特集 最新の糖尿病診療と今後の展開
糖尿病の病態とライフステージ
ステロイド糖尿病
滝山 由美
1
1旭川医科大学 内科学講座病態代謝・消化器・血液腫瘍制御分野糖尿病内科学部門
キーワード:
ステロイド糖尿病
,
β細胞予備能
,
午後随時血糖
Keyword:
ステロイド糖尿病
,
β細胞予備能
,
午後随時血糖
pp.1095-1097
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika129_1095
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Summary
▪ステロイドはインスリン拮抗ホルモンであるため,二次性糖尿病であるステロイド糖尿病をもたらす.原則は,ステロイド投与中止後,糖尿病が消失する病態であるが,多くはステロイド投与により潜在性の2型糖尿病が顕在化した高血糖状態である.
▪ステロイド治療により引き起こされる耐糖能異常は,通常の糖尿病と同様に,インスリン分泌器官である膵β細胞の予備能に依存する.そのため,ステロイド糖尿病に対する治療選択は,併存疾患の状態とともに,食事療法(経過観察),薬物療法(経口血糖降下薬,インスリン注射)など,患者のインスリン分泌能に基づいて行う.
▪ステロイドは,その種類によって血糖上昇の程度と作用時間が異なる.また,大量の初期投与量からの漸減が行われることが多く,さらには投与日と非投与日を設けることもあり,血糖値が大きく変動するため,適宜治療内容の調整が必要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2022