憧鉄雑感
第66回 虫刺症とその誤診
安部 正敏
1
1医療法人社団廣仁会札幌皮膚科クリニック,褥瘡・創傷治癒研究所
pp.1605-1605
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000199
- 有料閲覧
- 文献概要
「うちの子,先天性表皮水疱症でしょうか?」父親の発言にギョッとする。筆者にはどう見ても虫刺症にしか見えぬ皮疹を前に,これは名医が診ればそう診断するものかと思案する。昨日だしぬけに下腿に水疱が1 カ所現れ,痒いという。無論これまでに水疱出現の既往はない。訊くと,子供自身が外で遊んだ後に出たと証言する。幸いモンスターペアレントではない紳士的な父親と雑談を交わすうち,実は元来医師志望であり医療に興味があると判明した。インターネットでこの病名がヒットしたらしい。医師に憧れを有する市民はさほど多くはないのかもしれぬが,以前開業医であった筆者の父の医院へ,だしぬけに白衣を身に纏うおっさんが現れ,「院長の依頼でこれから診療を行います!」などと意味不明の宣言をする事件があり,仰天したことがある。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.