皮膚科の臨床 59巻10号 (2017年9月)

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現病歴 2016年3月下旬より左下腿から足部に腫脹と疼痛が出現し,次第に皮下腫瘤を形成するようになった。腫瘤から排膿し,発熱も認めたため,同年4月上旬に当科を受診した。

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現病歴 1カ月前から,近医で左下腿軟部組織感染症としてセフメタゾール(1g/透析日)の点滴静注を受けていたが改善なく,当科を紹介受診。

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61歳,男性。アルコール性肝炎の既往がある。刺身と生レバーを食べた2日後,立位困難となり救急搬送となった。当院搬送時,発熱と右下肢の発赤,水疱形成を認めた。入院後数時間で足背から壊死が急速に進行し,血液検査ではCRP10.22mg/dl,CK6934U/l,PCT43.89ng/mlであり,壊死性筋膜炎として右大腿切断術を施行。血液培養,右下肢の滲出液よりAeromonashydrophilaが検出された。Aeromonas hydrophilaは劇症型軟部組織感染症の起炎菌のひとつであり,急激な経過で重篤化することもある。易感染性宿主の場合は特に,起炎菌として念頭に置く必要があると考える。

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65歳,男性。多発性骨髄腫に対して化学療法中に,右大腿内側から前面にかけて腫脹・熱感・疼痛が出現し緊急入院。入院後,意識障害が出現し,敗血症性ショックに陥った。急速に進行する下肢の壊疽,筋酵素の上昇がみられ,血液と下肢の水疱内からEdwardsiella tarda(E.tarda)が検出されたことから,E.tarda による壊死性筋膜炎および敗血症と診断した。メロペネム,バンコマイシン塩酸塩,クリンダマイシンを投与,右大腿切断により救命し得た。E. tardaによる軟部組織感染症はまれであるが,易感染性宿主では敗血症や壊死性筋膜炎に至り,致死的な転帰をとる可能性が高いため注意すべき菌種であり,その危険性を認識する必要がある。

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105歳,女性。G 群連鎖球菌による壊死性筋膜炎の救命例を経験した。ICU管理を行ったが,患者・関係者の意思決定が困難であったため,抗菌薬投与,病室でのデブリードマンを続行した。潰瘍状態が改善したため関係者を説得し,麻酔科医の協力のもと入院55日目に全身麻酔下デブリードマン,メッシュ遊離植皮を施行した。今後,超高齢者が増加し外科治療の選択に悩むケースが増えると考えられる。高年齢になると生物学的年齢の個人差が大きいため,暦年齢は手術適応や術式選択の条件には必ずしもならない。90歳以上の超高齢者では生命予後を考え消極的な選択をしがちであるが,麻酔科医と連携しつつケースごとに対応を考える必要がある。

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フルニエ壊疽の発症をきっかけに,直腸癌と診断された症例を経験した。症例は70歳,男性。既往歴に特記すべき事項はない。4日前から発熱。急速に拡大する,下腹部から外陰部にかけての強い炎症を自覚し,脱力,歩行困難となり当院へ救急搬送となった。下腹部から外陰部にかけての皮膚は発赤,腫脹し,一部壊死を伴う。腹部CTでは広範に腫脹,液体貯留,皮下ガス像も確認され,フルニエ壊疽と診断した。緊急デブリードマンを行い,集中治療室での全身管理を行った。全身状態が安定してから施行した下部消化管内視鏡検査で直腸癌が発見された。直腸癌がフルニエ壊疽の原因となることはまれであるが,本疾患に伴うことも念頭に診察する必要がある。

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59歳,女性。米国への旅行から帰国後より左側腹部の疼痛と紫斑が出現し,当院へ搬送。左側腹部と左大腿に紫斑,表皮剝離を生じ,握雪感を認めた。炎症反応上昇とCK 高値を示し,胸部X 線で左側腹部に皮下気腫像を認めガス壊疽と診断した。試験切開を施行し漿液性の排液あり。全身管理を行うも循環動態が安定せず,搬送10時間後に死亡した。血液培養でClostridium septicumを検出。同菌種は非外傷性のガス壊疽で,大腸癌や造血器腫瘍などの悪性腫瘍患者で検出されることが多い。自験例は精査できなかったが,何らかの悪性腫瘍が存在した可能性がある。紫斑および強い疼痛が生じ,非外傷性のガス壊疽が疑われる際は,早期にガス像の有無を確認することが重要である。

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両側性の下肢軟部組織感染症の3例を報告する。症例1:84歳,女性。3日前より両側下腿に腫脹と鮮紅色紅斑が出現。湿疹病変を伴う。蜂窩織炎と診断し,ピペラシリン投与で皮疹は軽快。症例2:92歳,女性。入院当日に発熱と両側下腿の境界明瞭な紅斑と血疱が出現。水疱性丹毒と診断。ピペラシリンなどの投与で皮疹は軽快するが肺炎を併発。症例3:86歳,男性。前日に活動性が低下し近医に入院した際,左下肢と右大腿の紅斑,腫脹を指摘される。左下肢は蜂窩織炎,右下腿は丹毒と診断し,ピペラシリンなどの投与で症状は軽快。当科では両側性の症例は下肢軟部組織感染症例の約2%の頻度で,片側性に比べて高齢の傾向があった。

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現病歴 発症時期は不明だが,頭頂部の自覚症状を伴わない角化性丘疹に気づいて,当科を受診した。冷凍凝固術を施行したが軽快しないため,切除術を施行した。

巻頭言

人工知能とArt 小寺 雅也
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最近,人工知能(AI)の進歩のニュースを耳にすることが多くなった気がする。人間対AI による将棋やチェスの勝負,クイズ番組でのAI の勝利のニュースである。さらに,AI を利用した防犯カメラのコンピュータ工学的技術開発が凄まじい。登録された不審人物を,大勢の人間の中から発見する技術を想像されるかもしれないが,それはすでに過去の技術である。不審人物の特徴を人間が入力する過去の技術から,今は多くの不審人物のデータをコンピュータに入力することにより,コンピュータ自体がその特徴を自ら導き出すようになった。学習する人工知能アルゴリズム,情報処理速度向上によるディープラーニング(深層学習)である。人工知能によって,登録されていない人物をコンピュータが確からしさを提示しながら不審人物として検出する。いわゆる知能をもった眼である。

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私が入局した頃は,アトピー性皮膚炎(atopicdermatitis,以下AD)は簡単に治療できるもので,重症AD 患者はほとんどいなかった。しかし脱ステロイド療法が提唱されてから,重症AD 患者が増えてきた。しかしその後脱ステロイド療法に対する反省から,ステロイド外用薬を使用するようになったが,再び重症AD 患者が増えてきた。実際私の所にはインターネットを頼りに,関東一円から(中国からも)さまざまな皮膚疾患の患者が来院するが,その半数近くが難治性となったAD 患者である。このままではわが国のAD 患者は救われないし,皮膚科専門医に対する信頼が失墜しかねないので,私の専門とするレーザー治療や皮膚真菌症の治療ではなく,AD の治療を私の最終講義のテーマとした。

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爪白癬患者51例に対し,エフィナコナゾールの治療効果と治療満足度を検討した。患者は平均年齢69歳と高齢者が多く,罹病期間は約8年,感染面積50%以上が約6割と重症例が多かった。感染面積50%以上の重症例29例31趾において,感染面積のみならず新生爪の伸長に有意な改善を認め,エフィナコナゾール外用だけでも重症例に有効な可能性がある。患者の治療満足度は約70%に高い満足感が得られ,また治療効果を実感した時期も約80%が6カ月以内と早期に実感していた。これは患者の治療継続意欲の向上にも繋がる。

Dr. 斎田の皮膚科診断講座

Dr.斎田の皮膚科診断講座 斎田 俊明
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症例情報 43歳,男性。20歳頃から右肩前面部に「ホクロ」があるのに気づいていた。最近,その形が少し変わったことを家族に指摘されて受診した。初診時,同部に18×9mmの黒褐色病変が認められた。

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魚類を含む食事の摂取後数時間以内にアナフィラキシー症状をきたしてアニサキスアレルギーと診断され,アニサキスアレルゲンコンポーネント解析を施行した3例を報告した。アニサキスアレルギーに関しては,アレルゲンコンポーネントの同定はなされているものの,その臨床的意味づけが確立していないという難点がある。しかし,今回の自験3例および過去の既報告4 例の全例で,アニサキスアレルゲンコンポーネントのうちのAni s 12が陽性であった。したがって,アニサキスアレルゲン中でAni s 12 は,即時型反応により,蕁麻疹ないしアナフィラキシー反応をきたす症例に特異的なコンポーネントである可能性が示された。

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前夜に魚類ないしホルモン焼きを摂取したところ,翌日に蕁麻疹/アナフィラキシーを発症し,アニサキス・回虫の特異的IgEが陽性,かつELISA 法でアニサキスの分泌抗原であるAni s 9が陽性であった2例を経験した。原因食物摂取数時間〜1日後の遅発性に発症する消化管アニサキス症は分泌抗原であるAni s 1によるアレルギー反応と考えられているため,アニサキスアレルギーによる蕁麻疹/アナフィラキシーも遅発性に発症しうる可能性は否定し得ない。したがって,原因不明のアナフィラキシー症例を経験し,半日以上前に遡った問診で魚類やホルモン焼き摂取の既往がある場合には,アニサキス・回虫特異的IgEの測定は試みる価値がある。

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37歳,女性。急性上気道炎に対し複数の薬剤を内服後,1時間以内に上口唇,頸部,両側上肢,左大腿に紅斑が多数出現した。1年前にも複数薬剤内服後に同様の皮疹が同一部位に出現した既往がある。皮疹出現部位で行ったパッチテストでメシル酸ガレノキサシン陽性。内服歴と併せて同薬剤が原因の多発性固定薬疹と診断した。メシル酸ガレノキサシンの固定薬疹で皮疹部にパッチテストを行った症例は少ないが,是非試されるべき検査である。

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29歳,男性。既往にCrohn 病がある。38℃台の発熱とともに全身に小膿疱を伴う紅斑が急速に拡大した。好中球増多および炎症反応高値のため,セフトリアキソンを点滴したが改善しなかった。小膿疱からの細菌培養検査は陰性で,抗エンテロウイルス71抗体が陽性であった。臨床経過および皮疹,病理組織学的所見から急性汎発性発疹性膿疱症と診断した。プレドニゾロン60mg/日内服で速やかに解熱し皮疹も消退した。エンテロウイルス感染が発症に関与した症例と考えた。

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症例1:28歳,女性。Crohn病に対してインフリキシマブを投与中,頭部および腹部ストマ周囲に難治性の紅斑性皮疹が出現し,薬剤の中止および低用量シクロスポリン内服で改善した。アダリムマブに変更後,同様の皮疹が出現したが,低用量シクロスポリン内服で皮疹は軽快し,以後アダリムマブは中止することなく継続可能であった。症例2:41歳,男性。Crohn病に対してインフリキシマブを投与中に頭部および腹部ストマ周囲に難治性紅斑性皮疹が出現し,低用量シクロスポリン内服で改善し,以後インフリキシマブ投与を継続できた。抗TNF製剤による難治性の逆説的反応に対する短期間の低用量シクロスポリン内服療法は,原疾患に対する治療を中止することなく,皮疹のコントロールが可能で,有用な治療法と考えられた。

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47歳,女性。6カ月前より10kgの体重減少,1カ月前から手に疼痛を伴う皮疹が出現。初診時,鼻背両側の浮腫性紅斑,前額部と耳介に有痛性の紅斑,手指背側にはGottron徴候,拇指尺側と示指橈側にmechanic’s hand,手指関節屈側には逆Gottron徴候がある。抗Jo‒1抗体陰性,筋原性酵素正常。皮膚の臨床所見や病理組織学的所見から皮膚筋炎をもっとも疑ったが,検査所見に乏しく診断に苦慮した。初診より1カ月後に抗MDA5 抗体陽性が判明し,確定診断に至った。呼吸器内科との連携が必要と考え転院,その後に軽度の間質性肺炎が指摘された。ステロイドパルス+シクロホスファミド間歇静注+タクロリムス内服の3 剤併用療法を開始し,経過は良好である。筋症状を呈さないclinically amyopathic dermatomyositisは,自己抗体による早期診断が予後改善に大きく寄与する。

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76歳,男性。頭頂部に生じた,自覚症状のない角栓を有する3mm大の灰白色小結節を主訴に受診。ダーモスコピー所見では,中央が陥凹した,比較的境界明瞭でほぼ均一な白色構造を呈し,流入血管や色調不正は認めなかった。冷凍凝固術を1回施行後も著変なく,切除術を施行した。病理組織は,著明な過角化を伴ったカップ状構造を呈し,表皮には基底細胞様の細胞が絨毛状に増殖し,基底層直上に棘融解による裂隙形成を認めた。臨床所見と病理組織学的所見よりwarty dyskeratomaと診断した。切除後1年経過した現在も再発なく経過している。同様の組織所見を呈するDarier病などの鑑別診断や発症機序,変異BRAF阻害薬の副作用としての報告に関し考察を加えた。

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15歳,男性。4カ月前より右上背部に痤瘡様皮疹が出現し,徐々に増大し出血と排膿を繰り返すようになった。初診時10×14mm のドーム状に隆起した弾性軟の淡紅色結節を認め,中央に黄色痂皮が付着していた。病理組織学的所見で表皮直下から真皮上層に好塩基性細胞と陰影細胞から構成される境界明瞭な腫瘍塊を認め,腫瘍塊周囲の表皮は偽癌性増殖を呈し,一部真皮内に陥入していた。また腫瘍直上の表皮は欠損し,腫瘍塊が表皮を穿孔する経表皮排泄像(transepidermal elimination)を認めた。Perforating pilomatricomaの臨床像は多彩であるが,若年者に比較的急速に増大する腫瘤をみた際は本症を鑑別疾患として考慮すべきであると思われた。

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76歳,男性。10年前より徐々に増大傾向を示す右腋窩の47×26mm大の有茎性紅色腫瘤がみられる。病理組織学的所見では,真皮内に大型で好酸性の胞体をもつ腫瘍細胞が多数の管腔を形成しながら浸潤増殖し,断頭分泌所見を認めた。腫瘍細胞はGCDFP‒15,CK7陽性。皮膚原発アポクリン腺癌と診断し,1cmマージンで拡大切除,所属リンパ節郭清,肩甲皮弁による再建術を施行した。リンパ節転移を認め,50 Gyの放射線治療を行った。化学療法は施行せず,術後2年8カ月経過した現在,再発や転移の所見は認めていない。本疾患の予後の推測や治療方針を検討するにあたり,組織学的異型度をスコア化して評価することは非常に有用な指標になる可能性があると考えた。

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57歳,男性。15年来の両足底多発皮下結節を主訴に来院した。MRIでは,腫瘍は腱膜に接し,T1強調画像で筋と同信号,T2強調画像で筋より軽度高信号,内部に線状の低信号域を示した。術中所見では,白く硬い被膜に覆われた多房性の硬い腫瘤で,一部は筋層または腱膜に接し,両サイドが腱に連続していた。病理組織学的所見では線維芽細胞と膠原線維の増生がみられ,plantar fibromatosisと診断した。複数回の手術で計15 カ所の腫瘍を摘出したが,本邦の文献報告では5カ所以上の多発例は散見されるものの,10カ所以上の多発は自験例のみであった。

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55歳,男性。1年前より右後頭部に拇指頭大の皮下腫瘤を自覚していた。局所麻酔下に切除し,内部に粘液様物質を含む腫瘤を摘出した。術後の病理組織学的所見では皮下に比較的境界明瞭な腫瘤を認め,腫瘤内部には粘液様物質と異型性の乏しい小型の紡錘形細胞,小血管の増生がみられた。粘液様物質はalcian blue染色陽性,腫瘍細胞はビメンチン・CD34陽性,S‒100蛋白・デスミン陰性であった。以上の所見よりsuperficial angiomyxoma(SA)と診断した。術後4 カ月現在,再発は認めていない。自験例を含むSA の本邦報告例32例の検討では,体幹・鼠径部・外陰部の皮下腫瘤・結節として報告されている症例が多い。SAが多発している場合は,Carney's complexの除外が必要である。

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73歳,男性。1年半前から生じた左足底,両手掌,手指の多発する紫紅色の浸潤性局面で当科を紹介受診。関節リウマチで約2年前よりブシラミンとサラゾスルファピリジンを内服中であった。病理組織学的所見と,組織および血中にhuman herpesvirus(HHV)‒8が証明され,HIVは陰性であったことより医原性カポジ肉腫と診断した。カポジ肉腫は日和見悪性腫瘍で,HHV‒8が深く関与している。関節リウマチ患者でブシラミンとサラゾスルファピリジン内服中にカポジ肉腫を生じた例はこれまでなかったが,生物学的製剤投与中に生じた例が報告されている。高リスクの患者には,慎重な投与が必要で,診察時カポジ肉腫の可能性を念頭に置く必要があると思われた。

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9カ月,男児。生後5カ月頃より,顔面に粟粒大から爪甲大の紅色丘疹が出現した。病理組織学的所見は,真皮全体にびまん性に細胞浸潤を認め,コーヒー豆様のくびれた核をもつ大型の組織球様細胞が占めていた。免疫組織化学染色では,浸潤する細胞はCD1a,S‒100蛋白に陽性であった。さらに電子顕微鏡でBirbeck顆粒を認めたためLangerhans cell histiocytosisと診断した。全身検索では他臓器への浸潤はなく,1歳5カ月で自然消退した。4年経過した現在,皮疹の再燃はなく他臓器浸潤も認めていない。しかし再燃をきたすとの報告があり,長期にわたり注意深い経過観察が必要と考えられる。

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8歳,女児。3年前に自覚した前胸部正中の紅色丘疹が増大し,当科を紹介受診した。初診時,同部位に3cm大の紅色腫瘤を認めた。MRI で筋膜への浸潤は明らかではなく,筋膜上で一塊に全切除した。病理組織学的には,真皮に紡錘形細胞からなる比較的境界明瞭な結節性病変を呈した。びまん性にNK1/C3,podoplanin,CD10が陽性,S‒100,MITF,melan-Aは陰性であった。以上から,cellular neurothekeoma(CNT)と診断した。自験例では,HMB‒45が部分的に陽性を示した。しかし,CNTはメラノサイト系腫瘍ではないという考えが有力であり,現在の知見では,その意義は明らかにはなっていない。

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73歳,女性。2015年9月,雨の日に草むらで作業をした。3日後に瘙痒と紅色丘疹が出現した。初診時,左頸部,両上腕,右腋窩,体幹に合計8匹のマダニが咬着していた。初診後2日目に11匹,5日目に2匹,12日目に2匹のマダニが咬着していた。虫体6匹を局麻下に切除し,ほかは白色ワセリン法で除去した。除去した虫はチマダニ属フタトゲチマダニ若虫と同定された。その後,発熱や紅斑などはみられなかった。マダニ刺咬症の虫の除去方法は外科的切除のほか,白色ワセリン法やマダニ取り器を使う方法などがあるが,選択については,マダニの種類,想定される保有病原体で使い分ける必要があると考えられた。

憧鉄雑感

第66回 虫刺症とその誤診 安部 正敏
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「うちの子,先天性表皮水疱症でしょうか?」父親の発言にギョッとする。筆者にはどう見ても虫刺症にしか見えぬ皮疹を前に,これは名医が診ればそう診断するものかと思案する。昨日だしぬけに下腿に水疱が1 カ所現れ,痒いという。無論これまでに水疱出現の既往はない。訊くと,子供自身が外で遊んだ後に出たと証言する。幸いモンスターペアレントではない紳士的な父親と雑談を交わすうち,実は元来医師志望であり医療に興味があると判明した。インターネットでこの病名がヒットしたらしい。医師に憧れを有する市民はさほど多くはないのかもしれぬが,以前開業医であった筆者の父の医院へ,だしぬけに白衣を身に纏うおっさんが現れ,「院長の依頼でこれから診療を行います!」などと意味不明の宣言をする事件があり,仰天したことがある。

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現病歴 幼少時より左耳介後面に正常皮膚色の隆起性皮疹あり。成長とともに増大するも比率は不変。1年前より隆起の表面から突出する結節が散発したため,悪性腫瘍を心配し近医を受診した。精査加療目的で当科を紹介受診。

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現病歴 約1カ月半前に右頭部の疼痛を自覚,翌日より同部に紅斑,小水疱が出現,近医で帯状疱疹と診断され,抗ウイルス薬を投与された。数週後よりたびたび患部を触るようになり,びらん,潰瘍を形成したため,近医を受診。外用療法で潰瘍は徐々に上皮化傾向にあったが,2日前に突然言語障害,意識消失をきたし当院神経内科へ救急搬送,ヘルペス脳炎と診断され,同日,頭部の皮疹につき当科を紹介受診。

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現症 外陰部に表面不整な4×3cm大の腫瘤があり,その周囲には小結節が多発していた(図1)。

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英文目次

投稿規定

著作財産権譲渡同意書

正誤表

次号予告

編集後記

目次

基本情報

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皮膚科の臨床
59巻10号 (2017年9月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0018-1404 金原出版

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