海外だより
ベルギーから
長坂 昌人
1
1東大 吉利内科
pp.95-96
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200241
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私のいるベルギーのゲント市は,現在では歴史に忘れ去られたヨーロッパの片いなかであるが,12世紀から14世紀にかけては毛織物工業の中心地で,北欧屈指の産業都市であつた。第二次大戦後,技術およびエネルギー革新の時代が到来するや,古い石炭と鉄を中心に栄えたワロン地区に代わつて,海岸に近くて石油供給に便利なフラマン地区が近代的工業の中心となつてきている。12〜14世紀のおもかげを残す古城,伽藍は昔のままの姿を水にうつしているが,その下に住む人びとの生活はたえず激しい歴史の波にもまれている。
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