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白玉楼中5分前
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pp.46
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200221
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勝沼精蔵博士は,その堂々たる偉躯のように茫洋たる大人格であつた。温容常に微笑をたたえて人の話はよく聞かれたが,内に蔵するものはその名のごとく精緻で鋭利な頭脳回転のメカニズムであつた。主な業績であつたペルオキシダーゼに関する欧文出版のモノグラフを持たれたことでもわかるように,常に世界的な視圏でものを考えておられた。名古屋総会は惜しい会頭を失った。
全国的の分担執筆「内科学」の編集会議では,他の編集委員の意向を尊重して自由に発言させ,終始おだやかに耳を傾けておられたが勘どころはよくおさえられていた。しかも原稿はよく読んでおられて,こと学問の内容のことになると正鵠を得た判断が片言隻句のなかにその片鱗をあらわした。
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