臨床検査の盲点
ヘマトクリット値による貧血の見逃し
斎藤 正行
pp.80
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200233
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血液疾患のスクリーニング・テストとしてWintrobeのヘマトクリット管法は最も有用なものとして現在広く普及している。ところがわが国の本法での健康値はどうも高めのようである。どうしてであろうか?この解答はハッキリしていて外国とわが国の遠心器の回転板半径に差があるからである。Wintrobeの本によると回転半径225mmので3000r.p.mをやると2,264Gとなり,それで30分間のPacked cell volumeをヘマトクリット値とするとしている。ところがわが国のどの遠心器も回転半径はそれよりかなり短い。今わが国の検査室で最も普及している三脚懸垂型製品(久保田K-80,佐久間90,国産遠心H-100B型)はいずれも145の回転半径である。そうすると3,700r.p.m.位の回転数にしないとWintrobeの指示する約2,260Gにはならない。同じく三脚懸垂式でも15ml容管を48〜64本一度に遠心できる大型のものは190〜195mmである。また前調産遠心のでもH-100型,B-3のダイキャスト製15ml容量24本用となると165mmの回転半径,富永のスイング型CD-50は160mmと多少製品の特長差があるが,いずれにしろ回転数が3,000r.p.mではいけないことは確かである。
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