臨床雑誌内科 110巻3号 (2012年9月)

急性腎障害(AKI)-概念の確認から、さらなる予後改善を目指して

AKIの疫学 富田 亮
  • 文献概要を表示

●一般社会で発生する急性腎障害(AKI)は高齢化に伴い増加しており、感染症、災害に伴うことが多い。●院内発症AKIは一般社会で発生するAKIに比べ5~10倍多く、高齢者に対する積極的な薬物、手術治療の介入が行われることが原因であることが多い。●ICU管理下AKIではRIFLE分類の病期が進行するに従って病院死亡率も増加する。●AKIの短期予後は改善傾向であるが、死亡や末期腎不全の長期予後としてAKIは独立した危険因子である。●AKIの治療費は合併症がなくても高額で、重症例や腎機能が残った患者ではさらにその傾向が強くなる。

  • 文献概要を表示

●慢性腎臓病(CKD)の主要な病態の一つである糸球体腎炎においては、臨床病態および病理学的所見とケモカインとの関連が示されている。●CKDおよび急性腎障害(AKI)においてケモカインは腎局所で生じる炎症を制御するとともに、尿バイオマーカーとしても有用である。●腎および多臓器連関をつなぐ機序についてはさまざまなメディエーターや神経、血球細胞などが関与していることが推測されるが、その機序は明確ではない。●AKIとCKDの発症・進展には、それぞれ特異的な機序と同時に両者に共通した機序が存在する。今後この両者の関連がより詳細に解明され、診断・治療に反映されることが期待される。

  • 文献概要を表示

●急性腎不全が急性腎障害(AKI)と言い換えられ早期診断の重要性が強調されるようになったが、AKIの病態を考える際には依然として腎前性・腎性・腎後性の鑑別を進める診断アプローチが広く行われている。●循環動態の改善と尿路閉塞の解除により可逆的な変化が期待できる腎前性と腎後性を認識して迅速に対応することは重要であるが、腎性AKIに対する有効な治療方法がいまだ開発されていない現状を考えると、別の角度からAKIの病態を検討する必要があり、新規AKIバイオマーカーの臨床応用が役割を担う可能性がある。

《AKIの病態》薬剤性腎症 増田 智先
  • 文献概要を表示

●薬物による腎症は、その原因によって腎前性、腎性、腎後性に大別される。●非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は強い降圧作用を示し、腎血流の低下による虚血様障害を引き起こす。●アミノグリコシド系抗生物質や抗ウイルス薬の一部、cisplatinは近位尿細管上皮細胞に対する直接的な障害を示す。●methotrexateは、直接的な尿細管障害に加えて結晶化に伴う尿管閉塞を引き起こす。

《AKIの病態》造影剤腎症 伊藤 孝史
  • 文献概要を表示

●ヨード造影剤投与後72時間以内に、血清Crが前値よりも0.5mg/dl以上または25%以上増加した場合を、造影剤腎症(CIN)と定義する。●CIN発症のリスクが高い慢性腎臓病(CKD)患者では、生理食塩水などの等張性輸液製剤を造影検査の前後に経静脈的に投与することを推奨する。一般的には、生理食塩水を1ml/kg/hrで6~12時間前から点滴し、検査終了後も同量で6~12時間程度継続することが望ましい。●重炭酸Na液の輸液は、生理食塩水と比較して、CIN発症のリスクを低下させることが報告されており、使用を推奨する。●血液透析はCINの発症リスクを軽減するというエビデンスがないため、造影剤投与後の血液透析は推奨しない。

  • 文献概要を表示

●圧挫症候群は重量物に長時間圧迫された状況で発生し、圧迫とその解除により生じる四肢骨格筋の損傷(横紋筋融解(rhabdomyolysis)、それに引き続く局所のコンパートメント症候群、および全身性にショックや急性腎不全、DIC、敗血症といった多彩な病態を呈する。●急性腎障害の直接の原因物質はミオグロビンであり、尿細管に対する直接障害作用やミオグロビン蛋白複合体が尿細管閉塞を引き起こす。●治療は早期からの積極的輸液と腎機能障害時の血液透析、ICUでの集中治療が必要となる。

  • 文献概要を表示

●慢性腎臓病(CKD)はcommon diseaseであり腎毒性のある薬剤投与や造影剤を用いた検査を行う際には、患者のCKDの有無を常に意識する必要がある。●CKDが急性腎障害(AKI)のリスクファクターであるのと同時に、AKIはその後のCKD進行に多大に影響する。●CKD急性増悪の原因は循環動態性や薬剤性など多様だが、とくに高リスク患者においてはレニン-アンジオテンシン系(RAS)抑制薬や利尿薬もAKIの原因となる可能性がある。●治療については各種モニタリングを行いながら、その時点の病態に見合った適正体液量を勘案して対応することが重要である。●CKDの急性増悪には予防が最重要であり、"sick day rule"を提唱する。

  • 文献概要を表示

●AKIを診断する過程でもっとも重要でかつ最初に取り組むことは病歴聴取である。その後バイタルサインを確認し、身体所見をとり、各種追加検査(採血・検尿、画像検査)を行っていく。●AKIとしてわれわれ腎臓内科がコンサルトを受けると、病歴聴取だけで診断につながるヒントは十分に得られる。また病歴聴取においてある程度検査前確率を上げていないと、得られる身体所見も不確かなものになる。●AKIのTPO(time、place、occasion)、腎前性・腎性・腎後性の鑑別のポイントを押さえておけば、AKIを早期に発見、願わくば予防も可能で、患者予後改善につながる可能性がある。

  • 文献概要を表示

●多臓器不全、ICUにおいて治療経過中にARFが発症すると、その予後が著しくわるいことが報告され、近年、critical care領域における腎障害に注目が集まっている。●2002年、ADQIコンセンサス・カンファレンスにおいて、ARFに対する新しい定義が提唱された。血清Cr、GFR、時間尿量という簡便なパラメーターを用いるRIFLE分類では、5つのstageに分類し、予後との関連なども検討されてきている。●2005年にAKINは、ARFを形態的かつ機能的な腎障害と捉え、新しくAKIという名称と概念を提唱した。AKIN分類では、わずかなCr値の上昇が予後を有意に悪化させることを重視し、RIFLE分類を改変し、血清Cr0.3mg/dlの上昇をAKIの診断に取り入れた。また、48時間以内のCr値の変化により早期にAKIの診断をすること、AKIのstageを単純化し3つに分類することなど、簡便で使いやすいというメリットもある。●2つの定義が提唱されるという点で混乱も生じたため、最近、KDIGOのワーキンググループにおいて、これらの定義をまとめたAKI定義に関する提言がなされた。

  • 文献概要を表示

●AKIの早期診断・早期介入は、その後の患者予後を左右するため、大変重要である。●従来のバイオマーカーでは検出力が不十分のため、採取が容易な尿バイオマーカーの探索が精力的に行われてきた。●2011年に保険収載された尿中L-FABPは、日本発のバイオマーカーとして注目されている。CKDのみならず、AKIの早期診断に大変有用である。●体外診断薬ではないが、研究試薬である尿NGAL、尿IL-18、尿KIM-1の有用性が報告されている。

  • 文献概要を表示

●AKIの原因を的確に判断し治療を行うために、適切な画像診断を用いる。●腹部超音波検査は簡便かつ非侵襲で広く施行されている。●腹部CT検査は、腎後性AKIの状況を把握する際に重要である。また、造影剤を用いALPEや腎梗塞の診断を行う。●ガリウムシンチグラフィーは間質性腎炎で陽性となる。レノグラム検査では、左右の分腎機能だけでなく、病変部位の診断の一助となる。●MRIは腎動脈狭窄、AKIの評価にも用いられることがある。

  • 文献概要を表示

●AKI発症ハイリスク患者の把握が重要である。●輸液と昇圧薬で血行動態を維持することがAKI予防に重要である。●dopamineはAKI発症予防に無効である。●腎毒性物質使用制限はAKI予防に有用である。●AKIハイリスク患者へのヨード造影剤の使用はその有益性を評価したうえで行う。●利尿薬はAKI予防に無効である。●ANPがAKI予防に有用である証拠は十分に確立されていない。

  • 文献概要を表示

●AKIはさまざまな原因で起こり、かつ対応もそれぞれ異なっている。AKIの取り組みの中ではどの時点でどのような血液浄化療法を行うかが一つの大きなポイントである。●外国からの成績ではAKIに対して持続緩徐式血液浄化療法(CRRT)でも間欠的血液浄化療法でも生命予後には有意差を認めないとしている。●筆者らの成績では非敗血症ではCRRTが効果的であり、かつ予後は比較的よいが、敗血症では発見時期が遅くなると予後が急速に悪化する。したがってAKIでは早期に発見し、なるべくCRRTを積極的に用いることを考慮する。

  • 文献概要を表示

●AKI時にはその原因・病態に応じて輸液・栄養戦略を決める。●AKI時は腎血流量維持される程度の十分な量の輸液が必要な場合が多いが、一方で過剰輸液の危険性も報告されている。●AKI時の栄養療法は、基本的に非AKI時と同等でよいが、透析時や蛋白異化亢進時は増減が必要であり、モニタリング下での調整が望ましい。

  • 文献概要を表示

●AKIの予防および治療の際にはさまざまな薬物が投与される。「AKIの薬物療法」としては、「AKI時に投与する薬物」と「AKI時に投与量を調節するべき薬物」の2点があげられる。両者とも基本的に腎機能の回復を促進するものではない。●現段階では、造影剤に起因するAKIの発症抑制に選択的カテーテルによるfenoldopam動注療法に期待はあるものの、AKIの際に積極的に投与すべき治療薬のエビデンスはない。●現時点における臨床でのAKIへの対応としては、発症を予防することがもっとも重要であり、次いで、適切な体内環境(体液量や循環動態)の是正に努め、発症したAKIの遷延から慢性腎不全への進展を抑制するべく対応することが肝要である。

  • 文献概要を表示

●AKIに対する腎代替療法(RRT)の開始は、早期晩期といったタイミングやBUN、Crなどのパラメーターで決定するのではなく、AKIに陥った病態の程度・悪化や尿量低下のスピードで決定すべきかもしれない。●modalityは循環動態の不安定な重症患者では持続的RRT(CRRT)を選択すべきで、その際の血液浄化量は20~25ml/kg/hrとするのが世界標準になりつつある。

  • 文献概要を表示

●心臓と腎臓の機能は密接に関連しており、両臓器障害の関連性は「心腎連関」として注目されている。●Roncoらは、心腎症候群(CRS)を、発症の原因が心臓あるいは腎臓にあるのか、さらに発症が急性あるいは慢性であるのかによって、5つのタイプに分類した。●急性心疾患は、高頻度に急性腎障害(AKI)を合併し、AKIの有無は生命予後と関連し、AKIの進行とともに生命予後は不良となる。●心不全におけるAKIの発症に関しては、近年、腎うっ血の重要性が示唆されている。●逆に、AKIが心機能障害を引き起こすメカニズムの詳細は不明である。●高血圧、糖尿病などは腎疾患、心疾患両者の危険因子であり、同時に障害を起こす可能性が高いため臨床的に注意が必要である。

  • 文献概要を表示

●続発する多臓器不全のために、AKIの生命予後は不良である。●AKIの関与する遠隔臓器障害として、急性肺障害が注目されている。●肺と腎は双方向性の遠隔臓器障害を呈し、肺腎連関と呼ばれる。●AKIによりIL-6を中心とする炎症性メディエーターが誘導され、さらにNa・水チャネルの発現低下により急性肺障害/急性呼吸逼迫症候群(ALI/ARDS)が引き起こされる。●一方、ALI/ARDSによる低酸素血症・高二酸化炭素血症および陽圧式呼吸管理は、腎血流低下・GFR低下をきたし、AKIを誘発する。

  • 文献概要を表示

●進行した肝疾患に腎障害を合併することは予後不良を示唆する。とくに肝腎症候群を発症した場合、現時点では確立された治療法がないため、早期の腎機能低下の発見と、増悪因子の改善が必要である。●重症急性膵炎に急性腎障害が合併する頻度は高い。十分な輸液を行い、血圧や尿量の維持を試みる。循環動態の安定が得られず、利尿の得られない症例では持続的血液濾過透析(CHDF)等も考慮される。

  • 文献概要を表示

●急性腎障害(AKI)の原因として、腫瘍崩壊症候群(TLS)の頻度が高い。●TLSの診断は、検査値(高尿酸血症、高K血症、高P血症、低Ca血症)と臨床上の診断基準項目(不整脈、痙攣、神経筋刺激反応性、低血圧症、心不全)によってなされる。●治療の原則は、十分な輸液と利尿薬による尿酸の排泄促進、尿のアルカリ化であるが、AKIを発症する危険が高い場合は、遺伝子工学で作られた尿酸オキシダーゼ(rasburicase)が有用である。

  • 文献概要を表示

●集中治療・救急領域におけるAKIは、単に腎臓のみの障害にとどまらず、多臓器障害の一分症として発症することが多い。●腎臓内科医と集中治療医の連携強化を強調した、critical care nephrologyという学問領域が新たに提唱されている。●ICUにおけるAKIは、敗血症(sepsis)がその原因となっている敗血症性AKI(septic AKI)の割合が高い。●ICUにおいてはAKIを合併することで、非合併例に比し有意に予後が悪化することが報告されている。●治療は腎臓内科医と集中治療医が連携し、多臓器障害の病態生理に立脚して行われるべきである。

  • 文献概要を表示

●わが国の透析患者数は約30万人に及び、移植待機期間は15年と長きにわたる。●腎臓の再生医療は、この問題を解決する手段の一つとして脚光を浴びている。その中でも尿細管再生の分子機構は、徐々にではあるが解明されつつある。●尿細管細胞には本来、再生能力が備わっている。●種々の原因で生じる尿細管障害は生命維持に直結する問題であり、障害からの回復は生命予後をも改善しうる。

  • 文献概要を表示

●AKI動物モデルにおいて尿細管細胞への遺伝子導入に関し多くの方法論が集積され、炎症、細胞ストレス応答、細胞増殖・分化誘導などの分子を標的とした遺伝子治療が試みられ、障害軽減効果が報告されている。●AKIでの尿細管細胞死はアポトーシスのみならずオートファジー、ネクロトーシスやfratricideの関与も示されており、その制御には、分子機構のさらなる解明が必要である。●ヒトAKIへの遺伝子治療の応用は、効果的な標的遺伝子の同定、遺伝子導入の安全性確保、AKI特有の遺伝子導入のタイミングや方法の確立、治療に十分な遺伝子の発現量や期間の確保と制御の克服が必要である。

  • 文献概要を表示

症例1は35歳女で、29歳時に甲状腺機能亢進症で抗甲状腺薬チアマゾール(MMI)を処方され、再燃に伴い増減を繰り返していた。35歳時に症状の増悪でMMIを漸増され症状は改善していたが、3ヵ月後に突然の高熱と咽頭痛、好中球減少を認め、緊急紹介入院となった。軽度眼球突出、咽頭扁桃の発赤と軽度腫脹を認めたが白苔の付着はなく、甲状腺はびまん性に著明に腫大し、軽度しびれ感、腓腹部のこむら返りを認めた。また、無顆粒球症と小球性低色素貧血、低カリウム血症、甲状腺機能亢進、TRAbとTSAb陽性、超音波で著明な甲状腺腫大と血流シグナルの増強を認めた。MMIによる無顆粒球症に伴う急性咽頭扁桃炎と診断し、無機ヨードに切り替え、抗菌薬とともにG-CSF剤を投与したところ、改善し経過良好となった。症例2は32歳女で、24歳時にバセドウ病でPTUを処方された。改善後に漸減していたが、内服コンプライアンスが不良で、31歳時の定期的内服を徹底した2週間後に咽頭痛、発熱が出現した。無顆粒球症を指摘され、レノグラスチムを投与され緊急入院となった。好中球数の著明な低値、異型リンパ球、赤血球に大小不同を認めた。PTUによる無顆粒球症に伴う急性咽頭扁桃炎と診断し、ヨウ化カリウムに切り替え、抗菌薬投与、翌日にレノグラスチム再投与で速やかに改善した。

  • 文献概要を表示

46歳女。4年前の健診で尿糖を指摘されていたが放置していた。翌年に糖尿病と診断され、神経障害、網膜症(ScottIIa)の合併症を認め、血糖のコントロールは良好であった。今回、発熱、寝汗、右側上腕部疼痛が出現し、NSAIDsを内服するが軽快せず、著明な赤沈亢進を認めたため精査入院となった。下肢深部反射低下、著明な炎症反応、FPGとHbA1の高値、肝腎機能や筋由来酵素は正常、リウマトイド因子と抗核抗体は陰性、フィブリノーゲン値、シアル酸およびIgG、IgAの高値を認めた。細菌培養・上下内視鏡・Gaシンチ・心臓超音波検査および腹部エコー・造影CT検査に異常所見は認めなかった。血糖コントロールに対してインスリンを注射し、各種抗生物質投与を行うも発熱は続き、入院5日目には両側上腕部から肩、首の疼痛が出現した。以上から、リウマチ性多発筋痛症(PMR)と診断した。プレドニソロン投与を開始し、症状は急速に軽快し、炎症反応も徐々に正常化した。

  • 文献概要を表示

55歳女。発熱、四肢点状出血が出現し、近医にて鼠径リンパ節腫大、肝障害、血小板減少を指摘され、当科紹介となった。両側下肢に広範な紫斑を認め、耳鼻科内視鏡で喉頭蓋血腫を認めた。CMV IgM抗体、CMV IgG抗体は陽性、骨髄穿刺所見は巨核球数正常で、血小板の分泌のない巨核球およびマクロファージによる血球貪食像を認めた。成人発症のサイトメガロウイルス(CMV)による血小板減少症と診断し、2日後よりvalganciclovirとCMV高力価γグロブリン製剤を投与した。CMV抗原C7HRP(-)となりPltの増加を認め、喉頭蓋血腫は入院10日目の喉頭鏡で血腫の消失を確認した。

  • 文献概要を表示

77歳女。佐賀県内で昼・夕食に海産魚の刺身(種類不明)を食した夜に、突然食道から何かが上がってきた感じがして咽喉頭異常感が生じた。2日後の朝も持続したため近医を受診し、喉頭寄生虫症と診断され当科紹介となった。上部消化管内視鏡で左喉頭披裂部に淡い白色で長径約3mmの薄い卵円形の虫体が吸着していた。表面に一対の線状の濃い黄白色部分がみられた。生検鉗子で摘出したところ、約3.5×1.2mmの乳白色の体を伸縮させて移動する虫体であった。摘出後に咽喉頭異常感は消失した。虫体検査では、成虫で十分に発育していないclinostomum complanatumであった。

  • 文献概要を表示

53歳男。20歳時の交通外傷時に輸血歴があり、4年前に慢性C型肝炎と診断され、1ヵ月後よりpeginterferon(PEG-IFN)投与を開始し、13週後のPCR法にてHCV-RNAの陰性化を認め投与中止となった。翌年に再燃を認めたためIFNを12週投与し、2年後の2度目の再燃でIFN投与を開始し、1ヵ月後にribavirin(RBV)併用療法を開始し、22週目にHCV-RNAは陰性化した。IFN/RBV併用療法44週目頃より、口渇・多飲・多尿・体重減少の出現、全身倦怠感・嘔気が増悪し、糖尿病性ケトアシドーシスと診断され、当科緊急入院となった。空腹時血糖463mg/dl、HbA1c 7.6%、膵島関連自己抗体陰性でインスリン分泌能の低下を認めた。入院後よりインスリン持続点滴を開始し、3日目より強化インスリン療法を導入した。その後、血糖値は不安定で、約2ヵ月後にインスリンポンプによる血糖コントロールに切り替えた。

基本情報

24329452.110.03.cover.jpg
臨床雑誌内科
110巻3号 (2012年9月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

文献閲覧数ランキング(
5月25日~5月31日
)