メディチーナジャーナル
循環器
小沢 利男
1
1虎の門病院内科
pp.81
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200234
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大動脈炎と脈なし病
脈なし病は,本邦女性に多く見られる大動脈弓症候群の1つのEntityをなすものとして知られている。本症の成因に関しては不明の点が少なくないが,大動脈弓並にその分枝の炎症性機転が主たる役割を演じていることは疑いないものと思われる。近年このような病変が,単に大動脈弓部にとどまらず,下行大動脈,腹部大動脈にも見出され,これらを一つの大動脈炎という疾患単位で把握しようという動きがある。事実,岡山大学の稲田ら(Surgery 52:433,1962)が報告しているごとく,脈なし病にはしばしば異型大動脈縮窄症を合併する例があり,両者が病理組織学的に酷似し,また,ともに女性い多く,血沈の促進CRPなどの陽性を示す点などは,両者の成因が同じであることを首肯せしめるに足るものであろう。
最近British Heart Journal誌上に掲載された次の2つの論文は,この意味において注目すべきものがある。すなわち大学のDanarajら(Brit. Heart J. 25:153,1963)は大動脈炎の病変が腎動脈の狭窄を惹起し,いわゆるGoldblatt型の高血圧を現した9症例を報告している。
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