臨床雑誌内科 104巻4号 (2009年10月)

肝癌撲滅最前線

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肝細胞癌の治療法選択には、高度な専門的判断が要求される。2005年版治療アルゴリズムは、あるレベル以上のエビデンスに基づいて構築されており、広く臨床現場に定着している。本稿ではその概要を解説し、さらに発刊直前の改訂版ガイドラインのポイントを一部紹介した。

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肝細胞癌では、癌の根治的治療と肝機能の温存の両方ができないと、長期予後は改善しない。肝細胞癌では、肝硬変や多発病変により、切除可能例は20~30%である。切除後も、5年間で70~80%が再発する。外科手術だけでは限界がある。肝細胞癌では、種々の非外科的治療が導入されてきた。とくに経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)は、根治性があり、低侵襲で、再発時の再治療も容易である。現在のガイドラインは、肝切除を経皮的局所療法より推奨している。しかし現実には、肝切除は減少し、RFAが増加している。導入後10年が経過し、RFAの良好な長期成績が報告されている。テクノロジーの進歩により、RFAの成績はさらに向上するものと思われる。ただし、RFAは安易に行われる傾向もあり、施設間の技術格差が大きい。全体的なレベルアップが、今後の課題である。

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わが国の肝癌は、肝炎ウイルスの持続感染、とくにC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染を母地として発生するものがその大部分を占めてきたことが明らかとなっている。したがって、肝炎ウイルスキャリアの対策を講じることは、ひいては肝癌の発生を抑制する対策であるといえる。戦略的に肝炎・肝癌の発生を制御するためには、地域や年齢でその分布が異なるキャリア率およびキャリア数を疫学的視点で把握するとともに、潜在しているキャリアの対策、患者としてすでに通院・入院しているキャリアの対策、(感染を知ったが)受診しないでいるキャリアの対策、そして、ハイリスク集団および次世代のキャリアの新規発生予防対策、を地域ごとに講じることが、大切である。

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ウイルス性慢性肝疾患、とくにC型肝炎は、肝線維化の進行に伴い発癌率が高くなることから、肝線維化の評価による肝発癌の高危険群設定が重要である。線維化マーカーによるF2以上とF1の鑑別ではIV型コラーゲン、ヒアルロン酸が有用で、肝硬変とF3以下の鑑別にはヒアルロン酸、IV型コラーゲン7S(P IV NP)が有用であると報告されている。血小板によるF2以上とF1の鑑別での至適カットオフ値は17万/μlであり、また肝硬変とF3以下の鑑別での至適カットオフ値は12万/μlであった。線維化マーカーによる肝線維化の評価により、肝癌の早期発見を目的とした適切な定期スクリーニングを行うことが重要である。

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肝線維化ステージの評価は、肝発癌高危険群の囲い込みにもっとも重要である。Fibroscanは超音波と振動波で肝弾性を測定する機械で、得られた弾性値は線維化ステージと良好に相関することが知られている。C型肝炎患者の弾性値別の3年累積発癌率は、10kPa以下と10.1~15kPa、15.1~20kPa、20.1~25kPa、25kPa以上で、それぞれ0.4%、11.7%、19.2%、25.2%、38.5%であり、弾性値の上昇とともに発癌率の上昇を認めた。また、一見すると肝発癌低リスクと思われる症例においても弾性値が高値である患者は、発癌の可能性を念頭に置いて注意して患者をみていく必要がある。

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肝細胞癌には、AFP、AFP-L3分画(AFP-L3)およびPIVKA-IIという優れた腫瘍マーカーがある。これら3種の腫瘍マーカーは異なる臨床特性をもち、互いに相補的な関係にあるため、複数のマーカーを組み合わせて測定することが推奨される。AFP-L3およびPIVKA-IIは、肝細胞癌に対する特異性が高く、生物学的悪性度の指標としても有用である。常に画像診断所見と対比して、各マーカーの絶対値のみならず、経時的変動を評価することが重要である。肝硬変およびHBs抗原陽性、またはHCV抗体陽性の慢性肝炎では、AFPとPIVKA-IIの同時測定(同一月内測定)ができる。

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日本肝臓学会で発行している『慢性肝炎の治療ガイド2008』によれば、超音波検査は、簡便かつ非侵襲的でありながら、肝細胞癌の早期診断にもっとも役立つ検査であると述べられている。超音波検査はリアルタイムに画像が得られ、結果がその場で判定できることから腹部領域の診断上、欠くことのできない検査法となっているが、正確な診断を行うためには、体位変換や呼吸の調節を行い最適な条件下で観察を行うこと、肝細胞癌における超音波所見のポイントを十分理解したうえで検査にあたること、が必要である。

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肝細胞癌を小型・単発で発見するためには、B型/C型肝硬変の超高危険群に対し、腫瘍マーカー、超音波検査のみならず、CTもサーベイランスの手段として考慮する。典型的な肝細胞癌は異常動脈血流の増加をきたし、この多血性を検出するには造影剤を用いたdynamic CTが必須である。また平衡相でのwashoutも評価することで、診断能が向上する。さらにMD-CTの普及により、高い時間・空間分解能を有する画像を高速に撮影することが可能となり、実地臨床の場にて多く施行されているが、ヨードアレルギー例、腎機能低下例では造影CTは見合わせ、他の画像診断に変更することも必要である。

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拡散強調像は、古典的な多血性肝細胞癌では高信号を呈し、分化度推定やTACE/RFA後の局所再発診断に有用である。肝特異性造影剤である超常磁性酸化鉄製剤(SPIO)は、Kupffer細胞に取り込まれ、Gd-EOB-DTPAは肝細胞へ取り込まれる特徴がある。Gd-EOB-DTPA造影MRIは、古典的な多血性肝細胞癌の検出率においては他のモダリティと同等に検出率が高い。Gd-EOB-DTPA造影MRIは、早期肝細胞癌検出率においては現存する画像診断法の中でもっとも高く、dysplastic noduleと早期肝細胞癌の鑑別能は、最新病理診断基準に基づく信頼性が高い病理診断と、高率で一致する。

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B型肝炎からの発癌は、わが国の肝癌死亡原因の約1割を占めている。B型肝炎とC型肝炎からの肝発癌機構は異なっている。B型肝炎は、現在の治療法ではウイルス排除が得られないため、ウイルス量を減少させ、肝炎を沈静化させることが目標となる。慢性肝炎の治療については、核酸アナログ製剤とinterferonが治療の中心となる。治療法については、年齢、HBe抗原・抗体・ウイルス量、ALT値、肝線維化、genotypeなどを参考に、治療法を選択する。

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わが国におけるHCV感染は、1950年代~1960年代に拡散のピークがあったと考えられる。このため現在、HCV感染者は高齢者が主体である。C型慢性肝炎に対する現在の標準治療はpeginterferon・ribavirin併用療法であるが、さらなる著効率向上のために新薬開発が続いている。抗ウイルス療法によりHCVが持続陰性化した場合に肝癌発生リスクが低下することは、エビデンスで示されている。高齢者でも肝線維化が進行している場合は、抗ウイルス療法のメリットが小さくない。わが国においては、副作用が少ない治療法の開発が必要であろう。

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肝炎ウイルス検診受診率、要精検者受診率は、性・年齢のほかに、地域でも差があった。保健師・行政による要精検者のフォローアップおよび未受診者への受診勧奨は有効であり、適切な医療に結びついていた。地域で多くの症例はかかりつけ医が存在するため、かかりつけ医への肝炎診療に対する考え方、最新情報の普及により、かかりつけ医のボトムアップを行い、最適な医療につなげることが重要である。専門医受診は最適な医療に直接結びつきやすく、厚生労働省ガイドラインに準じた専門医受診を勧奨する施策が必要である。

治療 外科手術 有井 滋樹
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肝癌治療は一般に、肝機能と腫瘍進行度により決定される。このことが多岐にわたる治療法が開発された要因でもあるが、肝癌治療の要諦は、これら種々の治療法を病態に応じて適切に使い分けることである。中でも肝切除はもっとも局所根治度の高い治療法であり、肝機能が許せば基本的には第一選択となる。術式としては、経門脈進展を考慮した系統的切除が合理的である。高度進行肝癌に対しても、切除を軸とした治療が基本である。肝癌治療成績の向上には外科治療の果たす役割が大きく、そのためには手術手技の改良、安全性を担保した手術適応の拡大、化学療法など他治療との組み合わせ、低侵襲性の追求、そして再発抑制法の研究が欠かせない。

治療 ラジオ波焼灼療法 吉田 英雄
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肝細胞癌は背景に慢性肝疾患を合併し、移植以外に発生臓器の全摘出は不可能で、治療後も残存肝に再発の多い疾患であり、反復治療を要することがほとんどである。経皮的ラジオ波焼灼術(radiofrequency ablation:RFA)は、根治性に優れ、低侵襲で、反復治療も容易なため、疾患の特徴を考慮すると、肝細胞癌の治療として適当である。RFAによる治療成績は、治療に際しての経験・技術により影響を受ける可能性が高い。十分なトレーニングを受けたうえで、治療に望む必要がある。肝細胞癌だけでなく、転移性肝癌に対する有効性も示されてきた。今後はエビデンスを確立していく必要がある。

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肝癌診療ガイドラインの治療アルゴリズムでは、肝動脈(化学)塞栓療法(TA(C)E)の適応は、肝障害度AもしくはBの多発進行肝細胞癌(進行HCC:3cm以上の2個もしくは3個のHCCおよび4個以上のHCC)である。TA(C)Eの定義や方法は、いまだ一定していない。2009年の新しい肝癌診療ガイドラインにおけるTA(C)Eの項の一部を紹介する。近年、本邦では、HCCに対するTA(C)Eに使用する固形塞栓物質が変更された。欧米では、球状塞栓物質の薬剤溶出性ビーズなどの新しい塞栓物質や、イトリウム90(90Y)などを球状塞栓物質にマウントして注入するradioembolizationの開発、導入がなされている。その動向についても述べる。

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切除、局所療法、肝動脈塞栓療法(TAE)の適応外となった進行肝細胞癌649例に、IFN併用5-FU動注化学療法を行った。全体の生存率は0.5年55%、1年33%、2年14%、3年8%であった。治療効果は奏効率35%、完全寛解率11%であった。予後因子は奏効、転移なし、腹水なし、門脈浸潤なし、Alb>3.4、T-Bil<1、GOT<78、PIVKA-II<100、腫瘍径6cm未満であった。奏効予測因子は、腹水なしと血小板<12万/μl、HCV陽性であった。IFN併用5-FU動注化学療法のよい適応は、切除不能の門脈浸潤症例で、血小板<12万、T-Bil<1、腹水なしの症例である。

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肝細胞癌(肝癌)の治療については、TAE、TACEといった肝癌の栄養血管を遮断し腫瘍壊死を惹起させる治療や、PEIやPMCによる局所治療法、さらには、外科領域における亜区域切除といったわが国独自の治療法が世界に向け発信された。一方、われわれが肝癌の局所治療を追い求めているあいだに、欧米では肝癌に特異な細胞内シグナル、とくに生存シグナルを分子レベルで阻害し、腫瘍の発育を阻止して腫瘍壊死を狙った分子標的薬の研究が進んだ。sorafenibはその最初の薬剤であり、さらに多くの薬剤が開発治験の途上にある。本稿ではsorafenibに焦点をあて、薬効薬理や臨床成績、また、副作用などについて紹介する。2009年5月、sorafenibは切除不能肝細胞癌の内服治療薬として承認を受けたが、これによりわが国の肝癌治療アルゴリズムがどう変わるか言及した。

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超音波診断装置と超音波造影剤の進歩により、腫瘍内の血流動態イメージや肝全体のKupfferイメージなどをリアルタイムに描出することが可能となり、これらのイメージを総合的に評価することで肝腫瘍の存在診断・鑑別診断を行うことが可能となった。造影超音波は放射線被曝がなく、腎障害やヨードアレルギーなどの症例においても安全に検査可能である。また使用する造影剤は少量で、ベッドサイドでも簡便に検査することができる。Defect Re-perfusion Imagingはperfluorobutane(ソナゾイド)を追加投与するこによって、同一画面に異なる時相を重ねたイメージ(Kupfferイメージと血流イメージ)を得ることができる画期的な手技である。超音波造影検査は、ラジオ波焼灼療法(RFA)の治療支援としても応用可能である。

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肝細胞癌に対して、血管新生阻害薬をはじめとする分子標的薬の開発が、世界中で進行中である。sorafenibは、腫瘍細胞の増殖シグナル遮断と血管新生阻害作用により、悪性腫瘍の増殖を抑制する。sorafenibは肝細胞癌の生命予後を改善することがはじめて示された全身化学療法薬であり、わが国でも2009年5月、肝細胞癌に対する保険適用を取得した。分子標的薬の副作用プロファイルは、従来の細胞障害性の抗悪性腫瘍薬とまったく異なることから、使用にあたっては、とくに注意が必要である。分子標的薬の効果はいまだ限定的であり、他薬剤・肝動脈塞栓術との併用、術後補助化学療法としての有用性検討とともに、肝細胞癌の真の標的分子の同定や、治療効果を予測するバイオマーカーの探索などが重要課題である。

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食生活の欧米化などを理由として、わが国ではとくに男性において肥満者の割合が急速に増加しており、肥満と強く関連する脂肪肝・糖尿病患者も増加し続けている。肥満・脂肪肝・糖尿病は、おのおのが肝発癌の危険因子であるというエビデンスが蓄積されつつあるが、相互に強く関連する一連の病態と考えられる。実際に非ウイルス性肝癌の患者数は増加しはじめており、肥満から脂肪肝・糖尿病を背景とした肝発癌までには数十年のタイムラグがあることを考慮すると、今後も長期にわたって増え続けることが予想される。

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転移性肝癌の患者数は、今後も増加が予想される。転移性肝癌患者で切除可能例は一部にとどまる。抗悪性腫瘍薬治療は非常に進歩したが、その治療効果はなお限定的である。転移性肝癌に対するラジオ波焼灼療法は安全性に優れ、局所コントロールは良好である。集学的治療の一つとして、ラジオ波焼灼療法は転移性肝癌患者の生命予後を改善する可能性がある。エビデンスは十分といえず、今後はエビデンスの構築と、よりよい適応の設定が必要である。

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腎尿路疾患は無症状で、検診にて検尿異常を指摘される場合が多く、その管理を過不足なく確実に実施することが重要である。検尿は採尿方法が重要で、早朝尿においては就寝直前の排尿、起床直後の排尿、中間尿採取を徹底する。蛋白尿の管理では、尿蛋白/尿Cr比を測定する。WHOの糸球体疾患の臨床分類は有用である。発熱では尿路感染症を念頭に置くことが重要である。小児の尿路感染症では複雑性の比率が成人と比べ高い。尿路感染症をきっかけに先天性腎尿路異常が発見されることが多い。小児の腎尿路疾患について、小児腎専門医に紹介が必要な場合は、内科的疾患については腎生検の適応がある場合、泌尿器科的疾患に関しては、手術適応が考慮される場合である。

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26歳女性。患者はバセドウ病に対するPTU投与中に褐色尿が出現し、血液生化学検査にて高度の肝障害を認め、入院となった。入院時検査ではA型、B型、C型のウイルス性肝炎は否定され、抗核抗体×640、MPO-ANCA陽性が認められたが、腹部画像上では異常所見はみられなかった。以上より、本症例はPTUによる薬剤性肝障害が疑われ、PTUを中止したところ、肝障害は正常化した。一方、バセドウ病に対してはアイソトープ治療が行なわれ、甲状腺機能の正常化がみられた。その後の経過でMPO-ANCA、抗核抗体は次第に低下、正常化し、抗核抗体はPTU中止により漸減したことから、薬剤誘発性ループスの併発が疑われた。

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62歳男性。患者は口渇、多飲、体重減少、下肢脱力を主訴に他医を受診、高血糖、低カリウム血症、胸部X線上の右上肺野腫瘤を指摘され、著者らの施設へ精査入院となった。既往歴に2型糖尿病があり、入院時検査所見では血糖コントロールの悪化、低カリウム血症、血漿ACTH・血清コルチゾール・尿中17-OHCS・尿中17-KSの異常高値が認められた。また、腫瘍マーカーではProGRP、NSE、CEA、CYFRAの上昇が判明したが、dexamethasone 8mg負荷試験とCRH負荷試験、頭部MRIでは異常所見はみられなかった。一方、胸部CTでは右肺門部に腫瘤影がみられ、気管支鏡検査で小細胞肺癌と診断された。以上より、本症例は小細胞肺癌による異所性ACTH症候群と考え、胸部放射線療法に加え、CBDCA+VP16を4クール施行したところ、画像上の腫瘍の縮小とともに腫瘍マーカーが低下した。更に血清ACTH、コルチゾール値も低下し、低カリウム血症も改善した。

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53歳男性。患者は左前頭部痛および複視を主訴とした。頭部MRIでは左海綿静脈洞周囲の肥厚が認められ、血液検査では炎症所見、神経所見では外眼筋麻痺が認められた。これらのことから、本症例はコントロール不良の糖尿病を合併したTolosa-Hunt症候群と考えられ、PSL 30mgの内服にて症状の改善がみられたが、PSL減量中に症状の増悪が認められた。そこで、ステロイドパルス療法を行ったところ、頭痛をはじめ眼球運動障害・複視は改善し、画像上でも海綿静脈洞周囲の肥厚病変の縮小と造影効果の減弱が確認された。

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70歳男性。患者は意識障害および歩行障害を主訴に精査加療目的で入院となった。所見では著明な低ナトリウム血症が認められ、尿中ナトリウム排泄は20mEq/l以上であり、尿浸透圧は血漿浸透圧より高値であった。甲状腺機能は正常で、副腎不全も認められなかったが、ビタミンB1の著明な低値がみられた。また、頭部MRIでは両側視床内側、第4脳室背側に拡散強調画像で高信号に描出される病変を左右対称性に認められた。以上より、本症例は低ナトリウム血症を合併したWernicke脳症と診断された。治療は低ナトリウム血症に加え、口腔粘膜乾燥、舌萎縮、BUN、Crの増加など高度な脱水が存在したため、補液でナトリウムと細胞外液を補充したところ、臨床症状、臨床検査成績ともに改善がみられた。尚、本症例の低ナトリウム血症の原因としては中枢性塩類喪失症候群が関与した可能性が示唆された。

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41歳男性。患者は高熱および頭痛を主訴に近医を受診、髄液検査にて細胞数の上昇を指摘され、著者らの施設へ精査入院となった。血液生化学検査では軽度の炎症が認められたが、その他異常所見はなく、髄液HSV-DNAや髄液ウイルス検査、脳CTおよびMRIでも異常所見はみられず、無菌性髄膜炎と診断された。患者は今回の入院を含めて過去10年間に5回の無菌性髄膜炎を繰り返し発症したが、いずれも後遺症なく経過しており、臨床経過よりMollaret髄膜炎と考えられた。

基本情報

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臨床雑誌内科
104巻4号 (2009年10月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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