特集 疾患・治療概念の最近の変化
【治療】
アドレナリン自己注射の適応拡大
佐藤 さくら
1
,
海老澤 元宏
1
1独立行政法人 国立病院機構相模原病院臨床研究センター アレルギー性疾患研究部
キーワード:
アナフィラキシー
,
アドレナリン自己注射
,
食物アレルギー
,
予防対策
Keyword:
アナフィラキシー
,
アドレナリン自己注射
,
食物アレルギー
,
予防対策
pp.680-682
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101196
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Case
エピペン(R)が著効した食物アレルギー患者
症例は17歳のナッツアレルギー患者で,ヘーゼルナッツによるアナフィラキシーショックの既往があった.ヘーゼルナッツの抗原特異的IgE値は1.38Ua/mlで,以前のアナフィラキシー発症時には,ルート確保とステロイドの治療のみが行われ,血圧低下が遷延し,当科搬送後,アドレナリン筋肉注射を2回行い,ステロイド薬投与を施行され,数時間後にようやくショック症状が改善した.
2005年8月,夕食時にサラダの中に入っていたクルミを誤食し,直後より咽頭絞扼感が出現したため本人がエピペン(R)を使用した.約10分後に咽頭絞扼感は消失し,エピペン(R)使用後の主治医への電話による報告時には咽頭搔痒感のみ残っていた.
ヘーゼルナッツによるアナフィラキシーショック時の臨床経過とクルミの誤食時の経過を比較すると,症状早期からのエピペン(R)の使用によりショックへの進展を防ぐことができたと考えられる.
アドレナリン自己注射薬(以下,エピペン(R))は,アナフィラキシーの補助治療薬である.米国ではすでに約20年前よりアドレナリン自己注射薬が発売されていた.わが国では2003年に蜂毒アナフィラキシーに対するアドレナリン自己注射薬(エピペン(R)0.3mg)の使用が認可され,2005年4月より食物,薬物によるアナフィラキシーへの適応が拡大された.またこれと同時にエピペン(R)0.15mgが発売され,小児から成人までの患者に処方可能となった.本稿では,アナフィラキシーの治療におけるエピペン(R)の位置付けについて解説する.
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