皮膚科の臨床 62巻3号 (2020年3月)

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60歳代,女性。くも膜下出血術後,多剤投与を開始した。その後発熱,全身に紅斑が出現した。初診時,全身に紅斑・水疱・びらん,眼には瞼球癒着,偽膜がみられ重症のStevens-Johnson症候群と診断した。ステロイドパルス後γ-グロブリン投与,偽膜除去術も施行され,後遺症なく軽快した。被疑薬をすべてワセリンにて30%濃度で希釈し,パッチテストを行った。セレコキシブのみ陽性であった。1,5,10,30%濃度で再施行したところ,48時間後は30%濃度のみ陽性であった。72時間後には10%濃度まで陽性となったためセレコキシブを原因薬(内服開始後12日目に症状出現)と考えた。報告例でもパッチテスト陽性例が比較的多く,原因薬同定に有効と考えた。

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90歳,女性。高血圧,胸部大動脈瘤で降圧薬と抗血小板薬を内服していた。初診時,体表面積50%のびらんがあり,中毒性表皮壊死症(TEN)と診断した。高用量ステロイドの全身投与を開始したが,びらんが拡大したため免疫グロブリン大量静注療法を追加し,治癒した。その後再発を認め,皮疹は改善したが,原疾患の大動脈瘤破裂で死亡した。高齢発症のTENの臨床的特徴を調べるため,当科で過去19年間に経験したTEN 25例について検討した。70歳以上の高齢者では,70歳未満と比較し受診が遅れる傾向があり,またTEN治療中の感染症・敗血症のリスクが有意に高いことがわかった。高齢発症例ではより慎重な治療選択が重要と考えられた。

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57歳,男性。統合失調症,アルコール依存症のため加療中。酩酊し路上で倒れ前医に搬送された。発熱と全身に紅斑とびらんが出現し,当院に転送された。眼脂を付着し,口唇は血痂が固着,体幹四肢は紅斑が融合し水疱・びらんを伴った。病理組織学的所見では表皮の広範な壊死と表皮下水疱,真皮乳頭層から乳頭下層に密なリンパ球浸潤があり,表皮内浸潤も伴った。極期に表皮剝離面積が90%に達し,中毒性表皮壊死症と診断した。プレドニゾロン内服と免疫グロブリン大量静注療法を開始し救命し得た。パッチテストでシアナミド(シアナマイド®)が陽性で原因薬と考えた。シアナミドの薬疹を疑う場合はパッチテストを施行することが重要と考えた。

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86歳,女性。7年前からテルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩配合剤を内服しており,8カ月前から四肢に角化性紅斑が出現してきた。病理組織学的に扁平苔癬と診断し,アムロジピンベシル酸塩を中止した。5週間後には無治療で皮疹はほぼ治癒し,扁平苔癬型薬疹と診断した。降圧薬による扁平苔癬型薬疹は近年カルシウム拮抗薬とアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬による報告が多い。扁平苔癬型薬疹は皮疹の分布が左右対称性で,多彩な臨床症状を呈し,発症までの期間および軽快までの期間が長い特徴を有する。しかし特発性の扁平苔癬との鑑別は難しく,すべての扁平苔癬で薬剤性の可能性を考慮することが大切である。

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40歳代,女性。薬剤摂取後,計3回アナフィラキシーショックとなり精査目的で受診した。摂取した薬剤のプリックテストを施行したところ,セフカペンピボキシルが陽性であった。他の抗菌薬のプリックテストにてセフトリアキソンが強陽性であり,交叉反応を認めた。セフカペンピボキシルのR1側鎖の構造がセフトリアキソンのR1側鎖と類似していた。セフトリアキソンのR1側鎖とまったく同じ構造をもつ他の薬剤ではプリックテスト陰性であった。セフカペンピボキシルとセフトリアキソン間のみに交叉反応を認め,R1側鎖のみならず立体構造も交叉反応に関与していた可能性を考えた。

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13歳,女児。色素性痒疹に対して,近医で6週間前からジアフェニルスルホン(DDS)75mg/日の内服を開始した。10日前から40°Cの発熱,全身倦怠感,肝酵素上昇,異型リンパ球が出現した。初診時,全身に紅斑,下口唇粘膜にびらんがあり,HHV-6 DNA陽性であった。DDSによる薬剤性過敏症症候群と診断し水溶性プレドニゾロン(PSL)80mg/日を開始した。肝酵素は改善,解熱し全身状態が改善するも皮疹は遷延した。PSLを徐々に漸減し中止後に再燃はなかった。HHV-6 IgG抗体価は初診時には40倍であったが4週間後に640倍へ上昇,HHV-6の再活性化を認めた。本邦ではDDSによる小児発症の薬剤性過敏症症候群は報告例がなく,まれである。

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63歳,女性。急性前骨髄球性白血病再発の寛解導入療法のため三酸化二ヒ素の投与を開始された。投与11日目に間擦部を中心に粟粒大の汗疹状丘疹が多発し,軽度の痒みを伴った。ヒ素の中毒性による薬疹を疑い,投与を中止せずステロイド外用で治療したところ,皮疹は徐々に消失した。その後地固め療法のため三酸化二ヒ素を再投与されたが皮疹の再燃はなく,パッチテストは陰性であった。自験例の皮膚所見は和歌山毒物カレー事件の急性ヒ素中毒,過去の三酸化二ヒ素による薬疹と類似していた。これらヒ素による汗疹状丘疹はアレルギー性か中毒性によるものか不明であったが,自験例からヒ素の中毒性によるものではないかと考えた。

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68歳,女性。21年前より2型糖尿病があり,腹部にインスリン皮下注射を行っていた。約10年前より腹部に結節を生じ,徐々に増数増大した。初診時,腹部に皮表に変化を伴わない拇指頭大の弾性硬の結節が4個散在した。病理組織学的に,真皮から脂肪組織に好酸性に染まる無構造な沈着物を塊状に認めた。無構造物質はダイレクトファーストスカーレット染色で橙赤色に染色され,抗インスリン抗体染色で陽性を示した。インスリン由来のアミロイドと同定し,インスリンボールと診断した。結節部へのインスリン注射を避けるよう指導し,その後結節の増大はみられていない。インスリンボールは血糖コントロール不良の原因となる可能性がある。

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現病歴 10月初旬,朝から発語を認めなくなったため当院へ救急搬送された。頭部CT,頭部MRIでは脳出血,脳梗塞は認めず,血液検査では意識障害の原因となる異常は認めなかった。連日,大量の飲酒歴があり,ウェルニッケ脳症を疑い左足背の末梢静脈より輸液ポンプを使用し,フルスルチアミン(アリナミン® F)を1500mg/日投与した。投与5日目に同部で血管外漏出があり,水疱を形成したため,投与7日目に当科を紹介受診した。

巻頭言

絶滅危惧種? 福田 知雄
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巻頭言の依頼をいただき,何を書こうか迷ったが,奇をてらわず,自分が一番関わってきた皮膚真菌症の話を書くことに決めた。私が慶應義塾大学医学部を卒業したのが1987年。当時は初期臨床研修制度が義務化されておらず,スーパーローテを回ることなく,卒業後直ちに皮膚科に入局した。慶應義塾大学で2年間研修を積んだ後,国立東京第二病院皮膚科に2年間出向,1991年に慶應義塾大学に戻り,縁あって真菌班の研究室に配属された。当時の大学には西川武二教授,原田敬之助教授,仲弥講師など5人の真菌症を専門とするメンバーがいて,多くのことを教わり,仲弥先生には学位指導も受けた。私の後にも2人の優秀な後輩が真菌班に入ってきた2000年代前半までが真菌班の黄金期だったように思われる。2020年オリンピックイヤーを迎えた現在,慶應義塾大学に真菌班はすでになく,以前は当然であった皮膚科医自ら真菌培養,同定を行っている施設が少なくなった。日本医真菌学会に所属し,かつ大学病院に残っている皮膚科医の数が年々減っている。皮膚真菌症を専門とする皮膚科医は今や絶滅危惧種状態にある。皮膚真菌症は,白癬だけでも日本人の2割以上が罹患しているとされる,皮膚科医が日常診療のなかでもっとも遭遇する確率の高い皮膚疾患群の一つである。なくすわけにはいかない大切な分野であり,オリンピックイヤーを機に何とか盛り返していけないものかと考えている。

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現病歴 初診5カ月前に左前腕に皮疹を認め,徐々に体幹四肢に拡大してきたため当科を受診した。虫刺症の既往はない。瘙痒や疼痛などの自覚症状はなかった。

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局所免疫療法,エキシマライト療法に治療抵抗性である慢性期円形脱毛症患者28例に対して,クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート®軟膏)の密封療法を施行し,その効果と患者背景を検討した。有効例は28例中16例,有効率は57%(多発型75%,汎発型53%,全頭型0%),有効症例群における軟毛の発毛時期は治療開始後4~16週(平均9.9週)であった。罹患期間10年以上や中高年の症例においても3割以上の有効率が得られた。有効症例16例中8例が再燃した。再燃や副作用に留意する必要はあるが,治療抵抗性の難治性円形脱毛症に試みる価値があると考える。

Dr.斎田の皮膚科診断講座

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症例情報 35歳,女性。数年前から両下腿に網状の紫紅色斑が生じるようになった。2年ほど前に両足関節部に有痛性の小潰瘍が生じ,その後,軽快・増悪を繰り返している。当科初診時の左足関節部の臨床画像を図1に,そのダーモスコピー画像を図2に示す。下腿に静脈瘤は認められず,特記すべき他臓器症状もみられなかった。

ちょっと一息 医局ラウンジ

第27回 東海大学
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小規模ながらも歴代教授が専門としていた乾癬の臨床・研究を主軸に置きつつ,それだけにはとらわれずに他科や他学部とも共同で研究などを行っています。

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45歳,男性。20年前に潰瘍性大腸炎(UC)と診断され,プレドニゾロン内服加療を開始した。小康状態となり11年前からメサラジン内服に変更されたが,症状が再燃し,白血球除去療法を行ったものの寛解には至らなかった。2年前から下腿に紫斑の出現を繰り返していた。2カ月前から腹痛,下痢,血便が増悪し,紫斑の出現も頻回となり当科を受診した。初診時,左下腿遠位外側に5.5×3cm大の軽度浸潤を触れる紫斑があった。生検の病理組織では真皮に白血球破砕性血管炎(LV)がみられた。下腿の紫斑はUCに伴ったLVと診断した。皮膚に生じるLVはUCの活動性を反映する可能性が指摘されており,重要なUC関連腸管外病変のひとつであると考える。

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72歳,男性。水疱性類天疱瘡を発症,プレドニゾロン(PSL)投与により症状は軽快した。PSL漸減中に労作時呼吸苦および四肢・体幹の紫斑,皮下血腫が出現した。貧血,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)延長,第Ⅷ因子低値,第Ⅷ因子インヒビター陽性より後天性血友病Aの合併と診断した。PSLを増量,活性型凝固因子製剤,止血剤投与を開始し,シクロホスファミドを併用したが効果なく,リツキシマブを投与したところ症状,検査値とも改善した。後天性血友病Aは治療抵抗性の場合,致死的となるため,水疱性類天疱瘡治療中の紫斑,皮下出血には本症の可能性を考え注意する必要がある。

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46歳,女性。母,妹に同症あり。10年前より鼠径部の痒みを自覚し,他院で体部白癬の診断のもと加療されたが改善なく当科を受診した。初診時,肛囲に痒みを伴う浸軟した痂皮,びらん,小水疱を認めた。病理組織学的所見は表皮に棘融解と裂隙形成,好酸性の細胞質を有す円形細胞を認めた。Strongクラスのステロイド外用薬で加療するも著効なく,涼しい季節に改善傾向があった。遺伝子検査にてATP2C1遺伝子変異を認め,Hailey-Hailey病と診断した。自験例は,体部白癬や脂漏性皮膚炎として長期間加療されていたが改善せず,初診時診断に苦慮した症例であったが,間擦部に再発性の浸軟した痂皮やびらんを認める際は,本症も念頭に置く必要がある。

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日齢0日,男児。亀裂を伴う厚い角質に全身が覆われて出生した,道化師様魚鱗癬の新生児症例を経験した。家族歴に血族結婚はなく,妊娠41週2日,前期破水,原発性微弱陣痛のため帝王切開にて出生した。アプガー指数は1分後9点/5分後9点,出生時体重は3182gであったが,全身が硬く厚い角質に覆われた状態であり,新生児集中治療室に入室となった。肺出血による呼吸不全のため日齢3日で永眠した。患児の皮膚組織ならびに両親の末梢血より遺伝子解析を行った結果,ATP-binding cassette subfamily A member 12ABCA12)遺伝子変異の複合ヘテロ接合体による,道化師様魚鱗癬と診断した。道化師様魚鱗癬はまれな疾患かつ長期予後の報告が少ないため,合併症を含め,今後の症例の蓄積が望まれる。

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56歳,男性。当科初診の1年前から全身に瘙痒を伴う皮疹が出現した。近医皮膚科の血液検査で好酸球の著明な上昇があった。当科受診時,体幹・四肢に小豆大までの紅色丘疹や不整形の紅斑が多発し,左肘窩,左手首,左後頸部には鶏卵大の皮膚結節が散在していた。両鼠径部のリンパ節腫脹,末梢血好酸球の著明な上昇も認められた。悪性リンパ腫や血液系悪性腫瘍は否定され,特発性好酸球増多症候群と診断した。プレドニゾロン増量で改善したが,漸減時に再燃した。免疫抑制剤を併用したが,改善に乏しく,現在ハイドロキシウレアを併用して治療をされている。特発性好酸球増多症候群で結節病変を呈すのは珍しく,ハイドロキシウレアを使用した症例であった。

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76歳,女性。初診2カ月前に外陰部の瘙痒を自覚し,当科を受診した。初診時,外陰全体の脱色素斑と,左小陰唇の皮膚腫瘤を認めた。脱色素斑を生検し,病理組織学的に表皮の菲薄化,表皮基底層の液状変性,真皮上層での膠原線維の硝子化を認め,硬化性萎縮性苔癬と診断した。左小陰唇の皮膚腫瘤を切除し,真皮乳頭部に泡沫様の細胞の集簇を認め,硬化性萎縮性苔癬上に生じた疣贅状黄色腫と診断した。ステロイド薬の外用療法で瘙痒は軽快し,その後も硬化性萎縮性苔癬の増悪や,二次的な皮膚病変の発生はなく経過している。硬化性萎縮性苔癬を発生母地として生じる腫瘍としては,有棘細胞癌の報告が多いが,疣贅状黄色腫も鑑別に入れる必要がある。

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55歳,女性。15カ月前に肘窩,頸部,腋窩などに黄色調色素斑が出現した。病理組織検査でCD68陽性の泡沫細胞を認め,正脂血性びまん性扁平黄色腫と診断した。また,9カ月前には右手関節に痺れと疼痛を自覚し,1カ月前に形成外科で手術が行われ,病理検査の結果,腱黄色腫と診断した。このときの術前検査で総蛋白高値,赤血球連鎖形成像を認め,それを契機に多発性骨髄腫の診断に至った。びまん性扁平黄色腫は造血器疾患に合併する例が多いとされているが,腱黄色腫が多発性骨髄腫と合併した報告は極めて少なく,自験例は非常にまれで興味深い症例であると考えた。

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19歳,女性。14歳頃に右臀部に皮疹が出現し,線状に遠位方向に拡大した。19歳時に症状が再燃し,ステロイド外用で改善が乏しく,当科を受診した。右下肢に瘙痒を伴う多数の紅色丘疹がBlaschko線に沿って列序性に配列していた。病理組織では,一部に不全角化を伴う角質肥厚があり,顆粒層は全体的に消失,菲薄化していた。表皮は肥厚し,表皮直下には毛細血管の拡張,血管周囲性に細胞浸潤がみられた。炎症性線状疣贅状表皮母斑と診断し,ステロイド,ビタミンD3製剤の外用を開始して,皮疹や瘙痒は徐々に改善した。本疾患は治療抵抗性であるが,ステロイドおよびビタミンD3製剤の外用は治療の選択肢になると考えた。

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54歳,男性。51歳頃より右胸部から背部にかけて皮疹を自覚していた。受診時,右胸部,側胸部,背部のTh4~6領域に境界不明瞭な不整形の毛細血管拡張を認めた。病理学的所見にて片側性母斑性毛細血管拡張症の特徴に加え,膠原線維の肥厚増生と弾性線維の断裂がみられた。これらの特徴を併せもった症例は過去の報告がなくまれと思われた。膠原線維の肥厚増生と弾性線維の断裂を生じた理由,皮膚モザイク病の発生機序,さらに今後の治療の展望について考察した。

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68歳,男性。糖尿病性腎症で透析中。頭部血管肉腫に対して放射線療法,化学療法,免疫療法,外科的切除を組み合わせた集学的治療を行うも,肺,肝臓,脾臓に多発転移が出現した。透析中に血圧低下と貧血の進行があり,またCTで血性腹水がみられた。放射線治療を計画したが治療前に再度急激な血圧低下と背部痛をきたし死亡した。病理解剖で,原発巣周囲の皮膚再発のほか,肝臓,肺,脾臓に血管肉腫の転移が確認された。脾転移の被膜破綻と1800mlの血性腹水を認め,出血性ショックが直接の死因と判明した。皮膚原発血管肉腫の脾転移はまれであるが,脾転移がある場合は脾破裂の可能性を念頭に置き治療する必要がある。

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4カ月,女児。生後3カ月頃よりステロイド不応性の出血性丘疹を含む丘疹がみられ当科を受診した。初診時,体幹と後頭部に粟粒大程度までの一部に痂皮が付着した紅色丘疹が散在し,病理組織所見でlangerin陽性の組織球様細胞の浸潤がみられ,Langerhans細胞組織球症と診断した。全身精査にて皮膚以外の臓器病変を認めず,初診約4カ月後に皮疹は自然消退した。以後も,定期的な検査を含む経過観察では再発や他臓器の病変は認めていない。頻度は低いがステロイド不応性の皮疹をみた場合にはLangerhans細胞組織球を疑うことが大切であり,自然消退した後に他臓器で再燃をきたすことがあるため,自験例も今後の経過観察が重要と考えた。

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48歳,男性。5カ月前から出現し徐々に拡大する紅色小丘疹を主訴に来院した。真皮にS-100蛋白陽性,CD1a,CD68染色陽性,Langerin陰性の組織球様細胞が浸潤増殖しており,indeterminate cell tumor(ICT)と診断した。ICTはLangerhans細胞に類似する組織球様細胞が皮膚において反応性に増殖するまれな疾患である。自験例はHMG-CoA還元酵素阻害薬であるプラバスタチンの投与によって症状改善を認めた。プラバスタチンによる治療報告はわが国では初めてで,海外のものを含めても自験例が2例目である。

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生後26日,男児。生下時より頤部,背部に痂皮を伴う黄色調の小結節が多発し,徐々に全身へ広がった。病理組織学的所見では,真皮にくびれた核を有するコーヒー豆様の組織球様細胞が密に浸潤していた。CD1a陽性,S-100蛋白陽性で,Langerhans cell histiocytosisを考えた。小児科医による診察ならびに各種画像検査にて骨や内臓に病変の指摘はなかったが,採血でAST 92IU/l,ALT 80IU/lと高値を認めた。その後,皮疹は生後6カ月で自然消退し,1年経過した現在,皮疹の再燃なく肝障害も軽快している。以上の経過によりcongenital self-healing reticulohistiocytosisを考えた。自験例は,肝障害の合併もあり,今後も長期の経過観察が必要と思われる。

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75歳,男性。2年前より右鼠径部に自覚症状のない結節があり,徐々に増大してきたため当科を受診した。初診時,右鼠径部に13×6×8mm大,広基有茎性で弾性軟の紅褐色結節を認めた。病理組織学的所見では,表皮に著変なく,真皮内に結合織性線維性被膜で覆われた結節性病変が散在していた。腫瘍塊は異型性のない楕円形核を有し,S-100蛋白染色陽性の好塩基性細胞で構成され,柵状に配列し密に集簇する部分と間質が豊富で細胞成分が乏しい部分が混在していた。以上より,自験例を蔓状神経鞘腫と診断した。自験例は鼠径部というまれな発症部位に生じ,広基有茎性の臨床像を呈していた点も特異であり文献的考察を加え報告した。

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62歳,女性。過去3回,帯状疱疹の既往がある。3日前から,右頰部と右胸部に紅斑,水疱が出現した。Tzanck試験は胸部で陽性,頰部では陰性であった。水痘・帯状疱疹ウイルス抗原キット(デルマクイック® VZV)を使用し,両領域の水疱から水痘・帯状疱疹ウイルス抗原を検出し,複発性帯状疱疹と診断した。アシクロビルの投与で軽快した。複数の領域の皮疹それぞれから水痘・帯状疱疹ウイルス抗原を迅速に検出できる水痘・帯状疱疹ウイルス抗原キットは,複発性帯状疱疹の診断に有用と考えた。

憧鉄雑感

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新型コロナウイルスが猛威を振るっている。2020年2月4日現在,マスコミ報道は市民不安を煽るような報道も相まって,一部極論も飛び交っている。いやしくも医師である筆者は,皮膚科専門知識こそ貧弱であっても医療全般においては一般市民よりは幾何か上かもしれぬ。しかし,今後の展開などてんでわからぬ。要は個人レベルでの徹底した感染予防が重要であり,マスクの着用,こまめな手洗い,アルコール消毒と室内の換気の励行であろう。事実,航空会社職員が一斉にマスク着用を開始したが,これは暗に旅客にも同様の配慮を求めることとなり好ましいことである。更に各所に石鹸や消毒液が準備され,あとは個人の自覚と実践である。

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現病歴 2017年10月から持続血糖測定(continuous glucose monitoring;CGM)の器具である「FreeStyleリブレPro」(アボットジャパン株式会社,以下リブレPro)の装着(図1)を開始し,2週間ごとに交換していた。2018年7月頃から装着部に紅色丘疹,紅斑が出現し,瘙痒感が強い。腹部や上腕など部位を変えても必ず発症する。最近では貼付2日目から瘙痒感がある。

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現病歴 15歳より顔面に急性に結節や腫脹が出現し,ステロイド内服後,短期間で軽快する経過を15歳時2回,17歳時1回,18歳時3回,19歳時4回,20歳時3回,21歳時5回,22歳時1回,25歳時1回,繰り返していた。19歳時1回,21歳時2回生検を施行されたが,診断に至らなかった。31歳まで再燃なく経過していたが,31歳時,初診2日前より顔面全体の腫脹が急激に出現したため当院を受診した。

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現病歴 2016年9月頃より胸部違和感,12月より咳嗽が出現したため当院呼吸器内科を受診し,左上葉肺腺癌の診断となった。放射線治療および化学療法を施行するも腹腔内リンパ節および脳転移が出現した。2018年5月,左前頸部に18×3cm大の疼痛を伴う浸潤性紅斑に気づいたため当科を紹介受診した。

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現病歴 患児が不自然な歩行をしていたために母親が不審に思い足趾を観察したところ,左第Ⅲ趾に髪がまきついていることに気づいた。同日近医にて髪を除去し,当院救急外来を受診した。翌日,当科を紹介受診した。

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編集後記

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皮膚科の臨床
62巻3号 (2020年3月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0018-1404 金原出版

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