発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010028532
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62歳男性。患者は口渇、多飲、体重減少、下肢脱力を主訴に他医を受診、高血糖、低カリウム血症、胸部X線上の右上肺野腫瘤を指摘され、著者らの施設へ精査入院となった。既往歴に2型糖尿病があり、入院時検査所見では血糖コントロールの悪化、低カリウム血症、血漿ACTH・血清コルチゾール・尿中17-OHCS・尿中17-KSの異常高値が認められた。また、腫瘍マーカーではProGRP、NSE、CEA、CYFRAの上昇が判明したが、dexamethasone 8mg負荷試験とCRH負荷試験、頭部MRIでは異常所見はみられなかった。一方、胸部CTでは右肺門部に腫瘤影がみられ、気管支鏡検査で小細胞肺癌と診断された。以上より、本症例は小細胞肺癌による異所性ACTH症候群と考え、胸部放射線療法に加え、CBDCA+VP16を4クール施行したところ、画像上の腫瘍の縮小とともに腫瘍マーカーが低下した。更に血清ACTH、コルチゾール値も低下し、低カリウム血症も改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2009