特集 いまさら聞けない! 肝胆膵疾患—みなさんのギモンに答えます
胆道系疾患
γGTPやALPのみ高値の際の胆道系疾患の鑑別
田中 篤
1
1帝京大学医学部内科学講座
キーワード:
アルコール
,
脂肪肝
,
抗ミトコンドリア抗体
,
腹部超音波検査
,
薬物性肝障害
Keyword:
アルコール
,
脂肪肝
,
抗ミトコンドリア抗体
,
腹部超音波検査
,
薬物性肝障害
pp.486-489
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227482
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肝酵素(肝機能検査値)の上昇は日常臨床においてしばしば遭遇する血液検査値異常である.肝酵素上昇は肝細胞障害を反映した肝逸脱酵素(AST/ALT,トランスアミナーゼ)優位の上昇,および胆道の異常を反映する胆道系酵素(γGTP/ALP)優位の上昇に大別される.肝逸脱酵素,あるいは胆道系酵素のいずれか「だけ」が上昇する症例はむしろ稀で,両者ともに異常高値を示す症例がほとんどだが,肝逸脱酵素あるいは胆道系酵素のいずれの上昇が優位かを判断することが鑑別の第一歩となる.これには,測定結果が基準値上限値のおよそ何倍に相当するかをざっと計算し,その結果どちらがより大きく上昇しているかを見分ける必要がある(表1).もちろんこれは厳密な計算を行う必要はなく,いずれも上昇しており混合型と判断される症例も多い.
本稿では上記の結果,胆道系酵素(γGTP/ALP)の上昇が優位と判断される症例をどのように鑑別するかについて述べる.
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