臨床雑誌内科 121巻6号 (2018年6月)

特集 NAFLD/NASH診療のイノベーション―ガイドラインからパイプラインへ

特集のねらい

  • 文献概要を表示

 明治維新150年にあたる2018年のNHK大河ドラマは『西郷どん』である.本特集は「NAFLD/NASH診療のイノベーション」と題し,本年が “NAFLD/NASH診療維新元年” となることを期待して企画した.60年間もの長期にわたって継続してきた本誌「内科」の歴史においてもイノベーションという表題は初めてらしい.イノベーションとは1911年に,オーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターによって定義され,一般には技術革新のことと誤解されているが,「それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を創造して,社会的に大きな変化を起こす」ことである1).2014年に「NAFLD/NASH診療ガイドライン2014」が刊行されてはや4年が経過し,非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)診療のイノベーションが起ころうとしている.

 NAFLD/NASHは成人の4人に1人が罹患する最多の慢性肝疾患であり,ウイルス肝炎の撲滅に目途がついたポスト平成時代における肝臓病学の王道となる.本特集に際し,NAFLD/NASH診療の歴史を欧米と比較して振り返ってみた(表1).Romeoらが最初に報告したPNPLA3遺伝子多型(single nucleotide polymorphism:SNP)の発見は,最大のインパクトであり,厚生労働省NASH研究班(班長:大阪府済生会吹田病院名誉院長 岡上 武先生)でも肝線維化を伴うNASH発症にPNPLA3 Gアレルが寄与していた2).とくに日本人ではPNPLA3遺伝子型GG homozygoteが一般人口の約20%に存在し3),白人や黒人に比して著しく多い.肝に脂肪を蓄える能力は飢餓を乗り切るには好都合であったが,飽食の現代には不利に働くこととなった.機序の解明は不十分だが,PNPLA3 SNPが肝発がんにも寄与することは今やグローバルコンセンサスである.

Overview

  • 文献概要を表示

Summary

▪NASHは,病理診断によって診断される肥満やメタボリックシンドロームを背景とした慢性肝疾患である.

▪ballooningを必須とするNASHの診断にかかわらず,病理学的肝線維化がNAFLDの予後に最も影響を与える所見であり,新たなNAFLDの枠組みが検討されつつある.

▪NAFLDの有病率には地域差,人種差がある.本邦では20~30%であり,増加傾向であると考えられている.

▪非肥満NAFLD/NASHはとくにアジアからの報告が目立ち,NAFLDの8~25%に存在すると考えられている.

  • 文献概要を表示

Summary

▪近年本邦においては,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)やアルコール肝障害(ALD)を基盤にした肝細胞がん(HCC)が増加している.

▪高齢・男性・高度肝線維化・酸化ストレス・軽度飲酒・糖尿病が,NAFLDからの肝発がん危険因子とされる.

▪NAFLD-HCCでは,生活習慣病の合併が多く,とくに男性では肝硬変の合併率が低率である.

▪腫瘍マーカーはPIVKA-2の陽性率が高く,再発率は5年で約70%と高率である.

▪今後,NAFLDからの効率的なHCCスクリーニング体制の確立,発がん・再発予防対策,発癌機構の解明などの問題の解明が期待される.

  • 文献概要を表示

Summary

▪日米欧それぞれの消化器病学会が主体となり,NAFLD/NASH診療のガイドラインを策定している.

▪米国ではガイドラインでなくガイダンスとして発表され,推奨度,エビデンスレベルにこだわらず,専門家の意見としてステートメントが記載されている.新知見が得られた場合,迅速に改訂,追記が可能となっている.

▪いずれのガイドラインにおいてもNAFLD/NASH診断の鍵となるのは肝線維化である.

▪NAFLD/NASHには特異的な治療はなく,合併する肥満,2型糖尿病,高血圧,脂質異常の治療が基本となることが各ガイドラインの共通認識である.

NAFLD/NASH診断:現在のコンセンサスを知る

  • 文献概要を表示

Summary

▪本邦では,飲酒者はエタノール換算で男性210g/週(30g/日),女性140g/週(20g/日)以上と定義されている.

▪飲酒量の問診時には ① 頻度,② 種類,③ 量を聴取することで効率的かつ正確な情報を得ることができる.

▪飲酒量を予測するバイオマーカーや予測式として,① アルコール性肝障害/NAFLD指数(ANI)や糖鎖欠損トランスフェリンなどがある.

▪アルコール代謝酵素の遺伝子多型は飲酒における反応やアルコール多飲に伴う依存症や肝硬変発症に関連している.

▪電子カルテ上のみならず,スマートフォンやタブレットでも使用できる飲酒量計算用のテンプレートを作成した.

病理診断の変遷と今後の展望 岡上 武
  • 文献概要を表示

Summary

▪NASHの診断はsteatosis,hepatocellular injury(ballooning hepatocyte),lobular inflammationの有無で行われ,ballooning hepatocyteの存在が重視される.

▪AASLDとEASLでNASHの病理診断に微妙な差がある.

▪NASHの病態はgrade,stageで表示され,stageは予後予測に重要で,治療対象の選択に重要である.

▪NAS(NAFLD activity score)は病態の改善判定に使用されるが,診断には使用すべきではない.

  • 文献概要を表示

Summary

▪NASH診断のゴールドスタンダードは肝生検による組織学的診断である.

▪一般臨床検査のなかに,NASH診断に満足できる単独で有用な検査はない.

▪トランスアミナーゼ値のワンポイントの測定ではNASHの重症度は診断できない.

▪血小板数は簡便なNAFLD線維化進展予測マーカーとなる.

▪一般臨床検査を組み合わせたスコアリングシステムがNAFLD診断に有用である.

▪糖鎖マーカー(フコシル化ハプトグロビン,Mac-2 binding protein)はそれぞれNAFLDの風船様肝細胞,肝線維化進展予測に有用なマーカーである.

▪NAFLD進展に特徴的な糖鎖変化を見出し,新たな糖鎖バイオマーカーを見出すことが今後重要である.

  • 文献概要を表示

Summary

▪NAFLD/NASH診療にとって,肝線維化の評価は診断のみならず治療方針の決定や治療効果の判定に最も重要な評価項目である.現在,肝線維化診断には侵襲的検査である肝生検がgold standardであるが,サンプリングエラーや合併症,コストの問題がありすべてのNAFLD患者に施行することは不可能である.

▪近年では超音波やMRIを用いて肝弾性度を測定するエラストグラフィが開発されNAFLDを含め各肝疾患で有用性が報告されている.エラストグラフィは肝線維化を非侵襲的に高い診断率で測定することができるため患者の忍容性も高く,また臨床経過に応じ適時フォローアップを行うこと可能である.

▪本稿ではエラストグラフィを用いたNAFLD/NASHにおける肝線維化診断アルゴリズムを提唱する.

全身疾患とNAFLD/NASH

  • 文献概要を表示

Summary

▪糖尿病患者の合併症として,古典的な細小血管障害にあたる神経障害・腎症・網膜症に加えて大血管障害である冠動脈疾患・脳血管障害・末梢動脈疾患があげられるが,最近では認知症・歯周病・骨疾患・心不全に加えてがんやNAFLD/NASHもその合併症として考えられるようになっている.

▪糖尿病患者の死因調査によると,肝硬変症と肝臓がんを合わせると糖尿病患者の死因の約9%を占めており,大きなウエイトであるといえる.今後,糖尿病患者においても肝炎ウイルスによる肝硬変症・肝がんのリスクは減少傾向をたどると考えるが,一方で生活習慣病としてのNAFLD/NASHによる死亡リスクの上昇が懸念されている.

▪肝臓は糖代謝における大変重要な臓器であり,NAFLD/NASHはインスリン抵抗性を惹起し,血糖管理を困難にする.

▪NAFLD/NASHの治療においては,生活習慣の是正が重要であることは言うまでもないが,新規糖尿病治療薬の有用性も報告されている.

  • 文献概要を表示

Summary

▪NAFLD/NASH患者は,一般人口と比較して心血管イベントの発症が高率である.

▪NAFLD/NASHと冠動脈硬化症に共通する脂質異常症として,低HDL-C血症,高TG血症が知られているが,最近small dense LDLの増加も報告されている.

▪NAFLD/NASHと動脈硬化症の共通する新しい分子メカニズムとして,核内受容体LXRを介した系が報告されている.

▪冠動脈硬化症のみならず心筋機能不全との関連が報告されており,NAFLD/NASH患者における心不全の発症にも今後注意が必要で,診療科の枠を超えた連携が求められる.

  • 文献概要を表示

Summary

▪歯周病菌は慢性に恒常的に血管へ侵入し,種々の生活習慣病の増悪因子となる.

▪NAFLD/NASH患者では歯周病菌であるPorphyromonas gingivalisP. g)の抗体価が上昇しており,病理学的な進行度と相関する.

▪歯周病感染により ① 糖尿病が増悪すること,② 菌血症,LPS濃度上昇による影響,③ 腸内細菌叢が変化すること,④ 細菌自体が肝に直接浸潤すること,によりNASHの病態増悪に関与している.

▪歯周病の治療介入により耐糖能の改善やALT低下が報告されている.

  • 文献概要を表示

Summary

▪本邦における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者の胃食道逆流症(GERD)の有病率はおよそ40%と推察され,症状は重症であり,QOLの低下を招いている.

Helicobacter pylori(Hp)感染が肝組織のballooningに関連し,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)への進展の原因となっている可能性がある.

▪いまだ議論が分かれるが,いずれの疾患もNAFLDにおいて治療を検討されるべき重要な合併症であることが示唆される.

  • 文献概要を表示

Summary

▪さまざまな内分泌異常とNAFLD/NASHには関連が認められるが,その病態には内臓脂肪蓄積型肥満やインスリン抵抗性だけでなく内分泌異常そのものの関与も示唆されている.

▪その例として,多囊胞性卵巣症候群(PCOS),男性ホルモン(テストステロンやDHEA)低値,甲状腺機能低下症,成人成長ホルモン分泌不全症,Cushing症候群(CS)などではNAFLD/NASHを高頻度に認めることがわかっている.

▪ホルモン補充療法がNAFLD/NASHの改善につながることが期待されるが,今のところ臨床的に効果が示されているものはまだ少なく,今後さらなる知見の集積が必要である.

  • 文献概要を表示

Summary

▪メタボリックシンドロームの肝臓における表現型である非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は,肝がんのみならず,さまざまな悪性新生物が合併しうる.

▪NAFLDの肝外発がんでは,大腸がんが多く,その前段階としての大腸腺腫性ポリープの割合も多い.

▪NAFLDのなかでも進行性の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は,肝外発がんの合併リスクが高い.

▪NAFLD患者,とくにNASH患者においては,腹部超音波のみならず便潜血検査などより効率的ながんスクリーニング検査を行う必要がある.

  • 文献概要を表示

Summary

▪NAFLD患者において,過度な摂取エネルギーの制限が筋肉量や予後に及ぼす影響は不明であり,各患者の基礎代謝に応じて適切なエネルギーを摂取すべきである.

▪コーヒーとビタミンEはNAFLDの改善効果を有する.

▪有酸素運動とレジスタンス運動,いずれの運動においてもNAFLDの改善効果がある.

▪運動療法によりNAFLDが改善しても,体重減少を伴わない場合がある.

▪生活習慣の長期是正のため,治療アドヒアランス向上に対する取り組みが必要である.

▪生活習慣の是正だけでは肝線維化は改善しない可能性もあり,機能性食品などの開発も重要な課題である.

  • 文献概要を表示

Summary

▪NAFLD/NASHの薬物治療の目標は,肝線維化や発がんの抑制と心血管イベントの抑制である.

▪AASLDのガイダンスでは,肝生検でNASHや線維化を認めた患者が薬物治療の適応である.

▪NAFLD/NASHの薬物治療には,① 肝脂肪蓄積,② 酸化ストレス・炎症・アポトーシス,③ 腸マイクロバイオーム・エンドトキシン,④ 肝線維化の4つのターゲットがある.

▪NAFLD/NASHの治療では,生活習慣の改善以外に確立された薬物治療はいまだ存在しないが,糖尿病非合併例ではビタミンE,糖尿病合併例ではpioglitazoneやGLP-1受容体作動薬,SGLT2阻害薬,脂質異常症合併例ではpemafibrateの有用性が期待できる(いずれもNAFLD/NASHの保険適用はない).

▪obeticholic acid(OCA)など新規薬剤の治験が進行中であり,薬物治療の選択肢は拡大しつつある.

  • 文献概要を表示

Summary

▪NASHの治療効果をみるうえで肝生検は重要な検査法であるが,サンプリングエラーや侵襲検査である点からそれに代わる方法を検討していく必要がある.

▪バイオマーカーは治療指標として役立つ場合もあるが,とくに線維化マーカーは線維化stageが低い症例では評価が難しい.

▪サイトケラチン18(CK18)はNAFLD activity score(NAS)とよく反映しており,治療効果をみるうえで参考となる.

▪肝エラストグラフィは治療効果の指標として有用な検査として期待できる.とくにMREにおいては肝全体の評価ができ,サンプリングエラーの問題も解決できるため,今後,肝生検に代わる評価法となる可能性がある.

▪しかしながら,肝生検は個々の症例の現在,過去の状態を理解するうえでは重要な位置を占める検査法である.

  • 文献概要を表示

Summary

▪NAFLD/NASHの病態は遺伝的素因と環境素因により影響を受ける.近年,網羅的に病態関連遺伝子を探索するゲノムワイド関連解析(GWAS)が多数行われた.

▪本邦で行われたGWASでは,PNPLA3遺伝子多型がNAFLDに最も関連のある遺伝子多型として同定されている.

PNPLA3のリスクアレルであるG保因者は肝の脂肪化,炎症,線維化だけではなく肝細胞がんのリスクを伴うことが報告されている.また海外からはTM6SF2遺伝子多型がNAFLD関連遺伝子であるだけではなく,脂質異常症や心疾患リスクに関与することが報告された.

▪GWAS以外にも横断研究よりNAFLD/NASHの発症,進展に寄与する遺伝子多型は多数報告されており病態解明のヒントになる可能性がある.

  • 文献概要を表示

Summary

▪超音波検査においては減衰率を測定することで,MRIにおいてはproton density fat fraction(PDFF)を測定することで脂肪肝の診断基準である5%以上の脂肪化の拾い上げが可能となった.

▪一方,NAFLDの予後と密接に関連する線維化は超音波エラストグラフィとMRエラストグラフィにより測定可能となった.しかし肝臓は粘弾性体で,弾性を正確に評価するためには粘性と弾性を分けて測定する方法が必要となる.

▪現在,USおよびMRIで粘性を測定する試みが始まっており,近い将来可能となると考えられる.

  • 文献概要を表示

Summary

▪2型糖尿病の約60%にNAFLDが合併し1),2型糖尿病はNAFLDにおける肝線維化進展の独立した予測因子である2)

▪肝線維化がNAFLDの予後規定因子であり,NAFLDの死亡原因の約10%が肝臓関連疾患,約40%が心血管疾患であることから3),2型糖尿病を合併したNAFLDには,それらの疾患を予防することを目的とした治療が必要である.

▪2型糖尿病を合併したNAFLDに対する,SGLT2阻害薬投与による肝線維化の進展抑制効果が期待されている.

  • 文献概要を表示

Summary

▪GLP-1受容体作動薬は近年肥満を有する糖尿病患者に対する有効な治療薬として使用されている.

▪これまでにGLP-1受容体作動薬はliraglutide,exenatideをはじめlixisenatide,さらには長時間作用型のalbiglutide,dulaglutid,semaglutideが開発され,現在本邦では5種類のGLP-1受容体作動薬が使用可能である.主な副作用は食欲低下,吐き気といった消化器症状である.

▪いずれのGLP-1受容体作動薬も血糖降下作用の他に減量効果が認められており,とくにliraglutideは本邦および海外でNAFLD/NASHに対する有効性が報告されている.

  • 文献概要を表示

Summary

▪世界的な肥満人口の増加に伴い,メタボリックシンドロームの肝臓における表現型であるNAFLD/NASHの患者数も増加している.

▪治療のfirst lineは内科治療(生活習慣改善による減量,インスリン抵抗性治療薬)であるが,減量効果を長期間持続させることは,大部分の患者で困難である.

▪外科治療(減量手術,bariatric surgery)は,高い減量効果,肥満関連疾患改善効果,長期効果が示されており,本邦においても一部の術式は保険収載されている.

▪高度肥満患者のNAFLD/NASHに対しても,高い改善効果(組織,血液マーカー)が示されている.

▪効果のメカニズムとして,体重減少に伴う二次的効果に加えて,手術自体による直接効果が考えられる.

  • 文献概要を表示

Summary

▪NASHに起因する肝がんが増加してきており,その発がん予防は重要である.

▪肥満に関連する肝発がんの予防効果を示す薬剤が報告されており,そのなかでもとくに,分岐鎖アミノ酸(BCAA)が注目されている.

▪NASH肝発がんの危険因子である肝線維化に対する薬剤の研究開発が進んでおり,その効果が期待されている.

▪NASH肝発がん予防のために,メタボリックシンドロームの基盤病態に対する包括的な診療が必要である.

NASH新薬のパイプライン 中島 淳
  • 文献概要を表示

Summary

▪現在,国内外でNASHの治療薬として保険適用のある薬剤はまだない.

▪NASH新薬開発は非常に活発に行われているが,第Ⅲ相試験が行われているのはASK1阻害薬であるselonsertib,FXRアゴニストであるobeticholic acid,ケモカイン受容体拮抗薬であるcenicriviroc,PPARα/δデュアルアゴニストのelafibranorの4つである.

▪今後有望な新薬としては,現在第Ⅱ相試験が行われているsemaglutide,FGF21,FGF19,pemafibrate,emricasanなどの新薬パイプラインが控えている.

▪各種新薬はいまだ低い薬効に加えコレステロールの上昇などの問題点を抱えており,さらなる開発・改善の余地が多々ある.

  • 文献概要を表示

Summary

▪医療・ヘルスケアサービス分野におけるIoTやAI関連の技術は急速な勢いで進歩しており,市場規模も国内外ともに今後も拡大する見通しである.

▪24時間血糖測定装置CGMSやFreeStyleリブレの登場により,糖尿病患者だけでなくNAFLD/NASH患者の血糖日内変動が容易に把握できるようになり,担当医による食生活の把握に有用なツールとなっている.

▪医療・ヘルスケアサービス分野における携帯型ウェアラブル端末が今後もますます発達することで,活動量,睡眠の質,食事量などの生体情報把握が容易になり,NAFLD/NASHやメタボリックシンドローム診療も新時代を迎えることは確実である.

  • 文献概要を表示

 角田 本日は,「NAFLD/NASH診療のイノベーションと未来を語る」というタイトルのもと,エキスパートの3名の先生方にお集まりいただきました.2018年にAASLD(American Association for the Study of Liver Diseases)から新しいガイダンスが発表されましたので,その内容と未来にどういう治療薬があり,NAFLDの診療はどのような方向に向かっていくかについて議論したいと思います.

  • 文献概要を表示

 福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科准教授 野見山 崇先生が執筆した本書を読ませていただいた.野見山先生は,小生の教室に在籍していた頃は,いつも元気な “宴会係” であった.彼の講演を聞かれた先生方は,今もそのような雰囲気を醸し出していることから,そのことを納得してくださるだろう.しかし,福岡大学に赴任し柳瀬敏彦教授のご指導のもとで糖尿病研究室を任されてからは,必死になって,学生に,研修医に,若手医局員に,患者さんにとってよりよい糖尿病診療を実践するように教育している.その努力のなかで,自らが考え付いた患者さんへの説明,研修医への説得などを本書に散りばめている.

 糖尿病に関する書籍は,「糖尿病は怖い病気だ」,「治療は食事・運動療法をきちんとしてくれないと治療薬も効果がない」ということをひしひしと強調して伝えるものが多かったのに対し,本書は著者の性格を彷彿とさせ,「楽しく糖尿病と付き合ってもらおう」という内容となっている.

  • 文献概要を表示

 皮膚病理学には皮膚科専門医なら皆精通していなければならない,というのは大学で教育的立場にある者にとっては建て前のところもあるが,そう言わざるをえない.しかし現実には,皮膚病理学が得意な皮膚科医の一群とそうでない者に分かれる.私も後者であるが,この『皮膚病理組織診断学入門』の著者,斎田俊明信州大学名誉教授もその一人と謙遜されていた.「川島君ね,Mihm先生(ハーバード大学皮膚病理教授)とか熊切正信先生(福井大学名誉教授)とかはね,顕微鏡を覗いた瞬間にその病理像が何を表現しているかがわかってしまうのですよ.感性で診断できてしまうのです.でもね,形態学に弱い僕にはそれができない.皮膚病理医としての優れた感性に欠けるのですよ.だから,皮膚病理を理詰めで観察しなければならない.logicを重ねて自分で納得しながら診断に至るしかない.その最低限の過程をまとめたのが2000年の初版なのです」と言われた.

 皮膚科医の駆け出しの頃,組織カンファレンスでプレゼンテーションを行っていると,先輩から「見えても見えぬか」と言われたものである.その病理像が意味するところは,網膜に投影された像を表現するにとどまっていては,診断には至れない.それを特殊な感性でショートカットして理解するか,あるいは地道に理詰めの思考を巡らせて正しい診断に至るか,しかない.多くの皮膚科医は失礼ながら後者であろう.その多くの皮膚科医にとって,これまでの皮膚病理の教科書はとっつきにくいものでなかったであろうか.それは高い感性の持ち主たちが書かれたものがほとんどを占めていたからである.その著者にとっては当たり前のところがスキップされてしまっているがために,手がかりを見つけることができず,難解な教科書という印象を抱いてしまい,「愛読書」にはなりえずにおしまい,となっていたのではなかろうか.

  • 文献概要を表示

――いまリアルワールドデータを読み解く意味

 いまや『統計学が最強の学問』(西内 啓,2003)であり,『今後10年間で最もセクシーな職業は統計家である』(ハル・ヴァリアン,2009)らしい.統計学は何故にそのような「破格の扱い」を受けるに至ったのか? 

 その前に,まず医学的な因果推論について考えてみたい.この世に因果律が成り立つかどうかの根本命題は脇に置くとして,少なくとも医療,とくに薬物療法を行う際に「AならばB」が成り立つか否かは最重要である.心房細動抗凝固療法の場合,Aは「抗凝固薬を服用する」,Bは「脳塞栓(+大出血)が予防できる」である.一般に因果関係が偽であることを証明するには反例を一つ挙げれば事足りるが,真であることを証明することは難しい.そこで統計学の登場である.「Aであるときに必ずしもBである」必要はないが,「AであるときにBとなる確率は,AでないときにBとなる確率より高い」ことを言わなくてはならない.この統計学的因果推論こそEBMの主文法である.統計的因果推論には2つの方法論がある.一つは世界の現状を「記述」する仕方,もう一つは世界に「介入」(具体的には一つの条件のみ異なる2つの集団を比較)する仕方である.

連載 呼吸器内科×○○科で語る! Comorbidity患者さんの診かた

  • 文献概要を表示

 今回の患者さんは,StageⅣの肺腺がんに対してcisplatinとpemetrexedの化学療法を4サイクル施行後の治療効果判定目的に,外来で造影CT検査を予定していた60歳代の男性です.造影CT検査を行う際に腎機能低下があり腎臓内科でも対応してもらいました.

連載 教えて! レントゲン 胸部単純X線の(得)目付けポイント

  • 文献概要を表示

60歳代女性の方です.湿性咳嗽,膿性痰,発熱があり,かかりつけ医を受診されましたが,抗菌薬で治療されるも改善せず,当科を紹介されました.詳細を尋ねてみたところ以下のことがわかりました.

 ✔2週間前から咳があり,痰が絡んでいた.痰は黄色だった.

 ✔1週間前に38°C台の発熱があり,かかりつけ医で抗菌薬をもらった.数日して熱は少し下がったが,咳と熱はまだ残っていた.

 ✔もう一度受診して,胸部X線像で異常が認められたため,当院を紹介された.

 ✔喫煙歴,飲酒歴はない.

さて,どこが怪しいでしょうか.

連載 未来は明るい! 明日を担う女性医師の活躍

  • 文献概要を表示

この連載では,学会,大学,医師会,医療現場における女性医師を支援する取り組みについて不定期に紹介していきます.

連載 プライマリーケア医のがんの診かた ~かかりつけ患者さんのがんと共にたたかうために~

  • 文献概要を表示

 地域の病院やクリニックに勤務している内科の先生はがん検診に従事することも少なくないと思います.がん検診というと,とかく「早期発見,早期治療」というスローガンが掲げられ,本邦のがん検診の受診率が低いことが問題にされていることはよく耳にするところです.本邦のがん検診は世界に先駆けて1960年代に始まった輝かしい歴史がありますが,エビデンスに基づいたがん検診のあり方が問われるようになってきたことで,がん検診に従事している自治体職員やヘルスケアスタッフの意識改革やがん検診自体の方法などについても課題が見つかってきています.本稿では,がんサバイバーシップの入り口としての本邦におけるがん検診の現状と課題について述べたいと思います.

基本情報

24329452.121.06.cover.jpg
臨床雑誌内科
121巻6号 (2018年6月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

文献閲覧数ランキング(
6月11日~6月17日
)