特集 疾患・治療概念の最近の変化
新しい知識や概念にいかにキャッチアップするか―プライマリ・ケア医にとって生涯教育とは何か?
藤沼 康樹
1,2
1日本生協連医療部会家庭医療学開発センター
2生協浮間診療所
キーワード:
家庭医
,
生涯教育
,
成人学習
,
2次資料
,
不確実性
Keyword:
家庭医
,
生涯教育
,
成人学習
,
2次資料
,
不確実性
pp.646-649
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101185
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生涯教育のミッション
生涯教育の目的は,プライマリ・ケア医とそのチームが提供している「医療」の質を向上させることで,患者や地域の健康に貢献することにある.これは,「業績」のためではないことに注意したい.業績を上げるための生涯学習は方法論が異なる.プライマリ・ケア医にとってキャッチアップすべき新しい知識や概念とは,専門領域のトピックスではなく自身の医療の質向上に必要なものといえよう.
医師のパフォーマンスを規定するもの
医療の質を向上させるための要素のひとつは,医師の診療のパフォーマンスを向上させることである.医師のパフォーマンスの規定要因はさまざまあるが,基本的に以下の3つに規定されるといってよい.
まず個々の医師のコンピテンスであり,これは医師のもつ知識,技術,態度,問題解決能力のことである.しかし,医師のコンピテンスの向上だけでは医療のパフォーマンスの向上につながらない.医師の所属するチームの力量,所属している施設運営の質,さらに医療制度などのシステムもパフォーマンスを規定する.そして医師の個人的資質としての性格,人間性,精神的健康などの要因がパフォーマンスに寄与している.生涯学習を考える際に,医学的な知識や技術にとどまらず,チームメンバーの成長,施設運営の改善,個人の人間的成長などもその視野に入れなければならないといえよう.
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