治療のポイント
経口糖尿病治療剤
堀内 光
1
1東京都済生会中央病院
pp.55-57
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200225
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まず適切な食事療法から
近年次第に糖尿病者が増加しているといわれるが,その大多数は中年以降に発症する比較的軽いものである。これらに対する治療法としてはまず適切な食事療法を行ない,尿糖排出の状況,空腹時血糖値の経過をみて,食事のみではコントロール不十分と思われるものについて経口糖尿病治療剤を併用する。食事のみでどの位の期間経過を見て経口剤の投与を併用するかは症例によつて異なるが,一般に中年発症糖尿病では食事療法実施後2ないし4週間でも空腹時血糖値130mg/dl(Somogyi法)以下を保つ傾向のないもの,または毎食前の尿糖検査で陽性を呈するものについて行なつている。しかしここに述べた期間や血糖値の高さは症例によつて異るべきもので一律に規定できるものではない。さらに注意すべきは指示した食事内容を患者がどの程度守つたかにより判断が異なることである。実際に食した食品名と量を記録させて検討し,必要な教育を反復して食事療法の効果を確めることが必要である。しかし一般の患者に食事の指示を与えて2ないし4週間で指示通りの食事ができるとは限らない。この意味で糖尿病治療開始当初は入院して治療食を覚えることが望ましい。教育入院と称して糖尿病訓練室に入院させ,食事の盛りつけや食品交換表による食事カロリーの計算を練習させ,摂るべき食事内容を目で見て覚えるよう教育することが役立つようである。
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