発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010028534
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70歳男性。患者は意識障害および歩行障害を主訴に精査加療目的で入院となった。所見では著明な低ナトリウム血症が認められ、尿中ナトリウム排泄は20mEq/l以上であり、尿浸透圧は血漿浸透圧より高値であった。甲状腺機能は正常で、副腎不全も認められなかったが、ビタミンB1の著明な低値がみられた。また、頭部MRIでは両側視床内側、第4脳室背側に拡散強調画像で高信号に描出される病変を左右対称性に認められた。以上より、本症例は低ナトリウム血症を合併したWernicke脳症と診断された。治療は低ナトリウム血症に加え、口腔粘膜乾燥、舌萎縮、BUN、Crの増加など高度な脱水が存在したため、補液でナトリウムと細胞外液を補充したところ、臨床症状、臨床検査成績ともに改善がみられた。尚、本症例の低ナトリウム血症の原因としては中枢性塩類喪失症候群が関与した可能性が示唆された。
©Nankodo Co., Ltd., 2009