診断のポイント
心臓の痛み
木村 登
1
,
和田 敬
1
1久留米大
pp.47-49
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200222
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患者が心臓部の痛みを訴えたとき
心臓部における痛みはすぐにも心臓病を連想させ,重篤な心臓病にかかつているものと信じて医師の診断をこう患者の数が増加しつつある。とくに若年者においてかかる訴えを主訴とするものの大多数は心臓神経症である可能性が多い。典型的な心臓部ならびにその周辺の痛みはウィリアム・ヘバデンの古典的名著"Disorder of the Breast(1768)"にくわしく記述されているが,器質的心臓病に罹つている患者が必ずしも心臓部の痛みを訴えるとは限らない。ために器質的ならびに機能的な心疾患の鑑別は,臨床的に必ずしも容易ではなく,いろいろの検査を必要とする場合もあるが,患者が痛みを訴える場合の表現の仕方,痛みの場所,ならびにその痛みが何分位続くかというような簡単ないわゆるベッド・サイドの問診によつてかなり正確に診断できるので,その要点をかいつまんで述べてみたいと思う。紙数の都合上,器質的心臓病のうちではとくに日常しばしば遭遇する冠動脈硬化に起因している狭心症ならびに心筋硬塞症についての鑑別を述べることにする。
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