皮膚科の臨床 58巻12号 (2016年11月)

特集 細菌感染症

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Helicobacter cinaediによる蜂窩織炎6例の臨床的特徴について報告した。6例はいずれも多発性であったが、5例がCRP 5mg/dl以下(陰性2例を含む)で、発熱を認めた症例は4例であり、血液培養が陽性となるまでの日数は中央値4日であった。また、3例はセフカペンピボキシル塩酸塩、セファクロルが無効であり、1例に再発を認めた。本症の特徴として多発性の病変を呈しやすいこと、炎症反応が必ずしも高値とはならないこと、再発が多いこと、ならびにH. cinaediの培養は発育が遅いことが挙げられ、多発例の感染経路としてH.cinaediのbacterial translocationによる菌血症が考えられた。

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70歳代男。左下腿の腫脹、熱感を主訴とした。患者は水産物を扱う料理店店主で、魚を井戸水で洗う機会が多かった。打撲により左下腿に1cm大の潰瘍が生じた数日後に主訴が出現し、症状が増悪した。初診時には左下腿全体に熱感、腫脹と圧痛、境界不明な紅斑、左下腿伸側に潰瘍と緊満性の水疱を認め、臨床所見より左下腿の蜂窩織炎と診断して抗菌薬投与を開始した結果、臨床所見と検査所見は改善した。また、血液培養でShewanella algaeが検出され、全身性炎症反応症候群の診断項目を満たしたことからS.algae感染による敗血症と診断し、薬剤感受性検査の結果をもとに計4週間の抗菌薬投与を行い、略治した。自験例は肝胆道系疾患や悪性腫瘍の基礎疾患はなく、うっ滞性皮膚炎と外傷による潰瘍を生じていたことから、潰瘍を侵入門戸とした経皮的感染経路が最も疑われた。

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39歳女。初診前日に、特に誘因なく左手関節部に発赤と水疱が出現し、受診時には38.4℃の発熱と左上肢全体の発赤・腫脹、手関節部屈側の強い疼痛としびれ感を呈した。A群β溶血性連鎖球菌迅速検査陽性、細菌培養はStreptococcus pyogenes(3+)であり、単純CTでは前腕の皮下脂肪組織濃度の上昇と前腕屈筋群の筋腫大を認めたが、皮下のガス像はみられなかった。左上肢蜂窩織炎と診断して抗菌薬投与を開始するも疼痛は急速に進行し、翌日にはしびれ感の増悪と疼痛の消失を認め、左手の知覚異常と運動麻痺を生じたため、蜂窩織炎から続発したコンパートメント症候群と診断して減張切開とベンジルペニシリン、クリンダマイシンの点滴静注を行い、症状は改善した。

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68歳女。コントロール不良の糖尿病患者で、5年前より、そう痒感を伴う陰部の皮疹を自覚していた。2ヵ月前より外陰部のただれと排尿障害を認めたが放置していた。初診前日に下腹部痛が出現し、近医で施行された腹部CTで膀胱壁に沿ってリング状にガス貯留像を認めたため紹介受診となり、初診時には大陰唇とその周囲に壊死組織を固着する不整形の潰瘍を認め、周囲に紅斑を伴っていた。外陰部膿皮症に伴う気腫性膀胱炎と診断して尿道カテーテルを留置し、セフタジジムとクリンダマイシンの点滴静注および陰部潰瘍に対する外用を開始したところ、諸症状は改善し膀胱内のガス像は消失した。

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55歳女。右手の疼痛、腫脹を主訴とした。明らかな外傷の既往はなく、右手掌から手首にかけて著明な腫脹と手首屈側に境界明瞭な大豆大の紅斑がみられ、疼痛のため手指の屈曲は困難であった。右手首の皮下穿刺液よりA群溶連菌が検出され、蜂窩織炎として治療を開始するも症状は増悪し、右鼠径部、左足背にもA群溶連菌による軟部組織感染症が多発した。また、通常の蜂窩織炎よりも発赤が軽度で、手掌から手首にかけて限局した腫脹を認め、深部の感染症が疑われた。さらに、Kanavelの四徴を満たし、第13病日のMRIで手掌腱膜周囲、右前腕筋間に膿瘍形成を認めたため、化膿性腱鞘炎と診断してデブリードマンと持続洗浄療法を行い、炎症は徐々に沈静化した。

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57歳女。右中指の発赤・腫脹、排膿を主訴とした。3日前に仕事で軽微な外傷を受傷した後に主訴が出現し、抗菌薬を投与されるも軽快せず、細菌培養では創部からA群β溶血性連鎖球菌が検出された。経過と臨床所見から壊死性軟部組織感染症を考えて切開したところ、切開創からの排膿や脂肪組織壊死を認め、laboratory risk indicator for necrotizing fasciitis scoreは2点とlow riskであったが、総合的に壊死性軟部組織感染症と診断した。抗菌薬投与と創洗浄により症状は軽快したが、経過中に右中指の一部が完全に黒色壊死となり切断術を行った。

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51歳男。左下7歯う歯に対する根管治療4日後より左頬部の発赤腫脹、疼痛、開口障害が出現した。未治療の糖尿病があり、細菌培養ではPrevotella melaninogenica、P.denticola、α-Streptococcusが検出され、左頬部蜂窩織炎の診断でセフトリアキソンとクリンダマイシンを投与し、切開排膿を行ったが、皮下から筋膜にかけて壊死を認め、眼窩周囲まで腫脹が拡大したため壊死性筋膜炎と診断した。感受性検査の結果をもとに抗菌薬をメロペネムとメトロニダゾールに変更し、連日デブリードマンを行ったところ、症状は改善した。

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67歳男。初診3日前より発熱、全身倦怠感、食欲不振、右臀部疼痛、発赤を認め、その後も右臀部の疼痛が増悪した。右臀部皮下腫瘤の受診歴と糖尿病の既往歴があり、受診時には右臀部に中心部に膿疱を伴う鶏卵大の腫脹と高度の炎症反応を認め、感染性粉瘤からの蜂窩織炎や壊死性筋膜炎が疑われたが、単純CTにて会陰部から右傍前立腺、直腸周囲に大量のガス像を認め、ガス壊疽と診断した。抗菌薬投与、切開排膿とデブリードマンを行い、術後に敗血症性ショックを来たして薬物による血圧管理を要したが、炎症反応の低下に伴って創部は縮小した。自験例は粉瘤の感染からのガス壊疽であり、起炎菌の同定は困難であったが、臨床経過、糖尿病の既往、術中所見より非クロストリジウム性ガス壊疽が疑われた。

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59歳男。発熱と体幹・四肢の紅斑を主訴とした。水質調査で河川の汚泥に長時間触れた2日後より両肘と両膝に関節痛と紅斑が出現し、続いて発熱と咽頭痛、関節痛の増悪、体幹の紅斑を認めた。検査所見では炎症反応高値、肝機能障害と蛋白尿を認め、咽頭のA群β溶連菌抗原迅速法陽性より溶連菌感染症と診断し、皮膚生検所見から背部の皮疹は多形滲出性紅斑、下肢の皮疹は結節性紅斑と診断した。スルバクタム/アンピシリンの点滴開始により炎症反応と肝機能障害は改善し、蛋白尿の消失と皮疹の消退を認めたことから、これらの症状と検査異常はすべて溶連菌感染症によるものと判断し、感染部は咽頭と推測した。

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5年間に薬疹の疑いで薬剤リンパ球刺激試験(DLST)を測定した1098件499例についてDLST陽性率を調査した。DLST陽性症例率は24.4%、DLST陽性件数率は14.8%で、年度ごとにDLST陽性率は上昇しており、2剤以上陽性患者の26.7%に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が1つ以上含まれていたが、多剤陽性患者のstimulation index(S.I.)値は低めであった。また、薬剤系統別DLST陽性率はマクロライド系抗菌薬、セフェム系抗菌薬、NSAIDs、抗リウマチ薬、健康食品が高く、薬剤別ではカルバマゼピン、クラリスロマイシン、アモキシシリン水和物、NSAIDsが高かった。今回のDLST陽性率が低値であった理由は明らかにできなかったが、NSAIDsは他剤も陽性化しやすいこと、多剤陽性者のS.I.値が高い傾向はないことが示された。

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56歳男。体幹・両下腿の皮疹を主訴とした。WHO分類第4版に基づき骨髄異形成関連の変化を有する急性骨髄性白血病の診断で臍帯血移植待機中であり、発熱と主訴が出現したため受診した。前胸部と両下腿に3~5cm大で境界不明瞭な軽度浸潤を触れる有痛性紅斑が散在しており、皮膚生検の病理組織学的所見では真皮の全層性に好中球を主体とした炎症細胞浸潤を認め、Sweet病と診断した。生検後は経過観察としたが、2週間後には色素沈着を残すことなく皮疹は消退した。

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43歳男。左前腕の腫脹を主訴とした。急性膵炎に対し左前腕撓側の末梢静脈より濃度3.0%のガベキサートメシル酸塩(GM)を持続点滴した際に静脈炎を発症し、8ヵ月後の再診時には同部位に腫脹・発赤を認め、波動を触れた。単純CTでは左前腕の腫脹部に一致して皮下組織の炎症とそれに伴う浮腫性変化を示唆する皮下脂肪組織の濃度上昇を認め、皮膚切開にて膿汁が排出されたが、細菌培養は陰性であった。洗浄・外用による治療により創部から線維化した索状の組織が排出され、治療開始から約4ヵ月後に治癒した。自験例ではGMの長期間にわたる直接作用により静脈の血管壁や周囲組織がゆっくりと障害されて皮下組織の融解壊死が生じ、皮下膿瘍を形成したと考えられた。

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56歳男。発熱、口唇びらん、紅斑を主訴とした。高尿酸血症にてアロプリノール内服を開始したが、内服2週間後に発熱、眼球結膜充血、咽頭痛、嚥下時痛、口唇全体の壊死性変化を伴ったびらん、背部の発疹が出現し、Stevens-Johnson症候群の疑いで救急搬送された。第2病日には腹部、頸部、背部に水疱と表皮剥離が出現し、第3病日には体表面積の30%以上に及ぶ表皮剥離を認め、服薬歴と重篤な経過からアロプリノールによる中毒性表皮壊死症と診断した。第1病日よりステロイドパルス療法を開始し、第2病日より単純血漿交換療法を併用したところ、皮疹は14日で完全に上皮化した。また、過去の血漿交換療法施行例27例について検討した結果、早期の単純血漿交換療法が早期の上皮化に有効であると考えられた。

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52歳女。1週間前より前胸部に水疱が出現し、徐々に拡大した。半年前に前鼻孔癒着性狭窄に対する手術歴があり、受診時には躯幹を中心に小豆大から胡桃大の紅斑、水疱、びらんが散在し、口腔粘膜の潰瘍、両眼瞼・眼球結膜の炎症と癒着を認めた。血清中の抗BP 180抗体、抗デスモグレイン-1抗体、抗デスモグレイン-3抗体はいずれも陰性で、病理組織所見では表皮下水疱を形成しており、1M食塩水剥離皮膚を基質とした蛍光抗体間接法にて真皮側にIgGの沈着を認めた。免疫沈降法にて患者血清はラミニン332の165kDa α3サブユニット、145kDa α3サブユニットに反応したことから抗ラミニン332型粘膜類天疱瘡と診断した。プレドニゾロン内服で皮膚症状は抑制できたが、眼球・眼瞼粘膜の病変は難治であり、多剤併用療法を行うも最終的に失明した。

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80歳男。顔面の皮疹とそう痒を主訴とした。数週間前より前額部から鼻および両頬部にかけて軽度のそう痒と鱗屑を伴う紅斑が出現し、脂漏性皮膚炎の疑いでステロイドと抗真菌薬を外用するも無効であった。1ヵ月後には前額部の紅斑の辺縁が隆起して浮腫性の紅色局面となったが、明らかな丘疹や膿疱は認めず、好中球性紅斑、Sweet病、毛包性ムチン沈着症、Sjoegren症候群などの鑑別目的で生検を行った結果、毛包中下部に好酸球と好中球の浸潤、好酸球性膿瘍の形成を認め、好酸球性膿疱性毛包炎と診断した。インドメタシン内服・外用により前額部の紅斑局面は徐々に改善して2ヵ月後には略治状態となり、現在まで再燃は認めていない。

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症例1は63歳男で、2年前から陰股部に紅斑やびらんが生じ、1年前より増悪した。受診時には下腹部、鼠径部と陰嚢下面に紅斑、小水疱、びらんがあり、ミノサイクリン塩酸塩内服と抗菌薬外用によりびらんは上皮化し、症状をコントロールできた。症例2は症例1の長女の45歳女で、妊娠時(25歳)に発症し、両腋窩と鼠径部に紅斑と小水疱を認めた。エトレチナート内服および抗菌薬とステロイドの外用を開始し、副作用のため2、3日間で内服を中止したが、皮疹は消退した。いずれも病理組織学的所見では表皮内の棘融解による裂隙や異常角化細胞を認め、Hailey-Hailey病と診断した。本邦のHailey-Hailey病の親子例の報告は7組あったが、発症年齢は親子間でかなり異なり、試行された様々な治療法の中には奏効例の比較的多い治療法もみられた。

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症例1は28歳男で、陰茎包皮全周性に角化を伴う脱色素斑と硬化がみられたが、排尿障害はなかった。症例2は50歳男で、包皮と亀頭部が一部癒着して亀頭部全体にびらんと白色の角化を伴っていた。症例3は76歳女で、陰部のそう痒感と疼痛があり、陰核から肛門周囲に至る境界明瞭な脱色素斑を認め、小陰唇外側は大陰唇内側と癒着していた。3例は外陰部硬化性萎縮性苔癬(LSA)の疑いで紹介受診し、特徴的な臨床所見と病理所見よりLSAと診断して症例1は病変部の外科的切除を行い、症例3は経過観察とした。また、症例2は有棘細胞癌を併発しており、陰茎部分切除術、左鼠径部リンパ節郭清術と放射線治療を行った。

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31歳女。右下腹部、胸部から臀部の皮膚の陥凹病変を主訴とした。2年程前から右下腹部に軽度の違和感を伴う皮膚の陥凹を自覚し、無治療で経過観察していたが、病変が拡大した。右下腹部から側腹部・鼠径部・臀部にかけて比較的境界明瞭な皮膚の陥凹局面と淡紅色斑を認めたが、臨床検査所見に異常はなく、造影CTでは右下腹部から腰臀部にかけて皮下脂肪組織の萎縮と造影密度の上昇を認めた。病理組織学的所見では皮下脂肪組織の血管周囲性にリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤や脂肪細胞の融解・変性像を認め、特徴的な臨床所見と経過・画像所見および病理組織学的所見より腹壁遠心性脂肪萎縮症の成人例と診断した。プレドニゾロン内服により病変の違和感や淡紅色斑は消失したが、頭痛などの副作用により十分な効果の評価はできず、今後レプチン投与の検討が必要と思われた。

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39歳女。帝王切開術後の貧血に対してシデフェロンを静注された際、誤って全量が静脈外に投与され紫斑となった。7ヵ月後の初診時には左肘窩の近位側に褐色と青灰色の混在した9×6cm大の色素斑を認め、病理組織学的所見では真皮全体と皮下脂肪組織にベルリン青で染色される褐色の色素沈着を確認した。鉄剤による異物沈着症と診断してQスイッチアレキサンドライトレーザーを4.5J/cm2で照射したところ、色素斑は徐々に薄くなり、全9回照射後には一部に淡褐色斑の残存を認めるも大部分は皮膚色となった。Qスイッチレーザーはいずれも色素性病変に使用できるが、より有効なレーザーを選択することが望ましく、755nmの波長でやや深部にまで光が到達するQスイッチアレキサンドライトレーザーは、皮下脂肪組織まで色素を認めた症例でも十分な治療効果を示した。

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生後30日女児。右半身の皮斑を主訴とした。妊娠経過中に特に異常はなく、正常分娩で出生したが、出生時より右半身皮膚の色調がやや悪いと指摘された。紹介受診時には右前胸部および右上背部(Th2付近)から右腹部、右腰部、右下肢、右足背、右足底にかけて、体幹では正中部に境界明瞭な紅色調の網状皮斑をびまん性に認め、病理組織学的所見では真皮浅層に毛細血管の拡張と増生、血管周囲性のリンパ球浸潤がみられた。特徴的な臨床所見と病理組織所見より先天性血管拡張性大理石様皮斑と診断して無治療で経過観察したところ、初診1ヵ月後には著明な皮斑の消退傾向を認めたが、その後は緩徐な消退を示し、1歳3ヵ月現在も完全消退はしていない。全経過中、血液検査所見に特に異常はなく、全身のCTやMRIでも明らかな合併奇形は認めていない。

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62歳女。左頬部の紅色結節を主訴とした。約2週間前より主訴が出現し、紹介受診時には左頬部に下床と可動性良好で皮膚と癒着した紅色結節(9×7×3mm大)を認め、ダーモスコピー所見では腫瘍辺縁に毛細血管拡張がみられた。臨床所見から偽リンパ腫を考えたが、病理組織学的所見では真皮浅層から深層にかけて紡錘形から類円形の核を持つ腫瘍細胞が密に増生し、特殊染色ではCD34陰性、VIII因子陽性で、腫瘍巣内は細胞成分が優位であった。皮膚線維腫(cellular type)と診断して単純切除を行い、術後6ヵ月現在、局所再発なく経過良好である。自験例では表皮基底層のメラニン色素の増強が乏しく、毛細血管の拡張と増生がみられたため、紅色調の強い偽リンパ腫様の外観を呈したと考えられた。

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72歳男。3年前より左外果に結節性病変が出現し、徐々に圧痛を伴った。左外果に弾性硬、可動性不良で半球状に隆起する皮下腫瘤(26×35mm大)を認め、病理組織学的所見では大小不同でクロマチンに富み核分裂像を伴う核異型の強い腫瘍細胞の密な増殖像を認めた。免疫組織学的所見ではα-SMA、vimentin陽性、CD34陰性であり、胸腹造影CT、PETにて肺、肝に多発性の転移を認め、平滑筋肉腫(T2bN0M1 Stage IV)と診断した。病変部の拡大切除術を行い、多発転移巣に対してゲムシタビン+ドセタキセル(GEM+DTX)療法(triweekly therapy)を適用した結果、3クール施行後の時点でstable diseaseと評価され、切除後17ヵ月は腫瘍の拡大を抑制できた。GEM+DTXの2剤併用療法は平滑筋肉腫の拡大抑制に有効と考えた。

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72歳女。全身の丘疹・硬結を主訴とした。右頬にびらんを伴う15mm大の暗紅色硬結と少数の粟粒大紅色丘疹がみられ、体幹・四肢には大豆大までの紅色丘疹が20数個不規則に散在ないし集簇していた。病理組織学的所見では真皮深層におよぶ楔状の細胞浸潤があり、大型腫瘍細胞の小塊状増殖を認め、腫瘍細胞は多角形ないし類円形の淡明な胞体と明瞭な核小体、粗い核網を伴う核を有し、LCA、CD4、CD30陽性、CD8、ALK陰性であった。リンパ腫様丘疹症(LYP)と診断して無治療で経過を観察したところ、個疹は新生と自然消退を繰り返しながら徐々に減少し、1年後すべて消失した。自験例は典型的なtype A LYPと考えられ、約10年後に偶然の受診で再発やリンパ腫の発症がないと確認できたが、さらに長期の経過観察が必要であったと考えた。

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64歳男。頭部皮下腫瘤を主訴とした。7、8年前より発赤や疼痛を伴わない頭部腫瘤を自覚しており、受診時には頭頂部左側になだらかに隆起した55×60mm大、30×30mm大の二峰性を呈する弾性硬の皮下腫瘤を認めた。頭部X線では皮下腫瘤影、骨透亮像と辺縁の石灰化(骨増殖症)を認め、頭部MRI T2強調画像では皮下腫瘍と連続する頭蓋内腫瘍が脳実質と等~やや高信号を呈した。血液検査所見に異常はなく、髄膜腫の疑いで開頭腫瘍摘出術を行ったところ、病理組織学的所見では卵円形の核と好酸性の細胞質を持つ髄膜皮細胞様の腫瘍細胞の増殖と、膠原繊維の隔壁に囲まれた小葉の形成を認め、髄膜皮性髄膜腫(WHO分類Grade I)と診断した。

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72歳男。左前腕の鱗屑を伴った紅褐色局面を主訴とした。6ヵ月前より皮疹が出現し、ステロイド外用するも改善せず、初診時の血液検査所見に異常はなかった。熱帯魚飼育の趣味があり、病理組織学的所見では真皮内に類上皮細胞肉芽腫の形成を認め、Langhans型・異物型の多核巨細胞が散見された。微生物学的検査所見では小川培地にsmooth型で黄白色のコロニーがみられ、光発色性を有する遅発育菌であったことからRunyon分類I群の菌と判断し、DNA-DNA hybridization法とPCR法にてMycobacterium marinumと同定した。ミノサイクリン塩酸塩内服と温熱療法を併用し、クラリスロマイシン内服を追加した結果、すべての皮疹が色素沈着及び瘢痕となり、皮疹の再燃・再発は認めていない。

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75歳女。左足の腫脹と疼痛を主訴とした。自宅の倉庫で左足をマムシに咬まれ、直ちに応急処置を施して受傷約30分後に受診した。左足背に2ヶ所の持続的な出血を伴う牙痕と、左足関節までの紫褐色調の腫脹、熱感を認め、臨床検査所見では血小板が低下していたため、マムシ咬傷Grade IIIと診断した。刺咬30分後の採血でPlt 3.5×104/μlであったことから、マムシ毒による直接作用と判断して乾燥まむしウマ抗毒素(抗血清)を投与したところ、抗血清投与3時間後の再検査ではPlt 14.5×104/μlと速やかに改善し、WBCが微増していた以外の異常はなかった。

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67歳男。亀頭部の有痛性病変を主訴とした。糖尿病性腎症のため血液透析中であり、初診の2ヵ月前より主訴が出現し、初診時には亀頭部から冠状溝にかけて境界明瞭で周囲に紫斑を伴う黒色壊死を認めた。臨床検査所見ではカルシウム、リンの値は正常であったが、副甲状腺ホルモン値(intact-PTH)が高値を示し、単純CT所見では複数の陰茎栄養血管に石灰化を認めたことから陰茎に生じたcalciphylaxisと考え、炭酸ランタン、シナカルセト塩酸塩の投与とスルファジアジン銀クリームの外用処置を開始したが、陰茎の壊死は徐々に拡大し、発症から3ヵ月に死亡した。

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23歳女。9日前に感冒症状にて近医内科を受診し、カルボシステイン、アンブロキソール塩酸塩、デキストルメトルファン臭化水素酸塩の内服を開始したところ、数日後に紅斑が出現し、多形紅斑の診断で内服を中止するも範囲は拡大した。紹介受診時には全身性に紅暈を伴う毛孔非一致性の膿疱が多発しており、病理組織学的所見では角層下に好中球主体の膿瘍を認めたほか、真皮浅層の血管周囲性に好中球、リンパ球の集簇がみられた。膿疱は副腎皮質ステロイド外用により消退したが、薬剤リンパ球刺激試験でカルボシステインが陽性を呈し、皮膚症状、組織所見、臨床経過などをスコア化したEuroSCAR study groupの診断基準よりカルボシステインによる急性汎発性発疹性膿疱症と診断した。

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28歳女。左乳輪周囲に多発する褐色の丘疹を主訴とした。10年程前より主訴が出現し、炎症後色素沈着や疣贅の診断で加療されるも改善せず、紹介受診時には左乳房の乳輪周囲に自覚症状のない2~3mm大までの扁平、褐色の丘疹が多発しており、右下眼瞼にも汗管腫と思われる常色の丘疹が散在していた。病理組織学的所見では真皮浅層から中層に2層の細胞壁からなる管腔構造とtadpole様の外観を呈する索状構造の増生がみられ、臨床および病理所見よりeruptive syringomaと診断し、経過観察とした。

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58歳男。1ヵ月前より左胸部、腋窩、上腕にかけて疼痛とそう痒を伴う紅斑が出現し、徐々に拡大した。左胸部から背部と上腕にかけてのTh2~Th4の領域に小豆大から鶏卵大までの浸潤を触れる帯状の紅斑と小丘疹を認め、左頸部、左腋窩にリンパ節を触知した。臨床検査所見ではCEA、CA19-9が高値を示し、下部内視鏡で直腸S状部に0-IIaの腫瘤を認め、全身検索の結果より直腸癌TxNxM1、Stage IV、直腸癌皮膚転移と診断した。自験例は多発リンパ節腫脹を認め、他の臓器転移がないことからリンパ行性に転移を生じたと考えられ、病理組織学的にも腫瘍細胞のリンパ管浸潤を認め、典型的な炎症型の皮膚転移像に合致していたことから、左腋窩リンパ節に転移した腫瘍がリンパ管を塞栓し、逆行性に腫瘍が増生して皮膚に浸潤した結果、帯状疱疹様に皮膚転移が生じたと考えられた。

基本情報

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皮膚科の臨床
58巻12号 (2016年11月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0018-1404 金原出版

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