特集 子どものための食の安全
食品中の危害要因による問題とその対応 予防と治療 飽和脂肪酸やトランス脂肪酸摂取による健康への影響
岡田 知雄
1
1神奈川工科大学 応用バイオ科学部栄養生命科学科
キーワード:
冠動脈疾患
,
脂肪酸
,
食品中の脂肪
,
肥満
,
トランス脂肪酸
,
食品の安全性
,
小児の健康
Keyword:
Dietary Fats
,
Obesity
,
Child Health
,
Coronary Disease
,
Fatty Acids
,
Food Safety
,
Trans Fatty Acids
pp.1289-1293
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2019354716
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<Key Points>(1)飽和脂肪酸はそのすべてが冠動脈性心疾患発症と関連するわけではない。(2)C16、C18のような偶数鎖飽和脂肪酸は、冠動脈性心疾患のリスクが高く、C17のような奇数鎖飽和脂肪酸はそのリスクが少ないというように、飽和脂肪酸でも生理作用が異なる。(3)小児における飽和脂肪酸は成長の面から必要であるが、小児の研究は少なく、食事摂取基準にも、小児の飽和脂肪酸の摂取量の基準値は設定されていない。(4)飽和脂肪酸摂取と肥満の関係は以前いわれていたほど強固なものではない。Atkinsダイエットのようにむしろ体重軽減に寄与することもある。(5)トランス脂肪酸については、明確に健康への悪い影響は疫学的にも実験的にも証明されており、成長期における胎児への影響もほぼ明らかにされている。(6)わが国の現状では、トランス脂肪酸の摂りすぎの傾向にはないようであるが、多くの食品に使用されている現状は変わっていないので、食育として健康への悪い影響を教えるべきである。
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