児の診察 加藤 英治
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 診断が付かなければ,対症療法を除いて治療を行うことができません.治療に関してエビデンスを豊富に知っていても,診断が正確でなければ役に立ちません.また,ひとつの身体所見が早期診断に結びつくこともあります.正確な病歴と身体所見は診断の基礎です.小児の基本的な診察法は成書に譲り,診察で誤りやすい点や重要な点を述べます.

自分流の系統的な診察法を身に付けよう

 小児をなるべく裸にして全身をくまなく系統的に診察することは身体所見を見落とさないために大切ですが,保護者の信頼を得るためにも大切です.下痢をしている乳児で,「オムツかぶれがあるかな」と呟きながら臀部を観察すると,そこまで気を配って診察しているのかと母親が感心します.このようなスタンドプレイも医師に必要なテクニックです.

 学生時代に東京養育院病院から後に京大教授になられた亀山正邦先生の神経学的診察を拝見する機会がありました.両手とハンマーを使い,流れるような先生の診察はアートと表現すべき美しいものでした.診察の上手な医師を観察することは研修時代に大切です.誤診を防ぐために自分流の診断アプローチ法を作り,常に系統的診察を心掛けましょう.

プロフェッショナリズムについて考えるフォーラム 白衣のポケットの中[7]

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あなたの白衣のポケットの中には,製薬会社からもらった新薬のロゴ入りボールペンが入っていますか?多くの臨床医は製薬会社と「適切な関係」を結びたいと思っていますが,どのような関係が「適切」なのかという基準がはっきりしないために,実際のところは判断に困っています.誰もが密かに悩んでいるにもかかわらず,わが国の医療風土のなかでは,医師の間でこの問題が真剣に議論される機会は,ほとんどありませんでした.今回のシナリオは,当研究班が関心を寄せている「医師と営利企業との適切な関係の構築」という,大変難しいテーマに切りこみます.

感染症フェロー便り[15]

ずっと入院? 松永 直久
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症例

 61歳の男性,糖尿病および糖尿病性神経障害の既往歴あり.入院歴はなし.数カ月前に足の爪を切った後から,右足趾の腫脹・発赤が認められたが放置していた.やがて腫脹・発赤は右足全体に広がり,疼痛も発現して徐々に強くなり,入院前日より発熱・悪寒が出現したため,救急外来を受診した.血圧140/70mmHg,脈拍110/分,体温38.5℃,呼吸数20/分であった.右足底側の第2中足骨遠位部レベルに潰瘍が認められ,深度は骨にまで達していた.血液培養2セット採取ならびに深部組織の培養を提出後,アンピシリン・サルバクタム静注1回1.5g 6時間ごと,バンコマイシン静注1g 12時間ごとを開始し,入院となった.

 この症例では,糖尿病患者の皮膚軟部組織感染症なので,グラム陽性,陰性,嫌気性菌も含めたpolymicrobialな感染を考慮していますが,入院歴がないこともあり,緑膿菌をターゲットから外して抗菌薬を投与しているようです.もちろん,入院歴があったり,敗血症性ショックがあって失敗が許されない場合には,empiric therapyとして緑膿菌を含める方法もあるかもしれません.また,足底部の潰瘍が骨まで到達しているので骨髄炎を起こしていることが推測されます.

となりの総合診療部[32]

新潟市民病院総合診療科 矢部 正浩
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 新潟市民病院は,東北から南西にかけて300kmもの長さのある新潟平野のなか,日本一の長河信濃川の河口のほど近くにあります.新潟県といえば豪雪地帯として有名ですが,新潟市民病院のある新潟市は海沿いの地域であるため,雪はほとんど降りません.その代わり冬は日本海からの横殴りの風や雨,雪,みぞれがみられ,晴れ間のほとんどない季節です.逆に夏は非常に暖かくなる時もあり,日本海の夕日は絶品です.日本海の幸や新潟米,日本酒(〆張鶴,久保田,越の寒梅,雪中梅,八海山,麒麟山など)に代表されるように食べ物に関してすばらしい土地です.新潟市は2007年に日本海側で初めての政令指定都市になり,さらに発展していくと思われます.

 新潟市民病院は現在714床で,ほぼすべての診療部門を有する総合病院です.救命救急センター,新生児医療センター,一類感染症対応の感染症病棟などもあり,新潟大学医歯学総合病院とともに新潟県内では最も高度な医療を提供しています.残念ながら精神科入院病棟はなく,現在精神科の常勤医が欠員のため,精神科の外来診療は不十分な状態です.

 そのなかで総合診療科は,現在,入院診療,外来診療,救急外来での診療を行っています.スタッフは2名,シニアレジデントが1名ですが,副院長も以前総合診療科に在籍していたため,外来業務では副院長も関わっています.

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 今回,2007年3月12~16日までの間,アメリカのPittsburgh大学にてPittsburgh-Japan Program Faculty Development Workshopに参加する機会を得た.非常に示唆に富むワークショップであり,ここに感想を述べ報告する.

 このWorkshopは日本において臨床教育,臨床研修指導にあたる者を対象とした,1週間の米国式臨床教育視察,体験プログラムである.2000年から始まり,今年で100名の参加者となるこの企画は,Pittsburgh大学の卒前,卒後教育の概観を理解できるよう洗練され,よく構成されていた.

基本情報

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JIM
17巻8号 (2007年8月)
電子版ISSN:1882-1197 印刷版ISSN:0917-138X 医学書院

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