medicina 1巻1号 (1964年4月)

今月の主題

高血圧診療の問題点 大島 研三
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 高血圧は診断名ではなく,一症状にすぎない。その観点から,実際診療に必要なものをひろいあげ,学問から実際への橋わたしをすることを本稿の目的とした。

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 司会(日野原) 大島先生が高血圧診療の問題点というテーマで,この雑誌に執筆されていらつしやいますが,私たちも読ませていただきました。その中から実地医家がもう少し掘り下げて考えるべき若干の問題を取り上げてもう少しお話しをしていただきたいと思うのです。初めに高血圧症というのは病気でなしに,1つの症状であるというように書かれておりましたね。熱が出た場合に発熱症という診断を私たちは決してつけないのですが,血圧が高い場合もただ高血圧症という診断で満足すべきではないと思います。

胆のう症の反省 三輪 清三
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 胆のう症は,結石,炎症,機能異常などの因子によつてひきおこされる病態を機能的,総括的に表わすものである。したがつて,これを病名として使用することは適当ではなく,病因にもとずく診断を下すことを心がけるべきである。診断法の進歩が,それを可能とする現況にあると考える。

肺線維症 本間 日臣
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 肺線維症は,肺気腫とともに,肺という臓器が,いろいろな疾患に罹つたあげくの果てに,たどりついた旅路の果ての姿であるから,医学が進歩して諸種肺疾患の治療が可能となつたり,寿命が延長したり,都市や産業が発達して刺激性や塵埃の吸入の機会が増すにつれ,これと平行して増加する。ここでは本症が提起する諸問題および診断と治療の実際について概説を試みた。

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□患者全体をみる医師

 内科のことを,英語では,internal medicineまたは,たんにmedicineとよんでいる。このmedicineは本誌名のメデイチーナmedicinaというラテン語からきている。

 内科をmedicineと呼ぶものの考え方は,内科がたえず病む人間全体をとりあつかう医学であることを示している。内科学は20世紀にはいると,急速に進歩したが,その進歩の特長は専門化(specialization)ということである。すなわち,内科学は循環器科,呼吸器科,消化器科,内分泌科などと分れてきたが,最近は,糖尿病とか,腎臓病とかの単一の病気,または臓器に焦点をあわせて専門化する傾向もみられる。

診断のポイント

心臓の痛み 木村 登 , 和田 敬
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患者が心臓部の痛みを訴えたとき

 心臓部における痛みはすぐにも心臓病を連想させ,重篤な心臓病にかかつているものと信じて医師の診断をこう患者の数が増加しつつある。とくに若年者においてかかる訴えを主訴とするものの大多数は心臓神経症である可能性が多い。典型的な心臓部ならびにその周辺の痛みはウィリアム・ヘバデンの古典的名著"Disorder of the Breast(1768)"にくわしく記述されているが,器質的心臓病に罹つている患者が必ずしも心臓部の痛みを訴えるとは限らない。ために器質的ならびに機能的な心疾患の鑑別は,臨床的に必ずしも容易ではなく,いろいろの検査を必要とする場合もあるが,患者が痛みを訴える場合の表現の仕方,痛みの場所,ならびにその痛みが何分位続くかというような簡単ないわゆるベッド・サイドの問診によつてかなり正確に診断できるので,その要点をかいつまんで述べてみたいと思う。紙数の都合上,器質的心臓病のうちではとくに日常しばしば遭遇する冠動脈硬化に起因している狭心症ならびに心筋硬塞症についての鑑別を述べることにする。

くも膜下出血 相沢 豊三
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くも膜下出血の主な原因

 本症は頭蓋内血管の破綻によりおこつた出血が,くも膜下腔に達したものをいう。したがつて成因として,頭部外傷・出血素因・脳腫瘍・中毒ないし新陳代謝障害あるいは炎症性疾患などが挙げられるが,これらの場合いずれも脳実質内の出血が主たるもので,くも膜下出血は続発性ともいうべきである。ここでは髄膜とくにくも膜における血管の破綻によるものであり,出血は主としてくも膜下腔にあり,脳実質内出血はあつても少ないものについて述べるわけで,それは従来,原発性くも膜下出血と呼ばれていたものであるが,剖検によりまた脳動脈撮影によつて,その成因の第1は動脈瘤であり,第2は血管腫であることがわかつたのである。診断のポイントも,そのおのおのについて述べることとしよう。

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SL-Oとその抗体ASL-O

 レンサ球菌から分泌される菌体外物質としては,10種類のものが知られている。

 そこでレンサ球菌の感染が生体におこると,これらの物質が免疫系を刺激してそれぞれの抗体を生じてくる。そのうちStreptolysin-Oに対する抗体をAntistreptolysin-O(ASL-O)という。現在証明し得る抗体は7種類であるが,ASL-O以外の反応は,基質や抗原の調整が困難で一定の品質のものが得難いため,一般にASL-Oの測定が行われている1)

治療のポイント

経口糖尿病治療剤 堀内 光
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まず適切な食事療法から

 近年次第に糖尿病者が増加しているといわれるが,その大多数は中年以降に発症する比較的軽いものである。これらに対する治療法としてはまず適切な食事療法を行ない,尿糖排出の状況,空腹時血糖値の経過をみて,食事のみではコントロール不十分と思われるものについて経口糖尿病治療剤を併用する。食事のみでどの位の期間経過を見て経口剤の投与を併用するかは症例によつて異なるが,一般に中年発症糖尿病では食事療法実施後2ないし4週間でも空腹時血糖値130mg/dl(Somogyi法)以下を保つ傾向のないもの,または毎食前の尿糖検査で陽性を呈するものについて行なつている。しかしここに述べた期間や血糖値の高さは症例によつて異るべきもので一律に規定できるものではない。さらに注意すべきは指示した食事内容を患者がどの程度守つたかにより判断が異なることである。実際に食した食品名と量を記録させて検討し,必要な教育を反復して食事療法の効果を確めることが必要である。しかし一般の患者に食事の指示を与えて2ないし4週間で指示通りの食事ができるとは限らない。この意味で糖尿病治療開始当初は入院して治療食を覚えることが望ましい。教育入院と称して糖尿病訓練室に入院させ,食事の盛りつけや食品交換表による食事カロリーの計算を練習させ,摂るべき食事内容を目で見て覚えるよう教育することが役立つようである。

減塩食療法 中村 隆
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 減塩療法は患者に苦痛と自制を要求するものであるから,この十分な効果を期待するためには相応の配慮と技術が必要である。とくに日本人の場合,平生の食塩摂取量が欧米人に比べてかなり多いし,かつ日本食そのものが減塩食餌に不適当で,困難な点が少なくない。近時の利尿剤の進歩は減塩療法を容易とし,必ずしも往時ほどの食塩制限を必要としない場合も多くなつて来たが,なお高血圧,浮腫の治療としての減塩療法の意義は決して少なくない。

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 抗生剤の草分けである。ペニシリンは今日でもなお,高い利用価値を残している。しかし,わが国の現状はペニシリンアレルギーをおそれるあまり,必要な場合にも使用されていないのではないだろうか。

 近年諸種の合成ペニシリンが相次いで製造され,耐性菌感染症の化学療法に優れた効果を収めるようになつた。しかし,これら合成ペニシリン各製剤はそれぞれ異つた性質を有しており,適切な使用を行なわなければ,その特徴を十分に利用することが出来ないので,今日われわれの入手し得る合成ペニシリンについて,主としてその臨床的応用について解説を加わえ,一般使用時の参考に供したい。

鉄欠乏性貧血

接触皮膚炎 谷奧 喜平
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 ほとんどすべての皮膚疾患は皮膚に炎症症状を呈するが,皮膚科で皮膚炎というときには,外界から直接皮膚に有害な刺激が作用することにより,その作用局所に一過性に急性炎症を起こすものを指し,広義には放射線,光線,寒冷,温熱などの物理的刺激によるものも含むが,一般には動植物毒,化粧品,薬品などの化学的刺激物質によるものをいう。これら刺激原として働く物質がいわゆる毒物の場合,毒物性皮膚炎dermatitis venenataと称し,薬物の場合には薬物性皮膚炎dermatitis medicamentosaと呼ぶが,これらを一括して原因の皮膚接触によつて生ずるとの意味で接触皮膚炎と呼ばれている。毒薬物の接触による皮膚炎の内,それが直接の刺激により起こる場合(primary irritant reaction)もあるが,われわれが日常経験する接触皮膚炎では,あらかじめ感作された皮膚に毒薬物が抗原として作用してたallergic eczematous reaction,すなわちアレルギー性接触皮膚炎のことが多い。ある統計によると薬物性皮膚炎の70〜80%はallergic eczematous reactionであるとされている。

症例 誤診されやすい胸部レントゲン写真

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 両側の肺門のまわりにあらわれるボンヤリした陰影は一応肺浮腫の所見でありうることを記憶すべきであろう。それが心臓陰影の拡大を伴なうときや,肋膜腔に液のたまっている像を示すときには特に。

症例 異常心電図の症例

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いとぐち

 われわれの日常の臨床において,心電図をとる必要のあつた頻度を,過去の経験から見ると次のような順位になる。

 1)高血圧(805),2)心臓神経症(204),3)消化器系疾患(153),4)手術前(145),5)内分泌疾患(63),6)後天性心臓弁膜症(61),7)先天性心臓弁膜症(58),8)リウマチ熱関節ロイマ(53),9)不整脈(26),10)腎臓疾患(26),11)低血圧(22),12)神経系疾患(17),13)心筋硬塞(11),14)狭心症(5),15)病巣感染(3),16)塩類代謝障害,心内膜炎,その他474。

ファースト・エイド

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はじめに

 いわゆる心拍停止とは,Cardiac standstillおよび心室細動の状態をさし,予期されぬ,心拍出量の急激な減少により,各器管に必要な血液を循環し得ない状態になるもので,いわゆる失神SyncopeまたはShockに続いておこることもあり,重復する意味をも有する。

 呼吸は,心拍停止に先行して停止する場合と,おくれて停止する場合とがあるが,いずれにしても呼吸停止は必ずおこる。

頭部外傷の見分け方 喜多村 孝一
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 頭部外傷は今日ではきわめてしばしばみられるものであつて,外科医のみならず医師ならば誰でも好むと好まざるとにかかわらずその救急処置の責を負わされる機会が多くなつてきたように思われる。

 外傷に際してはひとり頭部外傷に限らず正しい治療方針のもとにできるだけ早く適当な処置治療を行なうことが必要であるが,頭部外傷においては致命率が他の部の外傷のそれの追従を許さない高率であるので,とくにこの点に留意しなければならない。限られたわずかな紙面で「頭部外傷の見分け方」の説明に意をつくすことは到底不可能であるので,ここでは最も重要な点に焦点をしぼつて以下に記載する。

グラフ

螢光抗体法 浜島 義博
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 ちかごろ免疫組織学が急速に発展してきた。それは螢光抗体法,同位元素フェリティン抗体法などの抗体成分を標識して組織または細胞内の多くの病原体,病原因子などを特異的に形態組織学的に観察する優れた方法が出現してきたからである。その中の一つ,螢光抗体法は,ある特定の螢光色素で抗体を標識し,組織切片上で病原体(抗原)と特異的に抗原抗体反応を起こさせてその抗原の所在を適確に観察できる方法である。最近わが国においても,この方法を臨床上の迅速な診断に応用する努力が払われている。

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激しい胸痛のために狭心症や心筋硬塞と間違えられたり,急死して病因不明とされたりするものの中に,解離性大動脈血腫という病気がある。日本では,この病気の実相が一般臨床医にひろく知られていないので,非常にまれにしか報告されないが,この病気にもっと関心がむけられれば,日本でも決してまれな病気とはいえなくなるであろう。

検査グラフ

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 テレメータリング(Telemetering)とは遠隔距離にある対象の情報を計測,制御する方法で,電子工学の進歩に伴い,社会の各領域で実際に広く利用されている。医学の分野においてもスポーツ選手の競技中の心電図,筋電図の無線搬送などに最初の応用が試みられてから,手術前後の患者の監視装置,リハビリテーシヨン,胃腸管内のpH,圧力などの測定に実用化の道が,拓かれ,さらに開発が期待される。二三の実用化の例を図説する。

基礎医学

アイソザイム 永井 諄爾
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 同じ活性の酵素でありながら,アポ酵素蛋白の違いによつて,いくつかの分画に分けられることがある。これがアイソザイムである。

器械の使い方

血圧計の使い方 鴫谷 亮一 , 渡辺 孝
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 圧力をはかる装置は液柱圧力計と弾性圧力計とに大別される。前者のうち単管式のものに水銀式血圧計があり,計ろうとする圧力を水銀の重さとつり合わせて計る。後者のうちチャンバ式のものにアネロイド式血圧計があり,計ろうとする圧力を受圧部の弾性体とつり合わせ,そのときの弾性体の変形を歯車やテコの拡大機構を介して指針を回してはかる。

 ところで血圧測定に当り,血圧計自体の許容誤差を必要がある。これについて本部の計量法では,検定公差4mmHg,使用公差8mmHgとしており,日本工業規格(JIS)によれば,水銀式血圧計で±2mmHg,アネロイド式血圧計で±4mmHgである。

他科との話しあい じんま疹・湿疹とアレルギー—内科から—皮膚科から

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 じんま疹やことに湿疹は従来皮膚科で治療された。しかし臨床アレルギーの進歩によりこれらの疾患は皮膚アレルギー性疾患の代表として,新しい角度から注目されている。事実気管支喘息患者にはその既往歴または家族歴にアトピー性皮膚炎やじんま疹などの証明されることがしばしばあり,また気管支喘息が軽快すると同時にアトピー性皮膚炎に悩まされる例が少なくない。

 気管支喘息やじんま疹のある型,アトピー性皮膚炎などは,その成因にアトピー型のアレルギー反応の関係することが明らかになつた。これは本来内科の領域で取り扱うべきものであるが,免疫細菌学,植物,真菌学,化学,生理学,病理学などの基礎的知識が必要であり,皮膚科,耳鼻科,眼科,小児科などの臨床家はすべてアレルギー問題に関心を向ける必要がある。

If…

小野寺直助氏に聞く 長谷川 泉
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■声明書を出しての九大行

 長谷川 一高から九大へおいでになるとき,声明書を出して行かれたという話ですが,もしあのとき,そのようなことがなかつたら先生の人生はいまと変わつていたかもしれませんね。

 小野寺 あの当時の4大新聞に,声明書を出したな。日露戦争が始まつたから,われわれも学界の決死隊であるといつて,声明書を出して行つたのですよ。創設当時の九大に。いまなら,とめますがね。(笑声)

正常値

日本人の血圧 平尾 正治
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戦前の状態にもどつた日本人の血圧

 日本人の血圧にも地域差のあることは,佐々木教授1)らが述べているが,ここでは全般的な問題として論ずる必要があり,そのための統計資料として厚生省の国民栄養調査をあげることができる。国民栄養調査は,国民の栄養摂取状況と,それに関連した身長・体重・血圧などの身体状況調査を行なうもので,毎年継続して実施されている。調査客体は厚生省調査地区を母標本として,毎回180地区を層化無作為抽出法によつて抽出し,約9,000世帯の全員について調査を行なうものである。

 日本人の血圧は戦後しばらくの間,栄養低下の影響をうけて全般的に低かつたが,最近では戦前の状態に復している。ここ数年間の資料を比較すると,若年層ではほとんど変化がない。老年層でも平均値で数mmの差の程度である。したがつて,この統計資料は,一応日本人の血圧の全般的な状態をあらわすものとみてさしつかえない。最近公表された昭和37年度の調査結果をしめすと,表1のとおりである。

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 図は,全死因を下記の注に示す如く5つの群に分けた場合,すなわちA群,細菌感染によるもの,B群,いわゆる成人病,C群,妊産婦および乳児期の疾患,D群,外因死,E群,その他の死因に分けて,これを各年の死亡総数を100とした場合のそれぞれの群別死亡数の割合を,年次別に比較しておみせしたものです。

 ごらんいただきますように,A群による死亡数の割合は,昭和10年には43.4%と半数近くを占めておりましたが,38年には11.6%と減少しております。反面,B群による死亡数の割合は昭和10年には24.7%であつたものが,38年には60.5%と半数以上に増加しております。また,C群は昭和10年には7.8%であつたものが38年には3.5%と減少しましたが,D群は逆に昭和10年には3.8%でしたが,38年には8.1%と増加しております。

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使用法

 回転板の半径(Radius)と回転数とを結べば遠心力(G)が得られる。Wintrobeのヘマトクリット値は約2260Gで30分間というのが規準であるから,わが国の製品(回転半径が外国のより短い)ではこのノモグラムを利用してそれぞれ回転数を3000rpmよりもつと上げて用いないと,最もこの値に頼りたい軽い貧血のケースを見逃す危険がある。

簡易臨床検査のやり方と評価

肺活量について 梅田 博道
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 できるだけ吸いこんだ位置(最大吸気位)からできるだけはき出した位置(最大呼気位)まで,がんばつてふかせた量を肺活量ということは皆さんご周知のこと。しかし,肺活量にはいろいろ種類があり,それぞれが示す意義がちがうのです。ここに臨床的に重要なSlow vital capacityとFast vital capacityについて述べましよう。

 できるだけ吸いこんだ位置からゆつくりとできるだけがんばつてはき出した肺活量をslow vital capacity(呼気肺活量)といい,これを一般には肺活量としています。これに反して,できるだけ吸いこんだ位置から一気に早くはき出した肺活量をFast vital capacity(努力性肺活量),またはFast Expiratory Volume(FEV)といいます。この検査をTiffeneau testともいいます。前者は肺,胸廓系のふいご作用,すなわち肺,胸廓系の伸展性を示すもので,胸膜べんち,肺の線維化などで減少します。これを拘束性換気障害と名づけます。後者は肺,胸廓系の呼出力と気道の抵抗,すなわち,気道の気流に対する抵抗,気流自体の抵抗,呼出にともなつて生ずる肺,胸廓の変形に対する抵抗などの綜合結果を示し,ぜんそく,肺気腫,気管支炎などのときに減少します。これを門塞性換気障害と名づけます。

私の意見

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 わが国の一般病院における医師団の組織は大学の真似である。医長の位は大学教授のもつ天皇の位に相当する。人事に異動がなければ大学卒業の序列のまま永久的に進行する。医員は永久に「ウンテン」である。彼らの何人かが年齢的にも実力のうえからも,医長と同等になると,どうにもならなくなつて医長の名を与える。そうするといままでの医長は部長という法皇の座につく。大した変わりばえもしない。

 定年制があればまだしも,なければ法皇の権力はもうろくしても絶大である。

アウトサイダーの窓〈1〉

勤務医 小林 文男
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■ある勤務医が開業しようとしたが

 同じ「医師」でも勤務医と開業医の間には,経済的な大きな落差がありすぎる。むろん勤務医のほうがグッと低いわけだが,この落差が,勤務医自体の生活ばかりでなく病院経営の面にも,深刻な暗影を投げかけている点に,問題の重要性が潜在すると思われる。

 「私も,いよいよ病院をやめて,開業するハラを決めたよ……」

録音構成・患者の声

名医を探して14年 近藤 順子
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 国民皆保険の制度が達成されたこのごろ,全国民の96%をこえる人たちが,安いお金でお医者にかかれることは誠に結構です。

 しかし,名医を探して14年間苦労しつづけた私は,苦しかつた体験のなかから,声を大にして医療制度の欠陥を訴えたいのです。

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勤務医はいま,どんな立場におかれ,どんな悩みをもつているのだろうか。よりよい診療をめざして,何を改善したらよいか。知識の吸収はどのように……

閲覧室

「内科学教科書」について 吉利 和
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古き時代

 私たちが内科学の初歩を勉強した時代は,おもにドイツ語の本で勉強した。英語の本もぜんぜんなかつたわけではないが,主として読んだのはドイツ語の本であつた.日本語の本としては,はじめて呉建,坂本恒雄先生の本ができて,当時としてはセンセーショナルなものであつた。

 さてそのドイツ語の本としては,Meringの本,Strümpellの本,Bergmannの本,この3つがほとんどすべての人が名前を上げる有名な本であつた。中のどれが一番いいかということになれば,人によつて非常にちがつてくると思うが,わかりやすいという点ではなんと言つてもMeringの本がわかりやすかつたかと思う。だが,今から考えて見て,内科学というものに体系を与えようというような立場からは,Bergmannがよかったと思う。しかし,これはあくまでドイツ流のシステムであつて,英米流のシステムなどについては,われわれはほとんど知らなかつたような状態であつた。呉,坂本両先生の内科書は,日本で書かれた唯一の本と言つてよいものだと思うが,この本もまた,ドイツ流の考え方にのつとつて書かれた本であつたと言えよう。

海外だより

ベルギーから 長坂 昌人
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 私のいるベルギーのゲント市は,現在では歴史に忘れ去られたヨーロッパの片いなかであるが,12世紀から14世紀にかけては毛織物工業の中心地で,北欧屈指の産業都市であつた。第二次大戦後,技術およびエネルギー革新の時代が到来するや,古い石炭と鉄を中心に栄えたワロン地区に代わつて,海岸に近くて石油供給に便利なフラマン地区が近代的工業の中心となつてきている。12〜14世紀のおもかげを残す古城,伽藍は昔のままの姿を水にうつしているが,その下に住む人びとの生活はたえず激しい歴史の波にもまれている。

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医療の根底としての家庭医

 昭和37年5月,静岡県浜松市富塚町に,鉄筋コンクリート3階建の近代的な明るい感じの建物が完成した。建坪1.749平方メートル,敷地13.200平方メール。浜松市医師会中央病院である。

 この病院は日本に前例のない組織と機構をもっている。その趣旨は,落成式に際して述べた,浜松市の医師会長でこの病院の院長を兼ねる山本正氏のあいさつに明らかである。

臨床検査の盲点

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 血液疾患のスクリーニング・テストとしてWintrobeのヘマトクリット管法は最も有用なものとして現在広く普及している。ところがわが国の本法での健康値はどうも高めのようである。どうしてであろうか?この解答はハッキリしていて外国とわが国の遠心器の回転板半径に差があるからである。Wintrobeの本によると回転半径225mmので3000r.p.mをやると2,264Gとなり,それで30分間のPacked cell volumeをヘマトクリット値とするとしている。ところがわが国のどの遠心器も回転半径はそれよりかなり短い。今わが国の検査室で最も普及している三脚懸垂型製品(久保田K-80,佐久間90,国産遠心H-100B型)はいずれも145の回転半径である。そうすると3,700r.p.m.位の回転数にしないとWintrobeの指示する約2,260Gにはならない。同じく三脚懸垂式でも15ml容管を48〜64本一度に遠心できる大型のものは190〜195mmである。また前調産遠心のでもH-100型,B-3のダイキャスト製15ml容量24本用となると165mmの回転半径,富永のスイング型CD-50は160mmと多少製品の特長差があるが,いずれにしろ回転数が3,000r.p.mではいけないことは確かである。

メディチーナジャーナル

循環器 小沢 利男
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大動脈炎と脈なし病

 脈なし病は,本邦女性に多く見られる大動脈弓症候群の1つのEntityをなすものとして知られている。本症の成因に関しては不明の点が少なくないが,大動脈弓並にその分枝の炎症性機転が主たる役割を演じていることは疑いないものと思われる。近年このような病変が,単に大動脈弓部にとどまらず,下行大動脈,腹部大動脈にも見出され,これらを一つの大動脈炎という疾患単位で把握しようという動きがある。事実,岡山大学の稲田ら(Surgery 52:433,1962)が報告しているごとく,脈なし病にはしばしば異型大動脈縮窄症を合併する例があり,両者が病理組織学的に酷似し,また,ともに女性い多く,血沈の促進CRPなどの陽性を示す点などは,両者の成因が同じであることを首肯せしめるに足るものであろう。

 最近British Heart Journal誌上に掲載された次の2つの論文は,この意味において注目すべきものがある。すなわち大学のDanarajら(Brit. Heart J. 25:153,1963)は大動脈炎の病変が腎動脈の狭窄を惹起し,いわゆるGoldblatt型の高血圧を現した9症例を報告している。

内分泌・代謝 入江 実
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 昭和38年6月から12月刊行の邦丈内科誌の中から内分泌,代謝に関連してとくに臨床家にとつて興味あると思われる主題をとりあげた論文につき簡単な紹介を行なう。紙数の都合上十分の解説は不可能であるので興味のある方は原著を参考されることを望む次第である。

呼吸器 梅田 博道
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 肥満した人が息切れ,どうきを訴えることは古くより知られている。しかし,極度の肥満を1次的な原因とする心肺機能障害についてはじめて報告したのはSiekerら(1955)で,これをobesity heart diseaseと名づけた。極度の肥満は日本ではあまり見受けないが,欧米ではかなり多いようである。わが国でもこれからはふとりすぎの害が問題になると考えられるので,ここに紹介したい。

 病的肥満者の胸部レ線の特徴は横隔膜の挙上である。脂肪組織の増加により,横隔膜が高位をとりPhrenicocostal Winkelは開く。また心陰影は横位をとり,一見拡大したように見える。心電図では右軸変位,右心負荷がみられ,低電位差,auricular fibrillationをみることもある。

社会医学 黒子 武道
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 近年における,広い意味で医学の領域の注目すべき1つの動きは,社会医学的研究の擡頭であろう。わが国の社会医学が,主として戦後における社会的経済的条件の変化,特に階級格差や地域格差の増大,人口構造の質的変化による疾病像や死因の変化,国民皆保険計画の進行と医療制度における諸矛盾の社会問題化を契機として,戦後の新しい制度下の公衆衛生活動,特に医療保障や衛生行政に対する批判や反省として推進されたことはきわめて興味深い点であり,わが国の社会医学の性格とその特殊性がうかがわれる。

 昭和35年に正式に発会を見た社会医学研究会は,昨年の岡山における第4回総会まで通算5回の研究発表会を持ち,その間シンポジウム,一般講演など約100題が討議に上つた。

保険問答

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 この欄はみなさまからお寄せいただいた,保険に関する質問についてお答えする意図で設けました。質問をお待ちしております。

ニュース

厚生省記者席より H
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外野席の発言

 野球の外野席,芝居の立ち見,とかくそんなところには騒ぎたてるのが多い。ゲームや演技がうまいとかまずいとか,うるさいのが本領だ。単なる傍観者ではないが,そのくせ自分からは決して舞台の上に立たない。新聞記者の一面上にも,似たりよったりの習癖があるのではなかろうか。どうしたって,これは土俵の外での発言,とみて頂くより仕方がない。

話題

東北の学界から 赤坂 喜三郎
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 最近,中枢神経系に関する問題が医学の各分野で興味がもたれている。第229回東北医学会例会(1月8日東北大学医学部東講堂)においても,今回はこの方面の研究がとりあげられ,基礎と臨床にわたつて研究報告がなされた。それらのうち興味ある報告について紹介する。

 東北大婦人科では,従来妊娠中毒症と間脳,神経症ならびに精神身体症と中枢神経,性中枢などについてかなりつつこんだ研究を行なつている。同教室奥田は性の老化と視床下部中枢との関係について,組織の螢光染色を行ない,更年期以後の婦人や老齢動物の視床下部神経細胞に老化現象を認め,性の老化は中枢神経に支配されると推論している。実験的な裏付けもなされており,今後の発展が期待される。

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「medicina」創刊の辞
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 内科を標榜する雑誌は数多くありますが,そのただなかに新雑誌「medicina」はここに解纜たします。phoenixの希望を載せて。

 「medicina」は,いたずらに屋上屋を架するものではなく内科ないし内科的診療科に従事する内科医3万7千を対象とし,その好伴侶たろうとする啓発的総合雑誌であります。

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 間接法(聴診法または触診法)によつて血圧を測定するには,マンシェットを上腕に巻いて上腕動脈を圧迫するのであるから,上腕の太さは当然測定値に影響を与えるわけである。

 Ragan & Bordley1)は聴診法によつて測定した血圧と直接法による圧との差が上腕の太さ(周径)によつて左右されることを示した。Pickering2)はRagan & Bordleyのデーターに基いて,聴診法による血圧の補正表を作成した(第1表)。すなわち聴診法で測定した血圧は上腕の周径によつて補正しなければならないというのである。ただし,Pickeringは,この補正は値も大きくないので,大きい集団を取扱うときには意義があるが,個人の血圧を論ずるときはあまり問題にならないと述べている。

白玉楼中5分前 H
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 勝沼精蔵博士は,その堂々たる偉躯のように茫洋たる大人格であつた。温容常に微笑をたたえて人の話はよく聞かれたが,内に蔵するものはその名のごとく精緻で鋭利な頭脳回転のメカニズムであつた。主な業績であつたペルオキシダーゼに関する欧文出版のモノグラフを持たれたことでもわかるように,常に世界的な視圏でものを考えておられた。名古屋総会は惜しい会頭を失った。

 全国的の分担執筆「内科学」の編集会議では,他の編集委員の意向を尊重して自由に発言させ,終始おだやかに耳を傾けておられたが勘どころはよくおさえられていた。しかも原稿はよく読んでおられて,こと学問の内容のことになると正鵠を得た判断が片言隻句のなかにその片鱗をあらわした。

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 抄録作成にあたつては当然のことながら内容を簡潔にまとめなくてはならない。その時の要求により字数,長さなども制限があるからそれに従うことはもちろんのことである。したがつて不要のものは省き,しかもその専門分野以外の人が読んでも理解ができるように心掛けるべきである。あまり特別な記号などは用いない。

 日本人がどうしてもうまく使用できないのが冠詞である。殊にTheの用法はむずかしい。特に最近抄録の場合などはなるべく字数を減らそうとしてTheを略す傾向なのでますますわれわれ日本人にはわかりにくい。

あとがき S
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 きびしい何カ月かだつた。数多くの関係誌が発刊されている中に,本誌「medicina」が新しく発足する意味について深更に及ぶ討議が重ねられた。今日,医療のおかれている立場は研究者にとつても臨床家にとつても,まことにきびしいものである。外来30人から40人を診なければならない医師の悩みは,十分な検討,良心的な臨床を行なうことのむずかしさと,細かく専門化されて研究が進められていく各分野の進歩をどのように吸収し,学んで行つたらよいかという悩みであつた。その多忙さの中で,第一線の臨床医が「雑誌」に何を期待しているのだろうか,アンケート,あるいは面談によつて,その声,その意見を聞くことに約1年の期間が費やされた。そして,「medicina」の編集宣言が創りあげられた。内科内部の各専門の統合と,他科に関連する医療全体の世話役ともいうべき内科医本来の使命を全うするための総合誌。この意図は第1号にはたしてどれだけ反映し得たであろうか。今は,読者の皆さまの批判を待つだけとなつた。編集部のおねがいに十分に答えてくださつた執筆者の方々,時間をさいて本誌に対する多くの意見をのべてくださつた方々に厚くおん礼申し上げる。

基本情報

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medicina
1巻1号 (1964年4月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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