特集 疾患・治療概念の最近の変化
【治療】
COPD患者でのステロイド吸入療法
福地 義之助
1
1順天堂大学呼吸器内科
キーワード:
吸入ステロイド
,
COPD
,
気管支喘息
,
COPD増悪
,
末梢気道
Keyword:
吸入ステロイド
,
COPD
,
気管支喘息
,
COPD増悪
,
末梢気道
pp.688-690
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101199
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気管支喘息とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は閉塞性換気障害を共通の病態異常とする.しかし吸入ステロイドが気管支喘息のコントローラーとして治療の基幹薬物であるのに対して,COPDの安定期管理では,この薬物の位置づけは限定的なものである.
COPDの最新の定義
GOLD(Global initiative for Obstructive Lung Disease)によるCOPD診療指針では,COPDは次のように定義されている1).
“COPDは予防可能・治療可能な疾患であり,個々の患者の重症度には肺以外の症状も影響する.肺症状は,完全には可逆的ではない気流制限を特徴とする.この気流制限は通常進行性で,有害な粒子やガスに対する肺の異常な炎症反応と関連している.”
気管支喘息が気道の炎症であるのに対し,COPDが肺の炎症,すなわち,気道と肺胞の炎症であると述べていることに注目してほしい.喘息では気道過敏性の亢進によって起きる急性の呼吸困難は可逆性が大きいが,COPDの特徴である労作性呼吸困難は固定して変動が少ないことが通例である.
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