症例
ガベキサートメシル酸塩による静脈炎発症8ヵ月後に皮下膿瘍を形成した1例
濱岡 大
1
,
吉崎 仁胤
1北播磨総合医療センター 皮膚科
キーワード:
静脈炎
,
膵炎
,
治療的洗浄
,
膿瘍
,
Gabexate
,
静脈内注入
,
皮膚外科
Keyword:
Abscess
,
Infusions, Intravenous
,
Therapeutic Irrigation
,
Pancreatitis
,
Phlebitis
,
Gabexate
,
Dermatologic Surgical Procedures
pp.1841-1843
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2017081150
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43歳男。左前腕の腫脹を主訴とした。急性膵炎に対し左前腕撓側の末梢静脈より濃度3.0%のガベキサートメシル酸塩(GM)を持続点滴した際に静脈炎を発症し、8ヵ月後の再診時には同部位に腫脹・発赤を認め、波動を触れた。単純CTでは左前腕の腫脹部に一致して皮下組織の炎症とそれに伴う浮腫性変化を示唆する皮下脂肪組織の濃度上昇を認め、皮膚切開にて膿汁が排出されたが、細菌培養は陰性であった。洗浄・外用による治療により創部から線維化した索状の組織が排出され、治療開始から約4ヵ月後に治癒した。自験例ではGMの長期間にわたる直接作用により静脈の血管壁や周囲組織がゆっくりと障害されて皮下組織の融解壊死が生じ、皮下膿瘍を形成したと考えられた。
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