medicina 52巻6号 (2015年5月)

特集 感染症診療 それ,ホント?

松永 直久
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 「熱があれば抗生物質を直ちに投与するというような,安易な方法で診療が行われてきた感も否めない」

 約20年前,『medicina』1996年1月号巻頭言で北原光夫先生が書かれたものである.この特集のなかでは,「発熱症例をみた時点で最も重要なことは,現病歴と身体所見の丁寧な把握である」こと,そして,感染臓器の存在を探索し,血液・尿などの培養検査を提出することも勧められている.

特集の理解を深めるための33題

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松永 一昔前,感染症診療は体温,CRP,白血球の値をみて,とりあえず抗菌薬を処方というのが,ある意味“常識”でした.しかし,ここ10年ほどで,身体全体を意識しながら,どこ(感染臓器)で何(原因菌)が悪さをしているのかを考える,感染症診療の基本とも言える考え方が広まってきました.そこで本日は,感染症の日常診療における“常識”と“非常識”を浮き彫りにしていきたいと思います.

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ポイント

●発熱とCRPにとらわれすぎない.

●診断・治療・経過観察において「2つの軸」を意識する.

●「理屈」を追う.時間軸で追う.

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ポイント

●感染臓器,起因菌,患者の背景/病態生理が決まれば,抗菌薬の種類のみならず,治療期間もある程度決まってくる.

●炎症反応が低下したから,あるいはしばらく治療した後の培養検査が陰性となっているから治療期間終了,というやり方はしない.

●治療期間は長すぎるのも短かすぎるのも避ける.

●市中/院内肺炎では短期治療について考慮する.

●黄色ブドウ球菌菌血症での短かすぎる治療期間は,再発や合併症の増加につながるので注意が必要である.

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ポイント

●抗菌薬を変えるという結論を安易に出さない.

●患者の臨床経過を十分に吟味し,検討したうえで判断する.

●医療関連感染の不明熱(FUO)でチェックすべき項目は必ず確認する.

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ポイント

●高熱をきたしうる疾患の丁寧な鑑別を患者に説明できるようになる.

●患者の重症度(重症化のリスク)を判断できるようになる.

●熱源がはっきりしない状態での抗微生物薬開始による弊害も説明できるようになる.

●良好な医師患者関係の下,「待つ」という選択肢をもてるようになる.

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ポイント

●一見原因不明に思える発熱でも,初期評価が重要である.

●発熱以外の局所の症状,所見(発熱+α)を探して見当をつける.

●風邪症候群は症状の特徴に注目して,分類して考える.

●外来で遭遇する遷延する発熱の多くは自然経過で軽快・治癒する良性疾患(self-limited disease)である.

●全身状態に問題がなければ経過観察する=「Watch&Wait」.

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ポイント

●輸入感染症診療も,一般感染症診療の基本と大きくは変わらない.

●輸入感染症診療では問診,特に渡航地・潜伏期・曝露歴の聴取が重要である.

●輸入感染症ではフォーカスのはっきりしない発熱を呈する疾患が多い.

●輸入感染症では,まずはマラリアを除外することが重要である.

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ポイント

●B型肝炎やA型肝炎などのウイルス性肝炎は性感染症でもある.

●咽頭炎の原因として淋菌,クラミジア,梅毒,HIVも想起すべきである.

●性感染症を診断したらHIV感染症を合併している可能性も考える.

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ポイント

●診療所でのグラム染色のセットアップは比較的容易であるが,手技や判定には,経験を要する.

●グラム染色には迅速性があるが,起因菌同定,治療のためには培養,感受性検査も行う必要がある.

●グラム染色を生かしてtargeted therapyを行うことが望ましい.

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ポイント

●診療所セッティングでも,抗菌薬を使用する場合,血液培養を含め必要な培養は必ず採取する.

●時間的・環境的に医師が血液培養を実施するのが困難な場合は,スタッフとコミュニケーションを十分に取り,お互いに役割を分担し実施可能な環境作りを行う.

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ポイント

●下痢患者のうち,細菌性腸炎が占める頻度は10%未満である.

●自然軽快例が多く,細菌性腸炎であっても免疫正常者には抗菌薬は不要である.

●基礎疾患がある患者で,細菌性腸炎を疑う場合には抗菌薬を用いる.

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ポイント

●アウトブレイクの経験から,腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症において,溶血性尿毒素症症候群(HUS)発症のリスクがないと考えられる抗菌薬は,ホスホマイシンを含め存在しない.

●下血を伴う感染性腸炎疑いの患者では,常にEHECによる感染性腸炎の可能性を考え,抗菌薬投与は慎重であるべきである.

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ポイント

●コレラ,腸チフス,パラチフス,細菌性赤痢,腸管出血性大腸菌では無症状でも就業制限があり,就業再開には保菌していないことの証明が必要である.

●上記5菌種に関しては,病原体を保有していないことを定められた方法で確認し,陰性が確認された場合には所轄の健康福祉センター(保健所)に報告する.

●抗菌薬での除菌には議論があるが,直接食品を扱う場合には抗菌薬投与を推奨する意見もあり,菌種と現場の状況で判断する.

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ポイント

●フルオロキノロン系抗菌薬は抗結核作用を有し,単剤治療により結核症の診断が遅れるだけでなく,結核菌の耐性獲得が問題となっている.

●フルオロキノロン系抗菌薬の耐性問題は,腸内細菌や緑膿菌,黄色ブドウ球菌などで認められ,耐性獲得は同抗菌薬の使用量や使用期間と関連している.

●抗菌薬の処方においては,文献レベルでのエビデンスや医学的知識に加え,患者とのコミュニケーションも大切である.

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ポイント

●ほとんどの急性気管支炎で,マクロライドを含めた抗菌薬治療は不要である.

●市中肺炎をマクロライド単剤で治療するべきではない.

●非定型肺炎,性器クラミジア感染,Helicobacter pylori除菌,非結核性抗酸菌,百日咳はマクロライドの良い適応である.

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ポイント

●経口抗菌薬が必要な感染症と,使う抗菌薬は非常に限られている.抗菌薬を「念のため」処方してはいけない.

●第3世代セファロスポリン系のバイオアベイラビリティはどれも50%に満たない.

●ピボキシル基を有する第3世代セファロスポリン系には重篤な副作用が報告されている.

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ポイント

●1日1回投与のセフトリアキソンを利用して,外来静注抗菌薬治療(OPAT)が行える.

●セフトリアキソンが広域抗菌薬であることを認識し,不必要な場面での使用は避ける.

●適切な症例選択のために「なぜセフトリアキソン?」「いつまで続ける?」の2項目を常に考える.

●治療開始前には,培養検査を必ず提出する.

●OPAT実施時には患者の生活状況,通院手段にも配慮が必要.

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ポイント

●季節性インフルエンザに対する抗ウイルス薬の適応は,適切な臨床判断が重要である.

●病態,治療の目的,患者背景,重症度などを総合的に判断する.

●高リスク者や重症例には,抗インフルエンザ薬による適切なマネジメントが望まれる.

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ポイント

●まずはフォーカスが不明な状態にあると認識するところから,フォーカスを絞るステップが始まる.

●ルーチンでは診察を飛ばしがちな部位に存在する感染症,CTなど画像検査でのみ発見できる深部に位置する臓器の感染症,血管内感染症をまず検索する.

●局在化しにくい感染症は病原体診断が難しいものが多いので,まずは病歴聴取で曝露歴,渡航歴,免疫不全などを明らかにして,狙いを定めて検査を行う.

●フォーカスが不明なうちは極力抗菌薬の投与を避けるが,暫定的な診断に基づいて投与している場合は,ひとまず治療期間を完遂する方法もある.

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ポイント

●市中肺炎では,ICU入院,空洞形成,白血球減少,アルコール多飲,重症慢性肝疾患,無脾症,尿中肺炎球菌抗原陽性,胸水貯留の症例において,血液培養採取が推奨される.

●単純性腎盂腎炎では,診断不明確例,免疫不全,血行性に尿路感染を生じている症例において,血液培養採取が推奨される.

●①全身状態不良,広範囲の皮膚病変,併存疾患といった合併症がある蜂窩織炎,②特殊な状況での外傷による蜂窩織炎,③反復性・遷延性蜂窩織炎では,血液培養採取が推奨される.

●感染症で入院する場合は,原則として血液培養を2セット採取する.

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ポイント

Helicobacter cinaediH. cinaedi)感染症は,ほぼ全例において血液培養から本菌が検出されることにより認知される.

H. cinaedi感染症は多彩な臨床像を呈するが,蜂窩織炎には特に注意することが勧められる.

H. cinaedi感染症は再発することがしばしばある.

H. cinaedi感染症に対する適切な治療薬と治療期間はまだ確立されていない.

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ポイント

●菌血症がきっかけで悪性腫瘍が見つかることがある.

Streptococcus gallolyticusS. bovis)菌血症はそのsubspeciesにかかわらず,高率に大腸癌を合併する.

●G群連鎖球菌菌血症は,高率に悪性腫瘍を合併する.

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ポイント

●肺炎を疑ったら,可能な限り良質な喀痰の塗抹・培養検査を提出するべきである.

●喀痰の質の評価には,Miller and Jones分類,Geckler and Gremillion分類がある.

●グラム染色の評価とともに,必ず培養結果と併せた解釈が重要である.

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ポイント

●結核診断時の喀痰抗酸菌塗抹・培養検査は,日を違えて連続3日間(3連痰)実施する.

●喀痰抗酸菌塗抹検査法では,直接塗抹法より感度・精度の高い集菌法が推奨されている.

●喀痰抗酸菌塗抹検査の陽性率は,患者の病態(排菌量)と採取された痰の品質・性状に依存し,1〜3回と検査回数を重ねることにより,累積陽性率は確率的に増加する.

●画像的に結核を否定できない症例では,塗抹陰性でも安易に否定せず,胃液・気管支鏡下採取検体などの検査を検討する.

●結核診断の遅れは,個々の患者転帰のみならず,社会・公衆衛生に影響を及ぼすことを認識する必要がある.

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ポイント

●急性胆道感染症における菌血症の原因となる微生物の大半は,グラム陰性菌である.

●急性胆管炎・胆囊炎のガイドラインには重症度判定基準があり,重症度に応じた治療が必要である.

●急性胆管炎・胆囊炎の最適な治療期間については,十分なエビデンスがない.

●血液培養を適切なタイミングで採取しておくことが,治療戦略を考えるうえで重要である.

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ポイント

●グラム陽性球菌菌血症において,基本的には陰性確認の血液培養採取が勧められる.

●ただし,ルーチンの血液培養再検は避けて,患者ごとの丁寧なアセスメントに基づいて判断する.

●陰性確認の必要性は,感染性心内膜炎のリスク評価,治療期間の決定,治療方針の見直しの観点から考える.

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ポイント

●最小発育阻止濃度(MIC)の判定は菌種と抗菌薬の1対1対応であるため,MICの縦読みはせず,まずは「S」(感受性),「I」(中間),「R」(耐性)の判定を参考にする.

●治療効果判定において米国臨床検査標準委員会(CLSI)の判定基準を用いている場合,米国での標準的な抗菌薬使用量で治療しているかを確認する必要がある.

●起因菌が判明した後,抗菌薬の変更を行う際には,感染臓器/部位を考慮し,そのMICが信頼できるかどうかを確認する必要がある

●de-escalationを行う際には,エビデンスの豊富なβ-ラクタム薬を中心に,狭域な抗菌薬に変更する.

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ポイント

●大腸菌菌血症は尿路系の感染(腎盂腎炎)や胆道系の感染(胆管炎や胆囊炎),bacterial translocationによる感染,カテーテル感染が原因で起こることが多い.

●アンピシリンとはグラム陰性桿菌の治療が可能となるようにと開発されたペニシリン系薬剤で,細菌の細胞壁合成を阻害し,殺菌的に作用する.

●大腸菌において,アンピシリンが感性である割合は55.6%(サーベイランス結果)であり,susceptibleであれば,治療可能である.

●大腸菌がアンピシリンに耐性となるのはβ-ラクタマーゼ産生が原因である.

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ポイント

Enterobacter属菌は染色体上にAmpCというβ-ラクタマーゼの遺伝子をもつ.

●AmpC高産生の変異株の影響により,第3世代セファロスポリンへの耐性化が治療中に生じうる.

●第4世代セファロスポリンはAmpCに分解されにくく,安全に使用できる治療薬と考えられる.

●重症例,難治例では第4世代セファロスポリンが例外的に効きづらい状況を想定してカルバペネムも選択肢となる.

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ポイント

●ESBL産生菌感染症の標準治療薬はカルバペネム系抗菌薬である.

●しかし耐性菌増加の観点から,カルバペネム以外での治療が模索されている.

●大腸菌の尿路感染症という状況であれば,ピペラシリン・タゾバクタム,セフメタゾール,フロモキセフ,ホスホマイシンなどで治療できることがある.

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ポイント

●培養提出がなく起因菌が不明の場合も,さまざまな情報から起因菌を想定し,「ある程度の」de-escalationを行うことは可能である.

●状況によっては抗菌薬開始後でも,培養の再提出で起因菌を同定できることがある.

●各感染症における適切な治療効果判定を意識してフォローアップを行う.

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ポイント

●バンコマイシンの初期投与設計には,負荷投与量と維持投与量を決定するというプロセスがある.

●負荷投与の適否は,複雑性感染症の有無や腎機能低下などを考慮して決定する.

●維持投与量は腎機能に応じたノモグラムを利用するか,「維持投与量=24×CLcr」といった簡便な式を利用することも可能.

●血中濃度測定に基づく投与量の調節は,定常状態であれば,投与量と血中濃度は比例計算にて算出することが可能.

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ポイント

●血管内留置カテーテル関連菌血症(CRBSI)の治療はカテーテル抜去を基本に,原因微生物を標的とした抗菌薬投与を行う.

●血管留置カテーテルを抜去しても菌血症が続く場合には,①血管内感染症,②点滴に関する問題の2軸で考える.

●陰性確認の血液培養を1回もしくは2回採るべきかについては意見が分かれる.

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ポイント

●緊急を要さない予定手術患者が感染症を併発した場合,感染症の治療が優先される.

●手術は感染症状の消失後,全身状態や免疫能の回復を待って行うことが望ましい.

●エビデンスについては,小児の上気道感染に関するもの以外は少ない.

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ポイント

●感染症の治療をしている間に化学療法のタイミングを逃すことにならないか留意する.

●感染症,悪性腫瘍,宿主の免疫状態の3点からアセスメントを行う.

●抗腫瘍剤投与によって宿主の免疫状態が時期により異なることに留意する.

●最善の治療を行うには他科・他職種と連携しながら迅速な判断が必要である.

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ポイント

●ポート関連血流感染症治療の原則は,ポート抜去である.

●非複雑性ポート感染の場合には温存(抗菌薬ロック療法)も考慮できるが,起炎菌の種類にもよる.

●抗菌薬ロック療法の最適的な抗菌薬使用方法,治療期間は不明である.

●抗菌薬ロック療法を行う場合には播種性病変や合併症の有無に注意しつつ,細心の注意を払って経過観察を行うこと.

連載 異常所見を探せ! 救急CT読影講座・5

胸だけでなく足も見よう 石田 尚利
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ニューヨークから帰国した50代男性.帰宅中の電車内で胸痛と冷汗を認めた.さらに呼吸苦も出現し,救急外来を受診.呼吸数22/分,脈拍110/分,血圧130/85mmHg,SpO2 91%(室内気).肺血栓塞栓症を疑ったが,夜間帯でD-dimerは検査できない.既往歴に喘息(最終発作は2年前)があり,ヨード造影剤投与をためらったが,インフォームド・コンセント後に造影CTを施行.

連載 研修医に贈る 小児を診る心得・11

ナラティブを読む 加藤 英治
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 午後6時半に救急センターに発熱した3歳児を抱えた母親が来院しました.通園している保育園はインフルエンザが流行中で,午後4時半頃に39℃に発熱したと保育園から連絡があったので,職場から慌てて子どもを迎えに行き受診しました.

連載 Step up腹痛診察・21

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[現病歴]昼食後に突然右下腹部痛が出現し,その後歩くと響くような痛みが治まらないため内科外来受診となった.会社の同僚に付き添われ,支えられながら来院した.右下腹部を手で押さえ,痛みで涙ぐむ様子がみられた.受診時の疼痛はNumeric Rating Scale(NRS)で8〜9/10だった.食事後の発症であったが,吐気嘔吐,下痢症状はなかった.発熱,不正出血,血尿はなかった.

[既往歴]花粉症.

[常用薬]なし.

[薬剤アレルギー]なし.

[社会歴]飲酒:機会飲酒,喫煙:なし.

連載 総合診療のプラクティス 患者の声に耳を傾ける・10

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 患者が医療面接で訴える部位が,必ずしも医学的に正確な部位とは限りません.「胃が痛い」と言って臍周囲を指す患者もいれば,下腹部を指す患者もいます.また,「足」といっても,医学的な部位としては大腿,下腿,足趾などさまざまです.したがって,医療面接では痛い部位・つらい部位をより具体的に述べてもらう,あるいは実際にその箇所を指してもらい,医学的部位を確認しながら診察することが重要です.

 今回は「のどが痛い」という主訴で近医を受診し,診断に至らず当科を受診した症例を紹介します.

連載 診断力を上げる 循環器Physical Examinationのコツ・2

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頸動脈診察で何がわかるか

 頸動脈の触診により,左室の収縮性,左室からの前方拍出量に関しての情報が得られる.また,頸動脈の触診は,大動脈弁狭窄症(AS),大動脈弁逆流症(AR),閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の存在を疑うきっかけになる.ASとHOCMは心雑音だけからは鑑別に悩むことがあるが,頸動脈の触診所見には大きな違いがあり,両者の鑑別に有用である.また,頸動脈の聴診で頸動脈雑音bruitを聴取すれば,頸動脈狭窄を疑うきっかけになる.

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生来健康でADL自立の40歳男性.入院11日前,雪かき時に転倒し,左橈骨遠位端を骨折.腫脹が強く,手術は延期となっていた.入院当日,回転性眩暈,悪心・嘔吐を主訴に来院し,小脳梗塞の診断で入院.その後,症状は改善傾向.

入院3日目(骨折後14日目)の未明に,臍周囲に軽度の間欠的な腹痛が出現し,同日深夜に症状が増悪したため,当番医がコールされた.

既往歴:高血圧(未治療)以外に特記事項なし.

生活歴:1日20本×22年の喫煙者,飲酒歴なし.1週間前にマグロのたたきを食べた以外には明らかな生物摂取歴なし.

家族歴:母が小脳梗塞の既往あり.

ROS(+):臍周囲の間欠痛,悪心,便秘.

ROS(-):頭痛,気道症状,嘔吐,下痢,血便,排尿症状,関節痛,皮疹.

連載 西方見聞録・17

Stress out 山口 典宏
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 「俺,もう疲れちゃったよ」「私,もう限界」

 同僚や後輩の研修医から非常によく聞くフレーズです.米国では研修医の1週間あたりの勤務時間は80時間まで,1年目研修医の連続勤務時間は16時間までという規制があります.これだけを聞くと,「それくらいで“疲れた”と言われても…」と,日本の医者なら誰しもが思いそうです.しかし,昨年末にはニューヨークの異なる大学病院で,立て続けに研修医の自殺が起きました.研修医の燃え尽きを防ぐのは,深刻な命題なのです.

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 「関節炎の患者が入ってきたら,裏口から逃げ出したくなる」

 “When a patient with arthritis walks in the front door, I feel like leaving out the back door.”─サー・ウィリアム・オスラー

REVIEW & PREVIEW

PSA検診の是非を問う 高野 利実
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最近の動向

 腫瘍マーカーとは,広義には腫瘍組織や血清中の蛋白や遺伝子などで,悪性腫瘍の存在・種類・性質・治療効果・予後などの情報と相関する指標のことである.わが国では,「腫瘍特異的な蛋白の血中濃度」という狭義で使われることが多い.

 腫瘍マーカーの活用法として,下記のようなものがある.

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 「アメリカでは,アメリカでは」と連呼する留学帰りの医者は,ややもすると『出羽の神』とやゆされて煙たがられることがある.日本とアメリカの医療との大きな違いの一つに抗菌薬の使い方が挙げられる.今でこそ感染症の良書が散見されるが,以前はどうしても日本の感染症教育が遅れていたため,現場に立ち続けた年配の医者は,製薬会社や薬剤添付文書を頼りに独学し,抗菌薬の知識が自分でも系統立って整理がついておらず,弱点を突かれるようで『出羽の神』を煙たく思ったものだ.またアメリカと同様に高用量(本書では「標準使用量」としている)を使用すれば,保険適用外で削られたりもするので,そんな知識は役に立たないと現場では思われた.

 でももう大丈夫.本書は,日本で保険診療をする上でどう戦っていけばいいかをきちんと解説してくれる.保険適用範囲内であくまでも戦いたい医者,保険適用を超えて使用したい医者,双方が納得いく医療を本書で見つけることができる.決して『出羽の神』ではなく,日本で医療をしていく上でどう落としどころを見つけながらやっていけばいいのかがわかる点は,実地医家にとって本書は大きな福音となるだろう.

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日時●2015年6月21日(日) 10:00〜17:00

会場●聖路加国際大学301教室(逐次通訳)

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日時●2015年6月20日(土) 10:00〜18:00,6月21日(日) 8:45〜15:15

会場●神戸国際展示場2号館コンベンションホール

神戸市中央区港島中町6-11-1(http://kobe-cc.jp/tenji/2_1.html)

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52巻6号 (2015年5月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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