特集 疾患・治療概念の最近の変化
【治療】
降圧薬の降圧以外の臓器保護作用
大蔵 隆文
1
,
檜垣 實男
1
1愛媛大学大学院病態情報内科学(第二内科)
キーワード:
Ca拮抗薬
,
ACE阻害薬
,
ARB
,
冠動脈疾患
,
脳卒中
,
慢性腎臓病
Keyword:
Ca拮抗薬
,
ACE阻害薬
,
ARB
,
冠動脈疾患
,
脳卒中
,
慢性腎臓病
pp.666-668
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101191
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Case
ARBの投与により糖尿病性腎症の進展が抑制された1例
患者:54歳男性.
現病歴:20年前より糖尿病のため近医で加療していたが,徐々に浮腫が出現したため当科を受診した.受診時血清蛋白は5.8g/dl,血清アルブミンは1.3g/dlで,1日尿中蛋白排泄量は6.8gであった.また血圧は172/96mmHg,クレアチニンは2.1mg/dlであった.病歴より糖尿病性腎症に伴うネフローゼ症候群と診断した.Ca拮抗薬,利尿薬で浮腫が改善しないため,血清カリウム,クレアチニンの上昇に注意しながら,少量のARBを開始し,徐々に増量した.約2カ月の経過で1日尿蛋白は1g以下に低下した.また腎機能もその後8年間ほぼ変化なく経過している.
高血圧治療における最大の目標は,高血圧に伴う臓器障害の進展を予防することである.このためには,現在降圧が最も大切であることが明らかになっているが,最近の研究でこの降圧効果に加えて,それぞれの降圧薬が有する降圧以外の臓器保護作用も注目されている.
本稿では,Ca拮抗薬とレニン-アンジオテンシン系抑制薬の降圧以外の臓器保護作用について概説する.
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