medicina 51巻11号 (2014年11月)

増刊号 CT・MRI—“戦略的”活用ガイド

知っておきたいCT・MRIのキホン

CTのキホン 八坂 耕一郎
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ポイント

●造影剤に対して副作用が出現することがあり,造影CT前に副作用のリスク評価をする必要がある.

●検査の目的によって撮影内容は異なるため,目的が明確に伝わるようにする必要がある.

●造影剤はインジェクターを用いて高圧注入するため,穿刺や注入回路について注意すべき点がある.

●CTでは撮影して得られたデータを元に,体の各部位のCT値を計算して画像を作成している.

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ポイント

●MRI装置は「大きい強力な磁石」と考えるとよい.

●MRI検査室に体内金属や磁気カードなどを持ち込むことは厳禁である.

●問診票を用いてMRI検査が可能なことを確認する.必要な場合は造影剤使用の同意を取得する.

●依頼の際は,飲食制限や妊娠の有無,閉所恐怖症についても注意する.

●MRI検査は通常,一度に複数の方法・断面での撮像は不可である.

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ポイント

●MRIの代表的なシーケンスについて,画像の特徴を中心に概説する.

●シーケンスの特徴を理解して画像をみることで,診断に近づくことができる.

●ルーチン検査だけでなく,必要に応じて追加撮像法を利用することが重要である.

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ポイント

●CT・MRI検査に関わる診療報酬点数は,①コンピューター断層撮影(CT撮影)料・磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)料,②コンピューター断層診断料,③電子画像管理加算(もしくはフィルム代),④造影加算,⑤画像診断管理加算1・2,⑥先進画像加算からなる.

●患者の窓口一部負担は年齢などにより異なるが,3割負担の患者の場合,16列CTで単純CTを施行すると5,170円,1.5テスラ装置の単純 MRIを施行すると6,460円の窓口負担になる.

●画像診断に関わる医療費の倹約のために,①頻回に無駄な検査を行わない,②CT および MRIの選択を明確にする,③造影剤の後発医薬品への切り替え,④病院機能別の高額医療機器の適性配置と医療連携の促進が求められる.

造影剤・プロトコル

造影剤の種類とその違い 山川 貴菜
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ポイント

●CTのヨード造影剤の増強効果はヨードのX線吸収係数の高さにより生じる.

●MRI造影剤の増強効果は含まれる金属イオンのT1緩和,T2緩和作用により生じる.

●MRIの造影剤には複数の種類があり,異なる特徴をもつ.

●造影CT施行の際には耐圧のエクステンションチューブの使用が必要である.

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ポイント

●適切な撮像タイミングをはかるうえで,注入時間を固定することが重要である.

●造影剤用量,濃度,注入速度はtime-density curveの縦軸(CT値)を規定する.

●肝の多時相造影CTにおける至適造影剤用量は600mgI/kgである.

実践! CT造影 山本 晃大
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ポイント

●撮像プロトコルは依頼内容に基づいて決定されるため,重要な臨床情報を過不足なく記載することが望ましい.

●dynamic studyなど,撮像プロトコルによっては複数の目的の検査を同時に施行することが困難な場合がある.

●ステロイド前投薬は軽症の副作用の発現率を低下させるが,重篤な副作用の発現率を低下させるエビデンスはない1)

●ヨード造影剤は機械を用いて急速注入するため,病棟のルートやCVルートは基本的に使えない.

●心機能や体格などの違いにより,同一プロトコルで撮像しても画像には個人差が出る.

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ポイント

●細胞外液性造影剤による造影MRIの所見は,造影CTの所見とほぼ同等とみなせる.

●Gd-EOB-DTPA造影MRIは肝胆道相による高い腫瘍検出能を呈するが,dynamic studyの所見の解釈には注意を要する.

●SPIOは使い方次第! 典型的な画像所見とともに是非マスターを!!

CT・MRI検査の注意事項

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ポイント

●決められた手順通りに検査を進める(併用注意薬など検査前のチェックをする,静注ラインは検査終了まで確保し続ける,造影検査中はパルスオキシメータを装着する,など).

●何か起こった場合の対応策を決めておく(くしゃみをしたら救急部へ連絡する,早期にアドレナリンを投与する,証拠保全や経過記録を怠らない,など).

●事故やエラーの性質を理解する(落ち着いた環境で検査を施行する,無事な投与歴があってもアナフィラキシーは起こりうる,観察時間が長いほど副作用の頻度は高くなる,稀な事故は続けて起こることを忘れない,など).

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ポイント

●造影剤腎症を発症しないためには,十分なリスク・患者評価と適切な輸液による予防が大切である.

●腎性全身性線維症を発症しないためには,腎機能等に基づく適切な患者評価とガドリニウム造影剤の選択が大切である.

医療被曝とCT 赤羽 正章
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ポイント

●医療被曝は必要悪であり,少なければ少ないほどよいというわけではない.

●CT検査の被曝を定量的に捉えることで,患者の負うリスクを意識することができる.

●DoseReportに記載されたDLPに,頭部なら0.002,軀幹部なら0.02を乗ずれば,実効線量を概算できる.

●CT検査の被曝最適化において,検査の長期計画や撮影範囲の抑制は依頼医の役割として重要である.

体内金属とMRI 村中 博幸
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ポイント

●原則禁忌であるMR非対応の心臓ペースメーカや磁性体インプラントはMRI検査の適応外とする.

●MR対応心臓ペースメーカは施設基準および実施基準に従って運用する.

●RF照射コイル内の非磁性金属インプラントは,埋め込み深さや配置に注意し,極力SARを小さくすることでRF発熱を低減できる.

●インプラントを埋め込んだ患者のMRI検査は,そのリスクを十分説明し,少しでも異常があれば即時中止する.

●妊婦および胎児のMRI検査は安全性が確立されていないため,妊娠初期(満13週以前)は避けるほうが望ましい.

MRIのアーチファクトと対処法 桐生 茂
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ポイント

●MRIは画像化においていろいろな要素がかかわっており,アーチファクトはいずれかの要素を原因としており,その理解は日常臨床において重要である.

●頻度の高いゴーストアーチファクトは患者の協力により軽減が可能であり,検査前の説明や前投薬の投与により軽減が期待される.

●磁化率アーチファクトは偽病変の原因となる.

症状別検査オーダーのポイント

頭部 大場 洋
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画像検査の選択

CT・MRIの使い分け

 頭部に関してCTの役割は限定的で,ほとんどの頭部疾患はMRIで評価される.MRIがCTよりも優れている点は組織コントラストが高いなど理由はさまざまであるが,一番の強みは,T1強調像,T2強調像,FLAIR像,拡散強調像,T2強調像,磁化率強調像(susceptibility weighted image:SWI),などズルい程多くのシークエンスがあり,ルーチンMRI検査でも多数シークエンスを撮像することである.

 CTはMRIのシークエンスの一つと同程度の役割とみなせる.頭部外傷直後や急性期脳卒中など救急頭部疾患では,撮像時間の長いMRIを撮らずにCTだけ撮って治療が施されることも多いが,最近では,MRI firstの救急施設も多くなっている.時間に余裕がある場合は,CTとMRIの両者を撮像するのがよい.CTの利点は,急性期の出血が高吸収で誰にでもわかりやすい,骨の評価,石灰化の有無の評価に優れることなどが挙げられる.MRIは骨(特に緻密骨)が評価できないので,これを補う意味で,CTでは骨条件の表示が必須である.

頸部 尾尻 博也
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頸部の解剖学的特徴

 頭頸部は頭蓋底〜胸郭入口部までの比較的狭い範囲であり,眼窩,鼻副鼻腔,側頭骨,頭蓋底,口腔,咽喉頭,唾液腺,甲状腺,頸部リンパ節,頸動静脈,さまざまな頸部組織間隙など,多くの要素・臓器・組織間隙により構成されている.多くの構造が隣接して密に分布することから,異なる構造・臓器の病態が,類似の疼痛や腫脹などの症状を呈しうる.また,構成要素が多いということは,必然的に病態・疾患の種類が多くなるが,その一方で,各々の病態・疾患の頻度は小さいものが多く,画像診断でのアプローチには詳細な解剖学的知識とともに臨床的事項に対する理解が必要となる.

甲状腺 森 典子
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 甲状腺疾患は胸部CT・MRI検査や,FDG-PET検査などで偶然指摘されることが多いが,CT・MRIやFDG-PET検査だけでは結節の良悪性の判断はつきにくく,結節そのものの評価は頸部超音波検査が中心となる.一方,病変の広がりや転移などCT・MRIやFDG-PETと組み合わせて評価が可能になる場合もあり,それぞれの特性を生かした検査が重要である.

 甲状腺疾患では,しこり,圧痛,頸部違和感など自他覚的所見が認められることもあるが,嗄声や頸部違和感を主訴に受診される例の多くは異常がないことが多い.また,甲状腺疾患の大部分は無自覚で,PET/CT・頸部超音波検査などで結節が偶発的に認められることが多い.特に結節性病変は,甲状腺中毒症状・低下症状をきたすことも稀で,症状別に検査を行っていくというよりも,結節性病変であるか,びまん性病変であるかで検査を進めていくほうが効率的である.

乳腺 大橋 茜 , 片岡 正子
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 乳癌は女性の癌のなかで最も罹患率が高い(103.6人/人口10万人).30歳台から増加し,40歳台後半〜50歳台前半にかけてピークを迎える1).増加を続けていた日本の乳癌死亡率はようやく頭打ちとなったが(図1),これは検診による早期発見の増加と,集学的治療の進歩の結果と考えられる.乳腺に関する症状には,乳腺のしこり,乳房痛,血性乳汁分泌などがあり,検診要精査による受診もある.乳癌の疑いが強い場合は乳腺外科など,専門家の評価が必要となるため精査の画像検査は専門家に一任するという考え方もあるが,罹患率の上昇や検診の普及に比して乳腺疾患の専門家は十分ではなく,一般内科医が相談を受けたり専門家と共同で診療する場合もありえる.本稿ではそうした場合を想定し,必要な知識をまとめてみた.

胸部 神山 久信 , 大野 良治 , 杉村 和朗
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 胸部領域の画像診断において,胸部単純写真は低いX線被曝の有用性があり,病変の全体像をより直感的に示すことができることから,日常臨床においてなくてはならない検査である.しかし,微小病変の検出は困難で死角も多く,胸部単純写真のみでの診断には限界がある.初回の胸部単純写真や経過観察中に新規病変の出現などがあった場合は胸部CTでの精査に進むことが多い.

 画像診断は日常臨床に大きな役割を果たしているが,一方で画像診断のみで診断できる疾患は少ない.常に臨床症状や臨床所見,他の臨床検査,そして画像検査との総合的な判断により診断していくべきである.本稿では,胸部結節・腫瘤影,胸痛,慢性呼吸器症状などを対象として,症状別検査のオーダー時のポイント,画像レポートを含めた臨床医と放射線科医の円滑な情報の共有に役立つ知識について述べたい.

腹部 森田 孝一郎 , 西江 昭弘 , 本田 浩
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 本稿では,日常遭遇するさまざまな臨床症状・異常検査値,他検査で偶然発見された異常所見などについて,どのように診療を進めていくべきかを,CT・MRI検査の依頼に特化して概説する.本稿の主な読者は内科医であるため,単純X線写真・超音波検査・内視鏡検査はいつでも施行可能という前提で述べたい.一部に筆者らの経験に基づいた意見,エビデンスが低い提案,controversialで結論が出ていない内容が含まれるかもしれないが,その点はご容赦いただけたら幸いである.各項目に関して,①原因として頻度が高い疾患,頻度は低いが重要な疾患,②その症状に対してCT・MRIを行う意味,③画像検査の選択,④画像検査の前に行うべき検査を含めて解説を行うが,複数の項目に絡んでくる疾患では,そのうちの1つで詳しく述べることとする.

骨盤部 竹内 麻由美 , 松崎 健司
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 骨盤部では泌尿生殖器や消化管,腸間膜,後腹膜などから良性・悪性の腫瘍性病変や炎症性疾患,ホルモンの状態や血行動態の変化に起因する腫瘍類似疾患,内膜症性病変などさまざまな疾患が発生し,多彩な臨床像と画像所見を呈する.適切な治療方針の選択のため,画像診断の果たす役割は大きい.

 生殖可能年齢の患者では生殖機能の温存も重要であり,過剰な侵襲や被曝を避けることに留意する必要がある.女性生殖器では子宮および付属器疾患,男性生殖器では前立腺疾患の診断において,X線被曝がなく組織コントラストに優れるMRIの有用性が確立されており,骨盤部画像診断の中心となる.一方,生殖器疾患の診断においてCTは主に救急疾患や悪性腫瘍の病期診断を目的として施行され,特に生殖可能年齢の患者に対して安易に第一選択としてオーダーすべきではない.

整形領域 小橋 由紋子
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 整形外科領域の画像検査は,他領域と比較して2つの大きな特徴がある.

1)全身の関節(筋肉・骨も)を扱う領域であること

特殊検査とオーダーのポイント

脳動脈精査(CTAおよびMRA) 内野 晃
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頸部〜頭蓋内CTA

検査方法

 可能な限り,①右肘関節部で,②20 Gの穿刺針で静脈確保を行う.右肘関節部では,橈骨側の静脈よりも正中部の静脈のほうが好ましい.左上肢では,左腕頭静脈が正中を越える部位での通過障害が強いと,造影剤が頭蓋内へ逆流して1),心臓への流入が遅れるため,良好なcomputed tomography angiography(CTA)が得られない.20Gよりも細小の穿刺針では,必要な注入速度が得られない.穿刺は看護師が行う施設が多くなったが,主治医を含めた穿刺をする可能性のある医療従事者すべてに重要なこの2点を周知徹底させる.もっとも,右上肢での血管確保が困難な症例では,左上肢その他を選択せざるを得ない.

 撮像装置は,頸部〜頭蓋内までの撮像の場合,64列以上の多列検出器型CT装置ないしは320列などの面検出器型CT装置が必要である.頭蓋底付近の頭蓋内動脈のみならば,16列CT装置でも撮像可能である.詳細は省略するが,370mgI濃度の造影剤を4mL/secの注入速度で,60mL投与して,直ちに生理的食塩水を注入する.

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拡散強調画像(DWI)と灌流強調画像(PWI)の概略

 MRIで一般的に知られているT1強調像,T2強調像,FLAIR像といった撮像法は主に形態を反映しているのに対して,拡散強調画像(diffusion weighted imaging:DWI)ではミクロレベルの水分子の拡散,灌流強調画像(perfusion weighted imaging:PWI)では血液灌流といった形態画像では評価することのできない機能的な情報を画像化しており,これらの検査を追加することで病態の評価や疾患の鑑別に有効なことがある.本稿ではDWIとPWIについて一般的に知っておくとよい知識を整理し,さらに日常診療で遭遇する可能性の高い疾患でそれぞれの撮像法がどのように有用であるかを概説する.

心臓CT・MRI 倉田 聖
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 multi detector-row computed tomography(MDCT)とmagnetic resonance imaging(MRI)は,近年の目覚ましい技術革新により,超音波検査や核医学検査とともに非観血的検査の一つとして循環器疾患診療の大きな役割を占めるようになってきている.

 MDCTはX線の投影データを,MRIは磁石と電波を用いて体内の水素原子核の磁気共鳴現象からの緩和現象を画像化する画像診断法であるが,心電図(ECG)をモニタしながら撮像することから心臓CT,心臓MRIとも呼ばれている.心臓CTの長所は,短時間で広範囲を高い空間分解能をもって撮像することが可能であり,形態診断,特に冠動脈の評価に優れていることである.対して,心臓MRIは,放射線被曝することなく,機能評価や組織性状診断に優れている.

Adamkiewicz動脈CT 吉岡 邦浩 , 田中 良一
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Adamkiewicz動脈CTの意義

 胸腹部大動脈瘤や胸部(下行)大動脈瘤の手術において,最も重篤な合併症の一つに脊髄虚血に起因する対麻痺がある.具体的には,胸・腰髄の主たる栄養血管であるAdamkiewicz動脈(大前根髄質動脈)の血流を手術操作によって障害することで発生すると考えられている.Adamkiewicz動脈CTの意義は,術前にこの動脈の解剖学的な位置を正確に同定することで,術後対麻痺の発生を回避することにある.

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 近年,低侵襲手術として,胸腔鏡や腹腔鏡などの鏡視下手術が施行されているが,このような低侵襲手術では,実際の術視野において触覚や遠近感が乏しく3次元的なイメージを捉えることが難しいため,解剖学的な誤認による血管や臓器の損傷に注意が必要となる.そのため,術前に実際の術視野に合わせた3D画像を作成することは,術操作の習熟や安全性を向上させる点で有用と考えられる.

 本稿では,胸部領域の手術支援の例として,胸腔鏡下での食道癌手術における3D-CTを用いた術前simulationに関して東北大学で行っている方法を例に述べる.

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 近年,CTにおいては検出器の多列化・回転高速化,コンピューターの高性能化が進んだ.それに伴い,広範囲の撮影が短時間で可能になり,膨大なthin slice dataも瞬時に作成することができるようになった.MRIにおいても,3テスラMRI普及や高速撮影法の進歩などにより,膨大なthin slice dataの取得が容易となってきた.

 加えて,thin slice dataを加工する3Dワークステーションの進歩も著しく,より詳細な診断・診療支援が可能となっただけでなく,価値の高い3D imageを簡便・短時間に作成することができるようになった.

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CT colonographyとは

 従来の消化管画像診断はバリウムを用いた注腸X線検査や大腸内視鏡検査が中心であり,本邦では優れた消化管診断法が築かれてきた.CTを用いた大腸診断は1994年にViningによって最初に報告されており,さまざまなCT画像を用いた大腸診断をCT colonography(CTC)と総称している.1990年代後半におけるマルチスライスCTの登場により,空間分解能に優れた再構成画像を短時間で得ることが可能となった.CT装置だけでなくワークステーションの進歩も相まって,CTによる三次元診断は臨床現場で広く用いられるようになり,大腸を含めた消化管診断の場でも応用されることとなった.

CTガイド下生検(肺) 菅野 重明
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 CT検診の導入や画像診断の進歩により,近年は末梢小型肺腫瘍の検出が可能となっている.しかし,腫瘍が悪性であるか否かの確定診断には,生検による細胞診,または組織診が必要である.

 CTガイド下肺生検は,肺や胸膜病変の確定診断法の一つとして,広く普及しているinterventional radiology(IVR)である.

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 CTガイド下生検は1976年にHaagaら1)により初めて報告され,その後広く普及している.X線CT画像をガイドとして,適宜CT撮影を繰り返しながら,病変に対して経皮的に生検針を刺入,生検を施行する方法である.X線透視や超音波に比べ,ガイド画像の即時性は劣るものの,ガイド画像の客観性や深部病変の描出能はこれらよりも優れている.以下,筆者の経験に基づき肺以外を対象とするCTガイド下生検につき解説する.

状況別,CT・MRI利用のコツ

自施設の放射線科 古賀 久雄
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 あなたの勤務している病院には,放射線科があるだろうか? また,そこには放射線診断専門医がいるだろうか? いなければ,撮影された画像の診断は,誰によってなされているのだろうか? 非常勤医? はたまた遠隔画像診断で,施設外の放射線診断医によって読影されているかもしれない.もちろん,検査を依頼した臨床医が診断する場合も多いと思われるが,専門以外の部位の読影は苦手だったり,本当は放射線診断医にダブルチェックを望んでいるかもしれない.近年の医療現場では,画像検査の重要性が非常に高いことはいうまでもなく,専門的な画像診断技術が不可欠となっている.しかし,放射線診断医の慢性的な不足に伴い,CTやMRIが「画像診断を専らとする医師」により読影された割合は,特定機能病院では8割を超えるが,全体では3〜4割程度であるという1).こうした背景の元,地域医療格差の縮小や放射線診断医のマンパワーを補うべく飛躍的に発展したのが遠隔画像診断である.本稿では,自施設(病院)の放射線科を遠隔画像診断と比べた場合のメリットや放射線科とのコミュニケーションにポイントを置き概説したい.

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画像診断クリニックとは

 画像診断クリニックとは画像診断を行うクリニックをいう.その形態には,各種の画像診断装置を備え読影は遠隔画像診断に重きを置く施設,画像診断装置もその画像診断も自施設内で完結するタイプなどがある.

検診 吉川 健啓
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検診総論

「検診」と「健診」

 「検診」と「健診」は意味が近く,混同しやすい言葉である.割り切っていうと,「検診」は病気がないか調べること,「健診」は健康であることを示すことである.病気があることと健康であることは表裏なので,当然,意味のオーバーラップがある.特定の疾患,特にがんなどを念頭に置いて検査を行う場合は「検診」が使われる.学校や職場,地方公共団体で行われる法律に基づいたものは「健診」と呼ばれる.全身の多数の疾患を対象として多数の検査をまとめて行う,いわゆる「人間ドック」は,「検診」「健診」のどちらも用いられるが「検診」と称していることが多い.

各科に直撃! よくある紹介疾患,紹介前にあるといい検査,紹介後にする検査

循環器内科 石田 純一
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 循環器内科はコンサルトをよく受ける科の1つである.紹介理由は胸部不快感,労作時呼吸困難,動悸,失神といった症状から,心電図異常,心エコー異常といった検査所見の異常,狭心症や心不全などの既知の心血管疾患に対する精査加療,心血管疾患を有する患者の術前評価に至るまで多岐にわたる.コンサルトの理由を問わず,病歴の聴取,特に心疾患も含めた基礎疾患とその経過,処方内容の聴取が必須かつ最重要であることは言うまでもない.例えば「胸痛の精査をお願いします」という紹介内容で循環器内科を受診したところ,問診してみると「他院で冠動脈ステントの治療歴があり,多数の内服薬の処方を受けているが,患者自身は処方内容を把握していない」というケースも往々にしてあるので注意されたい.循環器内科受診時に診療情報が揃っているのとまったく情報がないのでは,その後の診療スピードに大きく影響する.

 循環器内科に紹介する際は一般採血,心電図,胸部X線は紹介前に最低限施行されているべきであろう.例えば「動悸」を主訴として循環器内科に紹介されたものの,検査がまったく施行されておらず,諸検査の結果貧血に伴う動悸であった,という転帰はあまり望ましいとはいえない.

消化器内科 菅原 通子 , 持田 智
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 消化器内科に紹介が多い疾患のなかで,特に緊急性の高い5つの疾患ないし病態を対象として,必要な検査を論じることとする.

呼吸器内科 皿谷 健
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 肺病変は腫瘍,感染症,アレルギー,自己免疫疾患,先天性疾患,特発性,中毒,薬剤性,内分泌代謝疾患など,実に多彩な原因が存在する.まずは肺病変の有無を胸部X線で確認する.呼吸器症状を伴い肺病変のある患者なら喀痰検査で抗酸菌の有無(特に結核菌)を検査しておくことは呼吸器科へ紹介する前の検査としては有用であると考えられる.

神経内科 石浦 浩之
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 日常よく遭遇する疾患と紹介前に行うとよい検査のなかで,特に神経内科分野についてという題名をいただいたが,神経内科疾患の診断については敷居が高いこともあろうかと考える.そこで,日常目にすることの多い主訴に対して,頻度の高い疾患の画像検査について述べることとした.頻度については,恣意的であるが,一般のクリニックで目にする頻度を想定し,以下のように分類した.

+++:かなり頻繁に目にする

 ++:時に目にする

  +:年に何例か目にする

  −:めったに目にしない

外科 野村 幸世
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 大学病院の外科に紹介されてくる患者のほとんどはがんの患者である.そのうち,手術を前提とした紹介が大部分を占める.手術適応のない患者を外科に送っては申し訳ない,という気持ちから,転移の検索なども細かに行ってから患者を送ってくださる先生も多い.ただ,CTなどは撮影施設によって撮影の精度も異なり,読影をする放射線科医の力量も異なる.送ってくださる先生にしても,撮影をしてから送るべきか迷うところであろう.

 本稿では,胃癌,食道癌,大腸癌,肝臓癌,肺癌を例にとり,具体的に術前検査として何が必要か,それぞれの検査をどの段階で行うのがよいか,その理由などを検査ごとに紹介したい.

泌尿器科 竹島 雄太
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 泌尿器科における「よくある紹介疾患」とはなにか,当科における紹介疾患の分布を集計した.2014年1〜6月の半年間の紹介受診患者402名を疾患別に分類すると以下の表1のような結果となった.さらにX線・CT・MRI・超音波検査(US)を中心に,造影検査・核医学検査などの画像検査を持参した症例数,当科で追加検査を行った症例数,そのうち検査が重複した症例数をそれぞれ集計し,「あるといい検査」への手掛かりとした.

 ただし,全体の印象としてはX線およびUSなどの非侵襲的,かつ診療所などの小規模医療機関でも施行可能な検査の重複が大多数を占めた.そこで,X線・USを除いた検査数・重複数を再集計し,表1に追加した.

産婦人科 吉野 修 , 齋藤 滋
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 婦人科疾患,特に生殖可能年齢女性を診る際,妊娠や月経との関連があることを念頭に置かなくてはならない.婦人科疾患領域で最もよくみられる症状として,不正性器出血と下腹痛が挙げられる.本稿では,①不正性器出血を訴える場合,②下腹痛を訴える場合について概説するとともに,そのなかでも重要な疾患に関して説明をする.

整形外科 森崎 裕
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 外傷が多いイメージをもたれる整形外科であるが,超高齢社会となったわが国において,ロコモティブシンドローム(骨粗鬆症,変形性脊椎症,変形性膝関節症)に代表される変性疾患の患者は増加しており,primary careでの加療の重要性はより高まってきている.本稿では,部位別に整形外科に紹介される疾患群を大別し,それぞれについて診断の注意点,紹介受診時にあるとよい検査などについて述べる.

耳鼻咽喉科 藤本 千里
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 本稿では,内科医が担当している患者に耳鼻咽喉科を紹介受診させる必要が生じた場合,受診日までの間に,依頼元の診療科で行うのが望まれる診療について述べる.耳鼻咽喉科を受診させる目的は,主として,耳鼻咽喉科領域の疾患の可能性についての精査・該当疾患の加療を依頼する,耳鼻咽喉科領域の疾患ではないが必要な検査などを依頼する,などが挙げられる.耳鼻咽喉科に依頼する疾患は幅広いが,本稿では比較的頻度の高い,めまい,難聴,鼻出血,嚥下機能評価,頸部腫瘤について述べる.

精神科 五十嵐 雅
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 内科そのほか身体科から精神科へ患者を紹介するときに,どのような検査をしておいてほしいか,というテーマについて,精神科が設置されていない総合病院も多い現状を踏まえ,単科の精神科クリニックや単科精神科病院へ紹介されることを想定して,本稿を記載する.

 身体科から患者を紹介されるとき,身体科医による精神疾患の種類の推測にずれがあっても問題は少ない.精神科医が望むことは,極論すれば,精神疾患・障害の種類を問わず「身体疾患の見落としをしないで送ってほしい」,この1点に尽きる.

付録 画像診断レポート用語図説

頭部 雨宮 史織
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leuko-araiosis(図1)

 大脳皮質下白質,特に脳室周囲白質にCTで低吸収域,MRIのT2強調像やFLAIRにて高信号域が見られることは,高齢者では珍しくない.1987年にHachinskiらがこれを“leuko-araiosis”(<Greek leukós白質,araios稀薄)と表現することを提唱した.これは“画像上の白質密度低下”を表すことを意図した造語である.当時CT,MRI白質病変の所見に基づきBinswanger病(微小血管の動脈硬化による白質の血管障害に由来する脳萎縮,痴呆)と診断される例が相次いでいたが,病理解剖に基づく疾患頻度から考えて異常な多さであり,画像診断に問題があることは明白であった.このような問題意識を背景に,“白質病変”の病理が明らかになるまでの間,不確かな病理に言及しない純粋な画像所見用語としてleuko-araiosisが提唱された.論文の末尾には“最終的には病理の理解が進むことで,この用語が廃れることを望む”という記載がある.

胸部 渡谷 岳行
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HRCT

 high resolution CTの略で,和文では高分解能CTと表記される.多少の定義の幅はあるものの,次の3つの条件を揃えたものがHRCTと呼ばれることが一般的である(図1).

1)片肺のみに視野を絞っていること(概ね20cm前後)

心大血管 前田 恵理子
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心電同期撮像(図1)

 胸や腕に電極を貼付し,心電図を取得しながらCTやMRIを撮像すること.心拍による動きがある心臓の画像を得るに当たり,心臓が静止しているタイミングを狙って撮ることにより,動きのアーチファクトが少ない画像を取得することができる.最も動きが少ないタイミングは,心拍数が75回/分以下の場合はRR間隔の60〜80%(1つ目のR波から2つ目のR波までの時間の60〜80%)にあることが多く,75回/分以上の場合は30〜50%にあることが多い.心電データを得ながら,そのタイミングにCTならX線が曝射されるように,MRIなら撮像用の電磁波がかかるように制御して画像を得る.

腹部 五ノ井 渉
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ダイナミック造影CT・MRI(dynamic CT・MRI)

 通常の造影検査では,造影後に遅延相(後期相)の一時相しか撮影しないが,ダイナミック造影検査では動脈相や門脈相などを加えた複数の時相で撮像を行う.撮像時相をずらして複数相撮像することで,動静脈の染め分けや,特徴的な造影パターンを呈する病変の鑑別に役立つことがある.

骨盤部 古田 寿宏
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junctional zone(図1)

 MRIのT2強調像において,子宮筋層の内層(内腔側)は低信号を示し,この部分をjunctional zoneと呼んでいる.子宮筋層の外層(漿膜側)と比べてjunctional zoneが低信号となる理由として,組織の水分含量の違い,細胞核の大きさや数,細胞密度,ホルモンや血流の影響などが考えられている.junctional zoneの菲薄化や欠損の有無を評価することで,子宮体癌など,腫瘍性病変の筋層浸潤範囲を推定できる.

椎体 花岡 昇平
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Luschka関節(図1)

 頸椎C2〜C7間にのみ左右対になって存在する関節である.椎体の後外側が上下椎体間で関節を形成する.このLuschka関節には骨棘が生じやすい.このため,外側陥凹狭窄,椎間孔狭窄をきたして神経根を圧迫する.椎間板突出・膨隆,椎間関節の骨棘などとともに,変形性頸椎症における主な病理的変化をなす.

四肢 三木 聡一郎
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骨膜反応(図1)

 外傷・炎症・腫瘍などの刺激を契機として起きる骨膜の骨形成反応と定義されている.本来単純X線写真での用語であるが,CT・MRIでも反応性らしき骨皮質の肥厚があれば骨膜反応と表現することは多い.さまざまな原因で生じる非特異的反応だが,特徴的な形態を呈し診断の決め手となる骨膜反応もある.骨膜反応の微細な様相は空間解像度に勝る単純撮影でしか観察できないため,この領域では単純撮影が現在でも重要なモダリティである.

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基本情報

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medicina
51巻11号 (2014年11月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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