特集 NAFLD/NASH診療のイノベーション―ガイドラインからパイプラインへ
全身疾患とNAFLD/NASH
糖尿病診療におけるNAFLD/NASHのインパクト
神谷 英紀
1
,
中村 二郎
1
Hideki KAMIYA
1
,
Jiro NAKAMURA
1
1愛知医科大学医学部内科学講座糖尿病内科
キーワード:
日本人糖尿病患者の死因
,
NAFLD/NASH
,
糖尿病治療
,
GLP-1受容体作動薬
,
SGLT2阻害薬
Keyword:
日本人糖尿病患者の死因
,
NAFLD/NASH
,
糖尿病治療
,
GLP-1受容体作動薬
,
SGLT2阻害薬
pp.1309-1313
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_1309
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Summary
▪糖尿病患者の合併症として,古典的な細小血管障害にあたる神経障害・腎症・網膜症に加えて大血管障害である冠動脈疾患・脳血管障害・末梢動脈疾患があげられるが,最近では認知症・歯周病・骨疾患・心不全に加えてがんやNAFLD/NASHもその合併症として考えられるようになっている.
▪糖尿病患者の死因調査によると,肝硬変症と肝臓がんを合わせると糖尿病患者の死因の約9%を占めており,大きなウエイトであるといえる.今後,糖尿病患者においても肝炎ウイルスによる肝硬変症・肝がんのリスクは減少傾向をたどると考えるが,一方で生活習慣病としてのNAFLD/NASHによる死亡リスクの上昇が懸念されている.
▪肝臓は糖代謝における大変重要な臓器であり,NAFLD/NASHはインスリン抵抗性を惹起し,血糖管理を困難にする.
▪NAFLD/NASHの治療においては,生活習慣の是正が重要であることは言うまでもないが,新規糖尿病治療薬の有用性も報告されている.
© Nankodo Co., Ltd., 2018