最終講義
難治性アトピー性皮膚炎患者の治療から見えてきたわが国の皮膚科治療の問題点
渡辺 晋一
1
1帝京大学医学部皮膚科,名誉教授
キーワード:
アトピー性皮膚炎
,
抗ヒスタミン薬
,
保湿剤
,
ステロイド外用薬
Keyword:
アトピー性皮膚炎
,
抗ヒスタミン薬
,
保湿剤
,
ステロイド外用薬
pp.1517-1526
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000196
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私が入局した頃は,アトピー性皮膚炎(atopicdermatitis,以下AD)は簡単に治療できるもので,重症AD 患者はほとんどいなかった。しかし脱ステロイド療法が提唱されてから,重症AD 患者が増えてきた。しかしその後脱ステロイド療法に対する反省から,ステロイド外用薬を使用するようになったが,再び重症AD 患者が増えてきた。実際私の所にはインターネットを頼りに,関東一円から(中国からも)さまざまな皮膚疾患の患者が来院するが,その半数近くが難治性となったAD 患者である。このままではわが国のAD 患者は救われないし,皮膚科専門医に対する信頼が失墜しかねないので,私の専門とするレーザー治療や皮膚真菌症の治療ではなく,AD の治療を私の最終講義のテーマとした。
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