治療のポイント
接触皮膚炎
谷奧 喜平
1
1岡山大・皮膚科
pp.64-66
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200229
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ほとんどすべての皮膚疾患は皮膚に炎症症状を呈するが,皮膚科で皮膚炎というときには,外界から直接皮膚に有害な刺激が作用することにより,その作用局所に一過性に急性炎症を起こすものを指し,広義には放射線,光線,寒冷,温熱などの物理的刺激によるものも含むが,一般には動植物毒,化粧品,薬品などの化学的刺激物質によるものをいう。これら刺激原として働く物質がいわゆる毒物の場合,毒物性皮膚炎dermatitis venenataと称し,薬物の場合には薬物性皮膚炎dermatitis medicamentosaと呼ぶが,これらを一括して原因の皮膚接触によつて生ずるとの意味で接触皮膚炎と呼ばれている。毒薬物の接触による皮膚炎の内,それが直接の刺激により起こる場合(primary irritant reaction)もあるが,われわれが日常経験する接触皮膚炎では,あらかじめ感作された皮膚に毒薬物が抗原として作用してたallergic eczematous reaction,すなわちアレルギー性接触皮膚炎のことが多い。ある統計によると薬物性皮膚炎の70〜80%はallergic eczematous reactionであるとされている。
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