症例
Mycoplasma pneumoniaeによる急性小脳失調症の1例
堀江 貞志
1
,
田中 朋美
,
和田 拓也
,
種市 尋宙
,
足立 雄一
1富山大学 医学部小児科
キーワード:
マイコプラズマ感染症
,
Mycoplasma pneumoniae
,
運動失調症-小脳性
,
構音障害
,
失書症
,
Tosufloxacin
,
Levofloxacin
Keyword:
Articulation Disorders
,
Mycoplasma Infections
,
Mycoplasma pneumoniae
,
Cerebellar Ataxia
,
Agraphia
,
Levofloxacin
,
Tosufloxacin
pp.1342-1345
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2020009045
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10歳女児。発症10日前に39℃の発熱と咳嗽が出現し、近医で抗菌薬を処方された。弛張熱が1週間程度続き、その後解熱して咳嗽も軽減し、発症2日前から学校に登校していた。発症当日(第1病日)の夜から急にふらついて転倒するようになり、第2病日には箸を落としたり呂律が回らなくなったりしたため、第3病日に前医受診した。小脳失調症を疑われたが、頭部CTや血液検査で異常は指滴されず、精査加療目的で第5病日に当科紹介入院となった。咽頭拭い液でのマイコプラズマLAMP法が陽性で、血清マイコプラズマ抗体価(PA法)も10240倍と著明な高値を示した。臨床経過からM.pneumoniae感染後に発症した急性小脳失調症と診断した。入院後は症状増悪なく、むしろ改善傾向にあったため、ステロイドなどの投薬は行わず自宅で経過観察することにし、第6病日に退院とした。症状は比較的速やかに改善し、発症後1ヵ月の時点で日常生活に支障がない程度にまで回復した。急性期の血清検査で抗ガラクトセレブロシド抗体のIgMが陽性であったが、回復期には陰性化した。
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