プライマリ・ケアのリスクマネジメント[8]
CVカテーテル穿刺不成功は医療過誤か?
長野 展久
1
1東京海上日動メディカルサービス/東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科司法医学
pp.340-344
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100325
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CV(中心静脈)カテーテルの挿入は,中心静脈圧測定による病態把握のみならず,経口摂取ができない患者へは中心静脈栄養を行うなど,重症患者の治療には必要不可欠な医療行為です.そして研修医を含む若手医師にとっては,CVカテーテル挿入を適切に行うことが一人前の医師になるためのステップでもあり,一発で挿入できた時の喜びは多くの医師が経験していることだと思います.
ところが医事紛争の増加とともに,CVカテーテル挿入に伴うさまざまな有害事象が,医療過誤かどうか厳しく問われるようになりました.たとえば,鎖骨下静脈穿刺による気胸や出血は医師にとっては常識ともいえる合併症ですが,患者側の納得が得られないと,「説明義務違反」(カルテ記載が不十分で承諾書をとっていない場合),あるいは「注意義務違反」(出血傾向などの病態把握が不十分な時や,経験の乏しい医師が担当した場合)と判断される傾向が強くなりました.
そこで今回は,CVカテーテル挿入時に合併した出血がもとで死亡した症例を呈示し,CVカテーテルの安全管理について検討してみたいと思います.
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