発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012364674
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症例1は35歳女で、29歳時に甲状腺機能亢進症で抗甲状腺薬チアマゾール(MMI)を処方され、再燃に伴い増減を繰り返していた。35歳時に症状の増悪でMMIを漸増され症状は改善していたが、3ヵ月後に突然の高熱と咽頭痛、好中球減少を認め、緊急紹介入院となった。軽度眼球突出、咽頭扁桃の発赤と軽度腫脹を認めたが白苔の付着はなく、甲状腺はびまん性に著明に腫大し、軽度しびれ感、腓腹部のこむら返りを認めた。また、無顆粒球症と小球性低色素貧血、低カリウム血症、甲状腺機能亢進、TRAbとTSAb陽性、超音波で著明な甲状腺腫大と血流シグナルの増強を認めた。MMIによる無顆粒球症に伴う急性咽頭扁桃炎と診断し、無機ヨードに切り替え、抗菌薬とともにG-CSF剤を投与したところ、改善し経過良好となった。症例2は32歳女で、24歳時にバセドウ病でPTUを処方された。改善後に漸減していたが、内服コンプライアンスが不良で、31歳時の定期的内服を徹底した2週間後に咽頭痛、発熱が出現した。無顆粒球症を指摘され、レノグラスチムを投与され緊急入院となった。好中球数の著明な低値、異型リンパ球、赤血球に大小不同を認めた。PTUによる無顆粒球症に伴う急性咽頭扁桃炎と診断し、ヨウ化カリウムに切り替え、抗菌薬投与、翌日にレノグラスチム再投与で速やかに改善した。
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