特集 疾患・治療概念の最近の変化
【治療】
サリドマイドの多発性骨髄腫治療薬としての可能性
服部 豊
1
1慶應義塾大学医学部血液・感染・リウマチ内科
キーワード:
多発性骨髄腫
,
サリドマイド
,
レナリドマイド
,
ボルテゾミブ
,
腫瘍血管新生
Keyword:
多発性骨髄腫
,
サリドマイド
,
レナリドマイド
,
ボルテゾミブ
,
腫瘍血管新生
pp.675-677
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101194
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
多発性骨髄腫治療の現状とサリドマイド療法登場の経緯
多発性骨髄腫(以下,骨髄腫)は,診断時の平均年齢は60代と高齢者に多く,近年人口10万人当たりの年間発症率は2人を超えるようになり,増加傾向にある.造血器腫瘍の中では,悪性リンパ腫および白血病に次いで頻度が高い疾患である.1960年代にメルファランとプレドニゾロンの併用療法(MP療法)による病勢コントロールが行われるようになり,その後多剤併用療法が試されたがいずれも有効性について有意な差を認めず,高齢者に対しては未だにMP療法が骨髄腫の標準的治療法である.
近年,65歳以下の比較的若年症例に対しては,自家造血幹細胞移植療法が標準的治療とされる.メルファランに造血幹細胞障害性があることより,同剤を用いず,ビンクリスチン+ドキソルビシン+デキサメタゾン(VAD療法)により寛解導入を行った後,自家末梢血より採取した幹細胞を移植する1).これにより,完全寛解導入率および生存期間が延長することがわかった.しかし骨髄腫と診断されたほぼ全症例は早晩再発をきたし最終的には致命的となる.したがって,新しい治療法の開発が望まれる.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.