増刊号 CT・MRI—“戦略的”活用ガイド
付録 画像診断レポート用語図説
頭部
雨宮 史織
1
1東京大学医学部附属病院放射線科
pp.354-363
発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200087
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leuko-araiosis(図1)
大脳皮質下白質,特に脳室周囲白質にCTで低吸収域,MRIのT2強調像やFLAIRにて高信号域が見られることは,高齢者では珍しくない.1987年にHachinskiらがこれを“leuko-araiosis”(<Greek leukós白質,araios稀薄)と表現することを提唱した.これは“画像上の白質密度低下”を表すことを意図した造語である.当時CT,MRI白質病変の所見に基づきBinswanger病(微小血管の動脈硬化による白質の血管障害に由来する脳萎縮,痴呆)と診断される例が相次いでいたが,病理解剖に基づく疾患頻度から考えて異常な多さであり,画像診断に問題があることは明白であった.このような問題意識を背景に,“白質病変”の病理が明らかになるまでの間,不確かな病理に言及しない純粋な画像所見用語としてleuko-araiosisが提唱された.論文の末尾には“最終的には病理の理解が進むことで,この用語が廃れることを望む”という記載がある.
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