私的小児科外来診療学入門[2]
[総論 その2]小児の診察
加藤 英治
1
1福井県済生会病院小児科
pp.708-712
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101207
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診断が付かなければ,対症療法を除いて治療を行うことができません.治療に関してエビデンスを豊富に知っていても,診断が正確でなければ役に立ちません.また,ひとつの身体所見が早期診断に結びつくこともあります.正確な病歴と身体所見は診断の基礎です.小児の基本的な診察法は成書に譲り,診察で誤りやすい点や重要な点を述べます.
自分流の系統的な診察法を身に付けよう
小児をなるべく裸にして全身をくまなく系統的に診察することは身体所見を見落とさないために大切ですが,保護者の信頼を得るためにも大切です.下痢をしている乳児で,「オムツかぶれがあるかな」と呟きながら臀部を観察すると,そこまで気を配って診察しているのかと母親が感心します.このようなスタンドプレイも医師に必要なテクニックです.
学生時代に東京養育院病院から後に京大教授になられた亀山正邦先生の神経学的診察を拝見する機会がありました.両手とハンマーを使い,流れるような先生の診察はアートと表現すべき美しいものでした.診察の上手な医師を観察することは研修時代に大切です.誤診を防ぐために自分流の診断アプローチ法を作り,常に系統的診察を心掛けましょう.
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