皮膚科の臨床 60巻2号 (2018年2月)

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症例1:38歳,女性。2年前よりある右肩甲部黒色斑が,数カ月で急速に増大した。近医で切除標本からaneurysmal fibrous histiocytoma(AFH)と診断された。深部断端陽性のため当科を紹介受診し,拡大切除を施行した。症例2:29歳,男性。半年前より右上肢に小結節を自覚し急速に増大した。部分生検でAFHと診断され当科で拡大切除を行った。2例とも切除断端は陰性で,術後再発は認めていない。AFHはまれではあるが,臨床像が典型的な皮膚線維腫とは異なり,ときに悪性腫瘍との鑑別が必要である。また,不完全な切除で再発する可能性があるため,われわれは,本腫瘍について熟知すべきである。

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57歳,女性。30年前より左下腿に軽度の瘙痒感を伴う結節が出現し,徐々に増大した。初診時,左下腿伸側に15×14mm大で弾性硬の黒褐色結節があり,下床との癒着はなかった。病理組織学的所見では表皮肥厚とbasal pigmentationがみられ,真皮中層を中心に太い膠原線維束を伴って泡沫細胞が集塊を形成していた。また,それより深部では紡錘形の腫瘍細胞が主体となり,storiform patternを呈していた。泡沫細胞はCD10,CD68,CD163が陽性,αSMA,CD34が陰性であり,lipidized fibrous histiocytomaと診断した。本症はまれな疾患であり,発生機序などは明らかでないが,病理組織で泡沫細胞を認めるという所見から脂質異常が発生に関与している可能性を考えた。

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61歳,男性。後頭部に弾性硬の皮下腫瘤がみられた。病理組織学的所見では皮下脂肪組織の深部に膠原線維が境界不明瞭に増生し,腫瘤内部に島状に神経線維束と脂肪小葉が散在していた。Nuchal type fibromaの報告数は少なく認知度が低いと考えられ,臨床的に脂肪腫や囊腫と診断されることが多い。脂肪腫や囊腫として臨床症状や画像所見が説明できない皮下腫瘤に遭遇したときには,nuchal type fibromaは考える価値のある疾患と思われる。

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70歳,男性。2カ月前より左前腕皮下に扁平結節が誘因なく出現した。軟骨様硬,可動性良好で自発痛や圧痛はなかった。MRIでは筋膜より連続するT1 low/T2 high,造影で辺縁を中心に遷延性濃染を呈した。結節性筋膜炎を疑い摘出術を施行した。病理組織学的に細胞成分に乏しい著明な線維形成性病変で,vimentin(+),αSMA(−),S100(−)であり,desmoplastic fibroblastoma(collagenous fibroma)と診断した。本症は,比較的まれな軟部腫瘍の鑑別診断として考慮される必要がある。

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47歳,男性。既往に糖尿病がある。3年前,近医で右上腕軟部悪性腫瘍を切除した。3週間前,人中部に結節が出現し,徐々に増大した。真皮上層から下層にかけ,herringbone patternおよびstoriform patternをなして密に増殖する線維芽細胞様細胞からなる結節性病変を認め,CD34陽性であった。3年前の右上腕軟部悪性腫瘍についても同様の病理組織像であり,ともに隆起性皮膚線維肉腫と診断した。CTでは明らかな転移性病変を認めず,多中心性発生と考えたが,右上腕部から人中部に転移した可能性も否定できない。今後も再発転移のみでなく,新たな腫瘍発生の可能性を含めて慎重な経過観察を要する。

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60歳代,男性。1年前より,左耳介に表面血管拡張を伴う,無痛性で小指頭大の隆起性皮下結節を自覚していた。手術による全摘出を施行した。病理組織学的所見にて血管平滑筋腫と診断した。本症は下肢に好発し,有痛性の皮下結節を形成しやすい。自験例のように耳介に生じることはまれであり,臨床像も無痛性隆起皮下結節と,典型例とは異なっており,留意すべき症例と考えた。

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69歳,女性。2カ月前より左下腿に皮下腫瘤が出現し急速に増大した。左下腿に可動性良好な表面常色の胡桃大の皮下腫瘤を認めた。病理組織所見は皮下組織内に境界明瞭で血管成分に富む紡錘形異型細胞からなる腫瘍を認めた。免疫染色ではvimentin,α-smooth muscle actin,desmin,muscle actin,calponinが陽性。以上より皮下型平滑筋肉腫と診断した。FDG-PETで胃に強い集積がみられ,上部消化管内視鏡では胃体上部大彎に進行胃癌を認めた。下腿平滑筋肉腫は3cm離して追加切除し,胃癌は胃全摘術を施行した。本症は下肢に好発し,肺などの遠隔転移も多く予後不良で,比較的まれな軟部肉腫である。急速に増大する表面平滑で可動性良好な皮下腫瘤をみた際には,本症も考慮すべきと考えた。

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56歳,男性。1年前から陰囊に小結節が出現し,1カ月前から急速に増大したため当科を受診した。陰囊の中央部に懸垂する弾性軟の紅色皮膚腫瘤を認め,先端部は表面平滑で光沢を伴い透明感を有していた。腫瘍より2mm離して,肉様膜上で切除した。病理組織では,基部から先端部にかけて異型性の乏しい紡錘形の核を有する腫瘍細胞が増生し,間質では小血管の増生と,粘液様物質の沈着を認めた。特殊染色で,腫瘍細胞はvimentin陽性,CD34一部陽性であり,粘液様物質はalcian blue強陽性で,ヒアルロニダーゼで消化された。以上より,superficial angiomyxomaと診断した。陰部発症のsuperficial angiomyxomaは,臨床的にaggressive angiomyxomaとの鑑別が難しいが,特殊染色にて鑑別し得た。

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83歳,女性。1年6カ月前より前額部に瘙痒を伴う皮膚結節が出現した。初診時,右前額部から側頭部にかけて不整形の紫紅色斑と55×27mm大の結節を認めた。病理組織学的所見では真皮を中心に異型を伴う上皮様の腫瘍細胞が密に増殖し,CD31,D2-40が陽性だった。PET-CTで縦隔リンパ節に集積を認めたが,胸腹部造影CTで明らかな転移はなかった。Epithelioid angiosarcomaと診断し,放射線療法と毎週のパクリタキセル投与を施行したところ,皮膚結節は平坦化し,点状の紫斑,毛細血管拡張のみ残存した。Epithelioid angiosarcomaに対する治療は定まったものはないが,通常の血管肉腫と同様にタキサン系抗腫瘍剤を用いた化学放射線療法が有用であると考えた。

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51歳,女性。4カ月前に左手掌拇指球に小結節が出現し,徐々に増大した。やや黄色で角化を伴った結節であり,自覚症状はなかった。ダーモスコピー所見で,結節は正常皮膚との間に明瞭に白色被膜の境界をもち,中心には明らかな黄色調を呈する部分があり,車軸状に白色調の部分と黄色調の部分が交互に存在していた。病理組織学的所見では,周囲との境界が明瞭な結節性病変があり,リンパ球浸潤や泡沫細胞,Touton型多核巨細胞を認めた。単発性成人型黄色肉芽腫と診断した。手掌発生例はまれであり,また経時的な黄色肉芽腫のダーモスコピー所見を呈示することで,特に自然消退することの多い小児例で不必要な侵襲を加えずにすむ可能性があると考えた。

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76歳,男性。10年前より関節リウマチで治療中。2015年9月右肩の米粒大の紅色丘疹を自覚した。増大したため10月近医を受診した。12月に当院形成外科で生検し,肉腫あるいは未分化癌が疑われ,2016年1月当科を紹介受診した。4.5×2cm大の暗紫色で表面平滑な腫瘤を形成していた。転移はない。辺縁より3cm離し,筋膜を含めて切除した。病理所見で真皮全層に異型の強い細胞がびまん性に浸潤していた。S100,CD1a陽性,MIB-1 indexは60%であり,Langerhans細胞肉腫と診断した。Langerhans細胞肉腫は皮膚に好発する予後の悪い,まれな疾患であるため皮膚科医として念頭に置くべきである。

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40歳,女性。7年半程前より,ガードルの接触部位に紅斑が出現した。以後,入浴や飲酒後にかゆみを伴う紅斑が再燃するため,当科を受診した。体幹と大腿に大豆大までの褐色~紅褐色斑や褐色丘疹が散在性に分布し,Darier徴候陽性であった。生検像では肥満細胞が真皮上層の脈管周囲に結節状に浸潤する像を認め,成人型肥満細胞症としての色素性蕁麻疹と診断した。成人でみられる肥満細胞症では,皮疹が初発症状として認識されることも多い。アナフィラキシー様症状などの重篤な合併症を生じうる疾患の特性から,病態の把握や合併症出現に備えた対応をしやすくするために,早期診断が必要であり,皮膚生検は診断の糸口として重要である。

巻頭言

ほんまもんへの道 岸本 和裕
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私は,卒後8年目の2003年春に竹田綜合病院(当時1097床,現837床)へ責任者として赴任しました。ただそれまでの臨床経験は,内科・救急麻酔科研修,形成外科,法務省福島刑務所なども含まれており,実際に皮膚科学を指導していただいた期間は短く,力不足は明白です。そんな未熟者が,「自修自得」しかなく,すべてが「自己責任」という孤独で過酷な環境に飛び込みました。薄氷を踏むが如く日々を……無我夢中で駆け抜けて来たという感覚です。

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現病歴 数週間前に,左上背部の皮疹を妻に指摘された。徐々に拡大してきたため当科を受診した。

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日々の皮膚病理組織診断をするうえで,私が現在一番参考にしているのは成書や論文ですが,初心者の頃は同じ教室の先輩の豊富な経験に基づくアドバイスがとても役に立ちました。なので私も後輩の勉強を手助けしたいと思っていますが,直接教えることができるのはたまたまそのとき一緒に働いている数人でしかありません。そこで今回,少しでも多くの若手医師に役に立てるように,これまでの病理診断経験から得た教訓的症例を紹介することにしました。

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今回われわれは,臨床的に色素を認めない部位にも病理組織学的に腫瘍胞巣が存在した基底細胞癌4例を経験した。メラノサイトの分布,メラニン沈着と血管増生に関して臨床所見・ダーモスコピー・病理組織の関連性を検討した結果,次の2点が明らかとなった。1.ダーモスコピーで確認できた淡いdotsは,腫瘍胞巣内のメラノサイトを反映していた。非黒色部の腫瘍胞巣内にもメラノサイトは存在していたが,メラニン量によりダーモスコピーでdotsとして捉えられなかった。2.非腫瘍部に比べ腫瘍部で病理組織学的に血管数が多く,また4例ともにダーモスコピーでarborizing vesselsを認めており,黒色部と非黒色部が混在する基底細胞癌を診断する場合でもarborizing vesselsは有用な所見であった。

ちょっと一息 医局ラウンジ

第2回 筑波大学
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アットホームで,和気あいあいとした雰囲気のなか,日々真摯に臨床と研究に励んでいます。特に,教室員一人一人が互いに個性を尊重しつつ,切磋琢磨しながら,最大の力が発揮できる環境作りを常に目指しています。

Dr.斎田の皮膚科診断講座

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症例情報 37歳,女性。約7年前に気づいた背部の皮疹。長径9mmの楕円形状の黒褐色斑が全摘生検された。

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36歳,男性。電気工事の作業中に高圧電線(交流2万ボルト)に接触し,右上肢から右下肢にかけて,通電による損傷を受けた。同時に着衣が燃え,右上肢・体幹部に深達性Ⅱ~Ⅲ度,熱傷面積が約40%の熱傷を負った。治療経過中に重篤な合併症を伴うことはなかった。4回のデブリードマン・分層植皮術に培養表皮移植を併用し,受傷後196日目に退院した。高電圧による電撃傷は,心室細動や患肢の切断などの重大な合併症をおこすことがあり,適切な対処が求められる。

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症例1:40歳,女性。異汗性湿疹の診断で治療中に顔面に紅斑,膿疱が出現した。左頰および右足皮疹の病理組織像から好酸球性膿疱性毛包炎(EPF)と診断した。インドメタシンファルネシル内服の効果は不十分だったが,シクロスポリン内服を併用し改善した。症例2:52歳,女性。顔面,背部に環状紅斑と膿疱を認めた。皮膚生検でEPFと診断し,インドメタシンファルネシル,ミノサイクリン塩酸塩内服を行ったが無効だった。プレドニゾロン30mg内服で皮疹は速やかに消退したが減量で再燃した。シクロスポリン内服の併用で皮疹は再び消退し,ステロイド離脱が可能だった。難治性のEPFに対し,シクロスポリン内服は有効な治療の一つと考えた。

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54歳,女性。20年ほど前より,汗をかくようになる6月頃に皮疹が出現し,秋頃に寛解を繰り返していた。初診時,体幹・四肢に鱗屑・痂皮を伴う紅斑が連圏状から蛇行状にみられ,一部で小水疱・小膿疱も散見された。病理組織学的に角層下膿疱を認め,表皮は不規則に肥厚していた。真皮浅層には好中球を混じる炎症細胞浸潤があり,汗管周囲により目立った。角層下膿疱症と診断し,ジアフェニルスルホン投与で皮疹は改善した。同剤を中止したところ,冬期は皮疹の再燃はなかったものの,翌年の夏期に再燃した。本邦における角層下膿疱症は夏期に発症・再発する症例が多く,自験例の経過や病理所見を考え併せると汗や発汗が発症に何らかの関与をしている可能性も推察された。

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81歳,男性。ヒドロキシジンパモ酸塩を7日間内服した翌日,全身に紅斑が出現した。皮疹出現から6日後の当科初診時には38°C台の発熱があり,体幹・四肢に落屑,小膿疱を伴うびまん性の紅斑がみられた。急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)と診断した。補液と抗アレルギー薬内服で症状は改善した。パッチテストではヒドロキシジンパモ酸塩が陽性であった。AGEPの症状が消退後に頭部,肘,膝に鱗屑を伴う紅斑が出現し,尋常性乾癬を発症したと考えられた。抗ヒスタミン薬による薬疹の症例は珍しく,見逃されがちであるため留意が必要である。また,AGEPと乾癬の発症にはTh17細胞の関与が考えられた。

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63歳,男性。10数年前に近医で尋常性乾癬と診断された。外用療法,シクロスポリンの内服を行ったが効果に乏しく,インフリキシマブを導入したところ,2週で皮疹はほぼ消失した。しかし導入13カ月後,四肢の筋力低下と痺れが出現し,神経内科で慢性炎症性脱髄性多発神経炎と診断された。インフリキシマブを中止のうえ,免疫グロブリン大量静注療法を1クール施行したところ症状は消失し,現在に至るまで再発していない。皮疹に対しては外用と光線療法でコントロールしている。抗TNF-α抗体製剤による神経障害の発症機序は明らかになっていないが,① 末梢神経に対する自己抗体の産生,② 末梢神経の保護に働いているTNF-αが阻害された可能性などが推察されている。

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40歳,女性。3年前に右乳癌で右乳房全摘術を,1年半前に右乳房再建術および対側の豊胸術を施行された。2日前より発熱,頭痛,両腋窩および前胸部痛が出現した。右前胸部から腹部にかけて暗紅色の浸潤を触れる紅斑を認め,一部は左胸部にも及んでいた。皮疹部は腫脹し,自覚症状として疼痛を伴っていた。病理組織学的に真皮浅層から深層にかけて血管・付属器周囲性にリンパ球主体の炎症細胞浸潤があり,真皮上中層には空隙が散在していた。ヒトアジュバント病でみられる異物肉芽腫や血清学的検査異常は認められなかったが,臨床症状や経過,病理組織学的所見から本症の早期病変と考えた。

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33歳,男性の左上背部に生じた限局性丘疹型異型ジベルばら色粃糠疹を経験した。初診時,左肩甲骨部にherald patchと考えられる辺縁に襟飾り状の鱗屑を付着する長径2cmの淡紅色類円形局面があり,その周囲に5mm大までの紅色丘疹が多発していた。ジベルばら色粃糠疹は頻度の高い代表的な炎症性皮膚疾患で,通常その典型的な臨床像から診断は比較的容易であることが多い。一方,非典型的な臨床像をとる異型ジベルばら色粃糠疹も全体の20%程度でみられるとされ,自験例でみられた限局性丘疹型を含め,各種亜型の臨床像について十分に理解する必要がある。

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日齢6日,男児。出生時から頭部に腫瘤があり,生検組織所見より新生児の脂腺母斑上に生じた乳頭状汗管囊胞腺腫(SCAP)と診断した。2歳時,全身麻酔下に切除縫縮したが,全切除標本にはSCAPの所見はみられなかった。SCAPの年齢分布は各年齢層に及ぶが,生直後の生検でSCAPと診断し,組織学的な経時変化をみた報告はこれまでなく,貴重な症例と考えた。

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症例1:54歳,女性。2週間前から,臍部のびらんを伴う結節に気づいた。近医を経て当科を紹介受診した。臍部に小指頭大の紫紅色のびらんを伴う結節を認め,皮膚生検で腺癌,腹部造影CTにて卵巣癌を認めた。症例2:73歳,女性。1カ月前より臍部の発赤と出血を伴う腫瘤に気づいた。臍部に10mm大の肉芽様結節を認め,病理組織学的に腺癌であった。子宮内膜組織診にて類内膜腺癌を認めた。両症例とも子宮体癌の転移によるSister Mary Joseph’s Nodule(SMJN)と診断した。SMJNは内臓悪性腫瘍の臍転移であり,原発巣診断の契機となることが少なくない。臍腫瘤をみた際は,SMJNの可能性も考慮する必要があると考えた。

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59歳,男性。30年にわたり右足底の「胼胝」を削っていた。約1年前,同部位に黒褐色斑が生じて拡大し,多彩な色調を呈するようになり,さらに結節を触れるようになった。病理組織学的には,病変全体で真皮全層に円形から紡錘形の異型メラノサイトが稠密に増殖し,膠原線維の増生を伴っていた。S100染色,HMB-45染色,melan-A染色が陽性で,desmoplastic malignant melanomaと診断した。角層のメラニンや表皮と真皮のメラノサイトの分布が部位により異なるため,多彩な色調を反映する。さらに角化を伴ったことや線維化を伴う皮内結節を形成したことで,特異な臨床像を呈したと考えた。

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神経線維腫(NF),神経鞘腫(SW),神経周膜腫(PN)のうち,複数の腫瘍成分・構築をとるhybrid末梢神経鞘腫瘍の報告が散見される。PN様構築にSWの腫瘍成分をもつhybrid SW/PN(SW/PN)と,PN様構築にNFの腫瘍成分をもつhybrid NF/PN(NF/PN)を経験した。症例1:68歳,女性。左後頸部の7mm大,弾性やや硬,淡紅色結節。S100蛋白,EMA陽性,hybrid SW/PNと診断した。症例2:47歳,女性。右前腕の10×12mm大,弾性やや硬,淡褐色結節。S100蛋白,EMA,CD34陽性,hybrid NF/PNと診断した。末梢神経鞘腫瘍の詳細な観察が必要と考える。

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74歳,男性。外陰部に悪臭と滲出液を伴う広範な疣状隆起性局面を形成し,当科を紹介受診した。臨床所見および皮膚生検で,巨大尖圭コンジローマと診断した。病変が両股部に広範囲に存在しており,亜鉛華デンプン塗布による外用とヨクイニンの内服治療を約1カ月行ったところ滲出液,悪臭の改善を認めた。さらに塗布3カ月後には腫瘍は縮小傾向を示し,15カ月後には瘢痕を残して腫瘍はほぼ消退した。巨大尖圭コンジローマの治療は一般に外科的切除が行われるが,炎症所見を伴い切除困難な症例に対して,亜鉛華デンプンによる外用療法は低侵襲かつ簡便な治療として有用な治療法であると考えた。

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46歳,男性。約10年前から陰茎亀頭部に潰瘍が出現し,軽快と再発を繰り返していた。陰茎亀頭部に,瘢痕と壊死組織を伴う5mm大までの潰瘍を認めた。血液検査では,enzyme-linked immunosorbent spot(ELISPOT)陽性であった。病理組織では,真皮全層に稠密な細胞浸潤がみられ,一部乾酪壊死とLanghans巨細胞を伴った肉芽腫を認めた。組織培養で抗酸菌陰性であった。明らかな結核の病変はなかった。以上より陰茎結核疹と診断した。抗結核薬多剤併用療法を開始し,潰瘍は瘢痕化,再燃はない。ELISPOT法はツベルクリン反応より特異性が高く,陰茎結核疹の診断に有用であることが示された。

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22歳,男性。バイクで走行中に転倒し,左大腿部を大型トレーラーに轢かれた。左大腿部にびまん性の腫脹を認めたが,皮膚表面は淡い紫斑と小びらんを形成するのみであった。画像検査で主要な骨・血管の損傷と筋肉の腫脹はなく,大腿外側部の浅筋膜上に血腫の形成を認めた。皮下血腫として加療したが,血腫の増大とともに,発熱と大腿全周性の皮膚壊死を生じた。Closed degloving injuryとして血腫除去とデブリードマンを行い,分層植皮術で二期的に閉創した。本症においては,初診時は一見軽症の皮膚症状にみえることがあるため,受傷状況,皮膚皮下組織の損傷の程度を鑑みて診断・治療を進める必要がある。

憧鉄雑感

第71回 差し入れする患者 安部 正敏
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病棟の隅でニヤニヤと手招きする受け持ち患者。「先生さぁ~今夜の夕飯は食わないでいてくれよな~」斯様なことを言う。「毎日遅くまで働いているんだから,せめてもの感謝よ!」筆者が研修医時代の話である。当然,謝意とともに丁寧にお断りすると「大したもんじゃない。ちょっとさ,旨いうどんが手に入ってね。かかぁが今夜持ってくるから食ってくれ!」そんな貴重品など,迂闊に貰う訳にもいかぬ。「悪いけど,先生の分だけだから,他の先生には内緒な! 滅多に手に入らないからさ~」平素から素行に問題があり看護師から決して評判がよくないこの男は,まるで麻薬の取引が成立したが如く,周囲に警戒しながら猫背でベッドに戻っていった。

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現病歴 2日前から体幹・四肢に紅斑,紅色丘疹が出現し,次第に頭頸部まで拡大してきたため当科を受診した。

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現病歴 50歳頃,右下腿に弾性軟な常色の腫瘤が出現した。放置していたが,半年前より急速な増大をしてきたため,2014年7月に当科を受診した。

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現病歴 1年前から肛門が痛くアロエを塗っていたが,1カ月半前に中止した。1カ月前から肛囲に白い浸軟とびらんがあり,半月前から外科でテルビナフィン塩酸塩クリームを処方され外用していたが,難治のため当科を紹介受診した。初診の頃は肛囲に痛み,その後はかゆみがみられた。

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現病歴 2カ月前より両手に強い瘙痒を伴う紅色丘疹が出現した。徐々に全身に拡大した。近医でジフルプレドナート(マイザー®)軟膏,オロパタジン塩酸塩(アレロック®)を処方されるも改善に乏しく,当科を受診した。

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目次

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著作財産権譲渡同意書

Information

次号予告

編集後記

基本情報

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皮膚科の臨床
60巻2号 (2018年2月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0018-1404 金原出版

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