シネマ解題 映画は楽しい考える糧[2]
「死ぬまでにしたい10のこと」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部生命倫理学分野
pp.707
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101206
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自らの死後の準備を行う若い母親の物語
本作品は,23歳になる二児の母親アンの物語です.ある日彼女は腹痛を主訴に病院を受診し,その日のうちに,胃および肝臓に転移した両側卵巣癌に罹患しており,予後2,3カ月と診断されます.彼女は自分が末期癌を抱えていることを誰にも打ち明けず,死ぬまでにすべき10項目をリストアップして,人生の最後を楽しむとともに自分の死後のための準備を始めます.その中には娘たちのために新しいママをみつける,思っていることを話す,夫以外の男と付きあってみる,刑務所にいる父親に会いに行く,などが含まれていました.
作中では死に直面している女性のひとつの心の在り様が淡々と示され,鑑賞者はアンの最後の生活を目撃すると同時に彼女の心に去来する思いをナレーションで教えられます.フィクションですが,終末期診療を考えるヒントが多く含まれています.
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