特集 病態から考える薬物療法
第Ⅶ章 膿疱症
2 角層下膿疱症
岸本 恵美
1
,
小宮根 真弓
1
Megumi KISHIMOTO
1
,
Mayumi KOMINE
1
1自治医科大学,皮膚科学講座
キーワード:
角層下膿疱症
,
好中球性皮膚症
,
ジアフェニルスルホン
Keyword:
角層下膿疱症
,
好中球性皮膚症
,
ジアフェニルスルホン
pp.759-762
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003262
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角層下膿疱症は,好中球性皮膚症のひとつに分類されるまれな疾患で,1956年にSneddonとWilkinsonが6例をまとめて報告したのが嚆矢である1)。典型例では,躯幹,間擦部,四肢屈側などに無菌性,非毛孔性の膿疱が出現し,環状や蛇行状を呈して拡大する(図1)。個疹は初めから膿疱で始まるか,または水疱で始まり膿疱化し,それらが比較的速やかに痂皮を形成する。中心治癒傾向を示しながら,再発を繰り返して慢性に経過することが多い。汎発性膿疱性乾癬や急性汎発性発疹性膿疱症と異なり,発熱などの全身症状を伴うことは少ない。膿疱は,half-pustular,half-clear2)またはhypopyon(前房蓄膿)-like3)と表現される弛緩性膿疱である(図2)。中年以降の女性に好発するが,小児例も報告されている2)。組織学的には,角層下の好中球の集積が特徴的であり,ときに好酸球も混在する(図3-a)。一般的には海綿状態や棘融解はみられず,下床の表皮には変化が乏しい(ただし古い病変では棘融解を伴う症例もある)。好中球の表皮内浸潤像もみられる(図3-b)。
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