症例
鉄剤による異物沈着症にQスイッチアレキサンドライトレーザーが奏効した1例
熊谷 綾子
1
,
筬井 泰江
,
松本 敏明
,
山下 利春
1札幌医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
異物
,
診断物質と治療物質の遊出
,
貧血
,
Cideferron
,
固体レーザー
,
レーザー療法
,
静脈内注射
Keyword:
Anemia
,
Extravasation of Diagnostic and Therapeutic Materials
,
Foreign Bodies
,
Injections, Intravenous
,
Laser Therapy
,
Lasers, Solid-State
pp.1869-1871
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2017081157
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39歳女。帝王切開術後の貧血に対してシデフェロンを静注された際、誤って全量が静脈外に投与され紫斑となった。7ヵ月後の初診時には左肘窩の近位側に褐色と青灰色の混在した9×6cm大の色素斑を認め、病理組織学的所見では真皮全体と皮下脂肪組織にベルリン青で染色される褐色の色素沈着を確認した。鉄剤による異物沈着症と診断してQスイッチアレキサンドライトレーザーを4.5J/cm2で照射したところ、色素斑は徐々に薄くなり、全9回照射後には一部に淡褐色斑の残存を認めるも大部分は皮膚色となった。Qスイッチレーザーはいずれも色素性病変に使用できるが、より有効なレーザーを選択することが望ましく、755nmの波長でやや深部にまで光が到達するQスイッチアレキサンドライトレーザーは、皮下脂肪組織まで色素を認めた症例でも十分な治療効果を示した。
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